最終更新日:2022年4月8日
生理前じゃないのに胸が張る原因は?

こちらの記事の監修医師
板橋中央総合病院
都築まどか

月経前(生理前)に胸が張るというのは、月経周期のホルモン変化に伴う自然な現象で、多くの人が感じていることです。しかし、月経前ではないのにも関わらず胸が張った感じがする場合には、病気が原因となっている可能性がありますので、注意が必要かもしれません。本記事では、胸が張る原因や対応のしかたについて詳しく解説します。
そもそも月経前に胸が張るのはなぜ?

月経周期である約1ヶ月の間に女性ホルモンのバランスは大きく変動します。胸にある乳腺も、この影響を大きく受けます。
女性ホルモンには、卵胞ホルモンである「エストロゲン」と黄体ホルモンである「プロゲステロン」の2種類があります。
このうちプロゲステロンは、子宮の環境を整えたり乳腺をより発達させたりして妊娠の準備を促進するためのホルモンです。この仕組みにより、月経の前(=着床準備中の時期)になるとプロゲステロンの影響がより強く現れ、胸が張るようになるのです。
妊娠が成立せず、月経が始まるとプロゲステロンの分泌が減少するので、その頃から胸の張りも和らぎます。
月経に関係なく胸が張る (1)女性ホルモンの変化が原因のケース

ライフステージの要所で起こる、女性ホルモンの変化に伴う張りのケースです。具体的にどのような時に起こるのかを、次で詳しく解説します。
成長期の胸の張り
思春期にはいってくると、体内から性腺刺激ホルモンや性ホルモンが分泌されるようになります(女性はだいたい8-12歳ごろより開始)。それに伴い第二次性徴の一環として、まず乳腺の発育が開始します。女性ホルモンのうちのエストロゲンの作用により乳腺が形成され発育するようになると、徐々に胸がふくらみ始め、次第に脂肪がついて丸い形になっていきます。乳腺の発育が開始して1年くらい経過すると、月経が開始(=初潮)することが多いです。
その後もしばらく乳腺は発達し続けるため、成長期には月経ではないのに胸が張るということがよく起こります。また、胸の張りとともに、チクチクとしたような痛みやしこりのようなものを感じることもあります。これは、胸の成長がある程度落ち着くまで続くもので、数カ月程度で終わる人もいれば、成長期の数年の間にわたり続く人もいるなど個人差があります。したがって、思春期成長期の時期の胸の張りであれば、基本的には様子をみるようにしてください。
妊娠による胸の張り
妊娠すると、身体に妊娠状態を継続させ、出産の準備をさせる働きを持つプロゲステロンの分泌が多くなります。前述の通り、プロゲステロンは母乳を出すための準備として乳腺を発達させるホルモンであるため、胸が張るようになるのです。妊娠すると多量に分泌されるホルモン量の変化に身体が慣れてくると、自然と胸の張りも気にならなくなってきます。
更年期での胸の張り
40歳代から50歳代ごろになって閉経が近づくと、分泌される女性ホルモン量、特にエストロゲンの量が少なくなることで、更年期ならではの心身のさまざまな不調が現れます。顔のほてりや発汗、イライラ、めまい、不眠、肩こりや頭痛などが代表的ですが、その他にも非常にさまざまな症状があるため、胸の張りを自覚する人もいます。これらの症状があまりにもつらい場合は婦人科を受診することをおすすめします。
ストレスなどによるホルモンバランスの乱れが原因の胸の張り
ストレスや疲れは自律神経のバランスを乱すため、それが女性ホルモン分泌のバランスにも悪影響を与えます。女性ホルモンの分泌バランスが乱れると、月経に関係なく胸が張ったりすることがあります。その他、イライラや眠気、疲れやすさなどの症状が現れることもあり、体調不良として感じることもあるでしょう。
日頃から生活リズムが不規則だったり食生活が乱れていたりすると起こりやすいので、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
月経に関係なく胸が張る (2)病気が原因のケース

