最終更新日:2021年8月24日
耳鳴りの原因と対策を解説!耳鳴りに耐えられない場合は?慢性的な耳鳴りが及ぼす悪影響と治療法をご紹介

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

ふとした瞬間に聞こえ始めて私たちを不快にさせる耳鳴りは、耳に関する病気の中でもよく知られる症状の1つです。
今回はそんな耳鳴りの原因と対策について詳しく解説します。慢性的な耳鳴りが及ぼす悪影響や治療法もチェックしていきましょう。
耳鳴りの主な原因

まずは耳鳴りの主な原因についてご紹介します。
耳鳴りの原因は大きく「耳の病気」「耳以外の病気」「ストレス」
の3つに分けることができます。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
加齢による耳鳴りも少なからず起こり得るのですが、実は何らかの病気が隠されていることもあります。
耳の病気
耳自体の病気が耳鳴りを引き起こすことがあります。
耳鳴りの原因となる、主な耳の病気は以下の通りです。
・メニエール病
・突発性難聴
・騒音性難聴
・中耳炎
・外耳炎
・耳管狭窄
・耳硬化症
・耳垢栓塞
また、病気によってそれぞれ耳鳴りの現れ方に違いがでてきます。
例えば、メニエール病や突発性難聴の場合は「キーン」という金属音のような高音なのが特徴です。
逆に「ザー」というような低音である場合は耳管狭窄や耳硬化症、耳垢栓塞といった病気である可能性が考えられます。
耳鳴りが片方だけなのか、両耳なのかも大切なポイントです。
片方の耳から聞こえる場合はメニエール病や突発性難聴を、両耳からの場合は騒音性難聴を疑います。
耳以外の病気
次に耳以外の病気が引き起こす耳鳴りについてご紹介します。
ただの耳鳴りと思っていたのが、実際は病気が隠されていたということがあります。
耳鳴りの原因となる主な病気はこちらです。
・聴神経腫瘍
・脳卒中
・高血圧
・貧血
耳鳴りはこうした病気のシグナルとなっている場合があります。
これらの病気は他の症状を伴うことも少なくありません。気になる症状があれば早めの受診をおすすめします。
ストレス

ストレスも耳鳴りの原因となることがあります。
強いストレスに晒されたままでいると交感神経優位の状態が続いて副交感神経とのバランスが崩れ、体調不良に陥ります。
交感神経が優位になると他の血管と同じく耳周辺の血管にも収縮が起き、それが耳鳴りの原因になるリスクが高まるのです。
また、ストレスが耳鳴りを引き起こし、耳鳴りという症状が余計にストレスを助長することもあるでしょう。
悪循環を断つためにはできるだけストレスを溜めないことや、休息を取ることが大切です。
耳鳴りがした時の対策

耳鳴りには複数の原因があり、それによって対策が異なります。
症状が一時的ではなく継続している場合は、まず医師に相談してください。
もし病気が潜んでいたら治療することで症状の改善が期待できます。
ここでは、原因が耳や耳以外の病気ではなかった時にできる対策をご紹介します。
日常生活でできる対処法としては、ストレスを発散することや身体の緊張をほぐすことがあります。
適度な運動・ストレッチ・入浴といった行為は、血流を良くしてくれるのでストレス解消におすすめです。
また食生活の改善や睡眠時間の確保といった生活習慣の見直しも耳鳴りの対処法の1つです。
しかし、できるだけ耳鳴りを気にしないようにと思っても、気になってしまう人は少なくありません。
その場合は音楽やテレビの音を流すなどして、静かな環境を作らないようにしてください。
音のない静かな環境は耳鳴りを感じやすくなったり、気にしないようにと思っても気になってしまうからです。
耳鳴りの種類

耳鳴りには「自覚的耳鳴」「他覚的耳鳴」の2種類があります。
これは自分だけに聞こえるか、他人も聞くことができるかによって分類されるものです。
それぞれの特徴について見ていきましょう。
自覚的耳鳴
自覚的耳鳴は患者さんだけに聞こえる耳鳴りで、ほとんどの耳鳴りがこの自覚的耳鳴に分類されます。
自覚的耳鳴の場合、音源は患者さんの体内にはありません。
そもそも「音が聞こえる」という感覚は、内耳にある蝸牛からの電気信号を脳の聴覚中枢が受け取ることで起こります。
この聴覚中枢の感覚器または神経に障害が起きた場合、耳鳴りを感じることがあるのです。
「鳴っている」と感じているのは脳なので、自分ではなかなか対処しづらいのが耳鳴りの辛い所だといえます。
他覚的耳鳴
他覚的耳鳴りは非常にまれな耳鳴りです。こちらの場合、患者さんの体内に音源があります。
そのため患者さんだけでなく、聴診器を使うなどすれば第3者も音を聞き取ることができるのです。
他覚的耳鳴には血管性耳鳴と筋性耳鳴の2種類があります。
血管性耳鳴は拍動性耳鳴とも呼ばれていて、多くは耳の周りの血流に問題があり、拍動に従って雑音を感じるのが特徴です。
筋性耳鳴は耳周囲の筋肉の異変が原因となっているもので、カチカチとクリック音のような硬い音に聞こえます。
耳鳴りに耐えられない場合

