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最終更新日:2021年8月24日

A型肝炎の症状を解説|A型肝炎の感染経路や潜伏期間は?A型肝炎の予防法や治療法もあわせてご紹介します

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

肝臓に炎症が起こる病気の1つにA型肝炎があります。

B型・C型肝炎と比べて、あまり聞きなれない疾患かもしれません。しかし日本でも感染のリスクがあるので注意が必要です。

今回はA型肝炎の症状や感染経路について詳しく解説します。

A型肝炎の主な症状

A型肝炎はA型肝炎ウイルス(HAV)に感染し肝臓が炎症を起こす病気です。

肝臓に炎症が起こるため、身体には様々な症状が出現します。

ここではA型肝炎ウイルスの症状について見ていきましょう。

発熱・全身の倦怠感

A型肝炎ウイルスに感染し発症すると、初めに発熱・全身の倦怠感といった症状が続くことがあります。

突然の発熱や強い倦怠感に辛い思いをする患者さんは少なくありません。

インフルエンザのように、悪寒を伴う高熱が出る場合もあります。

これらの症状は数日間続くことが多いです。

吐き気・嘔吐

吐き気や嘔吐もA型肝炎の症状の1つです。

食欲不振によって、体重が減少することも少なくありません。

しかし吐き気や嘔吐は、インフルエンザやノロウイルスのような季節的な感染症との判別が付きにくい症状です。

腹痛・頭痛・筋肉痛

A型肝炎の症状には、腹痛・頭痛・筋肉痛もあります。これらもインフルエンザと同じような症状と思えるでしょう。

しかしA型肝炎では強い痛みが生じる可能性があるのが特徴です。

肝臓の炎症が進むと黄疸が出現します。皮膚や眼球結膜が黄色くなるもので、これは肝臓に何らかの異変があったサインです。

ここまで説明してきた症状に加えて黄疸が出現することで、肝炎を疑うことも少なくありません。

A型肝炎患者数は急増している

日本ではB型肝炎やC型肝炎といった他のウイルス性肝炎の方が有名です。

しかし、なぜA型肝炎への対策が必要なのでしょうか。

そもそもA型肝炎はA型肝炎ウイルスに感染して発症する病気です。

そのため、感染リスクがあれば患者数が増加することはあり得ます。

実際のところ世界中でA型肝炎ウイルスが発見されており、日本でも患者数が急増しています。

これまで日本の感染者は100~300人で推移していました。しかし2018年には突然900人台にまで増えたのです。

これまでは海外の衛生環境が良くない地域での感染がメインでした。しかし、そういった地域に渡航すれば感染リスクが高まります。

日本ではA型肝炎ウイルスに接触することが決して多くなかったため、抗体をもつ人が少ないのです。

抗体を持たなければ、ウイルスを保有した時に発症するリスクが高まります。

A型肝炎は他の肝炎と違って慢性化することはほとんどなく、完治が可能な肝炎です。

しかし、劇症肝炎という命に関わる重篤な状態になることはあります。

劇症化するリスクがある肝炎として、患者数の急増とともに注目されているのです。

A型肝炎の感染経路

A型肝炎はどのような感染経路で引き起こされるのでしょうか。

感染経路を知ることで、感染予防に繋がることも少なくありません。

A型肝炎ウイルスの感染経路は「性行為」と「経口感染」の2パターンです。

それぞれの感染経路の特徴を見ていきましょう。

性行為

日本で2018年に急増した時には、性行為によるA型肝炎が確認されました。

A型肝炎の潜伏期間は2~7週間と長く、症状が出ていない時期にもウイルスは排出されます。

気づかない間にパートナーに感染させてしまうリスクがあることを知っておきましょう。

感染リスクのある地域への渡航歴がある場合は注意してください。

経口感染

A型肝炎の主な感染経路が経口感染です。

A型肝炎ウイルスを体内に保有している場合、ウイルスは便中に含まれて排出されます。

何らかの原因でそれが手に触れた後、しっかり洗わないと他の人にウイルスを移してしまうことになるのです。

また不衛生な環境下ではウイルスが水に含まれることがあり、野菜や食べ物に付着して感染を起こします。

下水による汚染や水の処理が適切でない地域での感染が多いのはそのためです。

しかし、そういった地域の住民が全員A型肝炎を発症する訳ではありません。

子どもの頃にA型肝炎ウイルスに感染し、抗体を持っていることが多いからです。

A型肝炎ウイルスは1度感染すると抗体ができるため、再感染を起こさないのが特徴です。

また子どもは感染しても症状が軽いか無症状です。そのため気づかないうちに感染して抗体を持っていることも少なくないのです。

しかし衛生環境が整った日本では、子どもの頃にA型肝炎ウイルスに接触する機会がありません。

そのため海外での感染やA型肝炎ウイルスを含む輸入食材で感染する例が起こるのです。

ウィルスの潜伏期間

感染症には潜伏期間がありますが、A型肝炎ウイルスはどれくらいの期間を経て発症するのでしょうか。

A型肝炎ウイルスの潜伏期間は2~7週間で、平均で28日といわれています。

この期間に渡航歴があれば、その地域での感染の可能性があるでしょう。

A型肝炎ウイルスは潜伏期間であってもウイルスを排出していることに注意が必要です。

