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最終更新日:2022年2月18日

がんめんしんけいまひ顔面神経まひ

こちらの記事の監修医師
もり脳神経外科クリニック
森 達郎

概要

顔面神経麻痺とは、12対ある脳神経の第7番目にある顔面神経が、脳または脳から出てきて顔面に出てくる経路のどこかで障害されて起こる病気です。顔面神経核から表情筋の経路のどこかが障害されると、表情筋を動かす信号が入ってこなくなるため、表情筋が動かなくなり、その結果として顔面が動かなくなります。この状態が、顔面神経麻痺です。顔の表情筋は20個以上あるといわれているので、顔面神経麻痺の程度と範囲によって様々な症状が出現します。また、神経経路は顔の左右それぞれに存在しており、右の顔面神経の働きが低下した場合には右の表情筋が、左の顔面神経の場合には左の表情筋がそれぞれ動きにくくなったり、動かなくなります。顔面神経麻痺を発症すると、表情筋の麻痺だけではなく、味覚の障害、音が響く聴覚の障害、涙や唾液の分泌低下などの様々な症状を合併する場合があります。

原因

顔面神経麻痺は、何らかの原因で顔面神経の働きが低下することで発症します。原因には様々なものがあり、ベル麻痺またはハント症候群という呼ばれるウイルスが顔面神経管の中で浮腫みを引き起こして生じる顔面神経麻痺も存在します。大部分はヘルペスウイルスが原因であり、身体に潜んだウイルス(もともと体に入り込んでいたウイルス)が、身体の抵抗力や免疫力が低下したときに活発に活動を開始することで、麻痺を引き起こします。また、聴神経腫瘍や脳腫瘍、脳卒中などの脳血管疾患やそれに伴う脳神経外科系の手術、耳鼻咽喉科手術、耳下腺腫瘍などの影響で神経が傷害された場合にも顔面神経麻痺が生じます。

症状

顔面神経麻痺の代表的な症状は、顔がまがった状態でもとに戻らない、眼が閉じにくい(うまく目が閉じれない)、口角が上がらない(口が大きくひら開かない)、無意識的に水や食事が口から漏れてしまうなどです。傷害される神経や筋肉によって症状のタイプは異なりますので、出現した症状に応じた治療が必要になります。また、顔面神経は、表情筋などの顔面の筋肉を動かすためだけに存在しているわけではなく、味覚を伝える神経(鼓索神経)、大きな音から耳を守るために鼓膜を緊張させる反射を起こす神経(アブミ骨筋神経)、涙や唾液の分泌を調節する神経などが含まれています。そのため、顔面神経麻痺では、表情筋の麻痺だけでなく、味覚の障害、音が響く聴覚の障害、涙や唾液の分泌低下などの様々な症状が合併します。

検査・診断

顔面神経麻痺の重症度は、表情筋の麻痺の度合いと、神経障害の程度を検査することで診断を行います。表情筋スコア(顔面神経麻痺スコア)という動きを点数化する方法を用いることで、客観的に麻痺の状態を判断することができます。また、神経障害の程度を検査するため、顔面神経の根元を電気で刺激し、どのくらいの表情筋が動くかを調べることもあります。その他、聴力検査、血液検査、味覚検査、頭部MRI検査などを行い、麻痺の状態と神経障害の程度や原因を調べます。

治療

顔面神経麻痺の原因によって治療方法は異なります。ベル麻痺、ハント症候群などのウイルス性神経麻痺の場合、一般的には、顔面神経のむくみを取るステロイド治療とウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤による治療が行われます。適切な治療によって80%の人が、ほぼ元の顔の状態に戻るといわれています。一部症例で麻痺などの後遺症が残る可能性もあります。神経の損傷がみとめられる場合には、薬を使った治療では不十分であり、手術による治療が行われます。また、腫瘍などの影響で神経に障害が発生している場合、原疾患の治療が優先され、原疾患治療後に傷ついた神経の修復が行われます。また閉眼困難になるため角膜が傷つきやすく、点眼薬を併用し予防に努めます。

予防/治療後の注意

顔面神経麻痺の治療を充分に行っても後遺症が起こることがあります。高齢者や高血圧、糖尿病などの基礎疾患を持っている患者さん、治療の開始が遅かった患者さんは後遺症が残るリスクがあります。麻痺が残ってしまったり、自分の意図しない筋肉が動くようになったり、ひとつの筋肉を動かすと同時に複数の筋肉が動くようになるなどの症状が残存する可能性があります。ボトックス注射によって残存した症状を緩和したり、リハビリテーションなどの運動療法を組み合わせて残った麻痺を緩和していく継続治療が行われます。また、麻痺によって、片側の顔の筋肉が垂れ下がる(まぶたの筋肉が垂れ下がる)場合は、形成手術によって垂れた筋肉をもとに戻す手術が実施されることもあります。

こちらの記事の監修医師

もり脳神経外科クリニック

森 達郎

〇経歴:
平成5年 日本大学医学部卒
平成11年 日本大学大学院卒
平成11年 米国 ハーバード大学医学部 マサチューセッツ総合病院 神経科
平成14年 横須賀市民病院 脳神経外科医長
平成16年 日本大学医学部附属板橋病院 脳神経外科医長
平成20年 日本大学講師
平成21年 日本大学医学部附属板橋病院 脳神経外科科長
平成22年 日本大学駿河台病院 脳神経外科科長
平成23年 社会保険横浜中央病院 脳神経外科部長
平成26年 地域医療推進機構 横浜中央病院 脳神経外科主任部長
平成28年4月 もり脳神経外科クリニック開設
【資格・免許】
日本脳神経外科学会評議員 脳神経外科専門医
日本脳卒中学会会員 脳卒中専門医
日本神経外傷学会学術評議員
日本臨床スポーツ医学会評議員
日本脊髄外科学会会員 脊髄外科認定医
日本脳ドック学会会員
難病指定医 身体障害者福祉法第15条指定医
脳神経外科漢方医学会会員
日本認知症学会会員
介護支援専門員(ケアマネージャー)
日本老年医学会高齢者医療研修会終了

治療に適した診療科目

神経内科 耳鼻咽喉科

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