最終更新日:2024年3月29日
微熱が続く原因と対処法を解説!慢性的な微熱から疑う病気は?

こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝

ウイルス感染など風邪の初期症状でよくみられる微熱ですが、それ以外の原因で出ることもあります。人間の体温はおよそ37度前後に保たれており、日中は少し高く、起床時は少し低くなります。体温調節には自律神経が関わっており、生理前や更年期など、ホルモンバランスの乱れでも微熱が出ることがあります。長く続く場合は、何らかの疾患によって慢性的な微熱が出ている可能性もあります。微熱が続く場合、どういった原因が考えられるのでしょうか。微熱が出たときの対処法や注意すべき症状についてもご紹介します。
微熱とは?

人間の体温はおよそ37度前後に保たれており、日中は少し高く、起床時は少し低くなります。一般的に平熱は35度から37度とされ、平熱よりも少し高い状態を微熱と呼びます。
体温には個人差があるため、平熱が低い人では、37℃程度でも熱があると感じることもあります。一方で、常に体温が37℃くらいあるという人もいます。
体温調節は脳の視床下部というところでコントロールされています。
微熱が続く主な原因

微熱の原因には下記のようなものがあります。
- 風邪
- 自律神経の乱れ
- 薬の副作用
- ケガや炎症
よくみられるのは風邪による微熱で、風邪の原因の約9割はウイルス感染によるものです。それぞれの原因について解説していきます。
風邪
微熱の原因としてまず挙げられるのは「風邪症候群」、いわゆる風邪をひいたときの発熱です。微熱より先に咳や鼻水の症状が出ることもあります。
風邪をひくと体の中でウイルスを追い出す「免疫」が働き、熱が出ます。
ウイルスは低温で増殖しやすく、逆に免疫の要となる白血球は高い温度で活発に働くのが特徴です。そのため、風邪のウイルスが体内に侵入すると、脳は発熱の司令を出して効率よくウイルスを排除します。
風邪による微熱はすぐにおさまることもあれば4〜5日続くこともあります。一度下がった熱がぶり返すのも、風邪の経過ではよくあることです。
自律神経の乱れ
気分が優れずイライラする、あるいは何も起きていないのに不安を感じるようなときは自律神経が乱れている状態です。
自律神経は2種類あり、主に活動時は「交感神経」、リラックス時や就寝時は「副交感神経」がそれぞれバランスを保ちながら働いています。
しかし大きなストレスや不規則な生活が原因でこのバランスが崩れる=自律神経が乱れると、イライラや倦怠感とともに微熱が出ることがあるのです。
精神的な落ち込みに伴って微熱が出たら、まずはしっかりと睡眠をとりましょう。
また適度に身体を動かしたり趣味に没頭したり、楽しいと思えることに取り組んでストレスを低減させてください。
薬の副作用

内服薬が原因で微熱が出ることもあります。薬の副作用による発熱です。
特に抗生物質や抗けいれん薬は微熱が出やすいため、服薬後に微熱が続く場合や筋肉痛・寒気を伴うようであれば薬剤師・医師に相談しましょう。
ケガや炎症
体の中で炎症が起きていると微熱が出やすいため、虫歯や虫垂炎、胆のう炎、尿路感染症(慢性腎盂腎炎)などで微熱の症状が出ていることも考えられます。また、ケガをしているときにも熱が出る可能性があります。
この他にも、熱中症の初期段階でも微熱が出るため、すぐに涼しい場所に移動して水分・塩分補給をしてください。
女性特有の微熱の原因|ホルモンの変化の影響

