最終更新日:2022年2月26日
体調不良を長引かせる意外な要因、「心理的逆転」を解除しよう

こちらの記事の監修医師
東京原宿クリニック
篠原 岳(しのはら・たけし)

体調不良が長引く、再発を繰り返す…。その原因は「心理的逆転」かもしれません。心理的逆転とは何か、どうして起こるのか。心理的逆転を解除するにはどうすればよいのか。一つずつ見ていきましょう。
目次
「心理的逆転」とは?
比較的よく見られる「脳の混乱状態」
体調が悪い状態であれば、なんとか改善させたいと思うのが普通ですよね。
ところが、心が治ることに反対しているケースがあります。
受け入れがたいお話だとは思いますが、以前から心が反対するような脳の混乱状態のことは指摘されていて、解除することで症状の治りが早くなることが報告されています。
なぜ、そのようなことが起きるかというと、ひとつには、体調が悪いことで患者さんはなんらかの利益を得ているため、治ってもらってはかえって困ることがあるからです。
たとえば、ダイエットをしても、どうしても過食してしまう女性がいたとします。
本人は、やせたいと思っているのに、心では、ダイエットが成功してしまうことで、異性から好奇の目で見られてしまうのが恐怖で、「それなら太っていたほうがマシ」と心がダイエットに反対してしまう、ということが比較的多くみられます。
このように、心が治療に対してブロックしてしまう状態のことを、心理学博士のロジャー・キャラハン博士が、「心理的逆転」と名付けました(ロジャー・J・キャラハン著『TFT〈思考場〉療法入門』より)。
「なかなか治らない病気・症状」の隠れた要因
意識と心が違うベクトルを向いていて、いわゆる、アクセルとブレーキを踏んでいるという状態は、特に長引いている慢性的な症状や病気に多くみられます。
「がん」では、90%以上の方に心理的逆転がみられたとのことでした。
心理的逆転があると、現代医療をはじめ心理カウンセリングなども一時的に効いたとしても、またすぐ症状が戻ってしまいます。
体調不良が長引いているときほど、本当に自分が治りたいと思っているのかどうかをチェックする必要があるというわけです。
心理的逆転を「解除」するメリット
治療で「症状だけを取り除く」こともできるが…
心理的逆転は、脳の混乱状態なので、解除することで症状改善が早くなります。
しかし、ただベッドに寝ているだけで、施術者が勝手に解除する、というわけにはいきません(そのようにもできますが、効果が薄いです)。
なぜなら、どうして脳の混乱をきたしているか、ということに「気づく」ことがとても重要だからです。
なんらかの体調不良がある場合、体がその症状を使ってあなたになにかの「お知らせ」をしている可能性があります。
そのお知らせの内容とは、たとえば今の生活が自分の本来やるべきことから外れているため、“それを続けていくと、最悪もっとひどくなり動けなくなってしまう”というものかもしれません。
そのような「お知らせ」を、あなたが「気づいて」受け止めるのか、それとも無視して対症療法をするのか、というのが問われているということになります。
前者を選んだ場合、症状を改善する以上に得られるものがある場合が多いのです。
心理的逆転の診断・治療方法
近年注目されている「キネシオロジー」とは?
心理的逆転は、無意識の領域に巧妙に隠されていることが多いので気がつくのが困難です。
そこで、心理的逆転をみつけるための診断・治療法として、アプライド・キネシオロジー(以降、キネシオロジー)が注目されています。
1964年に、アメリカのジョージ・グッドハート博士が考案した、診断・治療のシステムで、「人は弱った部分に触れられると、筋力が低下する」というものです。
キネシオロジーを使うと、調子が悪ければ筋力が低下するので、術者はこの部分が調子悪い、と分かりますし、患者さんも、筋力が低下することが自覚できるので、双方にとってわかりやすい、という利点があります。
心の問題に対しても有効であるので、心理的逆転の判定に用いることもできます。
心理的逆転がある患者さんに、「治りたい」と言ってもらうと、筋力が低下します。
この筋力の低下を患者さんが体験すると、心が治ることに反対している、ということを実感できるので、頭だけではなく、体感として理解が深まるのが利点です。
キネシオロジーは、特に治療が効きにくい患者さんに対して許可を得て行うことにより、「気づきのお手伝い」となるのです。
実例:心理的逆転を解除した患者さんたち
「止まらない咳」に悩む患者さん…薬も効かなかったが
心理的逆転があると、薬やサプリメントなどが効きにくくなることはお話いたしました。
ある方は咳が止まらず、どんな薬も効かないということで来院されました。
キネシオロジーでは、明らかに心理的逆転がありました。
咳が発生した時期を聞いてみると、自分の趣味である楽器を演奏して、動画で撮影して他人に披露してからだ、ということでした。
どうやら、人に見てもらうということに対して、過度に緊張してしまうので、咳が止まらないという症状に出ていたようです。
私の処方は、このようなメカニズムを解説したことと、動画撮影をやめてもらうことでした。
すると、咳はしばらくして治まりました。
あらゆる不妊治療をしても妊娠できずにいた女性
また、ある女性は不妊に悩んでいて、あらゆる不妊治療をしていましたが、効果がありませんでした。
キネシオロジーでは、心理的逆転がありました。
小さい頃から母親に虐げられて育てられていたため、自分が母親になったときに、自分の子供にもそのようにしてしまうことが怖い、ということがわかりました。
つまり、心の底では妊娠したくない、と思っていたということです。
心理的逆転を解除するためには、本当に子供が欲しいのかどうか、ということに長期に向き合う必要がありましたが、その結果、心理的逆転が解除され、妊娠することができました。
コロナ禍は心理的逆転が生まれやすい状況
長引くコロナ禍によって、多くの会社ではオンライン化が進んでいます。
一見、効率が良くなったところもありますが、多くは社員同士の心の結びつきが希薄になることによって孤立化し、スキルやモラルの低下などがみられることも多くなりました。
経営者においてはそのフォローのためより多くの責務が生じて、大変な状況になっていることもあります。
そのような、心理的な安全性が保たれなくなりつつある現在、本当に自分がやりたいことが見えづらくなり、心理的逆転が生まれやすい環境になっているとも考えられます。
このような時代だからこそ、長引く体調不良がある場合は、一度心理的逆転をチェックしてみてもいいかもしれません。
この症状を治したい。記事を読んで今すぐ医師の診断を受けたいあなたへ。
イシャチョクでは、予約無しでオンライン上の「仮想待合室」に入れば、診療科目毎の医師が順番に診察してくれる、仮装待合室型のオンライン診療システムを提供しています。上記のボタンをクリックして、オンライン診療に対応しているクリニックを検索してみてください。
全国のクリニックから検索したいあなたへ。
クリニックを探すクリニック検索
病気・医療情報検索
キーワード検索キーワード検索