A型肝炎の予防方法

A型肝炎はまれに劇症化することがあり、死亡例も報告されています。

こうしたA型肝炎を予防する方法はあるのでしょうか。

A型肝炎を予防する1番の方法はA型肝炎ウイルスに接触しないことです。

海外へ渡航する際にはウイルスが手についている可能性を考えて、手洗いの徹底をおすすめします。

また、流行地域では生水・生肉・生魚・生野菜・貝類にも注意してください。食材を加熱するとウイルスを死滅させることができます。

ウイルスが含まれている可能性は見た目に分からないので、加熱された料理を食べるなど自身での対策が必要です。

最も感染力が強いといわれているのが発症の2週間前から発症後1週間です。

ここではA型肝炎の予防方法をご紹介します。

コンドームの使用

A型肝炎ウイルスは、性交渉での感染事例があります。

そのため感染した可能性がある場合は性交渉をしないか、コンドームを使用することをおすすめします。

しかし、コンドームを使用するからといって安心しきってはいけません。

ウイルスは便中に含まれることを考慮して、性交渉を行ってください。

ワクチンの接種

A型肝炎の予防効果があるのがA型肝炎ウイルスワクチンです。

ワクチン接種は基本的に3回実施します。

1回目と2回目の間は2~4週間空け、3回目は1回目から24週間空けるというスケジュールです。

3回ワクチン接種が完了すると5年間効果が続くとされています。

以下に当てはまる人はA型肝炎ウイルスワクチンの接種が必要な場合があります。

・A型肝炎流行地域への渡航予定がある人

・A型肝炎の患者と接する可能性のある医療従事者

・調理者や生鮮食材を扱う人

・し尿処理施設などの職員

海外渡航の予定がある人だけでなく、食べ物やし尿処理に関わる人も感染リスクが否定できません。

渡航先としては、東南アジア・アフリカ・中南米・ヨーロッパの一部など多くの国や地域で感染リスクがあります。

仕事やプライベートで渡航予定がある場合は、ワクチン接種の必要があるか早めにチェックすることをおすすめします。

A型肝炎の検査方法

A型肝炎の症状は他の感染症と似ているものが非常に多く、出ている症状だけを見てA型肝炎かどうか判断することはできません。

しかしこれらの症状に加えて黄疸が出現すればあらゆる肝炎を疑い、肝臓の検査を行います。

さらに流行地域への渡航歴があればA型肝炎を疑うことになるでしょう。

それでは、A型肝炎の診断をするためにはどのような検査を実施するのでしょうか。

PCR検査

A型肝炎ウイルスの判別をするためにPCR検査を行います。

PCR検査とは、検体の中に含まれる遺伝子を増やす検査方法です。

A型肝炎ウイルスの診断の場合は、血液や便を検体にします。

抗体検査

A型肝炎の検査には、特有の抗体(HAV-IgM)を調べるという方法もあります。

血液中に抗体が検出されれば、感染が分かります。

抗体検査の注意点は、発症後2週間以内に検査すると正しい結果が出ない可能性があることです。

渡航歴があり症状が確認されている場合は、A型肝炎を疑います。

しかし抗体検査のタイミングが早く、陰性になった場合は再検査を行うこともあります。

A型肝炎の治療方法

A型肝炎の治療は、基本的に対処療法です。黄疸が出ている場合は肝機能が低下している可能性があるので入院して経過を見ます。

A型肝炎は慢性化しないものの、まれに劇症肝炎という命に関わる状態に移行します。

そのため肝障害が見られる患者さんは注意が必要です。

しかし、そうでなければ対処療法のみで回復が見込める病気です。

安静にする

A型肝炎になったらまずは安静にする必要があります。肝臓の機能が低下している状態なので無理は禁物です。

急性期で症状が辛い場合は入院する場合もあります。

症状が改善するまでに数週間~数か月という長い期間を見ておく必要もあります。

A型肝炎の症状が回復するまでは、安静を保つことが大切です。

この間に体内にA型肝炎ウイルスの抗体ができるため、再感染することはありません。

食事療法

A型肝炎は肝臓に炎症が起こっている状態なので、食事療法も大切な治療の1つです。

肝臓に負担をかけないよう、低たんぱく・低脂肪の食事を心がけましょう。

しかし、食欲不振や吐き気・嘔吐によってカロリー不足になる患者さんもいます。

この場合は無理に食事をせず、点滴で栄養を補うこともできます。

そして症状が落ち着いてきたら少しずつ食事を再開していくのです。

まとめ

A型肝炎の症状は発熱・倦怠感・頭痛・腹痛・筋肉痛など他の感染症と似ている部分が多いです。

A型肝炎はHAVに感染することで起こる肝臓の病気で、感染経路は経口感染と性行為の2種類があります。

経口感染は流行地域での生水・生肉・生魚などに注意し、加熱された料理を食べるようにしてください。

海外渡航の予定がある人は、A型肝炎ウイルスワクチンの接種をおすすめします。

基本的な感染症予防である手洗いの徹底も心がけましょう。

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こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。

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