女性の場合、体温は女性ホルモンの影響でも変動します。女性で微熱が続く場合、下記のような原因も考えられます。
- 生理周期(高温期)によるもの
- ホルモンバランスの乱れ
- 更年期障害
- 妊娠
以下で解説していきます。
生理周期(高温期)によるもの
生理前に微熱が出やすくなるのは黄体ホルモンと呼ばれる女性ホルモンの影響です。排卵後は平熱より0.5℃程度高くなると言われていますが、どの程度高くなるかは個人差があります。人によっては熱っぽさを感じる程度まで上昇します。
生理前は精神的に不安定になりやすく、微熱の原因は何らかの病気ではないかと不安になる方もいますが心配は要りません。生理の開始とともに平熱に戻ります。
生理が始まっても微熱が続く方や、生理前の微熱によって生活に支障をきたす方は、無理せず婦人科に相談してください。
ホルモンバランスの乱れ
生理前以外でも、ホルモンバランスが乱れると、微熱などの症状が出ることがあります。自律神経にはホルモンを調整する働きがあり、ホルモンの分泌量が低下すると自律神経も乱れます。すると、視床下部という脳の機能が乱れ、血管の収縮・拡大の調整が適切にできなくなります。体温調節がうまくいかなくなり、微熱が出ることがあります。
ホルモンバランスの乱れは、ストレス過多や過労によって起きることもあります。そのため無理をしすぎないこと・ストレスをためないことを心掛けましょう。
更年期障害
閉経前後の10年程度の期間を更年期と呼びます。この期間に、ホルモンバランスの乱れによって微熱やほてり、のぼせ、動悸などの自覚症状があらわれることがあります。
卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が少なくなることで、自律神経にも影響が生じます。これによって、前述のような体温調節機能への影響が出ます。急な顔の火照り、多汗、のぼせなどで、ホットフラッシュと呼ばれています。
妊娠
基礎体温を測っていて、高温期が3週間以上続いているときは、妊娠の可能性も考えられます。排卵後、次の月経が始まらないため、高温期が続きます。妊娠中期(妊娠5~7カ月)を過ぎると体温は落ち着いてきます。
子宮外妊娠などの場合にも、ホルモン分泌の変化が生じ、妊娠初期特有の体調変化が現れて微熱が出ることがあります。
慢性的な微熱から疑われる病気

風邪による微熱はそれほど長く続きません。体内の免疫反応がおさまれば熱は下がるでしょう。ストレスやホルモン周期の影響がないのに微熱が長引く場合、何らかの疾患によって微熱が出ている可能性があります。考えられるのは下記のような病気です。
- 感染症
- 自己免疫疾患
- 悪性腫瘍
呼吸器感染症|風邪・気管支炎・肺炎など
ウイルスや細菌の感染による風邪の炎症が、気道や肺まで広がって気管支炎や肺炎を引き起こすと、微熱が続くことがあります。
風邪の場合は3〜4日ほどで症状がよくなりますが、気管支炎や肺炎の場合には1週間以上症状が長引くのが特徴です。
結核
いつまでも治癒せずに続く場合は、肺結核の可能性もあります。肺結核は昔の病気だと思われがちですが、現在でも若年層を中心に感染・発病しているため注意が必要です。健康診断のX線検査で偶然見つかることがありますが、見つかった時点ですでに感染している状態です。
肺結核の症状としては、微熱以外に体重低下や咳・痰などがみられます。
始まりは微熱や咳といった、風邪でよくみられる症状から始まるため、感染に気付かないまま過ごしているケースが多く見受けられます。
2週間以上微熱や咳が続くようであれば、医療機関を受診しましょう。
自己免疫疾患
本来は外敵から身を守るために働く免疫システムが、自分自身を「異物」と判断して攻撃する病気が自己免疫疾患です。
はっきりとした原因は解明されていませんが、ストレスが1つの要因だといわれています。
体内で免疫反応による炎症が起きるため、微熱が出ます。
自己免疫疾患では微熱とともに疲労感・倦怠感・体重減少などの症状を伴うことがあります。
悪性腫瘍(がん)
悪性腫瘍(がん)が原因で微熱が続く場合もあります。
がん細胞は体にとって異物です。そのため免疫系が働いて微熱が出ますが、がん細胞の増殖は簡単に止まらないため微熱が長く続きます。
倦怠感を伴う微熱が1週間以上続くようであれば、念の為病院を受診しましょう。
微熱・高熱の目安は?

