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最終更新日:2022年10月11日

味覚障害や倦怠感、感染後も辛い「コロナ後遺症」…有効な治療法は【医師が解説】

こちらの記事の監修医師
高座渋谷つばさクリニック
武井 智昭

武井先生 コロナ後遺症 カンバン
※画像はイメージです/PIXTA

デルタ株、オミクロン株と形を変えて流行が続く新型コロナウイルス感染症。新規感染者数はピークを過ぎましたが、いま“long COVID”とも呼ばれるいわゆる「コロナ後遺症」に悩む患者が増加しています。この後遺症について、適切な治療法はないのでしょうか。高座渋谷つばさクリニックの武井智昭先生が、現時点でわかっているコロナ後遺症の治療法について詳しく解説します。

ピークはすぎた?…新型コロナの「いま」

新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株(第7波)が8月にピークを越えてから、収束に向かいつつあります。10月からはオミクロン対応株ワクチン接種も本格化。「withコロナ」の政府政策のもと、9月26日からは全例の報告から、基本的には年齢層と人数の報告に簡略化されました。

その一方で、第7波ピーク時には東京都で連日4万人の感染者が発生するなど、昨年のデルタ株流行時と比較しても感染者数は増加しています。そのほとんどは軽症相当ではありましたが、ワクチンの接種の有無にかかわらず感染者数増加に比例して「long COVID」と呼ばれる後遺症患者数も増加しています。後遺症診療を行える医療機関が少なく、患者さんも受診先に困っている現状があります。

しかし、新型コロナウイルス感染症後遺症の治療に関しても、少しずつではありますが、効果的な治療方法が確立されはじめています。今回は、新型コロナウイルス感染症後遺症が疑われる患者さんに対して、現在医療機関がどのような対応をしているか解説していきます。

対症療法では不十分…「コロナ後遺症」に必要なケア

オミクロン株による後遺症として圧倒的に多いものは、倦怠感(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)です。このほかにも、長引く咳や呼吸困難、微熱・頭痛、気分の落ち込みをはじめとした抑うつ症状・不安症、思考力・集中力の低下(ブレインフォグ)、動悸・胸痛、嗅覚・味覚障害といった症状が挙げられます。

筆者の病院において初診時「後遺症」として受診された人には、現在の症状やコロナ罹患時の症状・重症度に加えて、現在の就業状況や精神面に関しても把握するようにしています。

これまで300人以上の「新型コロナウイルス感染症後遺症」を診療してきてわかることは、後遺症に悩む人は

「仕事を解雇になりそうだ」

「療養休暇はいつまでとれるか」

「家事がいつになったら家事が普通にできるようになるか」

など、多くが生活維持に対して不安を抱いているということです。後遺症の診療は身体(器質的疾患)に加えて、心理的・精神的な面と社会的な立場など「3つの柱」による多角的なアプローチが重要です。なかでも特に、心療内科的な知識・見識が必要となるケースが多くありました。

また、診療を行う我々にとって重要なことは、新型コロナウイルス感染症の後遺症であるかどうか見極めるために、診察および検査をしっかりと行うことです。

新型コロナ感染後に「倦怠感が強い・やる気が起きない」ということで受診された患者さんであっても、実際には血液疾患(急性白血病・骨髄異形成症候群)や内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症)、また長期間の在宅ワークによる生活習慣病の悪化(インスリン治療を要する2型糖尿病)や神経疾患であるケースもあります。

このような疾患ではないことを慎重に確認し、「コロナ後遺症」と決めつけて他疾患の発見に遅れることがないよう、留意が必要です。

倦怠感、味覚障害…各症状に対する具体的な治療方法

その後は、基本的には『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 罹患後症状のマネジメント第1.1版 2022/6/17』に準じて対応していきます。

「倦怠感」に対しては耳鼻咽喉科的アプローチ

・筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、運動後倦怠感(post-exertional malaise)

オミクロン株の後遺症で最も多い訴えです。倦怠感には波がありますが、調子がいいとき少し歩くなど運動したあと、その数時間後から翌日には「鉛が背中に乗るような」強い疲労感を訴えます。

このような症状に対して、最近では耳鼻咽喉科で「上咽頭擦過治療(EAT、Bスポット療法)」をすることにより症状が改善しているケースがあります。新型コロナウイルス感染症では鼻とのどのあいだに炎症が持続しているため、この部分の炎症を改善させるのです。

週1~2回程度を繰り返し実施することで、症状が改善傾向となる人も多くなっています。また、嗅覚障害・思考力低下(ブレインフォグ)・頭痛にも効果がみられる場合があります。ただし、名前の通り鼻腔から上咽頭の部分を刺激するため、強い痛みが生じることが多いです。

集中力低下には「rTMS療法」

・集中力低下(ブレインフォグ)、認知機能の低下

仕事や学業などの機能・処理能力の低下や集中力の低下を訴える患者さんも多くいます。病態はまだ明らかになっていませんが、脳の血流の低下が原因とみられています。

これに対し、「反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)」という治療方法が有効なのではないかということが、これまでの治療経験や蓄積データからわかりつつあります。

この「反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)」は通常、うつ病の患者さんのなかでも抗うつ薬の効果が乏しかったり、副作用が強く内服治療が困難である方を対象に行われているものです。

その他にも、強迫性障害や不安障害の方にも適応があり、「コロナ後遺症」においても全身倦怠感や集中力低下といった症状に対して(精神的な要素があるという場合に)効果が期待されています。

「rTMS療法」は、脳の低活動領域・過活動領域に対して頭皮にコイルを置き、直接ターゲットとなる大脳皮質へ磁場刺激を繰り返すことで健康な活動パターンへ回復させる治療法です。刺激パルスを繰り返すことにより、神経繊維の機能を強化させます。

治療は20回~30回繰り返す必要がありますが、保険診療適応は限られているため、新型コロナウイルス後遺症の場合では自費診療です。1回1万円程度と高価であることがネックでしょう。

「嗅覚障害」には漢方、ステロイド点鼻薬

・嗅覚障害

匂いがまったく感じられない、あるいは弱くなったという機能低下の他にも、「煙臭い、焦げたにおいが続く」という異嗅症、味覚障害として口のなかが常に苦い・味が変わっているという症状の合併もあります。

このような症状の治療としては、前述の上咽頭擦過治療も効果的です。また、漢方の「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」やステロイドの点鼻薬投与などが実施されることも多いです。

この症状は2~3ヵ月持続することが多いですが、大半は約半年かければ改善することが可能です。

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こちらの記事の監修医師

高座渋谷つばさクリニック

武井 智昭

小児科医・内科医・アレルギー科医 2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。

感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。

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