最終更新日:2022年2月5日
耳の下のしこりを押すと痛い!原因と対処法を解説

こちらの記事の監修医師
安部医院
安部浩一(あんべこういち)

耳の下に押すと痛いしこりがあると気になってしまいますが、多くの場合は過剰な心配はいりません。しかし、なかには病気が隠れているケースもあるため注意が必要です。そこで今回は耳の下にしこりができる原因と対処法、病院を受診すべきケースについて解説します。
目次
耳の下のしこりを押すと痛いときの原因は?
耳の下にできたしこりを押すと痛いとき、考えられる原因は以下のような例が挙げられます。
リンパ節炎
リンパ節炎とは細菌やウイルス、原虫、真菌などの感染によってリンパ節に炎症が生じる病気です。リンパ節炎は疲れやストレス、睡眠不足などで体の免疫力が下がっているときに発症しやすく、風邪や風疹のほか頭皮のケガや炎症によっても起こります。
【リンパ節炎の症状】
- リンパ節が腫れる
- しこりを押すと痛い
- 熱感や発熱、悪寒、倦怠感がある
- 症状が進むと化膿する
初期のうちはリンパ節を押すと痛みを感じる程度ですが、症状が悪化すると触らなくても痛くなり、発熱や倦怠感を伴うこともあります。
リンパ節炎で耳の下にしこりができて痛くても、多くの場合は数日で自然治癒します。しかし発熱や腫れが3日以上続いたり、症状が悪化したりしている場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
尋常性ざ瘡(ニキビ)
尋常性ざ瘡(ニキビ)は毛根が皮脂で詰まることで発生しますが、耳の中にも毛穴や汗腺があるためニキビが発生します。
【尋常性ざ瘡(ニキビ)の症状】
- しこりを押すと痛む
- 腫れ・赤みがある
耳の中に耳垢やホコリがたまると毛穴に皮脂が詰まりニキビが発生しやすくなるため、耳の中を常に清潔にすることが大切です。
また、ストレスや疲労、不規則な生活、更年期などによってホルモンバランスの乱れが生じると、皮脂の分泌が増えてニキビの原因となります。
耳の下にニキビができた場合は患部を清潔に保っていれば自然治癒するケースが多いので、基本的には心配いりません。しかし3日以上経過しても軽快しない・痛みが強い場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
粉瘤(ふんりゅう)
粉瘤(ふんりゅう)とは皮膚の下に袋状の膿疱(のうほう)ができ、本来剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が袋のなかに溜まってできる腫瘍の総称です。
【粉瘤の症状】
- 数mmから数cmのドーム状の小さなしこりができる
- 徐々にしこりが大きくなる
- 感染を起こすと赤く腫れ、痛みを伴う
- 強く押すと臭いや粘り気のある物質が出る
初期のうちは痛みが出ないため気づかないことも多いですが、粉瘤の皮膚開口部から細菌が侵入して炎症を起こすと腫れや痛みが生じます。粉瘤の原因ははっきり分かっていませんが、体質が関係していると考えられています。
粉瘤は放置しても自然治癒しないため、自分で内容物を出そうとせず皮膚科を受診しましょう。
耳下腺腫瘍(じかせんしゅよう)
耳下腺腫瘍(じかせんしゅよう)とは耳下腺(耳の下の臓器)に発生する腫瘍のことです。腫瘍の大半は良性ですが、ときに良性と悪性が混在しているケースもあります。
【耳下腺唾石症の症状】
- 唾石が小さいうちは無症状
- 唾石が大きくなると食事の際に耳の下が腫れ、痛みがでる
耳下腺唾石症の原因ははっきりしていませんが、唾石は顎下腺にできることが多く、耳下腺で発生することは稀です。小さな唾石なら口腔内の耳下腺開口部から自然排出されることもありますが、取れない場合は手術で耳下腺を摘出します。
子供の耳の下にしこりがあるとき
子供の耳の下にしこりがあるときは、流行性耳下腺炎や反復性耳下腺炎が原因となっている可能性があります。
流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)
流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)はいわゆる「おたふく風邪」ですが、「ムンプスウイルス」に感染することによって耳下腺が腫脹する感染症です。幼児から小学校低学年くらいまでの子供に多く発症し、感染力が強いのが特徴です。
【流行性耳下腺炎の症状】
- 耳下腺や顎下腺が腫れる
- 腫れている部分を押すと痛い
- 食事の際に痛みを感じる
- 38度前後の熱が出ることもある
- 風邪に似た症状(頭痛・食欲低下・倦怠感など)が出る
流行性耳下腺炎は患者のくしゃみなどによって飛沫感染し、体内に侵入すると2~3週間の潜伏期間を経てさまざまな症状が出現します。
現時点では効果的な特効薬や治療法はありませんが、ほとんどの場合は1~2週間で自然に完治します。
反復性耳下腺炎(はんぷくせいじかせんえん)
反復性耳下腺炎(はんぷくせいじかせんえん)は耳下腺の腫れを何度も繰り返す病気です。流行性耳下腺炎とは違い、人から人に感染しないのが特徴です。おもに1~6歳の子供に発症しますが、成長とともに回数が減少し、思春期までには発症しなくなります。
【反復性耳下腺炎の症状】
- 主に片側の耳下腺が腫れる
- 37度台の熱が出ることもある
- 年に複数回繰り返すことがある
