最終更新日:2021年8月24日
ガングリオンの症状を解説!発症部位別の症状の特徴は?ガングリオンの検査方法や治療法・注意点もご紹介

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

手首や指、くるぶしの関節の辺りにぷっくりとしたこぶ状のしこりを見つけたことはありませんか。
しかしそのしこりを触ってみても、特に痛いということはありません。
これはガングリオンというゼリー状の物質が入った腫瘤です。
初めて見た方の中には、何かやっかいな病気なのではと不安になってしまう方もいますが、多くの場合心配はいりません。
まずはガングリオンの症状や特徴、治療法などについて知っておきましょう。
ガングリオンの症状

皮膚表面にできた目に見えるガングリオンは丸いか楕円形に盛り上がっているように見えます。
大きさは、ビーズのような非常に小さいものもあれば、ピンポン玉ほどの大きなものまであります。
そして触ってみると、硬いものもあれば軟らかいものもあるのです。
主な症状

ガングリオン自体には、痛みやかゆみなどの違和感はなく無症状です。
しかし大きさによってはその部位を動かす時に曲げにくくなります。
発症した場所が神経に近い場合には痛み・しびれ・感覚まひ・筋力低下などの神経症状が出てくるのです。
今は発症した部位を使いすぎることで、ガングリオンが大きくなることも分かってきました。
一方、皮膚の上からでは見えない場所に発症すると、痛みだけを続けて感じることもあります。
ちなみにガングリオンは良性の腫瘤であり、がんなどの悪性腫瘍ではありません。
できやすい場所
手のひら側の親指や指の付け根などに発症するのが一般的です。
手首の甲や手のひら側の関節の周辺、腱鞘のある場所にも発症します。
また足首やひざの裏側、肘や肩甲骨なども含め、実は身体中のさまざまな場所に発症する病気です。
まれに骨・筋肉・神経・軟骨にできることもあります。
発症部位別の症状の特徴

大半のガングリオンは、手や指に発症するといわれています。
手指に生じた場合
手指にできた場合は、痛みやしびれなどは起こりにくく無症状であるため、経過観察となることが多くなります。
しかし、指の関節付近にできた場合には指を広げにくくなることがあるのです。
指の付け根にできた場合は腱鞘炎 の原因にもなります。
また神経を圧迫する場所に発症すると、しびれ や力が入らなくなることがあるので、早急な治療が必要です。
膝の関節付近に生じた場合
膝の関節付近にできたガングリオンは、膝に強い痛みを生じさせることがあります。
ひどい場合には、痛みで歩行が難しくなることもあるのです。
そして膝の裏にできた場合には、正座などの普段の生活にも支障が出ることがあります。
また膝関節の間にある軟骨組織である半月板にも、ガングリオンは発症することがあります。
くるぶし付近に生じた場合
くるぶしに発症した場合には、特に痛みが強く出るといわれています。
ガングリオンが大きくなって神経を圧迫するなど症状が重くなると深刻な状況になります。
例えば足を地面に着けるたびに激痛が走り、歩行が困難となる場合もあるのです。
その他の場所に生じた場合
他には、足の指や肩甲骨などにも発症します。
ガングリオンは身体のどこに発症してもおかしくありません。
どの場所に発症しても、ガングリオン自体に痛みなどの症状はありません。
しかし痛みやしびれ、感覚まひが出ている場合には注意が必要です。
神経を圧迫していることが原因と思われますので、我慢せずに早めに受診して治療をしましょう。
ガングリオンが生じる仕組み

関節を包む関節包や腱を包む腱鞘などが損傷し、それにより飛び出た突起状の袋に滑液が溜まってできたものがガングリオンです。
滑液とは関節包や腱鞘で潤滑油として生産されたものです。
ガングリオンとなった場所である袋にたまった滑液は、時間が経つと濃縮されてゼリー状へと変わります。
ガングリオンは、周辺組織を壊したり他の場所に転移したりすることはありません。
また中にたまったゼリー状の物質が悪さをすることもありません。
ガングリオンの特徴

関節の周辺や腱鞘のある場所に米粒大からピンポン玉の腫瘤ができるのが特徴です。
年齢的には20代から50代の年齢層に多く見られ、特に女性の方が多いといわれています。
原因は不明
現在、ガングリオンができる原因は不明です。
特定の職業に多いというわけではありません。
また手や指をよく使うから、足に負担をかけることが多いからといったこととは全く関係ありません。
ガングリオンの発症のメカニズムについてはまだよく分かっていないのが現状です。
若い女性に比較的多く発症
子どもから高齢者、男女の性別に関係なく誰にでも幅広く発症します。
しかし20~50代の年齢層に多く、その中でも30代前後の女性に多く見られるといわれています。
ガングリオンの検査方法

ガングリオンの診断には、しこり(腫瘤)の中に詰まった内容物が何かを調べることが必要です。
触診を行った後で、しこりに注射針を刺して内容物を吸引する方法が一般的です。
吸引されたものがゼリー状だと分かれば、ガングリオンであると診断されます。
また関節の痛みが続いており、触診では分からないような小さいしこりが見られる場合もあります。
こうした時は超音波検査やMRI検査などの画像検査によって診断することもあるのです。
画像検査ではしこりの状態はもちろん、周囲の関節包や腱鞘などとの位置関係や内容物が液状かどうかも分かります。
またガングリオンではない他の病気の可能性など、さまざまな情報を得ることができます。
ガングリオンの治療法