耳鳴りに耐えられない場合はどのようにすればいいのでしょうか。
耐えられないほどの耳鳴りに悩まされている時は、我慢せず医療機関を受診することをおすすめします。
耳鳴りというよくある症状の陰に他の病気が隠れていることもあるので、我慢をする必要はありません。
ほとんどの場合耳鳴りは難聴の症状を伴っており、聞こえづらくなった特定の音域を脳がカバーしようとして起ります。
このような脳の働きを補聴器の使用によって緩和することができるので、辛い時はぜひ医師に相談してみましょう。
老化による難聴という避けられないものが耳鳴りの原因となっている場合も少なくありません。
そうした場合、耳鳴りと上手に付き合っていこうという姿勢も大切です。
耳鳴りが及ぼす悪影響

耳鳴りが及ぼす悪影響は精神的な不快感だけではありません。
時には耳鳴りそのものが病気の原因となることもあるので注意しましょう。
ここでは、耳鳴りが及ぼす悪影響と脳の病気・心の病気についてご紹介します。
脳の病気
耳鳴りの原因が何なのか、どこにあるのか、特定の病気が分からないことも少なくありません。
耳鳴りを引き起こす原因は、耳の病気だけでなく脳のトラブルということがあります。
もし脳の病気が隠されていた場合、命に関わるリスクがあるので放っておいてはいけません。
心の病気
耳鳴りがあまりにひどくて眠れない毎日が続くと、心の病気を引き起こすリスクが出てきます。
不眠やストレスの増大が体調不良を招くパターンです。長引くとうつ病を発症してしまうことも少なくありません。
ストレス→耳鳴り→不眠やストレス→耳鳴りという悪循環を招いてしまうのです。
耳鳴りの原因が耳や耳以外の病気ではない場合も、長引く症状は放っておいてはいけません。
耳鳴りの治療方法

耳鳴りの治療法には患者さんの症状や原因によって様々なものがあります。
ここでは、それらの中から音響療法・薬物療法・診療療法の3つについて詳しくご紹介します。
音響療法
音響療法の多くは補聴器を用いて行われます。
耳鳴りの原因は難聴にあることが多く、そのような場合は補聴器によって聴力を補うことで症状の改善が見込まれます。
補聴器を付けることによって耳鳴りを軽減できるだけでなく、聞こえのハンディキャップの解消も期待できます。
こうした理由から、難聴を伴う耳鳴りの場合は補聴器を用いた音響療法から始めるのが良いといえます。
この他には、環境音などを発生させる小型の装置を耳に付けて耳鳴りから意識を反らすという音響療法もあります。
薬物療法
耳鳴りを解消させるための特効薬はありませんが、原因によっては内服薬による症状の改善が期待できます。
内耳や聴神経に由来する難聴にはステロイド製剤、メニエール病の場合にはイソソルビドと呼ばれる利尿剤が有効です。
自律神経の乱れを整える必要がある場合は、抗不安剤・抗うつ剤なども耳鳴りの軽減に役立ちます。
また漢方薬を使って体質改善を試みる場合もあります。
いずれの薬物療法にしても、医師の処方が必要となるのでまずは受診をしましょう。
診療療法

診療療法はカウンセリングを通して患者さんの愁訴を傾聴し、不安な気持ちを和らげるものです。
多くの場合、患者さんは耳鳴りの原因が分からないために強い不安と不快感を抱えて病院を受診します。
そうした患者さんに対して耳鳴りが起こる仕組みを丁寧に説明するだけで、不安を軽くすることが期待できるのです。
耳鳴りの悪化の原因は脳の中の感情を司る部位「扁桃体」にあるともいわれます。
耳鳴りに対する理解と十分な知識を得ることは、この扁桃体を上手くコントロールするためにとても有効なのです。
耳鳴りという症状と上手に付き合っていくためには耳鳴りに関する基礎的な知識を身に付けることが欠かせません。
耳鳴りは放置しないことが大切

耳鳴りが気になるか気にならないかは人によります。放っておけば収まると気楽に構えて日々を過ごせる人もいます。
しかし耳鳴りの陰には他の病気が隠されていることもあるので、たかが耳鳴りと侮ってはいけません。
特に以下のような耳鳴りを感じる場合は要注意なので早めに受診しましょう。
・拍動に従って耳鳴りが聞こえる
・耳の片側だけ耳鳴りが聞こえる
・耳鳴りがめまいや歩行障害を伴う
耳鳴りが気になるという理由で病院を訪れる患者さんは決して少なくありません。
また長期間続く耳鳴りを放置していると、強い不安やストレスに悩まされることもあります。
耳鳴りは我慢や放置をせず、医師に相談してください。
まとめ

今回は耳鳴りの原因と対策について解説しました。
耳鳴りの原因は大きく「耳の病気」「耳以外の病気」「ストレス」の3つに分けられます。
加齢によって起こる耳鳴りもありまずが、実はメニエール病だったということも考えられます。
自分では「年のせいだ」「最近寝不足だから」と思っていても、何らかの病気が隠されていることもあるのです。
耳鳴りは気にしないようにすれば気にならないという人もいます。
しかし不快な耳鳴りや長く続く症状は、放っておかず医師に相談することをおすすめします。

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師 :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業
日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品
【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)
2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。
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- 和歌山県新宮市下田2-3-2地図を見る
- JR紀勢本線 新宮駅 徒歩10分
- 0735-28-0111
- 小児科 小児眼科 小児耳鼻咽喉科 小児皮膚科 小児神経内科 小児泌尿器科 アレルギー科
「すずきこどもクリニック」は、和歌山県新宮市下田にあります。こちらの院長は、親しみやすい人柄から「地域の良き相談相手」として多くの患者さんに信頼されています。院長は大病院での勤務経験や小児科医長の実績...
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