最終更新日:2021年12月29日
【医師が警告】「いびき」と「日中の眠気」が暗示する命の危険

こちらの記事の監修医師
しらい健康クリニック泉中央
白井 勇太

睡眠時間は足りているはずなのに日中眠くなる、よく「いびきをかいている」と言われる……こうした症状は「睡眠時無呼吸症候群」の特徴です。この睡眠時無呼吸症候群は、重度であっても自分では気づいていない人も多いと、しらい健康クリニック泉中央の白井勇太院長はいいます。健康な人と比べて交通事故を起こしやすかったり、放っておくとさまざまな病気を引き起こしたりする睡眠時無呼吸症候群。命の危険から身を守るため、症状の特徴や対処法についてみていきましょう。
目次
さまざまな病気を誘発…睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群というのは、その名前のとおり、睡眠中に呼吸が頻繁にとまってしまう病気です。
呼吸がとまれば当然酸欠になりますから、本人は眠っているつもりでも熟眠できていません。
そのため、日中に眠気を感じることが多くなります。居眠り運転で交通事故を起こした人が、この睡眠時無呼吸症候群だったというニュースは目にしたことがあるのではないでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群は交通事故だけではなくさまざまな病気を引き起こすことが分かっており、非常に怖い病気です。
しかし、寝ている間のことなので本人には自覚症状がない場合も多く、知らぬ間に睡眠時無呼吸症候群になってしまっている人も多いのです。
かなり重度の睡眠時無呼吸症候群なのに、自分では「熟睡できている」と言う人も結構います。
家族に「いつもいびきをかいているよ」と言われたり、睡眠時間は足りているはずなのに日中に眠気を感じるようであれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、どのような人がなりやすいか
ではどのような人が気を付けなければいけないかというと、一般的には太っている人がなりやすい病気です。
太ると舌や首の回りの脂肪が気道(空気の通り道)を圧迫してしまいます。また胸の周りの脂肪も、横になると肺を圧迫して呼吸を邪魔するのです。
ですから、肥満体型の人は要注意です。ただ、太っていなければ安心かというとそうでもありません。
一見痩せている人でも、筋肉が少なく内臓肥満になってしまっている、いわゆる「隠れ肥満」の人もいますし、生まれつき無呼吸症候群になりやすい骨格の人もいます。
特に顎が小さい、顎が浅い(※)人は睡眠時無呼吸症候群になりやすい傾向があります。
※横から見たときに首とあごの先端の距離が短いことです。顎が浅い人は、太っているわけでもないのに下を向いたときに二重顎になりやすいのが特徴です
また、脳や神経の異常で呼吸がとまってしまう人もいます。ですから、普通や、やせ体型の人でも、夜中にいびきをかいていたり、日中に眠気を感じたりするようであれば、やはり睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群が引き起こす身体の不調
睡眠時無呼吸症候群が引き起こす問題で、もっとも有名で恐ろしいのは、やはり交通事故です。
睡眠時無呼吸症候群がない健康な人と比べると、なんと7倍も交通事故を起こしやすいことが知られています。
睡眠時無呼吸症候群による交通事故は、意識を失ってノーブレーキで事故を起こすため、一生を狂わせるような重大な事故を引き起こすこともあります。
睡眠時無呼吸症候群による弊害はそれだけではありません。睡眠時無呼吸症候群の人は、夜間に呼吸がとまることで、酸欠になっています。
当然脳や心臓へも十分な酸素が届きません。それが体に大きなストレスを与えるため、高血圧や糖尿病になりやすいことも分かっています。
それどころか、心筋梗塞など重篤な病気を引き起こして、なんと死に至る場合すらあるのです。実際に、中等度~重症の睡眠時無呼吸症候群の人のうち、3割以上が8年以内に亡くなってしまうという報告もあります。
重度の睡眠時無呼吸症候群の人でも、意外に「熟睡できている」「日中も眠くならない」と自覚症状がない人がいます(実際には眠りが浅くなっているが、眠いのに慣れてしまって本人は普通だと思っている)。
しかし、自覚症状がないからといって睡眠時無呼吸症候群を放っておくのは、やはり危険なのです。
睡眠時無呼吸症候群の症状が疑われたら
睡眠時無呼吸症候群の症状が疑われたら、まずは医療機関で検査を受けます。その結果が軽症であれば、生活習慣を改めたり、歯科でマウスピースを作成してもらったりすることで、対処することができます。
しかし重症の場合は、CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)という治療が必要になります。
これは、言ってみれば簡単な人工呼吸器になります。夜間に呼吸がとまったままでは酸欠になってしまうので、枕元に機械をおいて、そこから空気を送り込んでもらうという治療になります。
ホースのつながったマスクをつけて寝ることになりますので、ちょっとイメージしただけでも、大変そうな治療に思われるかもしれません。
実際、つけ慣れなれるまでは、逆に寝付きにくい感じがして、根気が必要な治療です。
しかし治療を始めると夜間にぐっすりと熟眠できるようになるため、「朝すっきり起きられるようになった」「日中眠くなることがなくなった」「いびきがうるさくなくなって、家族が喜んでいる」など、治療効果を実感できる人も多いです。
もちろん、酸欠によって引き起こされる心臓の病気なども防ぐことができます。
睡眠時無呼吸症候群の根本治療法は「生活習慣の改善」
マウスピースやCPAPは、あくまでも対症療法です。
呼吸がとまっているので、空気を送って呼吸をさせてあげますが、そもそも呼吸がとまってしまう原因を治療しているわけではありません。
肥満に原因がある場合は、食生活の改善や運動習慣により体重を落とすことで、根本的な解決を目指します。
短期間に治すのは難しいですが、CPAPをしながら生活習慣の改善に取り組み、2~3年かけてCPAP治療をやめられるのが理想です。
ただし、上述したとおり、CPAPの原因は肥満だけではありません。
骨格や脳などに原因がある場合は、根本的な治療が難しく、CPAPを継続しなければならないこともあります。
睡眠時無呼吸症候群が疑われたら早めに病院へ
睡眠時無呼吸症候群は交通事故や心臓の病気など重大な結果を引き起こす、とても危険な病気で、放置すれば命にかかわることもあります。
症状の有無にかかわらず、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
CPAPなどの治療がありますが、それらは対症療法にすぎず、根本から治すためには、やはり生活習慣の改善が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の人は生活習慣病をあわせ持っていることも多いため、できれば生活習慣病と睡眠時無呼吸症候群の両方を診てくれる医療機関での治療がオススメです。
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こちらの記事の監修医師
しらい健康クリニック泉中央
白井 勇太
日本糖尿病学会 糖尿病専門医/
2002年に麻布高等学校、2008年に東北大学医学部を卒業後、東北大学病院糖尿病代謝科に入局。2014年には医学博士を取得し、仙台市立病院、富谷中央病院を経て、2020年9月2日に「より早い段階から生活習慣病の患者と関わり、病気を発症してからの治療ではなく、病気にならないための予防を重視した医療を行いたい」との思いから、糖尿病を始めとする、生活習慣病を専門に扱う『しらい健康クリニック泉中央』を開設。
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