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最終更新日:2023年3月6日

てんかんの発作が起こったら|対処法や原因を解説

こちらの記事の監修医師
にじいろこどもクリニック
髙畠 和章

(画像=stock adobe.com)

てんかん発作の症状は大脳の興奮が発生する場所によってさまざまですが、患者さんごとにほぼ一定です。そのため、発作が起こった状況を細かく観察することで前兆の把握や正確な診断につながり、発作の抑制に成功するケースもあります。

今回はてんかんの発作の種類や対処法、治療法などを紹介します。

てんかんの発作の種類

てんかんとは大脳が過剰な興奮を繰り返す病気です。幼児期から高齢期まですべての年代で発病する可能性があり、3歳以下の発病が最も多くなっています。てんかんの発作の種類は大きく「部分発作」「全般発作」のふたつに分かれます。

部分発作

部分発作とは脳の一部から電気的興奮が始まる発作です。脳のどの部分から興奮が起こるかによって最初に起こる発作の症状が決まります。

単純部分発作

単純部分発作は、過剰な電気的興奮を起こす部位によって以下のように多彩な症状がみられます。

  • 運動機能の障害(手や顔の一部がガクガクとけいれんする、手足や顔がつっぱる、回転する、体の一部がヒリヒリ・チクチクする)
  • 視覚や聴覚の異常(ピカピカする、カンカンと音が聞こえる、耳が聞こえにくい)
  • 自律神経の異常(頭痛や吐き気がする)

単純部分発作の場合は本人に意識があるため、すべての症状を覚えています。

複雑部分発作

複雑部分発作は大人のてんかんで最も頻度が高く、意識がなくなる発作です。複雑部分発作が起こると以下のような行動がみられます。

  • 一点を見つめて固まったようになる
  • 口をもぐもぐさせる
  • つばを飲み込む
  • ボーッとして意識がはっきりとしない
  • 口をペチャペチャならす
  • 周囲を歩き回る
  • 手をたたく
  • 手足をモゾモゾ動かす
  • 片方の手を不自然な格好につっぱらせる

複雑部分発作の場合は徐々に意識が遠のいて周囲の状況が分からなくなりますが、意識障害中に倒れることは少ないです。

二次性全般化発作

二次性全般化発作とは単純部分発作や複雑部分発作の症状から始まり、意識をなくして全身けいれんに至る発作です。発作が始まる前に前兆がみられ、ほとんどの場合は強直間代発作に進展します。

二次性全般化発作と強直間代発作は同じ症状が見られるため区別が難しいですが、脳波の測定により診断できます。

全般発作

全般発作とは脳の大部分、または左右の脳全体がほぼ同時に興奮し、電気の嵐に巻き込まれる発作で、最初から意識がなくなります。

欠神発作

欠神発作とは数十秒間にわたり意識がなくなる発作のことをいいます。欠神発作が起こると以下のような症状がみられます。

  • 急に話が途切れたり動作が止まる
  • 眼球が上転する・目がぼんやりする
  • まぶたがピクピクする
  • 呼びかけに反応しない

欠神発作が起こると一点を凝視して呼びかけに応じなくなりますが、しばらくすると回復します。欠神発作は学童期や就学前の女児に多い発作ですが、ぼーっとしているだけに見えることもあり、「注意力がない」「集中できない」などと勘違いされることもあります。

ミオクロニー発作

ミオクロニー発作は体の一部または全身の筋肉がビクッと収縮する発作です。瞬間的に以下のような強い症状が現れることがあります。

  • 食事中に箸を落としてしまう
  • 手に持っている物を投げ飛ばしてしまう
  • 転倒してしまう

ミオクロニー発作は本人が自覚していないことも少なくないですが、連続で複数回起こることもあります。

強直間代発作

強直間代発作は強直発作と間代発作を突然発症する発作で、以下のような経過を辿ります。

  1. 呼吸が止まり、左右対称の細かいけいれんが10~20秒ほど続く(強直期)
  2. 足が強く突っ張り、身体がのけぞり気味になる。浅い呼吸から徐々に深い呼吸にうつり、唾液を吹き出す。尿や便をもらすこともある。
  3. 細かいけいれんが徐々にリズミカルな動きに変わり、30~60秒ほど続く(間代期)

発作後は多くの場合30分~1時間ほどの眠りに落ちますが、目覚めてからは通常の生活に戻ります。ただ、発作直後は意識がもうろうとしているため、転んだり物にぶつかったりなどの事故につながらないよう注意が必要です。

脱力発作

脱力発作は全身の筋肉の緊張が低下し、崩れるように倒れてしまう発作です。発作の持続時間は数秒以内と短く、転倒直後に回復してすぐに立ち上がります。

発作が続く時間

てんかん発作の症状は人によってさまざまですが、多くの場合は数秒から数分で発作がおさまり、その後20分以内に意識が回復します。

てんかんの発作が起こったときの対応法

ここでは、てんかんの発作が起こったときの対処法について解説します。

すみやかに安全確保をする

てんかんの発作そのものが命に関わることはほとんどありませんが、すぐに安全確保して交通事故や転落、溺水、誤嚥、火災、やけどなどを防ぐことが重要です。

目の前の人が突然発作で倒れて呼吸が止まると動揺してしまいますが、まずは落ち着いて、服のボタンを外したり、ネクタイやベルトを緩めたりして呼吸しやすいように対処しましょう。また眼鏡をかけている場合には外します。

