最終更新日:2022年5月9日
女性に多い頭皮のかゆみ…原因はストレス?湿疹?更年期?

こちらの記事の監修医師
やさしい美容皮膚科・皮フ科
宇井 千穂

頭皮のかゆみの原因の多くは乾燥や間違えたケアにあります。また、頭皮のかゆみは女性に多い症状ですが、これは女性ホルモンの影響が原因になっているからです。頭皮のかゆみは放置せず、原因を知って適切に対処すれば改善することが可能です。そこでここでは症状改善のために、頭皮のかゆみの原因と対処法について解説します。
よくある頭皮のかゆみの原因

まずは、頭皮のかゆみが起こる原因としてよくあるものをご紹介します。
乾燥
頭皮も、顔や体の皮膚と同じように乾燥します。しかし、頭皮の乾燥ケアはほとんどの人がしていません。肌は、潤いが十分にあることでキメが整い、バリア機能が正常に働きますが、乾燥すると、肌の表面のキメが乱れて、外部からの刺激を受けやすくなります。
エアコンやドライヤーの当て過ぎは、頭皮の乾燥を招く一因です。また、秋冬の乾燥する時期にも頭皮が乾燥しやすく、頭皮のかゆみが起こりやすくなります。
水分不足
水分が不足すると、体だけではなく皮膚の潤いも失われ、肌が乾燥しやすくなります。最近はマスク生活が当たり前ですが、マスクをしているとマスク内の湿気が高いために喉の乾きを感じにくく、気づかないうちに水分不足になっていることがよくあります。
また、気温が高く、汗をたくさんかく夏は汗をかいた後の蒸発が問題になります。汗が蒸発した後の保湿のケアは大事です。秋冬に乾燥しやすいのは、空気が乾燥しているだけではなく、体の水分不足も気を付けてみましょう。
合わないシャンプーや間違ったケア
シャンプーの成分が合わないと、頭皮がかゆくなることもあります。もしシャンプーした時に決まって頭皮のかゆみが起こるのであれば、成分にアレルギー反応を起こしているのかもしれません。
洗い方に問題がある場合もあります。爪を立ててこすったり、ゴシゴシ強くこするようにしたりすることで頭皮に傷がつくと、トラブルが起こるようになります。また、シャンプーを十分にすすいでいないために、頭皮に炎症が起こることもあります。
ストレスや睡眠不足などによる皮脂の過剰分泌
ストレスや睡眠不足等の生活習慣は、自律神経のバランスを乱す原因にもなります。生活習慣の乱れにより自律神経が不安定になると皮脂分泌も乱れ、頭皮環境にも影響が出てしまいます。
また、ストレスによりホルモンバランスが乱れると男性ホルモンの分泌が増え、皮脂が多くなり、頭皮が脂っぽくなります。頭皮に皮脂が多くなると臭いやニキビ、吹き出もののもとにもなります。
病気・疾患
シラミは、頭皮や髪の毛に寄生する昆虫です。頭皮から血液を吸うため、強いかゆみを引き起こしたり、小さな赤い点状の穴が生じます。
集団生活をする子供がかかりやすいため、小さな子供がいる家庭では大人が感染する場合があります。
シラミを退治するためには市販のシラミ専用シャンプーを使用します。またシラミは、髪の毛に小さな卵を生むため、見つけたら一つ一つ手で取ることが必要です。
シラミは人にうつるため、バスタオルや枕は共有しないようにし、シラミを完全に退治するまで根気強く続けましょう。
女性はホルモンの変化も原因に

頭皮のかゆみは、女性ホルモンの影響によっても起こります。
女性ホルモンの変化と髪・頭皮の関係
女性ホルモンのうちエストロゲンは、女性らしい体つきやきれいな肌、髪の毛を保つ働きがあります。そのため、女性ホルモンの分泌バランスが乱れると、頭皮や髪の毛にも影響が起こり、頭皮のかゆみ、抜け毛、薄毛などのトラブルが起こるようになります。
妊娠中は、妊娠の継続と出産に向けて女性ホルモンがどんどん分泌される時期です。しかし出産後に女性ホルモンのバランスが乱れることもあるため、頭皮のかゆみや抜け毛などが起こりやすくなります。出産後の女性に頭皮や髪の毛の悩みを抱えるのが多いのは、そのためです。
女性は更年期も頭皮のかゆみが起こりやすい
更年期とは、女性の閉経を挟んだ前後10年を指し、40代から50代の女性なら誰でも迎えるものです。
若いうちは、生理周期に合わせて規則正しいホルモンバランスをキープできていましたが、閉経に向けて徐々にホルモンの分泌量が減り、分泌量が多いときもあれば少ないときもあるなど、安定しないようにもなっていきます。そのために、心身にさまざまな症状、いわゆる更年期障害が起こります。
頭皮のかゆみや抜け毛、薄毛は、更年期障害の症状のひとつでもあります。
頭皮のかゆみを放置するリスク

