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最終更新日:2022年2月18日

うまく文字が書けない…自分の意志とは関係ない「手のふるえ」の正体【専門医が解説】

こちらの記事の監修医師
森山脳神経センター病院
堀智勝

本態性振戦 堀先生
(画像はイメージです/PIXTA)

「歳をとったから」「メンタルが弱いから」……手のふるえの症状が出ているのに、病院に行かずに我慢している人が多いと、森山脳神経センター病院院長の堀智勝氏はいいます。本記事では、そんな「手のふるえ」の正体と治療法について解説します。

目次

  1. 動作のときだけ手がふるえる!正体は「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」
    1. 1つでも当てはまる方は要注意!本態性振戦のチェックリスト
  2. 「本態性振戦」の治療…「薬物療法」と3つの「手術」
  3. さらなる悲劇を生む前に、一度病院で診察を

動作のときだけ手がふるえる!正体は「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」

ふるえの原因は大きく分けて2つあります。1つは緊張などからくる生理的な現象としてのふるえです。大勢の人の前でなにかを発表するときなどにふるえが出てしまう、といった経験がある方は多いのではないでしょうか。

もう1つがなにかの病気(疾患)が原因で起きるふるえです。この場合、代表的なものとしては、パーキンソン病と本態性振戦(ほんたいせいしんせん)があります。

パーキンソン病はなにもしていないのにふるえの症状がみられますが(安静時振戦)、字を書くとき、コップや箸を持つとき、スマホを操作するときなど、なにかをするときにだけ手がふるえ、それ以外には生活上困ることはない。そんな症状でお困りの方は、「本態性振戦」という病気の可能性があります。

この病気は「歳をとったから」とか「メンタルが弱いから」という誤解から、病院に行かず長いあいだ我慢している方が多く、また、病院で処方された薬を飲んでいても効き目が弱くなったまま、ふるえの症状に苦しまれている方も多いのが特徴です。

「本態性」とは、“原因不明”を意味します。病気として原因は分からないがふるえが起きてしまう、という病気が本態性振戦です。

1つでも当てはまる方は要注意!本態性振戦のチェックリスト

こんな症状で困っていませんか? 1つでも当てはまる方は、まずは専門医の先生にご相談ください。

  •  サインをするときに、手がふるえて自分の名前を書くのが難しい。
  •  スマホ(携帯電話)を操作しようして、うまくタッチできない。
  •  コーヒーカップを持つときに手がふるえて、こぼしそうになる。
  •  何かモノを取ろうとしても、届きにくいと感じる。
  •  食事をしようと箸を持つとふるえてしまう。

「本態性振戦」の治療…「薬物療法」と3つの「手術」

最初は薬による治療から開始します。本態性振戦については、交感神経遮断剤や抗てんかん薬を使用し、ふるえを抑えます。ただし、本態性振戦は進行性の病気であるため、薬の効き目が弱くなったり、薬が効いている時間が短くなったりします。

そうなると薬の量を調整するなどして対処しますが、薬の治療だけで改善されない場合は、手術療法による改善を検討します。

ふるえの症状に対しては、パーキンソン病、本態性振戦ともに、脳の深いところにある「視床」という部位が治療の対象となります。手術による改善方法は主に3つあります。

1つ目はRF(高周波凝固術)です。定位脳手術と呼ばれ、頭蓋骨に穴を開けて凝固針を視床に刺入し、組織を熱凝固します。手術時間は2時間程度で、効果は長続きします。稀に言語障害や麻痺等の副作用が起こることもあります。

2つ目はDBS(脳深部刺激療法)です。高周波の電気刺激を発生する電極とペースメーカーをそれぞれ頭蓋内と体内に埋め込む手術で、7~8時間ぐらいかかります。

症状の度合いに応じて電気刺激量を調整できる一方、機器の体内埋め込みによる感染症リスク、機器の故障リスク、充電・電池交換が必要となります。RFが原則、片方の手のふるえに対してのみ行うのに対して、DBSは両手のふるえに有効な手術です。

3つ目がFUS(集束超音波治療)です。ヘルメット形状の機器を頭にかぶせ、頭蓋骨を透過する超音波を多方向から病巣部に一点集中照射し、組織を熱凝固する治療法です。メスや麻酔は使わず、治療中は医師との会話や治療効果の確認作業をとおして、改善度や副作用を確認しながら治療を行うことができます。

FUSは最近出てきた新しい治療法で、頭蓋骨に穴を開けたり体内に機器を埋め込む必要がないため、感染症のリスクは低いです。ただ、副作用として稀に言語障害や麻痺等が起きます。

治療時間は2時間以内で、入院期間が短く、体への負担も少ないといったメリットがありますが、頭蓋骨の骨密度等の要因によって治療効果が期待できない方もいます。公的保険や高額療養費制度の対象となり、他の外科的治療と同様に、費用面でも受けやすくなっています。

いずれにしても、3つとも手術なので、手術に伴うリスク、体力や見込める治療効果などを考慮して、専門の医師とよく相談して最善の方法を検討することが重要です。

さらなる悲劇を生む前に、一度病院で診察を

本態性振戦の場合はふるえの症状しか出ないため、病気であるという認識が低いです。ですが、手のふるえによって、字が書けない、箸やコップが持てないといった日常生活に支障が出てしまう方や、ゴルフや楽器演奏ができない、と趣味を諦めてしまった方がたくさんいます。

また、美容師なのにハサミが持てない、料理人なのに包丁が使えないというふうに、仕事に影響がある方もいます。高齢者に限らず、若い現役世代でも、ふるえの症状に悩んでいる方は多いです。

とにかく、我慢をしないことが大切です。アルコールによって一時的に症状が軽くなることもあるため、アルコールに走り、アルコール依存症になってしまうという、さらなる悲劇をもたらすこともあります。

ふるえは、1人で悩み、長い間我慢している方が多いです。「様子をみてみよう」ではなく「お医者さんに行ってみよう」という、家族や周囲の方のサポートもとても重要です。前述のチェックリストで1つでも該当する場合は、専門医のいる病院で診てもらいましょう。

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こちらの記事の監修医師

森山脳神経センター病院

堀智勝

略歴

1968年 東京大学医学部卒業、脳神経外科教室入局
1981年 鳥取大学脳幹研究施設脳神経外科助教授
1984年 鳥取大学脳幹研究施設脳神経外科教授
1998年 東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科主任教授
2009年 森山記念病院名誉院長
2012年 新百合ヶ丘総合病院名誉院長
2016年 森山脳神経センター病院院長、新百合ヶ丘総合病院名誉院長




専門医・指導医

日本脳神経外科学会専門医
日本てんかん学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本認知症学会専門医・指導医
日本神経内視鏡学会専門医
日本リハビリテーション医学会認定臨床医

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