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最終更新日:2021年8月24日

慢性膵炎の症状を解説|慢性膵炎の原因や特徴は?慢性膵炎の治療内容や診断後に意識したいポイントもご紹介

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

膵臓は胃や十二指腸とともに食べ物の消化にかかわる重要な臓器です。

慢性膵炎は膵臓の炎症が長く続く疾患で、発症すると完治が難しいとされています。しかし進行を食い止めることは可能です。

慢性膵炎の症状は劇的なものではなく、気付かないうちに病気が進行していることもあります。

まずは慢性膵炎の代表的な症状を知っておきましょう。

症状とともに疾患の原因や特徴をつかむことが早期発見・早期治療の要になります。

慢性膵炎の症状

「慢性」という言葉通り、じわじわと炎症が進んでいきます。

そのため突発的な症状がなく、ちょっとした体の異変として見過ごされがちです。

主な症状

慢性膵炎の症状として「痛み」が挙げられます。

膵臓は胃の下の方かつ背中側、体の中心から左側に向けて横に長い臓器です。

痛みが出るのもちょうどこの位置であり、お腹または背中と腰の中間あたりの少し左側に鈍い痛みを感じます。

この痛みは常に出ているわけではありません。食事をしてから数時間経ってから、多くは夕方になると痛みが強くなる傾向です。

膵臓が食べ物を消化するために酵素を出すタイミングで痛みが出るため、食事直後ではなく時間をおいて痛みが生じます。

痛み以外では倦怠感や下痢・嘔吐、体重の減少もよくある症状です。

なお慢性膵炎にかかっても痛みが全く出ない方もごくまれにいます。

進行過程

慢性膵炎の初期は「代償期」と呼ばれています。この期間の主な症状は腹部や背中の痛みであり、かなり強い痛みが出ることも少なくありません。

炎症が進んでいくと膵臓の役割である消化酵素の分泌や血糖コントロールをするインスリン分泌の機能が低下します。

消化がうまくいかないため下痢や体重減少の症状が見られるのもこの時期の特徴です。

さらに進行すると「非代償期」と呼ばれる時期に入り、膵臓が完全に動かなくなります。消化機能の低下によって栄養障害が起き、血糖コントロールができず糖尿病を併発します。

