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最終更新日:2021年9月25日

在宅医療利用者の「連絡してもすぐに来ない」というクレームが「的外れ」なワケ

こちらの記事の監修医師
あい太田クリニック
野末 睦

在宅医療利用者の「連絡してもすぐに来ない」というクレームが「的外れ」なワケ
在宅医療利用者の「連絡してもすぐに来ない」というクレームが「的外れ」なワケ?(※画像はイメージです/PIXTA)

コロナ禍の現在、病床のひっ迫などを背景に自宅療養者が増加するなか、これまで以上に在宅医療への注目が集まっています。ただ、同時に在宅医療への「誤った認識」をもった利用者も増えているのが現状です。今回、医療法人あい友会理事長の野末睦氏が、在宅医療を巡る現状について語ります。

目次

  1. 日本における在宅医療の現状と、向かうべき未来
  2. 「24時間365日対応」に対する誤解
  3. コロナ禍の現在、在宅医療は「緊急事態」を迎えている
  4. 在宅医療の利用者にみられる「誤った認識」

日本における在宅医療の現状と、向かうべき未来

在宅医療は、これからの日本の医療にとって、社会にとって、より重要なものになっていきます。

それは、社会的な医療費削減要求を満たすためという側面もありますが、それよりも、より人間らしい「生」をまっとうするためであり、より人間性を満たす社会や、機能的に相互に影響し合うことのできる新しい形態の街を構築するためであり、さらにひと言でいうならば、「より幸せな人生を送るために必須だから」といえるでしょう。

そのためには、現在の在宅医療の現状を理解し、そこに含まれる解決課題を認識するとともに、一方では、未来に取り入れ、普及していくべき萌芽に注目し、将来の方向性を探っていく必要があります。

そしてこれを実践していくには、医師を含む医療従事者や、福祉事業に携わる人々はもちろん、社会全体で、国民全体で、在宅医療を育てていくという意識が大事です。

加えて、在宅医療に携わる医療機関が増えてくるにつれて、在宅医療の提供内容が玉石混交になる恐れも出てきています。

「24時間365日対応」に対する誤解

従来の在宅医療では、医師が患者を診察するとき、前提としてその患者の病歴やここ最近の様子について、あらかじめ把握していることが求められます。

なぜなら、そのような情報がないところで、いきなり患者を診ても、バイタルサインと呼ばれる血圧、脈拍、体温、呼吸数などと聴診、触診、視診などで得られる診察所見のみしか得られないので、的確な診断を下すことが非常に困難だからです。

たとえ初診の患者でも、あらかじめ診療情報提供書という紹介状にあたるものを前医からもらい、それがない場合でも、地域の包括支援センターや訪問看護ステーションからの情報がもたらされています。それすらもない場合は、いわゆる急性期の状況ではなくて、時間をかけて診断していけばいい患者だといえます。

在宅医療に携わる医療機関が「24時間365日対応」と謳っていても、それはあくまでも医療機関と診療の契約を結んでいる患者についてのことです。そのような患者はカルテが作成され、多くの診療情報があらかじめ記載されています。

月に一度くらいは、筆者のクリニックの患者ではない地域の住民から、「夜間に発熱しているので往診してもらえないか」などという電話がかかってきます。丁重にお断りしていますが、なかには看板やホームページに24時間対応と書いてあるではないかと、叱責を受ける場合もあります。

徒手空拳で向かうこともできないうえ、診療圏の全員を対象に24時間対応をすることなど無理なことは容易に想像できるでしょう。筆者のクリニックの診療圏には、およそ80万人の方々が住んでいるのですから。

コロナ禍の現在、在宅医療は「緊急事態」を迎えている

筆者たちが普段診ている患者に急な対応を要することがあった場合、多くは、医師が駆けつけて、適切な治療を試みます。しかし、この「駆けつける」こと実態も理解してもらう必要があります。

筆者のクリニックのように、10人ほどの医師がそれぞれ看護師と訪問診療アシスタントを伴って、診療圏を回っている場合でも、その日の訪問予定はかなりぎちぎちに詰まっています。そこに急な診療を割り込ませていくわけですから、「駆けつける」といっても限度があります。

普通は連絡があってから1時間はかかります。日によって、そのような患者の出現に備えて、1人のドクターをクリニックに待機させておく余裕があることもありますが、その場合でも患者宅が、クリニックから車で30分かかることはザラです。

筆者のクリニックでは基本的には、月に2回の定期訪問を予定された日時に行うように計画しており、急な診療の要望には、どうしても時間単位での対応になってしまいます。さらに短時間での対応が求められるときには、救急車を呼んでもらうようにお願いしています。

コロナ禍で自宅療養者が増えていますが、東京都では重症化した自宅療養者に対して、在宅医が診察に加えて酸素濃縮機を届けるという事態も起きています。これは上記の原則に照らし合わせると、とても例外的な対応といえるでしょう。

普段は健康な人がそのような状況に陥っている場合は画一的な対応を行えばいいですが、糖尿病などの基礎疾患がある人には注意すべき点が出てくるので、事前情報が極めて重要です。

それらを聞き取りながら、防護服に身を包み自分の感染のリスクと隣り合わせで診療するのですから、そのストレスはまさに極限といってもいいでしょう。これは決して、理想の在宅医療ではありません。非常事態なのです。

在宅医療の利用者にみられる「誤った認識」

コロナ禍でマスコミによって取り上げられて、全国にその名が知られるようになった「ファストドクター」という組織、またはそのコンセプトがあります。

この形態は画期的で、もしかしたら近い将来、在宅医療の一形態として全国に広がる日が来るかもしれませんが、現時点では、私たちが提供している在宅医療とは一線を画しています。

あらかじめの診療情報の取得、患者とクリニックとの契約、介護保険との連携など、前提となるものが満たされていないからです。

筆者の傘下のクリニックに、ある施設の施設長から苦情が寄せられました。「夜間に入所者が腹痛を訴えたので連絡したのに、往診にすぐに来てくれなかった」と。電話して5分以内くらいの到着を期待しているかのような口ぶりでした。

またその患者は、がんの終末期でしたので、疼痛が出現した時のために、レスキューと呼ばれるすぐに効果を発揮する医療用オピオイドがあらかじめ処方されていました。それを服用すればいいだけなのです。

そのことを説明しても「とにかく診察に飛んでこい」の一点張り。やむなく往診に出かけましたが、到着した頃には、電話で指示したレスキューの内服の効果で患者はすやすやと眠っていました。このような事情を理解しない人からのクレームに、スタッフはどんなに傷ついたことでしょう。

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こちらの記事の監修医師

あい太田クリニック

野末 睦

1957年生まれ。82年筑波大学医学専門学群卒業、91年筑波大学臨床医学系(外科)講師。
93年 ハーバード大学医学部マーサチューセッツ総合病院研究員を経て、2002年庄内余目
病院院長就任。06年 庄内余目病院創傷ケアセンター長兼務。14年 あい太田クリニック、
20年 あい庄内クリニック、21年 あい駒形クリニックを開設。現在 医療法人 あい友会理
事長兼 あい太田クリニック院長。国内の7割以上が常勤医1名の過酷な訪問診療の現状。多
人数の医師体制にすることにより多くの患者へ高質な在宅医療特有の専門医療を提供出来
る新しいモデルを構築。

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