最終更新日:2026年4月10日
アトピー性皮膚炎とは?症状の特徴・原因や薬の種類を詳しく解説
こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹や皮むけが、良くなったり悪くなったりを長期間繰り返す慢性の皮膚疾患です。「この湿疹の原因は何?」「どんな薬が効くの?」と、疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。
この記事では、アトピー性皮膚炎の具体的な症状や起こる原因や、間違われやすい他の皮膚病の種類、最新の治療薬まで詳しく解説します。
アトピー性皮膚炎の主な症状(かゆみ・皮むけ・湿疹)

アトピー性皮膚炎の代表的な症状は、かゆみを伴う「湿疹」と、肌のバリア機能低下による「乾燥(皮むけ)」です。 皮膚が赤く腫れる、カサカサして白い粉をふく、ポロポロと皮がむける、ひっかき傷からじゅくじゅくした液体(浸出液)が出るなどの状態がみられます。
湿疹と皮むけの特徴
アトピーの湿疹は、おでこ、目や口の周り、首、手足の関節の内側などに出やすく、体の左右対称に現れるという特徴があります。
かゆみに耐えきれず掻きむしってしまうことで、さらに肌のバリア機能が破壊され、ひどい皮むけが起こる悪循環に陥りやすくなります。また、一度症状が治まっても、しばらくすると再発しやすいのも厄介な特徴です。
症状の重症度は4段階
症状の重さは、皮膚の状態によって以下の4段階に分けられます。
- 軽微:軽い乾燥やカサつきがある程度。
- 軽症:軽度の赤みや、乾燥による皮むけ(落屑)、ささくれが見られる。
- 中等症:強い赤み、ひっかき傷、ジュクジュクした浸出液を伴う湿疹が広がる。
- 重症:広い範囲にわたって皮膚が赤く腫れ上がり、硬く盛り上がったり、激しい皮むけが起こったりする。
アトピー性皮膚炎の原因

「どうしてアトピーになるの?」「湿疹の原因は何?」と悩む方は少なくありません。アトピー性皮膚炎は、単一の原因で起こるわけではなく、「体質的な要因」と「環境的な要因」が重なり合うことで発症すると考えられています。
体質的要因(アトピー素因)
家族にアトピー性皮膚炎やぜんそく、花粉症などのアレルギー疾患を持つ人がいる場合、遺伝的にアレルギーを起こしやすい「アトピー素因」を受け継いでいる可能性があります。
また、健康な肌は隙間のないレンガ壁のように外部の刺激を跳ね返しますが、アトピー体質の人はこの「肌のバリア機能」がもともと弱く、水分が逃げやすいうえに刺激が入り込みやすい状態になっています。
環境的要因
日常生活の中に様々な皮膚刺激を引き起こす要因が潜んでいる場合があります。ダニ(死骸や糞)やハウスダスト、花粉、ペットのフケなどのアレルゲン物質は、症状を悪化させる大きな原因です。汗、石鹸、衣類のこすれ、空気の乾燥なども肌への直接的な刺激となります。季節の変わり目の急激な温度・湿度の変化などが引き金になることもあります。過労や睡眠不足、精神的なストレスなども免疫バランスを崩す要因となります。
症状を悪化させないためのアプローチ
症状を改善するためには「薬や保湿で肌のバリア機能を高める」ことと、「ダニ対策やストレスケアで環境刺激を減らす」ことの、両方からのアプローチが大切です。
なお、アトピー性皮膚炎の患者さんは、例えばゴム手袋などに使われる天然ゴム成分に反応する「ラテックスアレルギー」など、他のアレルギーも発症しやすい傾向があるため注意が必要です。
アトピーと似ている皮膚病の種類・関連疾患

かゆみや湿疹があっても、すべてがアトピー性皮膚炎とは限りません。皮膚の病気には様々な種類があり、適切な治療のためには医師による正しい診断が必要です。
アトピーと間違われやすい皮膚疾患
- かぶれ(接触皮膚炎):金属、化粧品、植物などの特定の物質が肌に触れることで起こるアレルギー反応。
- あせも:高温多湿の環境で、汗の管が詰まって生じるブツブツ。
- 脂漏性皮膚炎: 頭皮や顔など、皮脂の分泌が多い部位に生じる、フケを伴う赤み。
- 自家感作性皮膚炎:強いかぶれや湿疹を放置してこじらせた結果、アレルギー反応が全身に広がり、強いかゆみを伴う発疹が全身に出る疾患。アトピーの急激な悪化と間違われることがあります。
アトピーの主要な合併症
アトピー性皮膚炎で肌を掻き壊すと、低下したバリア機能の隙間から細菌やウイルスが侵入し、以下のような感染症を合併しやすくなります。
- とびひ(伝染性膿痂疹):細菌感染により、水ぶくれやかさぶたが全身に飛び火するように広がる。
- カポジ水痘様発疹症(ヘルペス):ヘルペスウイルスに感染し、顔や上半身に小さな水ぶくれが多発する。
- 水いぼ:主に子どもに多いウイルス感染症。
目の病気:目の周りの湿疹がひどい場合、かゆみで強く叩いたり擦ったりすることで、白内障や網膜剥離を引き起こす危険性があります。
皮膚炎の薬と治療法(塗り薬・飲み薬)

