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最終更新日:2021年12月18日

マスクをつけられない乳幼児の「RSウイルス予防」で重要なポイント

こちらの記事の監修医師
高座渋谷つばさクリニック
武井 智昭

マスクをつけられない乳幼児の「RSウイルス予防」で重要なポイント

(画像=PIXTA)

生まれて間もない子どもが気をつけたい病気にRSウイルスというものがあります。高座渋谷つばさクリニックの武井智昭先生が、RSウイルスの症状や予防のポイントを解説します。

目次

  1. 毎年変わるRSウイルス…生後間もない子供は要注意
  2. RSウイルスの感染対策…「子どもが触れる場所は定期的に消毒する」
  3. RSウイルス感染症予防で保険適用されているパリビズマブとは

毎年変わるRSウイルス…生後間もない子供は要注意

RSウイルス感染症は、インフルエンザや新型コロナウイルスと同じ、構造が変化しやすいRNAウイルスの感染による呼吸器の感染症です。このウイルスは全世界に存在しており、2歳までには、症状が軽度であってもほとんどの子どもが1度は感染するという報告があります。

RNAウイルスであるためインフルエンザと同様に、毎年ウイルスの形態を変えることが知られています。インフルエンザのようにA型・B型とありますので、毎年かかる方、1年で2回以上かかる方もいます。

2歳を過ぎてくると、RSウイルスに感染しても、基礎疾患のない子どもと大人は水様性の鼻水や軽度の咳など、軽い風邪ですむことが多いです。しかし、基礎疾患があるお子さんでは6歳程度まで重篤な肺炎・呼吸不全を起こす可能性があります。

はじめてこのウイルスに感染したとき、乳児期早期(6カ月未満)では、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こす可能性があります。また、状況によってはRSウイルスに加えて、ワクチンで予防が可能となっている肺炎球菌などの細菌感染の合併もあり、急激に状態が悪化する場合もあります。このため、とくに乳児期早期(生後数週間~数か月)のお子さんがいらっしゃる場合には、親世代の風邪症状に注意をして、感染を避けるための注意が必要です。

RSウイルス感染症は咳やくしゃみ、会話をした際に飛び散るしぶきを吸い込むことで感染する、飛沫感染がほとんどです。最近では、新型コロナウイルス対策として成人の方はマスクを使用されておりますが、乳幼児の方ではマスクをすることが困難です。このため、2021年の夏は3歳以上の方はコロナウイルスが、3歳未満ではこのRSウイルス感染例が爆発的に流行しました。幸いRSウイルスは、伝染力が強く空気感染を起こす麻疹・風疹・水痘などのように、空気感染する報告はありません。

RSウイルスの症状は感染してから3~5日程度の潜伏期間を経て、咳嗽※・鼻汁などの症状が数日続きます。3歳未満では、発熱・咳嗽・鼻水の症状がありますが、数日で改善することが多いです。
※たんのこと

その一方で、呼吸器や循環器などの基礎疾患・持病がある乳児、未熟児(2500g以下の低出生体重児、36週未満の早産時)では、発症早期から急激に呼吸不全(喘鳴・多呼吸・全身を使う呼吸)がみられることがあります。同時に、死因の1つとなりえる無呼吸発作も生じることがあります。発熱も、年齢が低いと4日以上続く場合があります。

症状が悪化すると、細気管支炎、肺炎となり、食事や水分も取れず眠れないため入院を要する場合もあります。ほとんどの例ではウイルスが体内の免疫反応でなくなるので、1週間程度には改善することが多いですが、RSウイルス感染に加えて、肺炎球菌などの細菌感染を合併した場合には発熱の持続や急激な呼吸状態・全身状態の悪化が起こる場合があり、こちらの場合でも入院となります。

成人では通常は感冒様症状※のみですが、RSウイルスは高齢者においても急性のしばしば重症の気管支炎・肺炎を起こす原因となることが知られていて、免疫機能や心配の機能が低下した、高齢者施設での集団発生の報告もあります。
※体のだるさ、寒気などのこと

RSウイルスの感染対策…「子どもが触れる場所は定期的に消毒する」

RSウイルス感染症の感染経路は飛沫感染がほとんどであり、2歳未満が感染発症の中心となる年齢です。咳などの呼吸器症状がある3歳以上のお子さん・成人は、0歳児と1歳児との摂食は、可能な限り、控えたほうがよいでしょう。

現在ではマスクをして予防が可能となっておりますが、自宅ではマスクをとることも多く、注意が必要です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、手洗いやアルコール製剤による手指衛生を継続してください。

RSウイルス感染症には、インフルエンザのような特効薬はありません。治療は基本的には咳や喀痰、呼吸困難、発熱の症状を和らげる治療となります。

RSウイルス感染症予防で保険適用されているパリビズマブとは

RSウイルス感染症予防として遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤(RSウイルスに対してのみ有効)であるパリビズマブ(Palivizumab)の予防投与が、後述の基準を満たす乳児では保険適応となり、月1回の投与が認められております。投与対象患者となっているのは以下の方です。

・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の新生児および乳児

・在胎期間29~35週の早産で、6か月齢以下の新生児および乳児

・過去6か月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24か月齢以下の新生児、乳児および幼児24か月齢以下の結構動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児および幼児

・24か月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児

・24か月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児

・RSウイルスの感染が不安な場合は、お近くの病院に相談し、モノクローナル抗体製剤であるパリビズマブの予防投与をおすすめいたします。

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こちらの記事の監修医師

高座渋谷つばさクリニック

武井 智昭

高座渋谷つばさクリニック 院長
小児科医・内科医・アレルギー科医
2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。

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