最終更新日:2021年12月19日
2歳までにほぼ100%の子どもが感染するRSウイルス…発症したあと家庭で気をつけるべきポイント

こちらの記事の監修医師
新大塚こどもクリニック
杉田 依里

RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに一度は感染すると考えられています。本記事では、小児科専門医の杉田依里先生がRSウイルス感染症に感染したとき、家庭で気をつけるべきポイントを解説します。
目次
生後6カ月頃までの赤ちゃんが感染症にかかりにくい理由
予定日近くまでお母さんのおなかのなかにいた赤ちゃんは、お母さんの免疫(抗体)をへその緒を通じてもらっています。ですから、産まれてから、お母さんからの抗体が自然になくなる生後6カ月ごろまでは、風邪などの感染症にかかりにくいとされています。
そのあと、さまざまな感染症に感染し、原因となったウイルスなどの抗体を赤ちゃん自身がつくることで、感染症にかかりにくくなったり、かかっても軽い症状で済むようになったりします。
また、かかると命に関わったり、重い後遺症を残したりする感染症に対してはワクチンの開発がすすんでいるおかげで、実際に感染しなくても抗体をつくることができるのです。
それでもウイルスにはたくさんの種類があるので、赤ちゃんはいろいろな病気にかかってしまいます。
ほとんどは数日間の発熱や咳、鼻水、下痢などの一時的な症状を起こすものの、赤ちゃん自身の力で治っていきますが、治るまで、医療的なサポートが必要になる病気もあります。
そのなかでも、RSウイルス感染症は、赤ちゃんがかかった場合、酸素投与や点滴などの医療的なサポートが必要になることがある病気です。
RSウイルス感染症はほぼ2歳までに一度は感染する
RSウイルスは、風邪を起こすウイルスとして広く知られています。赤ちゃんは、1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%がRSウイルスに少なくとも一度は感染すると考えられています。
また、一度かかったらもう感染しないのではなく、何度も繰り返して感染するので、大人でも感染します。症状は、軽い風邪から、重症の細気管支炎や肺炎などの重いものまで、さまざまです。初めてかかった年齢が低ければ低いほど症状が重くなりやすい傾向があります。
大人や年長の子どもでは、普通は軽い咳や鼻水などの症状のみで治るので、知らず知らずのうちに赤ちゃんに感染させてしまうことがあります。とくに生後6カ月未満の赤ちゃんのいるご家庭では、お兄ちゃんやお姉ちゃんも含めて、赤ちゃんにうつさないように注意が必要です。
RSウイルスに感染すると、4日~6日間(2日~8日間)の潜伏期間を経て、発熱や鼻みず、咳などの症状が出てきます。子どもの場合は普通の風邪よりもその症状が長引くことが多いですが、ほとんどは軽症のまま治ります。
1歳未満(とくに生後6カ月未満)の赤ちゃんの約3割では、初めに症状が出始めてから3日ごろから咳がひどくなり、ゼイゼイと喘息のときのような苦しい呼吸をしたり、ミルクやおっぱいの飲みが悪くなります。
咳の悪化のピークは症状が出始めてから5日~7日目ごろになることがあるので、診断されたときに咳の症状が軽度でも、しばらくのあいだ注意が必要です。
自己判断は危険、早めに医療機関を受診を!
RSウイルスに感染したとき、重篤な合併症として注意すべきものに、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1カ月未満の赤ちゃんがRSウイルスに感染した場合は、風邪症状がなかったり、RSウイルス感染のときに見られる症状がはっきりしないことがあり、診断が難しいことがあります。また、突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。
中耳炎の合併が多いことも特徴です。一度下がった熱が再度上がってきた、または熱がなかなか下がらない場合は医療機関を受診してください。
特別な治療薬はなく、症状にあわせた治療を行います。たとえば、ゼイゼイと喘息のような呼吸が出るような場合は、喘息のときと同じお薬が処方されることが多いです。しかし、喘息ではありませんので、症状を劇的に改善させることはできません。ですから、ホームケアが重要になります。
以下に、RSウイルスに感染したときに家庭で気を付けることを記しておきます。(主に1歳未満の赤ちゃん)
・呼吸が苦しそうなときは、背中を優しくたたいたり、体を起こすように抱っこしてあげてください。
・部屋が乾燥しすぎないように工夫しましょう。
・咳こんで吐くことがあります。母乳やミルクは1回の量を少なくして、何回にも分けて与えましょう。
以下のようなときは、入院して医療的なサポートが必要と考えられます。できるだけ早く医療機関を受診してください。
・呼吸のときに、ゼイゼイ、ヒューヒュー、といった苦しそうな音が強い状況が続いている
・胸やおなかをペコペコさせて息をしている
・顔色がよくない
・水分がとれない
・繰り返し嘔吐する
気になることがあったらかかりつけ医に相談を
小さく生まれた早産児や、産まれつき心臓や肺に病気があるといった、重症になりやすいと考えられる赤ちゃんには、パリビズマブという、遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体を直接投与してRSウイルスへの感染や、重い症状になることを予防する方法を用いることがあります。
しかし、自分自身で抗体を作り出しているわけではないので、月に1回、筋肉注射を繰り返す必要があり、重症になりやすい赤ちゃん以外は投与することができません。また、ワクチンもないので、6カ月未満の赤ちゃんへの感染を防ぐように家族が注意する必要があります。
さて、保育園に通っているお子さんがいる親御さんは、いつから登園できるのかといったことが気になるのではないでしょうか。通常、登園は1歳以上のクラスであれば、熱が下がって咳こみが目立たなくなってくる1週間後くらいから可能なことが多いです。
0歳児クラスでは、ほかの子どもへの感染予防の観点からもうすこし長くお休みが必要になることがありますので、かかりつけ医に相談してください。
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こちらの記事の監修医師
新大塚こどもクリニック
杉田 依里
新大塚こどもクリニック 院長
2006年に東京女子医科大学を卒業。
同大病院小児科に入局後、葛飾赤十字産院および東京女子医科大学母子総合医療センター(NICU)で経験を積む。
早産児の診療に携わり、小児科専門医、周産期(新生児)専門医を取得。2016年に小児、新生児の診療を専門に行う「新大塚こどもクリニック」を開院した。
自身の育児体験を活かし、健診や診療のほか、育児相談など子どもを持つ親のサポートにも注力している。
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