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最終更新日:2022年6月19日

一番大事な育児の準備とは?産前産後の「夫婦のパートナーシップ」について

こちらの記事の監修医師
37de35(みんなで考える産前産後ケアの会)代表
山﨑 ゆか 先生

(写真=PIXTA)

「産後のリアル」を乗り越えるには、夫婦のパートナーシップが大切

赤ちゃんがお腹に宿ったとき、多くの人が、嬉しさとともにさまざまな不安を感じるのではないでしょうか。妊娠から産後、子育て期間をどうやって乗り越えていこうか、と漠然とした思いはあるものの、なかなか想像することができないのが現実だと思います。

「こんなことになるなんて知らなかった!」

これは、これまで出会ってきた産後のパパママが口を揃えて言った言葉です。

 

ママの体調が回復しないうちから24時間体制で赤ちゃんのお世話をすることになる「産後」は想像以上に過酷で、慣れない育児への不安感や責任感、家事労働の負担などからママもパパも心身のバランスを崩してしまうというのは、どんな夫婦にも起こりうることです。

 

こうした中、ママにとって一番身近な存在であるパパとの間で、「産後のリアル」を乗り越えていく関係を築くことができなかったとしたら? 産後うつや虐待など、母子の命に関わるリスクが高まるのはもちろんのこと、産後クライシス(産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む現象)やセックスレスなどを経て、最終的に離婚に至る夫婦が出てきてしまうのも当然と言えるでしょう。

 

最も大事な時期は、妊娠期から子供が2歳になる頃です。産前産後、生活環境がガラッと変わるときはママとパパのコミュニケーションが不足しがちで、すれ違いの原因になります。このライフステージにおいて、夫婦でお互いの関わり方をいかに工夫していくかが、産後の夫婦の生き方や家族の形を創っていきます。

 

妊娠がわかってお産を迎えるまでの間、ママとパパはどんな準備をするでしょう。可愛いベビーグッズを用意するのも楽しいですが、必要なのはモノだけではありません。情報(知識)、ヒト、対話。二人で足並みを揃えて、妊娠期から準備していくことが大切です。

 

妊娠出産育児は決して諦めの始まりではありません。子育てを楽しむ秘訣は、夫婦で家事も育児も仕事もともに乗り越えていこうとするパートナーシップです。ともに働き方も暮らし方も創っていこうとする気持ちが大切です。

産前産後、ママの体はこんなに大変!妊娠期から「周囲のサポートを受ける準備」を

妊娠後期になると子宮は6倍の長さ、20倍の重さ、2000倍の容積にもなります。他の臓器も押し上げられます。妊娠によって変化するのは内臓だけではありません。分娩の際、赤ちゃんの頭を通すために骨盤が大きく開き、それに伴い骨盤を支える靭帯が伸びたり、骨そのものに負担がかかったりします。また、妊娠状態を維持するためにホルモンの分泌も通常とは異なるものになっています。これらの変化は交通事故による怪我に例えられることもあるほど、ママの体にとって大きな負担となります。

 

出産すると子宮も骨盤もいきなり元通りになるわけではありません。産後、妊娠で変化した体が元の状態に戻るまでの期間を産褥期といい、ママの体の回復にとってはとても重要な時期です。産褥期のママは、食事、トイレ、お風呂、授乳、オムツ替えなどは必要最低限にとどめて、できるだけ横たわって安静にしていましょう。家事や育児はパパや家族、ママ以外に任せます。家族以外の助けも必須。パパや家族だけでなく、赤ちゃんを囲む社会全体にお任せしながら育児をするつもりで、産前から産後にどんな家事育児のサポートを使うか、費用はどれくらいかかるかを夫婦二人で考え、ママ任せにしないようにしましょう。

 

