最終更新日:2021年12月30日
家族の「いびき」は放置してはダメ!怖い病気が隠れていることも

こちらの記事の監修医師
梅岡耳鼻咽喉科クリニック
梅岡 比俊

家族から、「いびきがうるさくて眠れない」といわれたことはありませんか。自分自身は眠っているので自身のいびきに気がつかないことが多いですが、いびきは意外と多い症状です。十分な時間の睡眠をとったにもかかわらず、日中に眠気を感じる場合は、いびきが原因かもしれないので、一度専門医の診察を受けてみてはいかがでしょうか。
そのいびきは睡眠時無呼吸が原因かも
「睡眠時間を十分に取っていても昼間眠たい」「朝の目覚めが悪い」…。
このような症状、身に覚えはありませんか? もしかすると、それはいびきや睡眠時無呼吸が原因かもしれません。
現在、日本全国で推定2000万人のいびき患者がいるといわれています。そもそもいびきというのは、口腔内から喉の気道にかけて寝ている間に閉塞することによって起こります。そのため、赤ちゃんでも鼻が詰まればいびきをかくことがあります。
いびきは当の本人はまるで気づかないものですが、周りの人にとっては大迷惑です。
一緒に寝ている家族から、「いびきのせいで寝不足だ」といわれた方や、旅先で同室だった友人から「いびきがうるさくて眠れなかった」と苦情をいただいたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いびきをかいて眠る姿は、気持ちよくグッスリと寝ているかのようですが、実はそれは大きな誤解という場合があるのです。睡眠中にいびきをかいている方の多くが、睡眠時に何十回も無呼吸状態を繰り返す「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」であることが分かっています。
無呼吸状態とはいわば、口と鼻をふさがれているような状態であり、一晩中何十回もの無呼吸状態を繰り返しているということは、一晩中何十回も繰り返し口鼻をふさがれているのと同じなのです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、それくらい恐ろしいことが毎晩続いている状態なのです。
昔は家族と住んでいる人が多かったため、隣でいびきをかいているとパートナーが気づくことができました。しかし、最近は単身家族や一人暮らしが増えたせいで、周囲からいびきを指摘される機会が減りました。そして元々いびきをかかなかった人がかき始めたという事例が多く見られるようになりました。
これは、働き盛りの40代50代を中心にしばしば起こっています。
さらに、自分のいびきで起きる人は少なく、外来で見ていても自分のいびきに気づく人は5%ほどであり、残りの95%の人は気づきません。いびきには自覚症状がないのです。
そのため、睡眠アプリなどを使えば、睡眠の状態をチェックすることができます。
いびきや無呼吸になっていないかを調べるために、ぜひ活用してみると良いでしょう。
狭くなった気道を空気が通るときに起こる音
人は、呼吸をすることによって細胞が酸素を取り込んで活動しています。それは寝ている間も行われているため、いびきのせいで酸素を上手く取り込めなければ、血液中の酸素飽和度は一気に下がってしまいます。
酸素飽和度はコロナでも90%を切ると話題になりましたが、無呼吸だと約70%まで落ちてしまいます。なぜなら、酸素を取り込めていないにもかかわらず、その分酸素を24時間消費し続けてしまっているからです。
そのため、最近の研究では、心疾患、脳疾患、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなど、現代病といわれている様々な生活習慣病を併発したり、時に突然死の原因となることも分かってきました。
短期的に見ると分かりにくいですが、中長期的に見ると日本人を脅かす存在なので注意が必要です。
また、無呼吸の場合は睡眠の質が下がります。そのため、8~9時間寝たとしても日中や食後に激しい睡魔に襲われたり、朝の寝起きが悪いと感じる場合は、専門医を受診する方が良いでしょう。専門医というのは気道系を扱う耳鼻科、呼吸器内科です。そこで、無呼吸の検査をしてもらう、もしくは最近であれば自宅で機械をつけて調べられる装置があるので、それを使って本当に医学的に治す必要があるのかを調べるのも一つです。
いびきは、狭くなった気道を空気が通るときに起こる音です。
特に太っている場合、脂肪によって気道が押しつぶされ、いびきが出ることがあります。
たしかに、欧米ではその通りでしょう。
しかし、日本人の場合は顎が小さい人が多いため、舌の付け根(舌根)が下がってしまい、いびきが起こることもあります。いびきだけならまだしも、無呼吸になってしまうとほとんど呼吸をしていないことになるので致命的です。
いびき・睡眠時無呼吸の対処法としてすぐに実践できることは「側臥位(横向き寝)」によって気道の隙間を確保し、空気の通り道を作ることです。抱き枕などを使えば、自然に横向きで寝ることができます。そうすれば、舌の付け根が(舌根)が落ちにくく、いびきもかきにくいでしょう。
また、シリコン型の柔らかいチューブを鼻の中に入れて使う「ナステント」という一般医療機器も効果があるといわれています。
いびきを本質的に治す4つの方法とは
しかし、これらは姑息的なので、本質的に治すとすれば以下の4つの方法が挙げられます。
①ダイエット(体重コントロール)
②手術
・軟口蓋形成手術
・口蓋扁桃摘出術
・鼻中隔矯正術
③口腔内装置(マウスピース)
これは、就寝時にマウスピースを装着する治療法です。あごの小さい患者さんや、面長の患者さんは、マウスピースで、下あごを上あごよりも少し前に出るように固定し、夜間の舌根沈下を抑えることで気道を確保します。マウスピースを作るには、歯科で上下の型を取り、1人ひとりに合ったものをオーダーメードで作成します。
④経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)
CPAP(シーパップ)療法とは、睡眠時に鼻に取り付けた専用の特殊なマスクから気道に圧力をかけた空気を送り込んで、気道の閉塞を防ぐ治療法です。
効果が高く、副作用も少ないので、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として世界に普及している治療法です。高血圧などの合併症の予防、改善効果が立証されていることから、1998年より中等症以上の患者さんでは保険適用となっています。健康保険でCPAP治療を行うには、毎月1回の外来受診が必要で、3割負担の方の場合、負担額は毎月5,000円程度です。
以上、4つの方法があり、その方の状態や症状に合った治療方法を選択します。時には複数を組み合わせて治療することもあります。中でもCPAP療法は効果が高く、副作用も少ないことから睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として世界的にも確立しています。
また、いびきをかいていても医学的に見るとそこまで体に負担がなく、治療を要さないものも多々あります。しかし、家族がどう受け取るかは全く別問題です。
このように、いびきはとても難しくデリケート問題なのですが、そういうところも踏まえていびきに対して考えていく必要があると思います。
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こちらの記事の監修医師
梅岡耳鼻咽喉科クリニック
梅岡 比俊
医療法人梅華会 医療法人社団 梅華会 理事長
奈良県立医科大学を卒業後、勤務医を経て2008年に兵庫県西宮市に梅岡耳鼻咽喉科クリニックを開設。2011年に医療法人社団梅華会を設立。現在、阪神地区に耳鼻姻喉科4院、小児科2院、東京都内に消化器内科のグループ医院を経営する。2016年に開業医がより良いクリニック運営を行うための学びの場としてM.A.F(医療活性化連盟)を発足する。著書に『クリニック人財育成18メソッド』(医学通信社)など。
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