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最終更新日:2022年9月27日

「歳だから」で放置はNG!つらい“肩”や“膝”の痛み…原因と治療法は【医師が解説】

こちらの記事の監修医師
森山記念病院
田中 誠

※画像はイメージです/PIXTA

医療の進歩とともに平均寿命が延びてくると、健康寿命やQOL(生活の質)の向上に整形外科のはたす役目は大きくなってきていると、森山記念病院の田中誠副院長・整形外科部長はいいます。健康寿命やQOLに大きく関わってくる運動器のなかでも、中高齢者から特に相談の多い「肩」と「膝」の痛みについて、田中副院長が詳しく解説します。

「肩」と「膝」は特に障害を引き起こしやすい

医療の進歩とともに平均寿命が延びてくると、健康寿命やQOL(生活の質)の向上に整形外科のはたす役目は大きくなってきています。

立つ、歩く、物を持つなど体を動かすために必要な部分を運動器といい、骨、関節、靭帯、腱、神経、筋などが含まれます。整形外科とはこれらの運動器の病気(疾患)や怪我(外傷)を診療する科です。

整形外科外来診療をしていると、肩痛と膝痛を訴えて来院される患者がとても多いです。肩と膝は、ともに大きな関節で仕事(重労働)やスポーツで酷使され、障害を引き起こしやすい関節といえます。

それでは、日常生活のストレスとなる肩膝痛について、どのように理解し、対処すべきか。まずは、これまで患者さんからよく聞かれてきた「肩膝痛への疑問」とそれに対する回答を、Q&A形式でみていきましょう。

(患者さん1)サプリメントは効果ありますか。

(回答)保険適応ではないので、効果と副作用に関してエビデンスはありません。

(患者さん2)他院で膝の注射を1年間やっていましたが、改善しません。

(回答)重症の可能性があります。手術が必要かもしれません。MRIで再評価しましょう。

(患者さん3)半年間肩痛のリハビリを行っていましたが、改善しません。

(回答)腱が切れている可能性があります。MRIを行いましょう。

(患者さん4)肩こりを肩の痛みと診断されました。

(回答)肩こりは頚由来の痛みです。

(患者さん5)膝の痛みにウォーキングがいいといわれました。

(回答)ウォーキングは筋力強化にいいですが、膝の炎症は悪化します。

(患者さん6)膝の水を抜いてください。

(回答)以前は抜いていましたが、炎症が治まれば腫れは引いていきます。ただし診断のために水を抜くことがあります。

(患者さん7)膝人工関節置換術を受けたら、スポーツは出来ませんか。

(回答)プロゴルファー、プロテニスプレーヤーも手術を受けて、復帰しています。

(患者さん8)70歳ですけど、五十肩と診断されました。

(回答)年齢的には五十肩より腱板断裂の可能性が高いですが、MRIを行いましょう。

肩膝痛治療のポイント

続いて、肩膝痛の理解を深めるために、具体的なポイントを紹介します。

1. MRI(核磁気共鳴画像法)検査は、有用である。

レントゲンで異常がない肩膝痛は沢山あります。半月板、軟骨、靭帯、腱板はMRIでないと評価できません。

2. 同じ病気でも程度(軽症、重症)があり、治療法が異なる。

膝痛の軽症は、注射療法で良くなりますが、重症例は手術が必要なことが多いです。

3. 慢性的な肩膝痛は怪我ではない。

老化、使い過ぎ、遺伝が原因です。怪我ではないので、安静で改善しない。

4. 治療として、手術が必要な時がある。

腱の断裂、半月板断裂、軟骨の摩耗には手術が必要です。一方炎症や関節の硬さ(拘縮)は注射やリハビリが有効です。

5. 関節の硬さ(拘縮)が痛みの原因となることがある。

硬い関節を無理に動かすと痛くなります。ストレッチなどで柔らかくなると痛みは軽減します。

6. 痛み止め以外、有効な薬がない。

変性した軟骨を元に戻したり、症状の進行を止めたりする薬がない。さらに痛み止めでも十分に効かないことがある。

肩膝痛を引き起こす4つの病気

このように、意外とやっかいな肩膝痛ですが、発症する原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、中高齢者の肩膝痛引き起こす「代表的な4疾患」について説明していきます。

