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最終更新日:2021年12月25日

クリスマスCMに想うゲーム依存の回復法

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

クリスマスCMに想うゲーム依存の回復法
(画像=Adobe stock)

何かに夢中になり、他のことに気がまわらなくなる状態を「依存」という。依存症は中毒とも表現され、まさに毒に中(あた)った状態で、このとき脳は腹側被蓋野のドパミン神経系が異常に興奮し、快感状態にある。

恋愛期間が3ヶ月以内の熱烈な恋愛を“early-stage intense romantic love”という。この状態にある人に恋人の写真を見せて脳血流を調べた実験では、写真に反応して腹側被蓋野の血流が増加していた。

恋愛は中毒だが、自然で健全な状態であり、毒に中(あた)った状態がいつまで続くかは、神のみぞ知るというもの。それに対し、病的依存である依存症は、毒に中った状態から抜け出せないので、深刻な問題となっている。

ゲーム依存症――夢中の先に待つ、恐ろしい結果

近年問題となっている依存症の一つが「ゲーム依存症」だ。スマホやネットでのゲームに夢中になってやめられない状態をInternet gaming disorder(IGD)と呼び、日常生活にも支障をきたす。

2019年、IGDは国際疾病分類(ICD-11)に疾患として追加された(3)。ゲームに夢中になりすぎると大切な交友関係や教育・雇用の機会を失うなど、恐ろしい結果が待ち受けている。

IGDのような依存症について検証したネズミの実験結果がある。ネズミの腹側被蓋野に電極を差し込み刺激するとうっとりした状態となるが、電極にスイッチをつけ好きな時に自己刺激できるようすると、装置につながれたネズミのうち半数以上が死亡した。スイッチを押し続け寝食を忘れたからである。

ネズミの楽園――薬物依存に対する仮説と実験

かつてイギリスでは下痢や咳の治療にアヘンが使用されたが、このときアヘン中毒者は発生しなかった。このことから、薬物依存の研究者であるAlexanderは「孤独やストレスに晒された人が、苦痛軽減のため依存物質や依存行為に手を染める」という仮説を立てた。

実験ではネズミはケージに閉じ込められ、腹側被蓋野を刺激するスイッチしか楽しみがない状態であったため、Alexanderはケージの環境を変更し、ネズミの楽園“rat park”をつくった。普通ケージの200倍もの広さがあり、十分な食料、ホイールやボールの遊び道具を用意し、孤独を防ぐためにネズミを16匹入れた。

対照群は従来の実験用ケージにネズミ1匹を入れた。楽園と実験用ケージそれぞれに普通の水とモルヒネ入りの水を用意した。モルヒネ入りの水は苦いので、砂糖を混ぜて甘くしてある。

実験用ケージのネズミは砂糖が少なくてもモルヒネ入りの水を好んで飲んだのに対し、楽園のネズミはどんなに砂糖を入れてもモルヒネ入りの水を嫌がった。モルヒネに依存するようになった実験用ケージのネズミも、楽園に入れると普通の水を飲むようになった。また、実験用ケージで長期間を過ごしモルヒネ中毒になったネズミでも、楽園に移すと最初はけいれんなどの離脱症状を起こしたものの、症状が治まると普通の水を好むようになった。

会うのが、いちばん――脳を活性化する健全な方法とは

さらにこのような実験結果もある。21日間隔離したネズミはモルヒネ依存状態となるが、毎日1時間だけ他のネズミと触れ合うと、モルヒネ依存状態にならなかったという。

このネズミによる実験結果を踏まえて、現代社会とインターネットゲームの関係に置き換えて考えてみた。学習や仕事での苦痛がゲームの勝利で一時的に解消されるのは、人と接触しなくても仮想世界で腹側被蓋野が刺激できるからだ。腹側被蓋野を刺激するスマホをもたされ、仮想世界というケージに入れられた人間は、ゲームに依存しすぎるとケージの中で死んでいくネズミと同じ運命が待つ。どうやって依存症を避けるべきか。

そのヒントを毎年12月に街のどこかで耳にする山下達郎の『クリスマス・イブ』と、そこから思い浮かんだCMにみつけた。CMとは1988年から90年にかけて制作されたJR東海の「クリスマス・エクスプレス」シリーズだ。

CMのテーマは遠距離恋愛の恋人たちの切ない逢瀬。今と違ってスマホのない時代である。深津絵里が出演した初代CMには『クリスマス・イブ』の「必ず今夜なら、言えそうな気がした、Silent night, Holly night」と軽快なメロディーと歌詞をバックに、「帰って来るあなたが最高のプレゼント」のナレーションが流れる。新幹線ホームで再開する恋人たちの映像の右上には「会うのが、いちばん」のテロップ。

そう、依存症からの回復には、健全な方法で腹側被蓋野を活性化すればいい。仲間に、恋人に、「会うのが、いちばん」である。

http://www.suzukikodomo.jp/

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こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任

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