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最終更新日:2022年2月24日

「詰め込み型」の医師はもう古い…いまの日本で探すべき「理想のかかりつけ医」

こちらの記事の監修医師
高座渋谷つばさクリニック
武井智昭

医師国家試験 武井先生

(画像はイメージです/PIXTA)

「医師」として働くには、膨大な知識を蓄え、数多くの研修や試験を受ける必要があります。しかし、高座渋谷つばさクリニックの武井先生は「知識偏重である日本の医療はもう古い」といいます。医師国家試験に実際に出題された問題をもとに、いま日本で求められている「理想の医師像」をみていきましょう。

目次

  1. 医師国家試験で実際に出題された「心情」を問う問題
  2. 近年の傾向…「コミュニケーションや社会性」を重視する問題が増加
  3. これまで「知識偏重」だった日本の医療
  4. 「賢い医師」から「寄り添う医師」へ
    1. 理解し寄り添ってくれる「理想のかかりつけ医」をみつけよう

医師国家試験で実際に出題された「心情」を問う問題

新型コロナウイルスのオミクロン株が大流行しており、発熱や咳、呼吸困難を認めた方は発熱外来を受診されたものと思います。一方で、コロナ以外でも持病の管理、症状の悪化などで医療機関を受診された方もいらっしゃるでしょう。

諸外国と比べ、私たちは生活のなかで医療と接点を持つことが多くあります。受診するクリニック(かかりつけ医)が決められているイギリスなどの諸外国と異なり、日本では多くの場合、(入院施設がないクリニックでは)自分と相性がよい医師やスタッフがいるところにフリーアクセスで受診できるのが特徴です。最近では訪問診療・往診を行う機関も増え、より家庭との接点が増加しています。

こうした現状のなか、2月上旬に第116回医師国家試験が予定通り実施されました。近年の医師国家試験は2日間かけて開催され、計400問が各分野からまんべんなく出題されます。400問のうち100問は必修問題であり、80%以上の正解が求められます。

たしかに一般の方では理解が難しい専門用語・知識が問われる問題も多い反面、医師の倫理や患者・その家族の心理的背景をくみ取って解答する「国語」「心理学」のような出題もあります。ここで、本年出題された2問を紹介します。

75歳の男性。1人暮らし。3か月前に肺癌と診断され、肺内転移、骨転移を認めた。自宅で穏やかに過ごしたいという本人の希望で訪問診療が実施され、自宅で最期を迎えることを希望している。

3週間前からは食事摂取量が低下しトイレにもいくことができず、訪問看護サービスとホームヘルパーの定期訪問を受けている。1週間前から腰痛が出現し、訪問診療担当医が薬物治療を実施しているが症状が悪化している。本日、担当医が訪問診療で自宅を訪問した際に、患者が「もう今日で死なせてください。」と強く訴えた。

本日の訴えに対する医師の対応で適切なものはどれか。

A:「そんなことを言わずに、頑張りましょう」

B:「今すぐ安らかに旅立つお手伝いをします」

C:「すぐにホスピスの入院を手配します」

D:「末期肺癌の根治的治療法がありますので、ご安心ください」

E:「なぜそのようなお気持ちになったのか、お話しくださいますか」

この問題であれば、医師でなくても相手の心情を読み取れば「E」と解答することは容易であります。

続いて、同じような問題をもう1つ。

55歳の男性。上腹部痛を主訴に来院した。半年前から腫瘤に気づき大きくなってきたことを自覚していた。顔色は不良であり、左鎖骨上のリンパ節の腫大を認める。上腹部に10センチの腫瘤を認め、超音波検査とCT検査で悪性腫瘍が示唆された。

この時、患者は「おなかの中に何かがあるのはわかっていたが、悪性腫瘍と診断されるのが怖くて今まで受診しなかった。飲食店を自営業で経営をしているが、私がいなくなったら休業となり収入がなくなり困る。もっと早く受診すれば、私は死ななくてすんだ」と言った。

この患者が感じている苦痛のうち、社会的な苦痛はどれか?

