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適応障害を経てクリニックを開業した理由。水野泰孝が目指す医療とは?[水野先生インタビュー後編]

最終更新日:2021年10月22日

水野泰孝 先生の独自インタビュー取材記事

〇病院名 :グローバルヘルスケアクリニック
〇医師  :水野泰孝 先生
〇アクセス:東京メトロ有楽町線 麹町駅東京メトロ半蔵門線 半蔵門駅
〇診療科 :内科/感染症内科/アレルギー科
〇経歴  :学歴
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)
職歴
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)
役職
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)

「ザ・ドクター」は、フリーアナウンサーの松本志のぶさんが、医療の最前線で活躍するドクターをご紹介する番組です。

今回は、「グローバルヘルスケアクリニック 水野泰孝ドクター」にスペシャルインタビューを行いました。

前編はこちら あの有名な感染症内科のドクターの学生時代のバイト先は、まさかの夢の国?[水野先生インタビュー前編]

自身のクリニックを開業したきっかけ

松本アナ

現在はご自身のクリニックを運営されていますよね。
どんなきっかけで開業されたのでしょうが?

水野ドクター

これも、またちょっと変わっているんですけれども、私は開業するつもりはもう100パーセントなかったんです。

松本アナ

そうなんですか!?

水野ドクター

父が開業していましたので、私は絶対に開業医になるつもりはありませんでした。

松本アナ

引き受けるという道はなかったんですか?

水野ドクター

最初はありました。もちろん医学部に入ってからもそういうつもりではいたんです。けれど、これは開業医の先生から怒られちゃうかもしれませんけど、やはり開業医になってしまうとドクターとしてはキャリアは終わりだなというふうに自分の中で思っていたんですね。
開業したら進歩は求められない、進歩はできないと思っていたので、やはり自分はとにかく研修医の頃から大学の教授になることだけを目指して、ずっとやってきたんです。
ですので、結果的には大学の医局の責任者にはなりましたけれども自分は大学に骨をうずめるつもりでずっといたんですね。
ですけども、ちょっとやっぱり自分が積み上げてきたキャリアと大学での仕事のギャップといいますか、やはり自分の本当にやりたいことが大学の教授であったときにできるかというと、できないっていうのに徐々に気づき始めて
感染制御部というところにいたんですけれども、実際にその病院の感染対策というのは私の本当の専門ではなかったんですね。だから社会とか病院とかから求められる重圧と私の中の、専門性のズレが生じてきて適応障害みたいになってしまって。若い頃のトップを目指してやっていた能力がどんどん落ちてきちゃって、それで非常に悩んだ挙句に開業の道も捨てたもんじゃないな、という風に思ったわけなんですね。

松本アナ

そうだったんですね・・・。

水野ドクター

開業の道にシフトできたのは大学を辞めた後に2年間くらいフリーランスをやっていたとき。日本全国の病院にバイトで行ったんです。北海道の病院にも行きましたし、熊本の病院に行きましたし、あと山形とか僻地医療もしました。その中で、私がこれまで患者さんと対話をすることをすごく大事にしてきたことわかってくださる患者さんからものすごく感謝されるようになって、そこで落ち込んでいた心が救われたんですね。
それでやはり自分は大学病院とかのトップでアカデミックに専門を追求するよりも、これまで積み上げてきたキャリアを社会に還元すること、身近にいる患者さんに自分の高い知識を提供することじゃないかというのがわかったんですね。ここまで2年かかりましたけれど。
それを考えたら吹っ切れて、今まで何か教授しか頭になかったんですけれども、何かすんなりと開業をしちゃいましたね。

グローバルヘルスケアに込められた思い

松本アナ

先生の中でいろいろな葛藤がありつつ、今行き着いた開業という道なんですけど、グローバルヘルスケアクリニックという、国際的な素晴らしい名前がついているなという風に思いました。
このネーミングにはどんな思いが込められているんでしょうか?

水野ドクター

一般の方は、「グローバル ヘルスケアクリニック」と、グローバルで切るんですけれども、「グローバルヘルス」という医学用語があるんですね。これは日本語で訳すと国際保健とかそういうように訳します。

世界的、地球的に見たときに、いろいろな問題があります。感染症の問題もあれば、母子保健の問題もあるし、あとはメンタルヘルスの問題も。グローバルヘルスというのは、とにかく広い意味で、開発途上国から先進国までの地球規模でのヘルスを扱う。国や大学、政府レベルそういった大きなところでやる研究領域なんです。
ただ私は、それをずっとやってきたんですね、大学に入って20年以上。ですけれども、とてつもない広い領域であっても個人個人の患者さんでそういうのを必要としている人はいっぱいいるんですよ。
その人たちにこの莫大な知識を提供できる環境を作りたい、という思いがあったのでグローバルヘルスのケアをするクリニックという、そういう意味なんです。

松本アナ

先生ならではですよね。本当にそういったグローバルヘルスの高い知識を持っていらっしゃる先生が、もう私たち市民レベルに沢山撒いて下さるというか。

水野ドクター

そうなんです。グローバルヘルスだけだとリサーチとか研究だけなんですよ。「ケア」というのは「患者さんのケアをする」という意味なので、グローバルヘルスのケアを身近なところでできるとんでもない大きな領域でさらに専門性が高い領域を、すぐそこにいる患者さんに情報提供するそういう思いがあります。