症状はおたふく風邪に似ているため区別が困難ですが、繰り返し発症することや、口腔内唾液腺開口部からの膿汁排泄を認めることで反復性耳下腺炎と診断されます。
原因ははっきり特定されていませんが、耳下腺の先天性異常や虫歯による感染、唾液停滞などが関連している可能性があります。
ほとんどの場合は2~3日で自然治癒しますが、場合によっては痛み止めや抗菌薬を使用して治療します。
ピアス使用時に耳にしこりができる原因
ピアス使用中は耳のトラブルが起こりやすくなりますが、異常を感じた場合はできるだけ早めに皮膚科を受診することが大切です。ここでは、ピアス使用時に耳にしこりができる原因について解説します。
細菌感染
ピアスを挿入する際にピアスホールが傷ついてしまうと、傷口から細菌が感染して炎症が起こります。
細菌感染が起こると、耳に以下のような症状が現れます。
- ピアスホール周辺が熱感を帯びて腫れる
- 痛みを感じる
- ピアスホールから膿が出てくる
治療の際はピアスホールが縮まないように2~4週間シリコンチューブを挿入し、ピアスホールの傷がふさがるのを待ちます。また、症状に合わせて炎症剤や抗生物質を併用することもあります。
表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)
表皮嚢腫は粉瘤(袋状のできもの)のひとつですが、ピアスホールにもできることがあります。表皮嚢腫ができると耳に以下のような症状が現れます。
- 嚢腫がゆっくりと大きくなる
- しこりを押すとピアスホールからドロドロした白い内容物が排出される
ピアス挿入時にピアスホールが傷つくと表皮細胞が真皮や皮下組織内に入り込み、表皮嚢腫が発生する原因となります。治療の際は手術によって嚢腫壁を完全に除去します。
ピアスケロイド
ピアスホールを開けたあとに傷が治らなかったり、感染症を起こしたりするとピアスケロイドになることがあります。耳にピアスケロイドができると以下のような症状が現れます。
- 放置するとどんどん大きくなり、強い痛みを伴う
- しこりが真っ赤に腫れて硬くなる
ケロイドになりやすいかどうかは体質によって決まりますが、ケロイド体質がなくてもピアストラブルを放置しているとピアスケロイドが発生するケースがあります。
また、耳の軟骨にピアスホールを開けるとケロイドになりやすいといわれています。
ピアスケロイドの治療は局所注射や治療薬のほか、手術で切除するケースもあります。
耳の下のしこりを押すと痛いときの対処法
ここでは、耳の下のしこりを押すと痛い場合の対処法を紹介します。
不潔な手で触らないようにする
耳の下にしこりがあると気になってしまいますが、不潔な手で触る・しこりを押して膿を出そうとすると症状が悪化する原因になります。そのため、耳の下のしこりが痛くても触らないように注意しましょう。
腫れている部分を冷やす
リンパ節炎によって耳の下にしこりができている場合は、腫れている部分を冷却シートなどで冷やしましょう。痛みや熱感が大きい場合は市販の鎮痛剤や解熱剤を使用してもかまいません。なお、3~4日経っても症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。
負担が軽い素材のピアスに変える
ピアストラブルが原因で耳にしこりができている場合、金属製のピアスを入れたままにしておくと金属アレルギーを引き起こしてしまうことがあります。
そのため、耳にしこりができた場合は皮膚科を受診し、ピアスホールが落ち着くまではシリコンチューブなど耳への負担が軽いピアスを入れておきましょう。
病院を受診すべきケース
耳にできたしこりを押すと痛くても多くの場合は心配ありませんが、稀に深刻な病気が隠れている場合もあります。そのため、以下のような症状がある場合は医療機関を受診しましょう。
しこりに膿が溜まっている
耳にできたしこりの中に膿がたまっている場合は手術によって膿を出す必要があるので、医療機関を受診しましょう。
しびれや顔面神経麻痺を伴う
しこりが急激に大きくなった・しびれがある・顔面神経麻痺を伴う場合は耳下腺腫瘍の可能性があるため、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
片方・両方の耳の下のしこりが一週間以上消えない
片耳・両耳の下のしこりが一週間以上消えない場合は病気が隠れている可能性があるため、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
症状が気になる場合は医療機関の受診を
耳の下にできたしこりを押すと痛くても、ほかの症状が出ていない場合は自然治癒することも多いので一度様子を見てみましょう。
しかし稀に重大な病気が隠れているケースもあるため、症状が気になる場合は医療機関での検査をおすすめします。
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こちらの記事の監修医師
安部医院
安部浩一(あんべこういち)
安部医院 院長
昭和61年東邦大学医学部卒
昭和62年東邦大学大森病院耳鼻咽喉科
平成1年国立医療センター(現:国立国際医療研究センター)耳鼻咽喉科
平成6年安部医院開業、現在に至る
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