体温は個人差が大きいため、微熱は何度以上・高熱は何度以上といった決まりはありません。
感染症法では37.5度以上を「発熱」と定義していますが、平熱が37.5度に近い方にとっては問題のない体温といえます。
大切なのは体調がよいときの体温、つまり平熱を把握しておくことです。
測定する部位や時間帯を決めておき、体温計によっても数値が異なるため、いつも同じものを使うようにするといいでしょう。
近年ではスマートウォッチで定期的に体温を測る機能もあるため、こういった機器で記録を続けると体調の変化が見えやすくなります。
微熱のセルフケアの注意点

微熱によるほてりや熱っぽさが気になる場合のセルフケアとしては、額や脇を冷やしたり、市販薬を飲んだりすることが挙げられます。
また仕事や学校は無理をせず休む、という決断も大切です。心身を労ることで体調が改善することもあります。
風邪の場合の注意点
人の体がウイルスに対して有利に戦えるよう、熱をむやみに下げようとはせず、まずは様子を見てください。
微熱とはいえ通常より体温が高い状態のため、発汗しやすくなります。汗で体を冷やさないよう、衣類で調節したり、こまめに肌着を取り替えるなど工夫しましょう。発汗で水分が失われるため、水分補給も心掛けましょう。
1週間以上微熱やその他の症状が続く状態であれば、医師の診察を受けてください。
その他の場合の注意点
風邪の場合も同様ですが、ストレスや自律神経の乱れなどが原因の場合も、まずはゆっくり休みましょう。
普段から十分な睡眠やストレスケアを心掛けるようにしましょう。
セルフケアによって一時的に微熱が下がっても、根本的な原因が解消されない場合は再度発熱する可能性があります。
こうしたケースでは、根本原因を突き止めるためにも医療機関を受診してください。
体に異常があれば、治療開始は早いほうがいいでしょう。何も異常がないことが分かれば不安も和らぎます。
慢性的な微熱は病院で相談しよう

微熱が長く続く病気は肺結核やガンだけではありません。初期症状として微熱が出る病気はたくさんあります。
微熱に伴う症状で注意が必要なもの
微熱が続く状態に伴う症状として注意したいのは、下記のようなものです。
- 咳や痰が出ている
- ひどい倦怠感が続いている
- 手や足がこわばっている
- 極度の疲労感や集中力の低下
微熱に加えてこれらの症状が出ていたら、無理せず医療機関を受診してください。
微熱が1週間以上下がらない、あるいは微熱以外の症状が出てきたときは「たかが微熱」だと思わずかかりつけ医に相談してください。
相談の際は微熱が出始めてからの体温の記録や平熱、微熱以外の症状をあらかじめメモしておくといいでしょう。
まとめ

微熱の原因は単なる風邪からホルモンバランスやストレス、がんや結核まで幅広く、「微熱」という症状だけで原因を特定することはできません。
しかし、体が何らかのサインを送っていることは確かですので、耳を傾けてみましょう。
職場や家庭内の些細な出来事がストレスになり、微熱が出ているのかもしれません。
生理周期が乱れたことにより、いつもより早く微熱の症状が出ているのかもしれません。
まずは微熱を、自分と向き合うきっかけとして捉えてみましょう。
微熱が長引くと不安になり、その不安がストレスを増大させることもあります。微熱程度で病院に行くのは大げさだとは思わず、安心のためにもぜひ医療機関を受診してください。
なお、体調不良で微熱が出ているときは抵抗力が落ちている可能性があります。感染症を避けるためにもマスクを着用しましょう。病院を受診する際は、場合によってはオンライン診療を活用することも検討しましょう。
この症状を治したい。記事を読んで今すぐ医師の診断を受けたいあなたへ。
イシャチョクのオンライン診療なら、予約なしで今すぐ医師とつながります。「オンライン診療について詳しく知る」ボタンから、オンライン上の仮想待合室に入りましょう。全国の医師、または近くの医師が、すぐにあなたを診察します。
全国のクリニックから検索したいあなたへ。
クリニックを探すクリニック検索
病気・医療情報検索
キーワード検索キーワード検索

こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝
〇病院名 :東長崎駅前内科クリニック
〇医師 :吉良 文孝 先生
〇アクセス:西武池袋線 東長崎駅より徒歩30秒
〇診療科 :内科、胃腸科、内視鏡内科、消化器内科
〇経歴 :東京慈恵会医科大学 医学部医学科卒業。東京警察病院での初期および後期研修終了後、消化器内科に入局。JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)消化器内科医長、都内内科クリニックや健診専門クリニック、医師会など様々な医療現場での勤務を経て、平成30年に東長崎駅前内科クリニックを開設。