アトピー性皮膚炎の治療は、「薬物療法」「スキンケア」「悪化要因の除去」の3本柱が基本です。近年は治療の選択肢が増えており、症状の程度に合わせて適切な薬が処方されます。
外用薬(塗り薬)
皮膚の炎症を直接抑えるための、メインとなる治療薬です。
- ステロイド外用薬:炎症をしっかりと抑えます。症状の強さや使用する部位に合わせて、適切なランク(強さ)を選んで使用します。ランクには、week(ウィーク)、medium(ミディアム)、strong(ストロング)、very strong(ベリーストロング)、storongest(ストロンゲスト)の5段階があります。
- タクロリムス外用薬(先発品はプロトピック):免疫の過剰反応を抑える薬です。顔や首など、皮膚が薄くデリケートな部位の炎症によく使われます。
- JAK(ジャック)阻害薬(コレクチム軟膏):新しいタイプの非ステロイド性外用薬です。ほてりなどの副作用が少なく、長期的な症状のコントロールに有用です。
- PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害薬(モイゼルト軟膏):ジファミラストという成分で、新しいタイプの非ステロイド性外用薬です。生後3か月から使用可能な薬剤です。長期的な症状のコントロールに有用です。
- タピナロフ(ブイタマークリーム): 非ステロイド性の AhR(アリール炭化水素受容体)作動薬です。12歳以上から使用可能な新しいタイプの非ステロイド性外用薬です。長期的な症状のコントロールに有用です。副作用で頭痛が見られることがあります。
皮膚のバリア機能を改善する目的で保湿剤は重要です。
内服薬(飲み薬)・注射薬
外用薬だけでは抑えきれないかゆみや、重症化した場合などに用いられます。
- 抗ヒスタミン薬(飲み薬):かゆみを和らげるために、補助的に用いられるアレルギーの薬です。
- 免疫抑制剤(シクロスポリン/飲み薬):16歳以上の重症の患者さんに処方される場合があります。
- 生物学的製剤(デュピルマブなど/注射薬):既存の治療で効果が不十分だった中等症以上の方に対し、炎症やかゆみの原因物質を直接ブロックする新しい治療法です。
- 生物学的製剤(ミチーガ/注射薬):“かゆみそのものを止める” ことに特化した生物学的製剤です。
- JAK阻害薬(オルミエント錠など/飲み薬):炎症や免疫反応を抑える経口のJAK阻害薬です。主に既存治療で効果が不十分な場合に使用され、1日1回の服用で症状を改善します(関節リウマチや円形脱毛症の治療にも使用されます)。
【コラム】皮膚科でもらう「青い蓋」の塗り薬の名前は?
「皮膚科で処方された青い蓋の塗り薬の名前が思い出せない」「青色の塗り薬は何?」と気になる方が多いようです。青い蓋の容器や青いチューブが特徴的な皮膚科の薬には、主に以下のようなものがあります。

- プロペト(白色ワセリン):青い蓋の丸いプラスチック容器で渡されることが多い代表的な保湿剤。
- アズノール軟膏:薬自体が青色をしており、炎症を穏やかに鎮める非ステロイド薬。
- リンデロン-V軟膏など:チューブのキャップやラインが青色(ベースはピンクなど)のステロイド剤。
これらはそれぞれ用途や効果が全く異なります。ご自身の症状に合っているかどうかなど、医師の説明に従って使用しましょう。
スキンケア(保湿)の重要性
アトピー治療の土台となるのが毎日の保湿です。ヒルドイド、尿素クリーム、ワセリンなどの保湿剤を欠かさず塗ることで、低下した肌のバリア機能を補い、アレルゲンの侵入を防ぎます。軟膏、クリーム、ローションなど多様な保湿剤があるので、医師に相談して使いやすいものを選びましょう。
アトピー性皮膚炎を悪化させないための注意点

日頃の生活習慣を見直すことも重要です。 毎日のシャワーや入浴で肌を清潔に保ち、石鹸はしっかりと泡立てて優しく洗いましょう。こするように拭くのもNGです。また、肌着は綿素材を選び、室内をこまめに掃除してダニやホコリを減らすなど、肌への刺激を避ける工夫を取り入れてください。十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないことも大切です。
安易に自己判断せず医療機関を受診しましょう

アトピー性皮膚炎は、かゆみや皮むけなどのつらい症状が長引く病気ですが、原因を理解し、適切な治療薬を使用することで、健康な肌と同じ状態を維持することは十分に可能です。
「自分に合う薬がわからない」「自家感作性皮膚炎など他の皮膚病かもしれない」と不安な場合は、自己判断で市販薬を塗り続けるのではなく、早めに医師の診察を受けることが大切です。最近は優れた新しい治療薬も増えているため、一人ひとりのライフスタイルに合わせた最適な治療が選択できます。
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こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師 :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業
日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品
【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)
2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。