さらに、以下のような環境にあれば安全を確保します。

  • 料理中はすぐに火を消す

料理中に発作が起こった場合は、すぐに火を消して火災や火傷を防いでください。

  • 道路で発作が起きたら端に移動する

道路でてんかんの発作が起きた場合は、事故に遭わないためになるべく端に移動してください。周囲に危険物があれば取り除いて横に寝かせます。

  • 水中で発作を目撃したら顔を水の外に出す

家族や友人同士でプールや温泉にいる場合は、てんかん患者の方から目を離さないようにしてください。

もし発作を目撃したら、まず本人の鼻と口を水の外に出した状態で体を支えます。

発作中に絶対にしてはいけないこと

発作中に以下のような行動を取ると嘔吐や誤嚥の原因になり大変危険なため、絶対にしてはいけません。

  • 体を押さえたり揺さぶる
  • 舌を噛まないようにするため、割り箸やタオルを噛ませる
  • 食事中の発作で口の中の食物を掻き出そうとする
  • 意識のない状態で薬や水を飲ませようとする

無理に口の中に指や物をさし込むと嘔吐の原因になるだけでなく、介助者の指が噛まれてしまいます。けいれんが起こったら口の中は開けず、下あごを下から軽くあげて舌を噛まないようにしてあげましょう。

救急車を呼ぶべきケースとは

てんかんで大きな発作が起こっても、いつも通りの発作であれば基本的に救急車を呼ぶ必要はありません。ただ、以下のような場合は状況に応じて救急車を呼びましょう。

  • てんかん以外の病気の可能性があるとき
  • 発作が止まらないとき(注射薬で発作を止めなければならない場合)
  • 発作によって大きな怪我をしてしまい、緊急処置が必要なとき

落ち着いたら発作の様子を記録しておく

てんかんの発作が落ち着いたら、可能な限り状況を細かく記録しておくと診察の際に非常に役に立ちます。

  • 本人:どこからどこまで意識があったかメモしておく
  • 家族:スマホなどで動画を撮影しておく

てんかんの発作を誘発する原因

てんかんの発作はある特定の状況や要因によって誘発されることがありますが、誘因はそれぞれの患者さんによって違います。

発作が起こったときに詳しく観察すると誘因を特定しやすくなりますが、たとえば以下のような例が挙げられます。

  • 驚いたとき
  • 不安なとき
  • ストレスが加わったとき
  • 薬を飲み忘れたとき
  • ゲームをしているときなど
  • 光のちらつきを目にしたとき

てんかんの治療法

てんかんの治療法は抗てんかん薬を毎日服用して発作を抑制する方法が主流ですが、ほかにも外科治療や自己コントロールなどの選択肢もあります。

薬物療法(抗てんかん薬)

抗てんかん薬は以下の効果がある薬です。

  • 脳の神経細胞の電気的な興奮をおさえる
  • 脳の興奮がほかの神経細胞に伝わらないようにし、発作の症状をおさえる

薬物治療では規則正しい服用をすることはもちろん、暴飲暴食・睡眠不足を避けて生活リズムを整えることも大切です。

外科治療

抗てんかん薬で発作が抑えられない場合は、外科手術による治療が行われることがあります。

外科手術は以下の2種類があります。

  • 根治手術:発作消失を目指す
  • 緩和手術:発作が少しでも軽減することを目的とする

ただ、外科治療はすべての患者に行えるわけではなく、「部分てんかん」かつその部分を切除しても障害が残らない場合に限られます。

自己コントロール(前兆が起こった際の処置)

ある特定の要因によって高い確率でてんかん発作が誘発される場合、発作の前兆が分かり予測しやすくなります。発作の前兆を特定するためには、以下のようにくわしい記録をつけることが重要です。

  • 発作が現れた曜日や時間
  • 発作の前の状況
  • 発作前に行っていた行動
  • 体や心の状態

てんかんを持つすべての方に前兆が生じるわけではありませんが、発作の状況や発生時の共通点などを見つけることで発作の誘因が特定できる場合もあります。前兆が起こった際に何らかの処置をすることで、てんかん発作の抑制に成功している方もいます。

日頃からてんかん発作時の対処法を考えておくことが大切

てんかん発作の種類や症状はさまざまですが、一人ひとり症状が異なるため対処法も違います。そのため、発作時の状況などをくわしく記録しておき、発作が起きたときに本人や家族、周囲の方がどうするべきなのかをしっかり話し合い、万全の体制を整えておくことが大切です。

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こちらの記事の監修医師

にじいろこどもクリニック

髙畠 和章

【経歴】
2006年3月 岡山大学医学部卒業
東京都立府中病院 小児科 シニアレジデント
東京都立小児総合医療センター 総合診療科、循環器科
町田市民病院 新生児科
公立福生病院 小児科
稲城市立病院 小児科
【資格・所属学会】
日本小児科学会 専門医・指導医
日本小児循環器学会

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