最終更新日:2022年2月22日
空腹時に胃痛が起こる原因と痛みを和らげるための対処法

こちらの記事の監修医師
大宮エヴァグリーンクリニック
伊勢呂哲也

空腹時に胃痛を感じやすい場合、胃炎や逆流性食道炎などの病気が考えられます。特に強く痛むとき、繰り返し胃痛が起こるときは早めに病院で診てもらいましょう。空腹時の胃痛の原因と痛みを和らげるための対処法についてまとめました。また、空腹時に胃痛が起きやすいのはなぜなのかも説明します。
目次
空腹時の胃痛の原因となる病気
空腹時の胃痛の原因となる病気には次のようなものがあります。
【空腹時の胃痛の原因となる病気】
- 胃炎
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 逆流性食道炎
食事をすると痛みがおさまるというケースであっても油断してはいけません。症状が悪化してしまう可能性もあるので、必要に応じて医療機関を受診してください。
胃炎
胃の粘膜に炎症が起きている状態が胃炎です。胃炎はさまざまな原因で起きますが、一時的なものだと食べすきや飲みすぎ、過度なストレス、細菌感染などが挙げられます。
また、慢性胃炎の多くはピロリ菌が原因です。慢性胃炎を放置すると状態が悪化して胃潰瘍になる危険性もあるので注意してください。
一方、急性胃炎であれば数日で症状がおさまります。ただし、暴飲暴食やストレスによって日頃から胃に負担がかかっている場合も慢性胃炎になるケースがあります。
胃潰瘍
胃潰瘍とは炎症が続くことで、胃の粘膜の一部が深く欠損した状態を指します。比較的、損傷状態が軽いものは「びらん」と呼びますが、いずれの場合も注意が必要です。胃潰瘍によって胃に穴があくまで症状が進行した場合、胃以外の臓器への影響も考えられます。胃潰瘍は命に関わることもあるので、早期発見、早期治療が重要です。
十二指腸潰瘍
前述の胃潰瘍は食後に痛みを感じることも多いですが、主に空腹時の胃痛であれば十二指腸潰瘍も考えられます。
十二指腸は胃の下にあり、消化された食べ物に消化液を混ぜ合わせるのが役割です。この十二指腸に起きた慢性的な炎症によって、深くえぐれてしまった状態が十二指腸潰瘍で、胃潰瘍とは欠損する部位が異なります。
胃がん
胃がんも空腹時に胃痛を起こすことがあります。胃がんの主な原因はピロリ菌の感染ですが、食生活やストレス、喫煙習慣なども要因のひとつになるので注意が必要です。
悪性腫瘍が浸潤したり、転移したりすると治療は難しくなります。早期発見できれば内視鏡による治療も可能なので、初期症状を見逃さないようにしましょう。
胃がんの初期症状としては、胃痛、食欲低下、胸やけ、吐き気などが挙げられます。ただし、初期症状がないケースも多いため、定期的に検診を受けることが重要です。
逆流性食道炎
胃の内容物が逆流することで食道を傷つけてしまうのが逆流性食道炎です。肥満体型や暴飲暴食などのほかに、食事のあとすぐに横になるのも逆流性食道炎の原因になります。
空腹時に胃痛や胸やけ、呑酸などの症状があるなら、逆流性食道炎が考えられます。逆流性食道炎の場合、生活習慣の改善、胃酸の分泌を抑える薬などで治療することが多いです。
げっぷ・吐き気を伴う胃痛は機能性ディスペプシアの可能性もある
空腹時の胃痛のほかに、げっぷや吐き気といった症状も伴う場合、機能性ディスペプシアの可能性もあります。機能性ディスペプシアは胃痛や胸やけを感じるものの、検査をしてもはっきりとした原因が分からない病気です。
このような症状の場合、以前は慢性胃炎や神経性胃炎と診断されることもありました。しかし、現在は、胃炎のような症状があり、かつ検査によって胃に異常が確認できないものは機能性ディスペプシアと診断されます。
機能性ディスペプシアには、食後に症状が出やすいもの、食後に加えて空腹時にも症状が出やすいものがあります。機能性ディスペプシアになる原因は多数あり、複数の要因によって症状が出ているケースも多いです。
症状を抑えるには胃腸の働きを改善するとともに、胃腸に負担をかけないような生活することが重要になります。
空腹時の胃痛が何かを食べると治る理由
通常、胃の表面は粘膜によって守られていて、胃酸による影響は受けません。酸性の胃酸に対して、胃粘液にはアルカリ性の物質が含まれるため、酸を中和してくれます。
しかし、本来必要な量よりも多くの胃酸が分泌されてしまうと胃酸過多の状態になり、胃粘膜がダメージを受けてしまいます。食事のあとに胃酸が増加するのは普通ですが、胃酸と胃粘液のバランスが崩れていると空腹時も胃酸分泌量が多いままです。