子育てをどう乗り越えていくか、ママもパパもお互い長期的な自分のキャリアや夢、プライベートでやりたいことをどう思っているのかをすり合わせ、それぞれの職場から子育ての理解と協力を得て、産前産後の仕事の調整をする必要があります。ママの育休だけでなく、パパの育休も義務化されました。パパが育休を取る、家族や友人、それ以外の民間のサービスに手伝ってもらう、どんな家事育児にどれだけお金を使うかも二人で考えていきます。

自治体の「産後ケア」もチェックしておきましょう

家族以外にサポートしてもらう「産後ケア」を知っていますか? 産前産後の家事育児(家事代行や宅食、シッターなど)支援には、行政サービスとして助成金を受けて比較的安価に利用できる産後ケアやファミリーサポートもありますし、これ以外にもさまざまな民間のサービスがあります。一度、お住まいの自治体に問い合わせてみてください。

赤ちゃんを迎える準備:夫婦で「妊娠中から産後まで」の計画を立てる

赤ちゃんを迎える準備は可愛いものがいっぱいで楽しいですよね。でも、新しい家族を迎える準備は決してそれだけではありません。妊娠中から産後までの計画を二人で練ることです。改めて向かい合って美味しいおやつでも食べながらゆっくり話す機会を二人で持つのがおすすめです。

 

①仕事

◆産前産後でお互い仕事をどう調整しますか

◆上司にいつ妊娠を報告しますか

◆お互い育休はどうしますか(いつ・どのくらい)

◆お互いのキャリアへの夢ややりたいことはありますか

 

②健康

◆妊娠してから心や体の疲れを感じることがありますか

◆妊娠出産育児について話せる・相談できる友人がいますか

◆妊娠出産育児について相談できる専門家がいますか(助産院、産婦人科、保健師、ドゥーラなど)

 

③お産

◆お産そのものをどう迎えたいですか(立ち合い、場所など) 

◆帝王切開を知っていますか? 帝王切開になったときのことを考えていますか

◆産前産後はホルモンバランスの影響でママの心が不安定になりやすいことを知っていますか

 

④産後・子育て

◆産後1〜2ヵ月はママはできるだけ安静にしたほうがいいことを知っていますか

◆産前産後に利用できる行政や民間のサポートの内容や費用について調べていますか(家事代行、ベビーシッター、宅食、食材宅配など)

◆自治体のサービス(助成金)の内容や申請手続きの内容を知っていますか

◆赤ちゃんのお世話について母親教室などで学んでいますか(産婦人科、助産院、行政などの教室やオンラインサービス)

二人で話し合い、お互いを知る時間を持ちましょう

妊娠、出産は人生の大きなライフステージの変化です。この変化をハードルにするのではなく、パラダイムシフトにする。子育てを楽しみ、子育てを通して夫婦関係もより良くなるには、常に二人が話をすることが大切です。口に出すことで相手の価値観を知り、相手の軸を理解しようとすること。わかってほしい、感じてほしいではなかなかうまくいかないものです。

 

男性には特に具体的に伝えましょう。家事育児に関しても細分化して伝えていく。その中でお互いの好き嫌い、得意不得意を考えながら仕事、家事、育児のバランスをとっていきます。二人だけで解決しようとせず、周りのさまざまなサポートに頼りながら二人が笑顔でいられるようにすることが子供にとっても一番です。

 

ママのライフワークバランスと、パパのライフワークバランス。お互いを知る時間を持つことで子育てを楽しみ、夫婦をもっとアップデートしていきましょう。

こちらの記事の監修医師

37de35(みんなで考える産前産後ケアの会)代表

山﨑 ゆか 先生

産科麻酔科医
日本麻酔科学会専門医
中部産婦人科医院、南草津野村病院

京都府立医科大学卒業、京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院、兵庫県立こども病院、宇治徳洲会病院、箕面レディースクリニックを経て、中部産婦人科医院および南草津野村病院勤務。3男2女を育てる5児の母。日々ママの思いに寄り添うお産を提供しつつ、自身の経験や診療を通して出会うママたちに、妊娠・出産・育児を楽しんで迎えてほしいとSNSで積極的に発信している。