最終更新日:2022年2月6日
痰が喉に張り付く原因は?息苦しい・寝られないときの対処法

こちらの記事の監修医師
安部医院
安部浩一(あんべこういち)

痰が喉に張り付くと不快感があるだけでなく、息苦い、寝られないなど生活に支障をきたしてしまうこともあります。そこで今回は痰が喉に張り付く原因や対処法を紹介します。病気が隠れている可能性や医療機関を受診する目安も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
痰が喉に張り付くときに考えられる原因
健康な人でも、体内から細菌などの異物を追い出すための反応として痰が出ることはよくあります。しかし、ネバネバした痰が喉に張り付いて不快感がある場合は気道に炎症が生じている可能性があります。ここでは、痰が喉に張り付くときに考えられる原因を症状別に解説します。
鼻水がのどに落ちる:慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
慢性副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥からつながり、頬や額にかけて広がる8つの空洞)が細菌やウイルス感染によって炎症を起こし、3ヶ月以上症状が続く病気です。
慢性副鼻腔炎になると副鼻腔に膿が溜まり続けることがあるため「蓄膿症」ともいわれています。慢性副鼻腔炎になると、以下のような症状が現れます。
【慢性副鼻腔炎の症状】
- 粘り気のある鼻水がでる
- 鼻がつまる
- 痰が喉に張り付く
- ドロドロした粘り気のある黄色い鼻水が出る
- 喉に大量の鼻水が落ちてくる(後鼻漏)
- 鼻の中に鼻茸(ポリープ)ができる
- 臭いが分かりにくくなる
- 口臭が強くなる
このほか、炎症が起こっている副鼻腔の位置によって頭や目の奥、額、頬に痛みを感じることもあります。なお、1ヵ月未満で治るものは「急性副鼻腔炎」に分類されます。
咳が続く:気管支炎
気管支炎とは感染症によって気管支が炎症を起こす病気で、症状が続く期間によって「急性」と「慢性」に分類されます。
急性気管支炎:数日~数週間で症状が治まります。原因は細菌、ウイルスやマイコプラズマなどによる感染症です。
慢性気管支炎:数ヶ月~数年にわたって症状が続きます。原因は百日咳や抗酸菌などの感染症のほか副鼻腔気管支症候群やびまん性汎細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などが考えられます。
気管支炎といえば一般的には急性気管支炎を指し、冬に風邪やインフルエンザから移行するケースが多いのが特徴です。
【気管支炎の症状】
- 咳が出る
- 粘り気のある透明の痰が出る
- 発熱(37.5~38度)や食欲不振、倦怠感、悪寒がある
- 呼吸をするときに「ゼーゼー」と音がする(喘鳴・ぜんめい)ことがある
- 息切れを起こすことがある
感染症による気管支炎では風邪のような症状から始まりますが、咳は2~3週間治まらないことも多いです。
喫煙している:COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは慢性気管支炎と肺気腫の総称で、喫煙者の約2割に発症する病気です。長期間の喫煙や排気ガス、遺伝的な異常によって気管支が炎症を起こし、気道が狭くなることでさまざまな症状が現れます。
【COPD(慢性閉塞性肺疾患)の症状】
- 運動時に息切れする
- 慢性的な咳や痰の症状があり、秋から冬にかけてひどくなる
COPDは認知度が低いこともあり、症状があっても病気を自覚しにくい方も多いですが、気づかないうちに重症化してしまうケースも少なくありません。
呼吸が苦しい:気管支ぜんそく
痰が喉に張り付くだけでなく呼吸も苦しい場合、気管支ぜんそくにかかっている可能性があります。気管支ぜんそくとはハウスダストやペットの毛、カビやダニなどのアレルギー物質によって気道に慢性的な炎症が起こる病気です。
炎症を起こすとストレスやホコリ、タバコなどさまざまな刺激によって気道が狭くなり、発作を繰り返します。
【気管支ぜんそくの症状】
- 急に咳や痰が出る
- 呼吸のときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする(喘鳴)
- 呼吸が苦しい
気管支ぜんそくは症状の変動性が大きく、夜間~早朝に症状が出やすい傾向があります。
喉の違和感・吐き気がある:咽喉頭異常感症
咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)とは、特に異常がなくても喉の違和感や圧迫感などが現れる症状のことをいいます。強いストレスによって自律神経のバランスが乱れると交感神経の働きが強まりますが、その結果喉の筋肉が過剰に収縮することで食道に違和感を生じると考えられています。
【咽喉頭異常感症の症状】
- 物が飲み込みづらい感じがする
- 痰が出ることもある
- 喉に物がつかえる感じがする
- 喉がイガイガする
- 締め付けられる
- 吐き気・不安感・胸やけがある
症状が出やすい時間帯や程度には個人差があり、特定のストレスを感じると症状が強くなることもあります。
胸焼けがある:胃食道逆流症
逆流性食道炎とは、胃液に混ざった食べ物や胃液が食道に逆流する病気です。
胃液の逆流を防ぐ「下部食道括約筋」が加齢などによって緩むことで、胃の中にあるものが簡単に食道に戻ってきてしまいます。