空腹時に胃痛を感じる場合、胃酸によって胃の粘膜が傷つけられている可能性が高く、食事をすると胃酸が薄まるため胃痛もおさまると考えられています。
食事後、一時的に胃の痛みが和らいだとしても、症状が完全に治ったわけではありません。頻繁に痛みを感じる場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。
空腹時に胃痛が起きやすい場合の対処法
空腹時に胃痛が起きやすい場合、次のような対処法を試してください。
【空腹時に胃痛が起きやすい場合の対処法】
- 市販薬で痛みを和らげる
- 胃に負担をかけない食べ物を選ぶ
- 決まった時間の食事で空腹状態を短くする
- ストレスを溜め込まないようにする
市販薬で痛みを和らげる
ドラッグストアなどで取り扱われている市販薬の中にも胃痛に有効なものがあります。胃酸の分泌量を抑える薬、胃の機能を改善するための薬などがあるので、症状に合った薬を選ぶようにしてください。
胃に負担をかけない食べ物を選ぶ
アルコール、スパイスを多く使った料理、カフェインや塩分、脂質の多い食事などは胃の負担になります。胃を刺激することで、胃酸の分泌が促されるため、胃酸過多の状態になりやすくなります。できるだけ胃の負担になるような食事は避けて、胃腸に優しい食べ物を選びましょう。
また、食べる量が多かったり、食事にかける時間が短かったりするのも胃腸の負担です。食事はゆっくりと、適度な量を摂ることを意識してください。
決まった時間の食事で空腹状態を短くする
空腹時に胃痛を感じる場合、食事と食事との間隔があきすぎている可能性もあります。空腹状態が長く続かないように、一日三食、決まった時間に食事を摂るようにしましょう。
例えば、朝食を抜いている人は、夕食から昼食までの時間が長くなります。そうなると胃酸によって胃が荒れ、痛みを感じることになるので注意が必要です。
ストレスを溜め込まないようにする
食事だけでなく、ストレスも胃痛の一因です。過度なストレスがかかると自律神経のバランスが崩れ、必要以上に胃酸が分泌されてしまいます。胃痛を緩和するためにもストレスは溜め込まないようにしましょう。
ストレスの発散には適度な運動のほか、十分な休息や親しい人との会話なども有効です。
一方、ストレス発散のために暴飲暴食するのは逆効果になります。飲酒も胃酸の分泌を促進してしまうため、あわせて注意してください。
空腹時の胃痛は病院で診てもらうべき?
空腹時に胃痛を感じる場合、前述の方法でセルフケアすることも可能です。ただし、病気によって胃痛が引き起こされているときは、病院での治療が必要になります。
もし次のような症状があるなら、できるだけ早く病院で診てもらってください。
【病院を受診すべきケース】
- 激しい痛みがある
- 痛みが繰り返される
- 数日経過しても痛みがおさまらない
- 胃の痛み以外にも症状がある
- 市販薬を服用しても効き目がない
胃炎や逆流性食道炎は放置すると症状が悪化することもあります。その結果、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどになるケースもあるので注意しましょう。
空腹時の激しい胃痛・繰り返す胃痛は要注意|悪化する前に病院で診断を受けよう
「空腹時に激しい胃痛を感じる」「何度も胃痛が繰り返される」といったケースは特に注意してください。食事をすると痛みがおさまるのは、一時的に胃酸が薄められているからです。症状が悪化する前に内科や消化器内科などで診察を受けましょう。
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こちらの記事の監修医師
大宮エヴァグリーンクリニック
伊勢呂哲也
大宮エヴァグリーンクリニック、東京泌尿器科クリニック上野
理事長・院長
名古屋大学医学部卒業。JAあいち豊田厚生病院、医療法人仁成会高木病院、医療法人誠高会おおたかの森病院を経て現職。2019年、第三者承継によって大宮エヴァグリーンクリニック院長に就任。2021年4月に東京泌尿器科クリニック上野、2022年4月に池袋消化器内科・泌尿器科クリニックを新規開業し、年間3万人の患者を診察。泌尿器科医として多くの患者と向き合うほか、承継開業のコンサルタントとしても広く支援を行っている
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