1.肩関節周囲炎(五十肩)

関節を構成する骨、軟骨、靭帯、腱が老化して、肩関節周囲に炎症を引き起こします。この炎症期の後に関節が硬くなる拘縮期へ移行します。レントゲンでは異常ありません。肩が痛くて、手が上がらないことで受診されます。40歳から50歳の患者さんが多いです。運動療法などにより、6ヵ月間で治癒します。

2.肩腱板断裂

上腕骨と肩甲骨をつなぐ腱が老化により切れる病気です。腱板は4つの筋腱で構成され、断裂しても一部なので、手を上げることが出来ます。ここが五十肩と違います。MRIにより診断出来ます。腱が切れていますので治療は、腱を修復する手術療法が中心です。

3.変形性膝関節症

膝関節のクッションである軟骨の摩耗(すりへり)や筋力低下が要因となって、関節に炎症を引き起こし、関節が変形していく病気です。レントゲンで関節の隙間が狭くなっていることで診断されます。変形が軽ければ注射療法、運動療法で痛みは軽減しますが、重度の変形が生じると手術療法が必要です。

4.膝半月板断裂

半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある、C型をした軟骨様の板です。内側と外側にそれぞれあり、クッションとスタビライザーの役割をはたしています。若年者はスポーツ時の転倒で断裂が生じますが、中高齢者は老化による変性で断裂していきます。治療は内視鏡で縫合あるいは部分切除を行います。

中高年の肩膝痛…有効な「2つ」の治療法

これらの原因により肩膝痛を発症した場合、「肩腱板縫合術」と「膝人工関節置換術」が有効とされています。

肩腱板縫合術

肩腱板縫合術は、上腕骨から剥がれ断裂した腱板を元の骨に縫い付ける手術です。骨に縫い付けるので、針糸で縫合は出来ません。骨に穴をあけたり、アンカー(骨に糸を埋め込むためのネジ)を用いて修復します。糸で修復しますので、手術が終われば自由に動かせるのではありません。腱と骨が固着する(つながる)まで、糸が切れないように慎重にリハビリを行っていきます。日常生活に支障がなくなるまでに3ヵ月間ぐらいかかります。

膝人工関節置換術

膝人工関節置換術は、変形した膝関節の表面を取り除いて、人工関節に置き換える手術です。人工関節は、関節の滑らかな動きが再現出来るように設計され、大腿骨と脛骨は金属で覆い、軟骨の代わりにポリエチレンを大腿骨と脛骨の間に挿入します。

骨を斜めに骨切りするので、O脚(内反膝)も矯正され、まっすぐな脚になります。年間9万例行われてさらに増えています。また、人工関節は痛みが取れるだけでなく、歩行能力も改善するため、QOLの向上や介護の軽減につながります。

病院を受診する目安となるサイン

日常生活において肩や膝への痛みを自覚した場合、どのようなタイミングで病院を受診すべきでしょうか。

肩痛

・手が上がらない

・手を挙げる途中で痛い

・手を挙げると肩がゴリゴリする

・夜間痛

膝痛

・膝が伸びない

・平地歩行で痛い

・足を引きずる

・O脚

・膝の曲げ伸ばしで引っかかり感あり

このように、肩膝痛はQOLを低下させる厄介な症状であるといえます。しばらく様子をみても改善しない場合は、MRIにより正しい診断評価をされ、適切な治療を受けることが大切です。

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こちらの記事の監修医師

森山記念病院

田中 誠

役職
副院長・整形外科部長

学歴
群馬大学医学部卒

経歴
同愛記念病院
東京医科歯科大学整形外科助手

資格
日本整形外科学会専門医/日本体育協会スポーツ認定医/日本リウマチ学会認定医

【その他】
その他平成6年日本リウマチ関節外科学会 学会賞受賞
日本手の外科学会会員
日本肘関節学会会員
日本肩関節学会会員
日本骨折治療学会会員
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会会員
日本整形外科スポーツ医学会会員
日本人工関節学会会員

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