食事をしても消化酵素を分泌することができないため、お腹や背中の痛みは出ません。

初期では腹痛や背部痛が起こりやすく、進行していくと膵臓機能が弱まることにより下痢や体重減少が起こります。

さらに進行していくと膵臓が機能しなくなり、消化不良による栄養障害や血糖コントロール不全による糖尿病を併発します。

およそ10年ほどかけてこの経過をたどるのが慢性膵炎の特徴です。

考えられる合併症

インスリンの分泌に障害が出るため糖尿病のリスクが高まります。

その他の合併症として挙げられるのは膵石灰化(膵石)や膵仮性嚢胞・膵癌です。

また膵臓以外に目を向けると膵性胸・腹水・消化管狭窄・消化管出血や膵臓以外の悪性腫瘍があります。

慢性膵炎の原因

慢性膵炎の原因として最も大きな割合を占めるのがアルコールの過剰摂取とその継続です。

習慣的に多量のお酒を飲んでいる方が必ず慢性膵炎にかかるわけではありませんが、リスクはかなり高いといえるでしょう。

またアルコールとは関係のない胆石による慢性膵炎もあります。

膵臓が作り出す消化酵素は十二指腸内に分泌され、食べ物だけを消化するのが通常です。

しかし慢性膵炎では自身が分泌した酵素で膵臓の組織を破壊していきます。その際に炎症が起きるのです。

慢性膵炎の特徴

胆石が原因になる方もいますが、多くは長年の過剰な飲酒習慣が引き起こす疾患です。

酵素分泌を担う外分泌腺細胞が長期間炎症を起こし続けている状態に陥り、炎症で破壊された細胞は消失するわけではなく硬くなります。

硬く「線維化」した細胞は二度と元に戻せません。

じわじわと長い経過をたどるため症状に気付きにくく、気付いても元に戻せない点が慢性膵炎の特徴といえるでしょう。

慢性膵炎の検査と診断

慢性膵炎の診断を行うためには様々な検査が必要です。

医師は複数の検査の結果を総合して治療方針を決定します。

慢性膵炎の検査

まずは血液と尿を採取し、膵臓からの消化酵素の分泌やコレステロールなど幅広い項目について検査を行います。

血液検査によって慢性膵炎の可能性を探り、疑いが強い場合は確定診断へと進む流れです。

確定診断には超音波検査・CT・超音波内視鏡・MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)など画像検査を行います。

