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最終更新日:2021年8月24日

耳かきをすると咳が出てしまうのはなぜ?原因と注意すべきことを医師が解説

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

耳かきや耳掃除をしていると風邪をひいているわけでもないのに咳が出る。それは、耳に巡る「迷走神経」と呼ばれる神経が深く関係しています。


身体の反応を「何かの病気のサインではないか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。今回はすずきこどもクリニックの鈴木幹啓先生に、その原因と注意すべきことを伺いました。

耳かきをしていると咳が出るのはなぜ?

耳掃除をしている時に咳が出るのは「迷走神経」が刺激されることが主な原因です。

迷走神経は体内の環境を調整する運動神経のひとつで、刺激を受けると咳や嘔吐といった反応を生じさせます。

つまり耳垢を取るときに咳が出るのはこの神経が正常に働いている証拠だといえるでしょう。

生命を維持するための重要な機能であり、決して無駄な反応ではありません。

また耳垢を取る際に咳が出るからといって、病気やアレルギーを疑う必要はないのです。

耳を触ると咳が出る人は意外と多い

迷走神経が刺激されると咳が出るのは人体が無意識的に行う反射です。耳を触るだけで咳が出るという人も少なくありません。

迷走神経は生命維持のための重要な役割を担っているため、個人差はありますが、少しの刺激でも反応する場合があるのです。

耳掃除をする時は必ず咳が出るという方も多くいます。病気やアレルギーのサインではないので心配する必要はありません。

耳かきの際の咳がひどい場合

迷走神経の反応には個人差があります。耳かきをしても反射がない方もいれば綿棒を少し入れただけで咳き込む方もいます。

迷走神経による反射が過剰に見られる時は血圧低下のサインである場合が少なくありません。

血圧が低下すると意識を保つことが難しくなります。やがて失神に至り、頭を打つなどの思わぬ怪我を負うこともあります。

耳かきの際の咳き込みがあまりにひどくて気になる場合は、迷わず耳鼻咽喉科の医師に相談してください。

耳かきで咳が出る人が注意すべきこと

耳かきの最中に咳が出ることは何ら不自然なことではありませんが、注意しなければならないこともあります。

刺激を与えすぎて過剰に咳を誘発してしまうことや、咳に伴う身体の動きで耳のトラブルを招いてしまうことです。

注意するべきことを3つピックアップしてそれぞれ詳しく解説しましょう。

刺激が多いと咳はたくさん出る

耳かきで咳が出ることは迷走神経の反射に関係した人体の自然な反応であると説明しました。

耳かきという道具を使って耳垢を取るのですから、個人差はありますが迷走神経への刺激は避けられません。

咳のしすぎは血圧の低下による失神のリスクを伴います。

立っている最中に意識を失ってしまうと、転倒によって頭を打つなどの大怪我を負ってしまう危険もあります。

耳掃除をする際は耳に優しい綿棒や低刺激なタイプの耳かきを使うなどして、できるだけ迷走神経への刺激を抑えましょう。

不意の咳で耳を傷つけないようにする

耳掃除の最中、不意に咳き込むと耳かきで耳の奥を傷付けてしまう可能性があります。

耳かきをあまり奥まで差し込んだり、力を入れて耳掃除をしたりしてはいけません。

耳かきをする際はできるだけ優しく、耳の穴の周りにある大きな耳垢を取り除くという意識でケアしましょう。

耳かきのための道具には様々なものがありますが、木製やプラスチック製のものよりも耳に優しい綿棒の使用をおすすめします。

不意の咳で耳垢を押し込まないようにする

耳掃除をしている最中、誤って耳垢を耳の奥に押し込んでしまう場合があります。

耳垢を耳の奥に押し込んで取れなくなってしまうと、その耳垢が外耳道を塞いで音を遮る耳垢栓塞になりかねません。

また耳の中は常に湿っているわけではないため、耳の奥で耳垢が固まってしまう場合があります。

悪化するとそのまま取れなくなってしまうことも少なくありません。

耳を傷付けないためにと綿棒を使う場合、痛みがないため思っている以上に耳の奥まで綿棒を入れてしまっていることもあります。

耳垢は通常、何もしなくても自然に落ちてくれるものです。耳かきをする際、道具を奥まで押し込む必要はありません。

不意の咳が原因でうっかり耳を傷付けることがないよう、耳掃除の際は綿棒を使って耳の浅い部分をケアするようにしましょう。

耳掃除のミスで引き起こされる症状

力を込めすぎたり指を入れたりする誤った耳掃除を続けていると耳のトラブルを招いてしまいます。

耳掃除のミスによって引き起こされる3つの代表的な症状について詳しく解説しましょう。

それぞれどのような症状で、治療法にはどういったものがあるのかチェックしてください。

外耳炎

耳の穴から鼓膜まで伸びた筒状の器官を外耳道と呼びます。

外耳炎はこの外耳道に炎症が起きるもので、耳掃除のミスによって引き起こされがちな症状のひとつです。

外耳炎は耳の痒みや痛みの他に耳だれを伴うこともあり、悪化すると難聴になる場合もあるので気を付けましょう。

また強く耳かきをして皮膚を傷付けたり汚れた指で耳垢を取ろうとしたりすると、細菌が入ってしまうリスクも高まります。

感染症の原因ともなりますので、耳掃除は正しい方法と適切な力加減で行うようにしましょう。

外耳炎のほとんどは自然に完治しますが、症状が悪化してきた場合はすぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳垢栓塞

