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最終更新日:2022年6月16日

コロナ禍で患者急増!知っておきたい「顎関節症」の原因・予防方法

こちらの記事の監修医師
サッカー通りみなみデンタルオフィス
橋村 威慶

(写真=PIXTA)

ここ数年で、私たちの生活は大きく変わりました。その中、歯科医院に来院する患者さんの来院理由にも変化が見られるようになりました。以前述べた『口臭』【⇒該当記事を読む】もそうですが、顎の関節の違和感や痛みを訴える患者さんが増加していることも、大きな変化の一つです。今回はコロナ禍と顎関節症(がくかんせつしょう)の関係、顎関節症を予防するセルフケアについて解説します。

顎関節症とは?

耳たぶの少し斜めの位置に指を当て、お口を開けると隆起するところが顎関節です。顎関節症はこの部位の筋肉の痛みや、顎が鳴る、口を開けると痛い(開かない)などの症状を言います。また、自覚症状を持っている人は20%程おり、女性に多いというのが特徴です。

顎関節症の原因は様々で、要因が重なることで発症に至ります。たとえば骨格的な体質や矯正治療によるもの、女性ホルモンや歯ぎしりや食いしばりといった生活習慣などが関連しており、それに精神的ストレスが加わるとさらに発症しやすくなります。

「就寝前のSNS」が顎関節症につながる!?

ここ数年来のコロナ禍により、私たちは様々な制約やストレスを受けています。昨年行われたスペインの子供(平均14歳)に対する研究では、ロックダウン中の生活で夜間にSNSを使用する割合が12.6%増え、それに伴いスマホの使用が21.8%増加し、不安(ストレス)も20%以上増加していることがわかりました。そしてこの研究により、デバイス等の使用時間が増える分、社会性が低下し不安も増え、夜間、特に就寝前のSNS等の使用が歯ぎしりや食いしばりの原因となることがわかっています。歯ぎしり、食いしばりは顎関節症になる大きな要因の一つです。

この研究では青少年が対象ですが、大人でも少なからず同様の影響を受けるものと考えて良いでしょう。

コロナウイルス感染で顎関節症になった人も

コロナウイルス感染によって味覚の変化が起こることはよく知られていますが、それ以外の「口の症状」はあまり知られていません。ですが、感染者の多くに口の中の症状が現れます。

また、コロナウイルスは骨格筋や関節にも障害をもたらすため、顎関節にも影響が出ます。これも去年の研究ですが、コロナウイルスに感染した人のうち、71.7%が何らかの口腔内の症状を呈しており、そのうち12%の人が顎関節の痛みを発症したというデータがあります。

もともと潜在的に20%ほど顎関節に障害を感じている方がいる中、さらに罹患中の患者さんがプラスされるので、全体としてはより多くの方が顎関節症にかかっていると推測できます。

マスクの長時間着用も顎関節症の一因

今年、とても興味深い研究が発表されました。私たちがずれたマスクの位置を直すとき、顎を最大限まで前に出し、その次に顎を最大限まで下げることで、マスクを適正な位置に戻そうとすることがあります。この動きを繰り返すと、顎に負担をかけ、顎関節症を引き起こす可能性が高まることがわかりました。マスクを着用すること自体にストレスを感じる人もいますから、このストレスも顎関節症の一因となります。

「女性の顎関節症」は男性の数倍多い

前述の研究では、重度の顎関節症は女性に多いと報告されています。また、厚労省の『平成28年 歯科疾患実態調査』に基づき、顎の痛みを持つ女性の割合を同年代の男性と比べると、20〜24歳女性では同年代男性の4.8倍、30〜34歳女性では男性の2.7倍、40~44歳女性では0.9倍、50~54歳女性では8倍、60~64歳では1.4倍と、女性のほうが多くなっています。

実際、私も臨床で顎関節の痛みを訴えて来院する方はコロナウイルス蔓延となった最近は男性が少し増えた感じを受けますが、やはり女性が男性より数倍多く来院します。厚労省のデータは軽度の方も含めた値です。重症となると女性は8倍も多くなるということですから、特に女性は要注意ですね。

顎関節症にならないためのセルフケア

①自分にフィットしたマスクをつける

日本では少しずつ感染者数が減ってきていますが、まだまだ予断は許さない状況です。マスクは手放せません。自分にフィットしたマスクを見つけましょう。また、清潔な手でマスクを触るのができるなら、マスクの位置を直すときは顎だけで対処するのではなく、手を使うのも良いでしょう。

 

②大あくびをしない。カラオケも注意

大きな口を開けると顎関節に負担がかかります。普段なんともないときはいいのですが、症状があるときは口を大きく開けるのを控えましょう。

 

③歯ぎしりや食いしばり、硬い食べ物を控える

噛む力(咬筋力)が強いと顎関節に負担がかかります。継続的な負担がやがて顎関節症につながる可能性があります。起きているときは歯ぎしりや食いしばりはできるだけしないように心がけましょう。同様に、硬いものを好んで食べていると顎関節に負担がかかるので、顎関節に違和感や痛みがある場合は控えましょう。また、起床時に顎がだるい、疲れているなどの症状があると、就寝中に歯ぎしりや食いしばりをしている可能性が高く、その場合は自分自身では止めることができません。歯科医院を受診しマウスピースなどをする必要があります。

 

④なるべく横向きで寝ない、頬杖をつかない

下顎は筋肉でぶら下がっているようなものです。そのため左右のバランスが崩れると顎関節症になりやすくなります。どちらか一方に継続して力がかかることのないように注意しましょう。ただ、寝るときのクセは治すのが難しいかもしれません。その際は枕を低いものに変えるだけでも予防効果があります。

 

顎関節症は2人に1人は生涯かかると言われています。症状が軽いものは自然と治る場合もあり、悪化させないことが重要です。あれ、顎がおかしいな?と感じたら、前述のセルフケアを試してみましょう。それでも症状が重くなったら歯科医院を受診しましょう。

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こちらの記事の監修医師

サッカー通りみなみデンタルオフィス

橋村 威慶

【経歴】
1998年3月 鹿児島大学歯学部 卒業。
2002年3月 すなまち北歯科クリニック 開設。
2014年2月~2016年3月 東京大学医科学研究所 客員研究員。
2019年5月 サッカー通りみなみデンタルオフィス 開設。
2019年6月 特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。

【所属学会など】
日本抗加齢医学会 専門医
日本歯周病学会
日本補綴歯科学会
日本アンチエイジング歯科学会

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