画像検査で確認できるのは膵臓の状態です。石灰化や膵石の有無、膵臓の腫れや拡張などを画像検査で調べていきます。

中でも超音波内視鏡の一種「エストグラフィー」は、他の画像検査では難しい膵臓の硬さを数値化できる検査です。

慢性膵炎はもちろん、その他の膵臓疾患診断での活用も期待されています。

慢性膵炎の診断

血液検査と尿検査、画像検査に加えて自覚症状を総合し、日本膵臓学会が定めた診断基準に基づいて慢性膵炎の診断をします。

慢性膵炎特有の画像所見はもちろん、お腹や背中の痛みの出方も診断基準に含まれるため、問診では痛む部位を正確に伝えましょう。

慢性膵炎の治療

慢性膵炎は症状によって病期があり、代償期から移行期へ、その後非代償期へと進行していきます。

治療ではそれぞれの病期に合わせた適切な食事療法や薬物療法が必要です。

代償期

痛みを自覚する代償期は、痛みによる苦痛を和らげるために鎮静剤を使用します。

また痛みの原因である炎症を食い止めるには、酵素の働きを低下させる蛋白分解酵素阻害薬も有効です。

脂分の多い食事をした後や飲酒後は痛みが出やすいことが知られています。そのため断酒はもちろん、食事の脂肪制限も必須の治療です。

こうした治療は体への負担が少ない一方、効果が見られないこともあります。その場合は外科的手術や内視鏡手術が必要です。

膵管に金属製の筒を設置して膵液の流れを良くする手術や、体外衝撃波で膵石を粉砕する治療を行います。

移行期

膵臓の機能低下が出始めるのが移行期です。

膵臓が徐々に硬くなり、膵石や膵石灰化が画像所見で確認されるケースがあります。膵臓の動きが悪くなることで腹部や背部の痛みは減少する傾向です。

移行期も代償期と同じく断酒や食事での脂質制限を行い、必要であれば内視鏡的治療や外科的治療を実施します。

非代償期

非代償期に多くみられるのが消化不良です。

膵臓がほとんど動かなくなる非代償期には消化酵素の分泌が極端に減ってしまい、食べ物の消化が困難になります。

その結果下痢や軟便の症状が出るのもこの時期の特徴です。

また消化不良の食べ物から栄養を吸収するのは難しく、栄養不足に陥ります。

胃酸を中和する働きを担う膵液が減少して腸内が酸性に傾くことも、消化不良の原因です。

そのため胃酸分泌抑制剤を使って胃酸を減らします。

非代償期に特徴的な症状が高血糖です。血糖コントロールに欠かせないインスリンの分泌が低下し、糖尿病へ移行しやすくなります。

これに対してはインスリン注射による治療が必要です。

診断後のポイント

慢性膵炎と診断されたら、進行を食い止めることが重要です。

日常生活を送る上で注意すべきポイントを確認しましょう。

断酒の徹底と工夫

アルコール性慢性膵炎の患者さんは断酒の徹底が必要です。

今までの飲酒習慣を突然辞めるのはそう簡単なことではありません。しかし飲酒が原因である以上、飲酒すれば病状は確実に悪化していきます。

まずはお酒以外の楽しみを探してみましょう。

また慢性膵炎だけでなく様々な病期で断酒に踏み切る方が沢山います。こうした方々の自助グループに参加し、同じ悩みを共有しながら断酒を進めていくのも一つの方法です。

効果的な食事内容

食事は栄養価が高く、低脂肪になるように心がけてください。糖尿病を併発していなければ食事量やカロリーは通常通りで問題ありません。

ただし脂肪の摂取には十分注意しましょう。脂肪分を摂ることで腹部の痛みが強くなる場合があります。

脂肪を減らし、かつタンパク質や炭水化物をバランスよく摂取することが大切です。

消化機能が低下しているときは繊維質の多い食材や消化しにくいきのこ類・海藻類などを避け、柔らかく調理した野菜を取り入れましょう。

痛みの有無や糖尿病リスクによっても食事制限の内容が異なります。

医師や栄養士による指導をよく聞いて、体の負担を減らしていくことが重要です。

禁煙するために

飲酒だけでなく喫煙も慢性膵炎悪化の要因であることが分かっています。

煙草の煙には有害物質が含まれており、長期にわたる喫煙では膵臓のみならず全身への悪影響が懸念されます。

禁煙を自力でおこなうのが難しい場合には、医療機関の禁煙外来を受診して早めに禁煙治療を開始しましょう。

周囲のサポート

慢性膵炎の治療は簡単なものではありません。

生活の中で継続していく必要があるため、患者さん本人の努力だけでなく周囲のサポートも不可欠です。

家族も一緒になって慢性膵炎の理解を深め、禁酒や食事制限の必要性・工夫の仕方を学ぶことが症状緩和につながります。

また職場の理解も得られると更によいでしょう。断酒を目指すためには周囲が「飲ませない」ことも大切です。

ノンアルコールの会合を設けるなどお酒を飲みたいと思わせない環境を作ることが理想的です。

ストレスで飲酒量が増える方はお酒以外のストレス解消法を探すといいでしょう。

医師と患者さんと周囲の方が一緒になって治療に取り組むことが大切です。

持続可能な治療生活を

慢性膵炎は完治することがありません。ゴールが見えない治療は辛く、また家族を巻き込んでいるという自責の念も強くなりがちです。

慢性膵炎という病気を進行させないよう、今何がつらいのか、どうしたら改善できるかを遠慮なく話し合えるようにしましょう。

また家族がいる場合、食事療法は家族の協力無しに成り立ちません。

とはいえ低脂肪・高栄養の献立を毎日考え調理法を工夫し、これを継続することは並大抵のことではないでしょう。

最近は療養食の宅配サービスが広まっています。食事制限に疲れてきたらこうしたサービスを積極的に活用してください。

治療を継続していくために「無理」は禁物です。食事はもちろん公的援助などもうまく利用していきましょう。

慢性膵炎の予防と早期発見のために

慢性膵炎には「早期慢性膵炎」の状態があることが分かっています。この段階は膵臓の機能がまだ保たれている状態です。

早期慢性膵炎の時点で症状に気付き、適切な治療や生活改善ができれば慢性膵炎の進行を食い止めることが可能です。

進行を止められれば膵臓がんや合併症のリスクを減らすことにもつながります。

とはいえ早期の段階では症状を自覚しにくく、早期発見と呼べる段階で疾患を特定できていないのが現状です。

体の異常にいち早く気付くために、健康診断を定期的に受けてください。

尿検査や腹部超音波検査で異常が見つかる可能性があります。

まとめ

慢性膵炎にかかったら、その後長く付き合っていく必要があります。

まずはこの病気のリスクを下げるため、暴飲暴食や過度の飲酒・喫煙習慣を断ち切るところから始めましょう。

飲酒は体に害を与えるばかりではありません。適量に抑えておけば、膵臓を破壊することなく、今後も「飲酒」を人生の楽しみの一つにしていけるのです。

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こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。

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