こちらの記事の監修医師
東京原宿クリニック
篠原 岳(しのはら・たけし)
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
臨床分子栄養医学研究会指導認定医
1975年 横浜生まれ
1999年3月 山梨医科大学医学部卒
2005年3月 横浜市立大学大学院博士課程修了
2021年9月 東京原宿クリニック開設(東京都渋谷区)
横浜市立大学病院での初期研修後、内科、呼吸器内科医として診療に当たる。
病気になった後から治療に介入するという考え方より、徐々に、なぜ病気になるのだろう、というところに興味をいだく。
栄養療法やキネシオロジーに出会い、保険診療では解決が困難な副腎疲労を中心とした病状を診療をするために、クリニックを開設。
仮想待合室型オンライン診療対応の医療機関募集中
イシャチョクでは、予約無しでオンライン上の「仮想待合室」に入れば、診療科目毎の医師が順番に診察してくれる、仮想待合室型のオンライン診療システムを提供しています。以下のボタンをクリックして、オンライン診療に対応しているクリニックを検索してみてください。
-
- 東京都渋谷区神宮前6丁目29-3 原宿KYビル10階地図を見る
- 03-5962-7570
- 内科 呼吸器内科 アレルギー科
JR原宿駅の表参道口から徒歩1分の「東京原宿クリニック」。院長の篠原岳先生は日本内科学会認定総合内科専門医、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医の資格を持つ。2021...
- 10:00 - 13:00
- 14:00 - 17:00
- 月
- -
- -
- 火
- ●
- ●
- 水
- ●
- ●
- 木
- ●
- ●
- 金
- ●
- ●
- 土
- -
- -
- 日
- -
- -
- 祝
- -
- -