A:死への恐怖

B:上腹部の痛み

C:収入がなくなることへの不安

D:癌と診断される事への恐怖

E:もっと早く受診すればよかったという後悔

腫瘍がなにかという医学的知識ではなく、「患者の苦痛」に関して問う問題です。社会的な苦痛といえば自分の立場や収入減少などを示すので、解答は「C」となります。

近年の傾向…「コミュニケーションや社会性」を重視する問題が増加

医師国家試験において、近年の傾向としては医学的知識の細かい内容よりも、上記2問のような患者の心情やコミュニケーションを問う問題、同じ病気でも重症度・背景が異なり治療方針や説明する方法を柔軟に変更する必要のある「状況設定への適切な対応」を目的とした問題が増加しています。

これまでは細かい知識を問う問題ばかりでしたが、一般常識問題・医学における歴史、英語の問題なども出題され、ある意味「コミュニケーションや社会性に問題がある学生には医師免許を与えない」といった方向に厚生労働省は舵を切るようになりました。

今年は話題となっている新型コロナウイルス重症肺炎、クローズアップされている発達障害についても出題されました。最近では、知識偏重で知識を有機的に使えず応用が利かない、一般知識に欠如する社会性が乏しい方は、たとえ東京大学など一流大学の出身でも、国家試験に繰り返し不合格となっています。

これまで「知識偏重」だった日本の医療

皆様が医療機関を受診された際、医師・看護師・医療事務の方の接遇・態度に不満はありませんでしたか? また、疾患のことはもちろん、他の悩みや家族の事なども相談しようと思いましたか?

これまでの日本では、「専門医育成」を重視する向きが大学病院を中心に強く、専門の臓器や疾患に対しては深い知識と技量がありました。内科でも消化器内科、腎臓内科、呼吸器内科といったように細分化され、専門外来等の設置が進む一方で、「自分の関連する疾患以外は診療ができない・しない」という医師も多くいました。

この現状では

  • 毎回体調不良になるごとに、その症状を診てもらえるクリニックが異なり探し回る
  • 初診が多いため、過去の病歴や飲んでいる薬を毎回伝えるのが大変である。同じ疾患なのに医師の専門性によって診断方針が違いすぎる
  • 医療スタッフの接遇に不満を感じる
  • 検査が多く医療費が高くつく
  • 自分の気持ちや家族の気持ちがわかってもらえない

といった患者の不満・問題点があったのも事実です。

「賢い医師」から「寄り添う医師」へ

そこで近年、厚生労働省はあらゆる年代で幅広い分野の疾患を診療し、患者とその家族に寄り添える「プライマリ・ケア」(家庭医)の育成を重視するようになりました。

プライマリ・ケアの医師に求められることは、「多くの会話をし、受診者のことを知ろう」ということです。一見症状には関係なさそうでも家庭状況や就労状況など患者の背景に着目した質問をすることで、患者の隠れた問題点や悩みに気づくことができます。

たとえば、「気管支喘息で通院しているお子さんが発達障害でないか心配となった母への対応」「糖尿病で通院中、数値が悪くなった男性へのケア(普段の食事や睡眠状況の問いかけ)」といった「オールラウンダー」としての能力が求められます。必要に応じて専門医療機関へ紹介することも重要な役割です。

理解し寄り添ってくれる「理想のかかりつけ医」をみつけよう

新型コロナウイルスの流行から2年が経過しましたが、改めてこうした医師国家試験や国家(厚生労働省)の方針も変わってきました。自分のことをしっかりと理解してくれる「あなたの理想のかかりつけ医」をみつけて、自分と家族がより安心して暮らしていけるようになりたいですね。

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こちらの記事の監修医師

高座渋谷つばさクリニック

武井智昭

〇診療科 :内科・小児科・アレルギー科

【経歴】
2002年    慶應義塾大学医学部卒業
2004年    立川共済病院勤務
2005年    平塚共済病院小児科医長として勤務(内科)
2010年    北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室兼任
2012年    横浜市内のクリニックの副院長として勤務 (スマイルこどもクリニック)
2015年    小谷クリニック 内科・小児科(訪問診療部)部長
2017年    「なごみクリニック」内科・小児科・アレルギー科 
院長
2020年4月~ 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任

【専門医・認定医】
・小児科専門医・指導医
・日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)
・臨床研修指導医(日本小児科学会)
・抗菌化学療法認定医
・プライマリケア学会認定医
・認知症サポート医

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