ガングリオンは知らぬ間に自然に消えてしまうこともあるため、そのまま放置していても問題はありません。
ガングリオンであるとの診断を受けても、生活に支障がなければ経過観察となる場合も多々あります。
しかし痛みや関節が動かしにくい・見た目が悪い・何度も再発する場合には、積極的に治療を行う方が良いでしょう。
特に 強い痛み・ しびれ ・ 感覚まひ を伴い神経を圧迫している恐れがある場合には、早めの治療をお勧めします。
治療は注射器でガングリオンにたまっているゼリー状の内容物を抜き取って、体外に排出させる方法が一般的です。
ガングリオンの大きさやその他の状態によっては何度も吸引治療を行う必要があります。
しかししこりが小さくなる、または消滅してしまうこともあるので、その場合は神経圧迫による痛みは大いに改善します。
この注射器による吸引治療は比較的簡単で身体への負担も軽く、かつ短時間で終わるため、外来での処置で完了することがメリットです。
しかし、関節包や腱鞘からの突起状の袋はそのまま残っていることから再発する可能性があるのです。
吸引を複数回繰り返すことで、最終的にしこりができなくなることもあります。
またガングリオン自体を外から力を加えて押しつぶすという治療方法もあります。
しかし神経や骨などの医学的知識を必要としますので、必ず専門知識のある医師による処置を受けてください。
知識がないままで行うと感染などの恐れがありますので、絶対に自分では行わないようにしましょう。
これらの治療方法を行っても再発してしまう場合や、神経圧迫による痛みやしびれが治らない場合は手術もあります。
ガングリオンの袋全体を身体の中から取り去ってしまう方法です。
身体にメスを入れることで負担が大きくなるのはデメリットですが、ガングリオンが再発する可能性は非常に低くなります。
最近では、これらの従来の治療方法とは別にガングリオン再発防止の最新治療方法もあります。
超高精細エコーを使って滑液の供給元を絶つという局所麻酔下で行われる手術です。
ガングリオンは命にかかわる病気ではありません。
ガングリオンが生活に及ぼす影響などさまざまな要素をじっくり考えて、自分にとって最適な治療方法は何かを医師と一緒に考えてみてください。
ガングリオンの注意点

ガングリオンは自然治癒することもあるため、長らく放置してしまいがちです。
しかし自己判断で放置したことで、隠れている怖い病気に気付けないことがあります。
ガングリオンが急に大きくなった、数が増えてきた、また痛みがひどいといった場合には特に注意が必要です。
他の病気が隠れていることも
気になるしこりを見つけたときは、ガングリオンだと自分で安易に決めつけることはせず、必ず一度は医師の診断を受けてください。
もしかすると別の病気や悪性腫瘍である可能性もあります。
自分を安心させるためにも、できるだけ早く専門の医師による診察を受けるようにしましょう。
発症したらその部位は酷使しない
ガングリオンができてしまった場合には、その部位を動かすことは控えて、適度に休めるように心掛けましょう。
痛みやしびれ、だるさといった症状が出ていなくても、その部位を酷使することによって症状が悪化することもあります。
また、しこりが大きくなってしまったりすることもあるのです。
経過観察となった場合には、日常生活での動きを工夫しましょう。
発症したガングリオンの状態を観察しながら、無理をしない生活を送ってください。
気になったら皮膚科に相談を

体にできているしこりがガングリオンなのか、何か悪い疾患なのか、自分で判断することはできません。
少しでも気になった場合には、思い切って皮膚科を受診してください。
注射器を使った内容物の吸引のような初期治療は、特別な設備を必要としません。
まずは皮膚科があるクリニックを気軽に受診してみましょう。
また皮膚科の他に、整形外科でもガングリオンの治療が行われていることもあります。
かかりつけの皮膚科がない場合は整形外科で相談してください。
担当医師に気になっていることは全て質問し、納得した上で治療を受けることが大切です。
まとめ

ガングリオンは誰にでも、そして身体のどこにでも発症する病気であり、決して怖い病気ではありません。
しかし自然治癒もあり得る病気だからといって、自己判断は絶対に禁物です。
気になるしこり(腫瘤)があれば必ず専門の医師の診断を受けて、適切な治療を受けましょう。
いつまでも不安な思いを持ち続けず速やかに対処していくことが、心も身体も健やかに過ごすための一番の秘訣です。
自分の身体のちょっとした異変に敏感になって、家族や友人との大切な時間を笑顔で過ごしていきましょう。

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師 :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業
日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品
【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)
2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。
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- 和歌山県新宮市下田2-3-2地図を見る
- JR紀勢本線 新宮駅 徒歩10分
- 0735-28-0111
- 小児科 小児眼科 小児耳鼻咽喉科 小児皮膚科 小児神経内科 小児泌尿器科 アレルギー科
「すずきこどもクリニック」は、和歌山県新宮市下田にあります。こちらの院長は、親しみやすい人柄から「地域の良き相談相手」として多くの患者さんに信頼されています。院長は大病院での勤務経験や小児科医長の実績...
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