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最終更新日:2022年3月4日

どうみゃくりゅう動脈瘤

こちらの記事の監修医師
ニューハート・ワタナベ国際病院
渡邊 剛

概要

心臓から押し出された血液は、体の中で最も太い血管である大動脈を通り、心臓から上方向に血液が流れた後、3本に分かれ全身の臓器・頭・腕などに血液を送っていきます。大動脈は、直径約2.5㎝から約3.5㎝と最も太く、末梢の血管に血液を送る最も重要な役割を持っています。高い圧力がかかっているため、動脈硬化(血管が固くなり弾力性が失われた状態)などで弱ってしまっている箇所があると、こぶができやすくなります。血液の壁が薄くなって大きく膨らんでくる病気を動脈瘤といいます。動脈瘤ができていても血管の機能が低下するわけでもなく、ほとんどが無症状の場合が多いです。しかし、破裂してしまうと胸部・腰などに強烈な痛みが走り大出血による意識障害を起こし、突然死につながることもあります。瘤は、大動脈のどの部分にでも起こり得るものであり、発生する部位の違いによって「胸部」「胸腹部」「腹部」と大きく区分されており、部位により手術方法が大きく異なってきます。

原因

動脈瘤の原因の多くは、動脈硬化が関わっていると言われています。その他、感染症や炎症を引き起こす病気・ケガ・生まれつき血管の壁が薄い場合などが挙げられます。動脈硬化の原因として、高血圧・高脂血症・喫煙・糖尿病などが瘤形成に関係していると言われています。それに加え、呼吸障害や動脈瘤の拡大を早めるとも言われています。

症状

症状は、ほとんどが無症状の場合が多く、自覚症状がないまま大きくなる場合がほとんどです。胸部大動脈瘤の場合は、大きくなっていくと周囲の組織が圧迫されるため、稀に症状が出ることもあります。なかなか気づく事ができない病気であり、他の病気などで腹部の超音波検査・CT検査を受けた時に偶然発見される事が多いです。腹部大動脈瘤は、破裂が迫ってくると腹部・腰痛が起こる事があり、瞬間的な痛みではなく持続的な痛みが特徴です。症状がなく気づかないまま破裂してしまった場合、胸やお腹の中に大量出血を起こし、激しい背中や胸の痛み、腹痛が起こりショック状態となります。生死に関わるとても危険な状況なため、緊急手術でなければ救命できない場合がほとんどとなります。

検査・診断

胸部X線検査・超音波検査を正面と側面から行うことによって、胸部大動脈の拡大があるかをチェックします。CT検査では、正確な胸部大動脈の径を測定したり、瘤が拡大する度合いを知ることができます。X線検査・超音波検査はあくまで大動脈瘤があるかを知るための一般検査といえます。

治療

動脈瘤が、破裂したり解離させないようにする事が基本の治療となります。治療には大きく分けて「内科治療」「外科治療」「ステントグラフト治療」があります。内科治療は、血圧のコントロールを行い、瘤が大きくなったり破裂したりする事を防ぐ治療となります。外科治療は、こぶの部分を切除し人工血管に置き換える治療「人工血管置換術」です。体にメスを入れるため負担は大きくなりますが、成功すれば根治が見込める治療法です。ステントグラフト治療は、足の付け根の動脈からカテーテルをいれ、この管を通じて人工血管をこぶの部分に運びいれ、そこに留置する「ステントグラフト内挿術」です。この方法は体の負担が少ないという利点がありますが、ステントグラフトがずれたり、漏れたりすることがあるため、状態によっては治療をやり直す必要があります。開胸、開腹手術が危険な方に適しています。また、薬では動脈瘤を小さくする事はできません。

予防/治療後の注意

動脈瘤を引き起こす要因と言われている高血圧症を予防・治療する事がとても重要です。生活習慣病も大きな原因の一つであり、糖尿病や高脂血症、肥満などをお持ちの方は、健康的な食生活やライフスタイルを心がけることが重要です。塩分の摂りすぎ、脂の多い食べ物、お酒や喫煙、睡眠不足・ストレスなど大きな影響を与えてきますので、食生活の改善、適度な運動などを取り入れ、定期的に健康診断を受けましょう。

こちらの記事の監修医師

ニューハート・ワタナベ国際病院

渡邊 剛

【経歴】
1977年3月  麻布学園高等学校卒業
1984年3月  金沢大学医学部医学科卒業
1984年5月  金沢大学医学部附属病院 第一外科入局
1989年3月  金沢大学大学院修了
1989年5月  横浜栄共済病院 胸部心臓血管外科
1989年6月  ドイツ・ハノーファー医科大学心臓血管外科 留学
    (Hans G Borst 教授の下、ドイツ学術交流会奨学生として)
1992年1月  金沢大学医学部附属病院第一外科
1992年4月  富山医科薬科大学医学部第一外科
2000年9月  金沢大学医学部外科学第一講座 教授
2003年8月  東京医科大学外科学第二講座 客員教授
2005年7月  東京医科大学心臓外科 教授(兼任)
2011年7月  国際医療福祉大学 客員教授
2013年11月  帝京大学 客員教授
2014年5月  ニューハート・ワタナベ国際病院 総長
2018年7月  ニューハート・ワタナベ国際病院 総長兼理事長

【資格】
日本外科学会指導医
【加入学会】
外科専門医
日本胸部外科学会指導医
心臓血管外科修練指導者
心臓血管外科専門医
循環器専門医
日本ロボット外科学会理事長
ISMICS (International Society for Minimally Invasive Cardiothoracic Surgery)
【受賞歴】
Young Investigator's Award受賞 1988年10月(第41回日本胸部外科学会総会)
第12回とやま賞受賞   2000年5月(富山県ひとづくり財団)
平成27年度外務大臣表彰 受賞 2015年(外務省)

治療に適した診療科目

外科 皮膚科 形成外科

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