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最終更新日:2022年3月8日

しきゅうちつぶびらん子宮膣部びらん

こちらの記事の監修医師
麻布モンテアールレディースクリニック
山中 智哉

概要

子宮腟部とは、子宮の入り口の腟側に面している部分を指します。「びらん」とは「ただれている」という意味で、子宮腟部が赤く、ただれて見える状態を「子宮腟部びらん」といいます。びらんには、「仮性びらん」と「真性びらん」があります。子宮腟部は粘膜のターンオーバーが活発な部分なため、病的な意味をもたないびらんを生じることがあり、これを仮性びらんといいます。一方、子宮頸がん、頸管炎、梅毒、ベーチェット病などの初期症状としてびらんを生じている場合を真性びらんといい、原因を調べるための検査や、その結果に応じた治療が必要となります。小児期や閉経期の女性には、ほとんど見受けられません。女性ホルモンの分泌が盛んな時期、特に思春期や成熟期の女性に多く見受けられる傾向にあります。

原因

子宮の構造上、外部から子宮のなかに入るまでに、膣→子宮口→子宮頚部→子宮腔という順路があります。子宮の入り口(子宮口)を組織学的にみると、腟内に面した部分は、多層の平らで薄い細胞から構成された重層扁平上皮でできており、この部分を子宮腟部と呼んでいます。子宮腟部から内部に進んだ子宮頚管は、ひとつの細胞層から構成された円柱上皮でできています。この扁平上皮と円柱上皮の境目はS-Cジャンクションと呼ばれ、びらんが起こりやすい場所となります。また同部位は子宮頸がんの好発部位としても知られています。子宮腟部は、女性ホルモンが活発な時期は、腟側を向いていますが、加齢に伴い粘膜が萎縮すると、次第に子宮頚管の中に入っていくため、びらんは視認されにくくなります。

症状

子宮の入り口付近が赤く見えることの原因である円柱上皮は、物質の交換などに向いていて、粘液を分泌するための組織です。びらんの状態と円柱上皮の特徴からみると、痛みのような自覚症状はほとんどなく、おりものが常に多い状態となります。また、円柱上皮が薄い皮膚であることから、刺激に弱く出血しやすいです。タンポンを使用する、性交時など膣内部が外的刺激を受けた場合や月経以外で出血がある、血混じりのおりものがでる、おりものの量が多くなるといった症状があります。中には、とくに自覚症状のない人もいます。

検査・診断

内診、視診、触診にて、子宮膣部の状態を診ていきます。子宮膣部びらんの症状は、子宮頸がんなどの初期症状と似ていることから、細胞診が行われます。この細胞診は、子宮頸部の表面をブラシやスポンジなどで軽くこすり、採取した細胞を顕微鏡で調べていくもので、身体への負担も少なく、がんの早期発見、早期治療につながる検査です。

治療

子宮腟部びらんは、女性ホルモンが活発になることで起こる生理現象である場合と、子宮頸がんなどの疾患が原因となっている場合があるため、細胞診による精査が重要となります。生理現象のような病的意味を持たない仮性びらんの場合、基本的に無治療で構いませんが、不正出血や帯下の増量のような症状を伴う場合には、腟洗浄や腟錠の投薬、あるいはレーザー治療、冷凍療法、電気凝固法といった治療方法があります。一方、細胞診で子宮頸がんやその前癌病変(異形成)が疑われた場合は、さらに精査のため組織検査を行ない、診断を確定した上で、外科的治療など適切な対応が必要となります。

予防/治療後の注意

子宮膣部びらんの状態は、女性のホルモン周期によるものなので、予防する方法はありません。しかし、レーザーなどの治療を受けた場合、びらん状態となる円柱上皮は、細菌や刺激に弱いため、湯船にはいる入浴や温泉、水泳や自転車などの激しい運動、性交などは医師の指示に従って再開しましょう。シャワー浴で入浴を済ませ、安静に日常生活を送ってください。

こちらの記事の監修医師

麻布モンテアールレディースクリニック

山中 智哉

【経歴】
1998年 山梨大学医学部 卒業
2002年 同大学医学部大学院 卒業
2019年 麻布モンテアールレディースクリニック 開院

[資格]
・医学博士
・日本産科婦人科学会専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・米国ISFN認定サプリメントアドバイザー
・点滴療法研究会認定医

[所属学会]
・日本産科婦人科学会
・日本生殖医学会
・日本卵子学会

治療に適した診療科目

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