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最終更新日:2022年3月28日

「乳癌かも?」と思ったら…知っておきたい“検査”や“再建”の知識

こちらの記事の監修医師
ブレストサージャリークリニック
岩平 佳子

(写真=PIXTA)

乳癌の治療方法や手術の仕方、乳房の「再建手術」について専門医が詳しく解説していきます。

乳房にしこりを感じたら? 

胸にしこりを感じて「乳癌かも…?」と思ったら、まずは乳腺専門医に相談してください。自分で感じない場合にも、超音波検査やマンモグラフィーで見つかることがあるため、定期的な乳癌検診をおすすめします。

いきなり大きな病院へ行かなくても大丈夫です。乳腺専門医や放射線専門医は、全国で300軒以上開業しています。まずはそのような開業医へかかりましょう。

画像検査で癌が疑われたら、しこりに針を刺して組織検査をすることになります。検査でいよいよ癌であることが確定診断されたら、乳癌の得意な(診療実績が多い)病院を紹介もらえるでしょう。そこで、「癌がどこまで広がっているか」「他の部位には転移していないか」を調べるため、MRIやPET検査などがおこなわれます。

諸々の検査が終わった後は、すぐ手術をする場合もあれば、術前化学療法といって、先に抗癌剤により癌を小さくしてから手術をおこなう場合もあります。

乳房温存と全摘はどう違うの?

乳癌とわかっても「できれば乳房を残したい」と考える方は多くいらっしゃるはずです。

そこで、抗癌剤により乳癌が小さくなれば、乳房温存手術が可能になることがあります。

乳房温存手術は別名、部分切除手術とも呼ばれます。呼び方を変えるだけで、随分印象が違ってきませんか? 温存だと胸がちょっと小さくなりつつもそのまま残るようなイメージがあるし、部分切除だと部分的にえぐれるような印象があるかと思います。

実際は、ちょっと小さくなって残ることも部分的にえぐれることも、どちらもあり得ます。胸の大きさ、乳癌の大きさ、乳癌の位置によって結果が大きく左右されるのです。

たとえば胸がEカップくらいの方が3センチの癌を切除してもあまり目立たないでしょう。けれどAカップくらいの方が3センチの癌を切除すると、そこだけ凹んでしまったり、乳輪乳頭がひきつれてしまったりすることがあります。

乳腺外科医は通常、そのような可能性もきちんとふまえてアドバイスしてくれます。

温存手術後は癌が再発することのないよう、残った乳房に放射線をかける必要があります。約1ヵ月間、ほぼ毎日通院することになります。

それでも、乳腺が残っている以上「乳房内再発」はあり得ます。

最初から全摘手術の方がいいと言われることもありますし、抗癌剤で思ったより癌が小さくならなかったりした場合にも、全摘手術が適応されます。最近では医師から『温存は可能』と言われても、ご自身で全摘を希望される患者さんも多くなってきました。

全摘手術は乳腺を全部切除するわけですから、再発のリスクはグッと減ります。ただ、デメリットは胸がなくなってしまうことです。

そんな全摘手術の方には再建手術が可能です。

乳房再建とは

再建手術には、自分のお腹の脂肪や背中の筋肉を使用する自家組織再建と人工のシリコンインプラントを使用する人工物再建があります。人工物をやった後に、お腹の脂肪だけ注入することもあります。

乳癌手術と同時におこなう同時(一次)再建と、乳癌手術後、しばらく時間が経ってからおこなう二次再建があります。

どちらがいい・悪いという違いはありません。仕事や家庭環境を含めた自分の状況や、精神状態、ゆずれること・ゆずれないことを考えておこなうのが正解です。

自家組織再建は、体の他の部位にも傷がつくことになりますし、入院も二週間程度する必要があります。痛みも大きく、日常生活、特に運動ができるようになるまでには1ヵ月以上もかかります。さらに、喫煙歴・腹部に手術歴がある方はリスクが高くなります。それでもうまくいけば、血の通った暖かい脂肪で乳房をつくれることが一番のメリットです。

人工物再建は、他の部位に傷もつかず、体力的にも非常に楽で、二次再建の場合は日帰りでも可能です。手術の方法はまず、組織拡張器(エキスパンダー)と言って、中に生理食塩水を入れる風船を入れて(同時再建ではこれを乳癌手術と同時に入れることになります。そうすれば目が覚めた時に胸がペタンコになっている…ということがありません。)術後、生理食塩水を何回か追加することで数ヶ月かけて皮膚を伸ばし、胸の膨らみができたところでシリコンインプラントに入れ換えます。抗癌剤治療をする方は、エキスパンダーだけ先に入れてもらい、治療が落ち着いたところでシリコンインプラントに入れ換えれば、ちょうどいいタイミングでしょう。

デメリットには、シリコンインプラントは既製品で血が通っていないため、両方が全く同じ形や大きさにならない場合があるところ、特に痩せている方では中が冷たく感じるところが

デメリットには、シリコンインプラントは既製品で血が通っていないため、両方が全く同じ形や大きさにならない場合があるところ、特に痩せている方では中が冷たく感じるところが挙げられます。

「スポーツをどんどんやりたい」「仕事が忙しくあまり長くは休めない」という方には人工物再建が向いているでしょう。

シリコンインプラントって安全? インプラント由来の悪性リンパ腫

数年前、シリコンインプラントを入れている人が悪性リンパ腫を発症した、BIA-ALCL(Breast Implant Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma)(乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)が話題になりました。

豊胸目的も含め、再建手術でインプラントを入れている人は世界で数千万人いると言われますが、そのうち733人にこの病気が発症されたとFDAのホームページに掲載されています。日本でも今までに4名の方が診断されています。

この病気は、リンパ液が溜まり急に胸が腫れたり、腫瘍ができたりすることで判明しています。ALCLの発症から時間が経つと、抗癌剤をすることもあります。ただ、早期に発見できればインプラントを切除して完治させることも可能です。

今のところALCLがおきたことのないインプラントもあるので、「不安だけど胸がなくなるのはどうしても避けたい」という方におすすめです。

リンパ腫の判明もあり、「シリコンインプラントって大丈夫なの?」と思われがちですが、1年に1回、視触診、超音波やMRI検査を行っていれば問題はありません。

何はともあれ乳癌検診を

乳癌は早期発見すれば治る病気です。マンモグラフィーは痛くて嫌な印象がある方も多いようですが、超音波検診なら痛みもなく、簡単に受けられるのでおすすめです。

また、遺伝性の高い癌です。お母さんやおばあちゃん、おばさんなどが乳癌になっている方は是非、定期的に乳腺クリニックで専門医から検診を受けてみてください。

 

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こちらの記事の監修医師

ブレストサージャリークリニック

岩平 佳子

略歴:
1984年 東邦大学医学部卒業
1984年 東邦大学医学部付属大森病院第2外科にて研修
1986年 慶應義塾大学医学部形成外科学教室研究生
1987年 東邦大学医学部形成外科学講座助手
1989年 東邦大学医学部形成外科学講座講師
1993年 マイアミ大学形成外科、エモリー大学形成外科留学
1996年 東邦大学医学部形成外科学講座助教授
2003年 ブレスト サージャリー クリニック開設
現在に至る

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