耳垢を取ろうとして道具を外耳道の奥深くまで差し込みすぎると、誤って耳垢を奥へと押し込んでしまうことがあります。

迷走神経を刺激しすぎて思わぬタイミングで咳が出てしまい、その弾みで耳垢を押し込んでしまうケースも少なくありません。

そうした結果、耳垢が外耳道を塞いでしまう耳垢栓塞という状態を引き起こす場合があります。

耳垢栓塞は多くの場合無症状ですが、閉塞感を覚えたり聞こえが悪くなったりする場合も少なくありません。

耳垢栓塞の症状は詰まっている耳垢を専用の道具を使って取り除くことですぐに改善することが可能です。

無理に自分で取ろうとすると耳垢をもっと奥へ押し込んでしまう可能性があるので、必ず耳鼻咽喉科にご相談ください。

外耳道湿疹

耳垢を取る際、ついつい力を入れすぎて外耳道を痛めてしまうことがあります。

そんな耳かきのしすぎや化粧品アレルギーなどが原因となって引き起こされるのが外耳道湿疹です。

外耳道湿疹になると耳が痒くなり、掻きすぎると悪化して外耳炎にもなりかねません。

外耳道湿疹は点耳薬やステロイド薬の軟膏を塗布して治します。症状が重い場合は抗アレルギー薬を処方することになります。

外耳道湿疹は耳掃除をしていないことや行き届いていないことによる耳の不潔が原因で引き起こされる場合もあります。

適切な頻度と方法で耳のケアを行なってトラブルを未然に防ぎましょう。

耳かきをしなくても大丈夫?

身体の汚れは一般的に入浴して落としますが、耳には自浄作用が備わっているので何もしなくてもきれいな状態が保たれます。

そのため耳かきはしなくても問題ありません。

この項目では耳かきをしなくても大丈夫な理由についてより詳しくご紹介します。

自然に排出される仕組みがある

外耳道には線毛と呼ばれる細かい毛が生えており、老廃物を外へと運ぶ役割をはたしています。これが耳の自浄作用です。

耳垢には乾燥しているタイプと粘性のあるタイプがありますが、両者とも自然と排出されるので問題はありません。

耳を傷つける恐れ

耳かきには耳を傷付けるリスクが伴います。自浄作用があるので、耳を傷付けるくらいなら耳かきはしなくても構いません。

耳を傷付けると外耳道炎をはじめとする様々な耳のトラブルを招く危険があります。

ただ一方で、耳の穴の周りは細菌が付着しやすく、場合によっては感染症を引き起こすこともあります。

綿棒や清潔なタオルで軽く拭くなど、適切なケアを定期的に行うようにしてください。

耳垢のとり過ぎは良くない

耳垢のすべてが不要なわけではありません。耳垢は耳の中を適度に湿らせ、異物が中に入るのをブロックしてくれるからです。

細菌の繁殖を防ぐという重要な役割を持つ耳垢をすべて取ってしまうと、かえって身体に悪い影響を与える場合があります。

耳掃除のし過ぎで思わぬ耳のトラブルを招かないようにしましょう。

とはいえ耳垢が溜まりすぎても良くない

耳には自浄作用があるとはいえ、溜まりすぎた耳垢を放置しておくのは良くありません。

耳垢栓塞をはじめとする様々な耳のトラブルの原因となる可能性があるからです。

適度な耳のケアは大切です。自分で耳掃除をする時は綿棒を使い、力を入れずに優しく汚れを取ってください。

また自分以外の誰かの耳掃除をしてあげる場合も必ず綿棒を使い、きれいにするのは見える範囲だけに留めましょう。

耳かきを安全にしたい場合は病院へ

耳の奥に詰まってしまった耳垢や硬すぎて取れない頑固な耳垢を自分で取ろうとすると、弾みで耳を傷付けかねません。

また嫌がる子供の耳掃除をする場合も耳を傷付けるリスクがあります。

耳垢を安全に取りたい場合は耳鼻咽喉科に相談してください。

耳鼻咽喉科では専用の顕微鏡や耳用の鉗子を使うなどの方法で安全に耳垢を除去することができます。

掃除機のような機械を用いて耳垢を吸引したり、生理食塩水で耳を洗浄したりする場合もあります。

同時に病気のチェックや聞こえの相談もできますので、耳や耳掃除に関して気になることがあれば進んで受診しましょう。

まとめ

多くの場合、耳掃除の最中に咳が出るのは迷走神経の反射に伴う自然な反応であり、病気のサインではありません。

ただしその咳があまりにひどいと、誤って耳かきで耳を傷付けてしまうなどのトラブルの原因となります。

そうしたトラブルが外耳炎をはじめとする耳の病気や様々な感染症を引き起こす場合も少なくありません。

耳のケアは定期的に適切な方法で行うよう心がけ、不安や不明な点があれば迷わず耳鼻咽喉科の医師に相談しましょう。

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こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。

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