松本アナ

普通はグローバルヘルスの膨大な知識っていうのは、私たちは中々いただけないものなんですね。

水野ドクター

そうですね。やはり本当に世界的、地球的な規模のものですので、それを一般の方に住んでいるおじいちゃんおばあちゃんが享受する、ということはほとんどない。でも必要な人いっぱいいるんですよ身近に。
ここ昨今のグローバル化でお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで海外に渡航するような時代になってきています。コロナ禍でそれが今制限をされていますけれども、本当にちっちゃな赤ちゃんでもヨーロッパに行ったり、アフリカに行ったりとか、そういう時代になってきつつありますので、すぐそこにある診療所で、専門的な知識が提供できるような環境を作りたいなというのはありましたね。

松本アナ

それは先生の小児科医としての経験も生かされますね。

水野ドクター

そうなんです。だから今までやってきたことのすべての経験が活かされる
大学の感染症内科にいたらお子さんは見られないんですね。大きな病院は全部「科」で分かれていて、お子さんは小児科に行きます。私は実はアレルギーの専門医を持っているんですけれども、アレルギーの病気も、結局アレルギー科とか呼吸器内科に行ってしまうので、大学にいたら感染症しか見られないんですね。
そうすると今まで色々なことをやってきたにもかかわらず、それがほとんど生かされずにずっとこのまま自分は大学で骨を埋めるのかとなると、やっぱりちょっと何か違うなというのがありました。とにかく自分がやってきたことを全て患者さんに提供できる、環境という意味では今が楽しくてしょうがいないです

松本アナ

まさに消化していますね。今現在ドクターが持ってらっしゃる夢は何になるでしょうか?

水野ドクターが抱いている夢とは?

水野ドクター

医学的なところもあるんですけれども、私はちょっと趣味でスキューバダイビングをするんです。スキューバダイビングも実はインストラクターの資格を持っているんですね。

松本アナ

すごい(笑)いくつ専門の道を持ってらっしゃるのでしょうか?

水野ドクター

専門ではないんですよ(笑)ペーパーインストラクターなんですけれども。
それと同時に私は旅行が好きなので海外国内問わず旅行が好きで。これも国家資格なんですけれども、一般旅行業務取扱管理者(※現:総合旅行業務取扱管理者)って資格を取っていまして。

松本アナ

先生とことん突き詰めますね(笑)

水野ドクター

トラベルメディスンという領域が医学領域の中にあるんですけど、日本で言えば「渡航医学」。これは世界的にも1990年代から出てきたので、まだまだ新しい領域なんですね。
この領域にはドクターだけではなくて、当然医療関係者もそうなんですけど、旅行業界の方も入ってきています。例えば添乗員の方が開発途上国にお客さんを連れていったときに、どういう健康管理をしたらいいかとか。そういった中で私もそのドクターの立場ではなくて、旅行の添乗員の方からの立場から何かアドバイスができないかなと。
旅行業務取扱管理者という代理店が開ける資格があって、研修すれば添乗員もできるんです。なので医学とダイビングと旅行これを全部融合した事業ができればいいなと思っています。

松本アナ

事業・・ツアーを作ってしまうとか?

水野ドクター

ツアーというよりも、例えばですけれどもビルがあって、1階は旅行代理店です。もし旅行する方の中で、海に行って潜りたいなと思ったら2階に行ってくださいといって、2階ではスキューバダイビングとか体験ダイビングのガイドをするフロアがあるわけです。更に「アフリカに行くんだけれども感染症が心配だからどうしよう」と言ったら、じゃあ3階のトラベルクリニックでアドバイスをしますよ。といったかたちで、一つのビルの中でそういう事業ができればいいなと思っています。

松本アナ

全部の管理者として先生がやられる?

水野ドクター

はい。私がダイレクターで全部管理します。しかも全部資格がありますので、一応法的にも問題はなくできると思っていますが、おそらく無理だと思います(笑)。

松本アナ

なんで無理なんですか? 実現可能なように聞こえましたけれども?

水野ドクター

本当に協力していただける方がいれば、あとお金があればやりたいなと思っています(笑)。

松本アナ

ちょっとそのビルが建った時には取材が殺到すると思います(笑)。
今回は人々の健康をケアする水野泰孝ドクターに、お話を伺いましたドクターどうもありがとうございました。

水野ドクター

ありがとうございました。


インタビュアー

松本志のぶ

静岡県浜松市出身。上智大学外国語学部卒業後、日本テレビに入社。「24時間テレビ」総合司会、「行列のできる法律相談所」レギュラーMCなどを務め、報道・情報・ニュース・バラエティ各種番組で活躍。2009年よりフリーアナウンサーとして、TBS「教科書にのせたい!」レギュラーMCなども務め、また、テレビだけでなく、報知新聞「報知映画賞」選考委員や、クラシックコンサートの司会、子どものための読み聞かせコンサートでの朗読など、活動の場を広げている。