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最終更新日:2022年10月2日

にょうどうえん尿道炎

こちらの記事の監修医師
東京医科大学病院
平澤 陽介

尿道炎

概要

尿道炎は尿道に細菌などが感染して発症する病気であり、多くは性行為が原因で男性に見られる性感染症です。排尿時の痛みや尿道からの膿排出で発症します。症状の問診と尿検査で尿道炎と診断します。尿道炎は抗生物質で治療しますが、単純ヘルペスウイルスの場合は抗ウイルス薬を用います。また、パートナーも感染している場合が多いため、同時に治療が必要です。尿道炎は中途半端に治療すると再発するため注意してください。性行為が原因の尿道炎は、コンドームを使用すれば予防できることが多いです。

原因

尿道炎は尿道に細菌などが感染して発症する病気です。主に男性にみられ、女性は尿道炎だけ起こすことはまれで、膀胱炎や、膣、子宮、卵巣および卵管への感染の方が多いのが特徴です。原因となる菌は、多くは細菌ですが、真菌や単純ヘルペスウイルスなどの場合もあります。また、多くは性行為が原因であり、オーラルセックスも原因となるので注意が必要です。こういった感染症は性感染症と呼ばれます。尿道炎は原因菌により、以下の三つに分類されます。クラミジア・トラコマティスという菌が原因となるクラミジア性尿道炎、淋菌が原因となる淋菌性尿道炎、大腸菌などの細菌、ウイルス、トリコモナス原虫などが原因となる非クラミジア非淋菌性尿道炎があります。

症状

淋菌性尿道炎の潜伏期間2~7日、その他は1~3週間くらいです。淋菌が原因の場合は、排尿時の強い痛みや尿道からの膿排出で発症しますが、クラミジアが原因の場合の症状は淋菌に比べて軽微なこと(尿道の違和感、かゆみ、ムズムズした感じ、排尿時の痛みなど)が多いです。淋菌の場合は黄緑色でねばつく膿が見られ、その他は透明で薄い色です。女性の場合は頻尿や尿意切迫、尿道の違和感なども見られますが、全く症状がない場合も多いです。ちゃんと治療しないで放置すると、不妊症や子宮外妊娠、流産の原因となることがあり注意が必要です。また、母親がクラミジアに感染していると、新生児の20-30%が産道内で感染し、結膜炎や新生児肺炎を起こすと言われております。何よりも早期発見と治療が重要です。

検査・診断

症状の問診と尿検査で尿道炎と診断します。淋菌は顕微鏡で検出できますが、クラミジアはできません。さらに原因菌を調べる尿培養検査があります。膿が出る場合は、尿道の入り口に細い綿棒を挿入して膿を採り検査するのが有効です。近年では出始めの尿を使ってPCR法でクラミジアや淋菌を調べる方法もあります。この検査はDNA増幅法と言われるもので、非常に精度が高く、簡便に行えるため現在では検査の主流になってきています。淋菌とクラミジアを同時にもっていることあるため、同時に検査することが多いです。

治療

尿道炎は抗生物質で治療します。ただし、単純ヘルペスウイルスの場合は抗ウイルス薬を用います。初診時は検査結果が出るまでに1-2週間を要すため、原因菌を推定して抗生剤などの薬物治療を開始することが多いです。尿培養検査の結果が出るまで1-2週間かかりますが、原因菌が分かれば、その菌に合わせた薬に変えることがあります。クラミジアは経口の抗生物質が効果的です。淋菌は経口の抗生物質が効きにくくなっているため、効果の高い注射薬を1回だけ用いることがあります(ロセフィンの単回点滴静注)。尿道炎は症状がなくなっても治りきっているとは限りません。治療後にも検査を受け、原因菌がなくなっていることを確認してください。また、パートナーも感染していることが多いため、同時に治療が必要です。なお、男性が尿道炎を起こした時には、梅毒およびHIVの検査もした方がより万全です。

予防/治療後の注意

性行為が原因の場合は、抗生物質が効きにくい原因菌のことが多く、治りにくい場合があります。クラミジアが女性性器や咽頭に感染した場合、症状が軽いことが多く、必ずパートナーの検査や治療が必要です。そうしないと、病原菌をうつしたり、うつされたりを繰り返します。この現象をピンポン感染と呼びます。また尿道炎は中途半端に治療すると再発するため注意してください。性行為が原因の尿道炎は、コンドームを使用すれば予防できます。

こちらの記事の監修医師

東京医科大学病院

平澤 陽介

〇診療科:泌尿器科

【学歴・職歴】
2008年3月 北海道大学医学部医学科卒業
2010年3月 横浜労災病院 初期研修修了
2011年4月 慶應大学病院 泌尿器科 助教
2014年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教
2018年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教・医長 医学博士取得
2019年5月 Cedars Sinai (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス)にResearch fellowとして留学
2021年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 講師

【資格】
日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本内分泌学会 専門医
日本ロボット外科学会 専門医 国内B級ライセンス
日本ロボット外科学会 (ダビンチ)認定医 certificate取得
泌尿器ロボット手術 プロクター認定医 手術指導医

【受賞歴・獲得助成金】
①アメリカ泌尿器科学会ベストポスター賞(2012年, アメリカ, アトランタ)
「Transurethral enucleation with bipolar versus open prostatectomy for patients with large prostate > 70cc」
②ヨーロッパ泌尿器科学会ベストポスター賞(2016年, ドイツ, ミュンヘン) 
「Impairment in Activities of Daily Living after radical cystectomy among elderly aged over 80. Assessment based on 6778 cases」
③埼玉地方会 ベストプレゼンテーション賞 (2011年)
後腹膜繊維症に対する腹腔鏡下尿管剥離術の検討
④科学研究費 2017-2018年 難治性前立腺癌に対するタキサン系抗癌剤とNFκB阻害剤を用いた新規治療戦略開発
⑤上原記念生命科学財団 海外リサーチフェローシップ 2020年 膀胱癌に対する新規免疫治療の効果予測バイオマーカーの開発
⑥佐々記念賞 「Sarcopenia as a Novel Preoperative Prognostic Predictor for Survival in Patients with Bladder Cancer Undergoing Radical Cystectomy Yosuke Hirasawa, Jun Nakashima, Daisuke Yunaiyama et al.」
⑦東京医科大学科研費フォローアップ助成金 去勢抵抗性前立腺癌に対する新規治療戦略の確立

他、著作論文多数

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