頭皮のかゆみは、放置しておくとさらにひどくなり、治りづらくなることがあります。
かゆみだけでなくフケも出てくる
頭皮のかゆみは、頭皮トラブルの初期を表すサインです。かゆみがあることで異常を知らせており、この時点で対処すれば、比較的短期間で頭皮のかゆみを改善することが可能です。
しかし、頭皮のかゆみを放置すると、頭皮を掻きむしることで頭皮に傷をつけ、そこからさらに炎症を広げて、どんどんひどくなっていきます。フケが出たり、湿疹になったり、重症化していきます。
フケには、脂性フケと乾性フケがあり、どちらも頭皮の異常によって大量に肩などに落ちるようになります。フケそのものが頭皮に刺激を与えるため、さらにフケが出るようになり、放置すると負のループに陥ってしまいます。
抜け毛・薄毛の原因になる
頭皮は、健康的な髪の毛を生やすための土台です。頭皮環境が良くないと、髪の毛にも影響を与え、抜け毛や薄毛の原因になります。
頭皮が荒れていると、ターンオーバーがうまくいかないためにごわつくようになります。髪の毛に十分に栄養が行き渡らなくなるために、抜け毛や薄毛となります。
自分でできる頭皮のかゆみ対策・対処法

頭皮のかゆみは、自分で改善することができます。自宅で簡単にできる頭皮のかゆみ対策についてご紹介します。
シャンプーの仕方を見直す
シャンプーをする時に最も気をつけたいのが、頭皮を十分に洗うということです。
シャンプーをつける前には、ぬるま湯で頭皮の汚れをしっかりすすぎ、それから髪の毛につけて泡立てましょう。シャンプーをするときは、指の腹を使うようにし、決して爪を立てて洗わないことです。すすぎはたっぷりのお湯で十分に行い、根元のすすぎ残しなどにも気をつけてください。
頭皮マッサージをする
頭皮の血行を良くすることで、頭皮環境を改善することができます。
頭皮マッサージは、強すぎると頭皮に負担をかけるので、ソフトな力で十分です。頭全体を両手で包み込むようにして、優しくマッサージしましょう。
頭皮マッサージは、シャンプー前に行うと汚れが落ちやすくなり、効果的です。
生活習慣を整える
頭皮環境を整えるには、規則正しい生活習慣を心がけましょう。特に十分な睡眠時間を確保することは、髪や頭皮の健康のために大切なので、早めに布団に入るようにしてください。
栄養のある食事やストレスをためないようにすることも効果的です。
市販薬を試してみる
ドラッグストアには、頭皮のかゆみに効く市販薬が販売されています。
湿疹やかゆみに効く抗炎症成分入りのものや、乾燥対策のための頭皮用保湿ローションなど、症状に合ったものを選びましょう。しかし、気になるのでしたら皮膚科を受診してください。
最近では、男性用育毛剤だけでなく、女性用の育毛剤も多く販売されています。特に女性用の育毛剤は頭皮環境を整えることを目的に作られているので、毎日の頭皮ケアに役立てることができます。
対策しても改善しなければ受診を

頭皮のかゆみは、生活習慣の改善や市販薬を使用することで軽減できる場合があります。しかし、対策をしてみても頭皮のかゆみが治まらない場合は、皮膚科を受診したほうがいいかもしれません。
頭皮のかゆみは皮膚科を受診
頭皮のかゆみやフケ、湿疹など頭皮トラブルがある場合は、皮膚科を受診しましょう。更年期障害など女性ホルモンが原因だと考えられる場合は、婦人科がおすすめです。
赤ちゃんや子供の頭皮のかゆみは、皮膚科の他、小児科でも診てもらうことができます。
病院で行われる治療
皮膚科では、症状に合わせて塗り薬やローション、内服薬などが処方されます。皮膚科には、クリニック専売コスメが販売されていることが多く、医師のアドバイスとあわせて、より専門的なケアをすることが可能です。
まとめ

女性に多い頭皮のかゆみは、生活習慣の改善やケア方法の見直しなどのセルフケアによって対処することができます。
妊娠中や産後、更年期など女性ホルモンの影響が原因になっている頭皮のかゆみにも効果を期待できるので試してみるのも手ですね。
症状がつらく、なかなか頭皮のかゆみが治まらない場合は、無理せず皮膚科を受診しましょう。症状がひどくなる前にかかることで悪化を防ぎ、早く治すために役立ちます。
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こちらの記事の監修医師
やさしい美容皮膚科・皮フ科
宇井 千穂
〇診療科 :美容皮膚科・皮フ科
《 経歴 》
北里大学医学部卒業
《 保有資格 》
・1990年度 準ミス日本受賞
・元全日本空輸株式会社 客室乗務員
《 プロフィール 》
皮膚科医としてはアトピーを中心とした皮膚疾患を診察し、美の研究も行い美容皮膚科医としての医療も提供しています。
web雑誌での連載やサプリメントや化粧品の監修などでも、多方面でマルチに活躍しています。
《 その他 》
病気だけを診るのではなく、一人の人間として患者さんに携わっていける医師を目指しています。
アトピーという皮膚疾患だけでなく、先天性異常である18トリソミーやダウン症などの患者さんを取り巻く環境も考え、偏見をもたれやすい疾患に対しての活動をも行っています。
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