そのほか食生活の欧米化やピロリ菌感染率が減少して胃酸が活発に出る胃を持つ人が増えたことなどから、成人の10~20%が逆流性食道炎にかかっているといわれています。
【胃食道逆流症の症状】
- 食後に胸焼けがある
- 胃のむかつきを感じる
- ゲップが出る
- 喉の奥に酸っぱいものがこみ上げてくる
- 喉に違和感がある
胃食道逆流症は直接命に関わる病気ではありません。
しかし食事が十分に楽しめない、仕事に集中できない、ぐっすり眠れないなど日常生活に影響を及ぼすことがあるため、医療機関で適切に治療することが大切です。
鼻汁やくしゃみを伴う:喉頭アレルギー
咽頭アレルギーとは、喉頭の粘膜でアレルギー反応が起こることにより慢性的に刺激され、咳や喉の違和感が続く病気です。
【咽頭アレルギーの症状】
- 乾いた咳が出る
- 鼻水やくしゃみが出る
- 喉にイガイガ感・ヒリヒリ感がある
- 喉がかゆい
- 痰が絡んだような感じがある
- 唇が腫れる
咽頭アレルギーが起こる原因物質としては、スギやヒノキの花粉ほかダニやカビ、ほこり、ペットの毛、食物などが挙げられます。
ストレスからくる喉の閉塞感
喉に異常はないものの、喉の奥に球が当たっているような感覚がある症状を「ヒステリー球」と呼びます。ストレスが蓄積されて自律神経のバランスが乱れると、痰が喉に張り付くような感じや喉の違和感、閉塞感が生じることがあります。
食事中はほとんど症状が出ませんが、何もしていない時に強い症状が出るのが特徴です。
生活習慣の改善や漢方薬の使用などで症状が改善することがありますが、症状が強い場合は、まず耳鼻科を受診し、器質的な病気がないかを確認する必要があります。特別な病気がなければ神経内科などを受診することをおすすめします。
痰が喉に張り付く感じがするときの対処法
ここでは、痰が喉に張り付く感じがして苦しい・寝られない場合に自分でできる対処法を解説します。
しっかり水分をとる
水分を多めに摂ると痰が柔らかくなって出しやすくなります。痰が喉に張り付いているときは水分補給をこまめに行い、喉を湿らせた状態にしましょう。
市販薬や漢方薬を服用
痰が喉に張り付く症状がつらい場合は、痰を体外に排出しやすくする市販薬(去痰薬)を一時的に使うのもひとつの方法です。
また、ストレスが原因で痰が張り付く感じがしているときは、市販の漢方薬で対処できる場合もあります。喉のつかえや違和感には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や柴朴湯(さいぼくとう)が効果的です。
ただし、市販薬や漢方薬を3~4日使っても症状がおさまらない場合は早めに医療機関を受診しましょう。
寝られない場合は加湿器を活用
痰は乾燥していると出にくくなるので、寝られない場合は加湿器を使って部屋の湿度を上げましょう。11月~3月頃は空気が乾燥しているため、喉の粘膜が炎症を起こしやすくなります。
また、夏場でもエアコンをつけたまま寝ると室内が乾燥し、痰が喉に張り付きやすくなるので注意が必要です。
強い痰切りや咳払いは逆効果
痰が喉に張り付くと不快感がありますが、強い痰切りや咳払い、激しいうがいをすると喉の粘膜を痛めてしまい逆効果です。
体に負担をかけずに痰を出すには、痰がたまっている部分が高くなる姿勢をとるのがおすすめです。
【肺の前側に痰が絡んでいる場合】
- 仰向けで寝転びます。
- 腰のあたりにクッションや枕を置き、お尻を高くしてしばらく安静にします。
【肺の後ろ側に痰が絡んでいる場合】
- うつ伏せで寝転びます。
- 下腹~股間のあたりにクッションや枕を置き、お尻を高くしてしばらく安静にします。
重力によって痰が喉元に流れてくるまで少し時間がかかりますが、上記の姿勢をとることで簡単に痰を出しやすくなります。
病院を受診するべきケース
痰が大きな病気の前触れになることは少ないですが、以下のような症状がある場合は呼吸器内科や耳鼻科を受診しましょう。
2週間以上症状が続いている
痰が喉に張り付く状態が2週間以上続いている場合は、肺や気管支など呼吸器系の病気にかかっている可能性があるため、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
声が出ない
痰が絡むだけでなく声が出ない場合は注意が必要です。
この場合は咽頭炎やポリープ、喉頭がんなどの病気が隠れている可能性があるため早めに医療機関を受診しましょう。
発熱や息苦しさがある
痰が張り付くほか、発熱や息苦しさがある場合は気管支炎や肺炎を起こしている可能性があります。早めに呼吸器内科を受診してください。
不安な症状がある場合は呼吸器内科、耳鼻咽喉科の受診を
痰が喉に張り付く症状があっても1~2週間で軽快すれば、細菌やウイルスの感染によるケースがほとんどなので過度な心配はいりません。
しかし2週間以上痰が出続けたり、息苦しさ・発熱・声が出ないといった症状がある場合は病気が隠れている可能性があるため、早めに呼吸器内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
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こちらの記事の監修医師
安部医院
安部浩一(あんべこういち)
安部医院 院長
昭和61年東邦大学医学部卒
昭和62年東邦大学大森病院耳鼻咽喉科
平成1年国立医療センター(現:国立国際医療研究センター)耳鼻咽喉科
平成6年安部医院開業、現在に至る
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