月経周期に関係なく常に胸が張った感じがするという場合は、もしかすると病気のサインかもしれません。月経が終わってもまだ胸が張ったままだったり、張りがいつまでも解消されないという場合には、注意が必要です。具体的にどのような病気があるのかを、次で詳しく解説します。
乳腺線維腺腫
乳腺線維腺腫とは、乳腺に良性の腫瘍ができるものです。乳腺の一部が腫れたようにふくらみ、胸が張ったような感じを覚えることもあります。
これは思春期以降にできることが多く、20歳代くらいではっきりと腫瘍がわかるようになるといわれ、触ると柔らかな弾力を感じます。
50歳代以降になると自然と消滅することが多いことから、女性ホルモンが関係していると考えられています。
触っただけで診断できるわけではないので、気になる場合には一度、乳腺外科を受診するのがいいでしょう。
乳腺炎
乳腺炎とは、乳腺に起きたなんらかの炎症全般のことをいいます。
乳腺炎には急性乳腺炎と慢性乳腺炎とがあり、急性のものは、多くは授乳中に起こります。母乳が乳管の内部に詰まったり乳管内に細菌が感染したりすることで起き、発症すると胸の張りや痛み、発赤などを感じ、悪くなると発熱することもあります。
慢性乳腺炎は、授乳経験の有無に関わらず発症するもので、乳腺内に何かしらの原因で膿や分泌物などが溜まり、胸が張るように赤く腫れる、しこりができるなどするものです。
急性・慢性を問わず、乳腺炎と思われる胸の症状が出たら、きちんと受診をしましょう。授乳中ならまず産婦人科に受診しますが、それ以外は乳腺外科に受診となります。
高プロラクチン血症
高プロラクチン血症とは、血液中のプロラクチン値が高い状態をいいます。プロラクチンとは乳汁をつくりだすために分泌されるホルモンで、妊娠すると分泌量が増えて血液中の値は高くなりますが、その他にも薬の影響、卵巣や甲状腺の機能異常や脳腫瘍などの影響でも高くなることがあります。
高プロラクチン血症になると、月経周期とは無関係に胸が張るようになり、乳首から乳汁が分泌されることもあります。
原因となる疾患によっては手術治療が必要となったり、そうでなくとも月経不順や不妊症の原因となったりすることがあるため、疑わしい症状がある場合には医療機関を受診することが必要です。
乳がん
乳がんの代表的な症状には、胸のしこり、乳腺の引きつったような感じ、血の混じった乳汁や分泌物の排出、乳房の陥凹や変形などがあります。
胸の張りが症状として現れることはあまりないといわれますが、乳房のしこりを胸が張ったように感じたりする場合があります。上述のような症状があるようなら早急に乳腺外科に受診をしてください。また、普段からセルフチェックとして、乳房の触診や観察を習慣づけるといいでしょう。
月経に関係なく胸が張る ―病院に行くべき?―

月経周期に関係なく胸が張る症状がある場合、どういう状態であれば病院に行くべきなのでしょうか。上述してきましたが、受診の目安や受診先について再度まとめて解説します。
胸の張りで病院を受診する目安
通常、月経が終わると胸の張りも落ち着きます。月経が終わっても明らかな胸の張りが3,4週間以上続いているような場合、あるいは下記のような症状があって病気の可能性が考えられる場合には、妊娠していないことの確認をしたうえで、一度専門科に受診をして相談をしてみるとよいでしょう。
《症状》
- 妊娠していないのに乳汁が分泌される
- 胸の張っている感じがわりと強い
- 痛みや発赤がある
- 膿状あるいは血液の混じった乳汁や分泌物が排出される
- 明らかなしこりを触れる
- 乳房のひきつれる感じがする
- 陥凹や変形がみられる
受診するなら何科?
産後授乳期間の急性乳腺炎以外は、胸の張りなどの関連症状で受診する先は乳腺外科になります。産後の急性乳腺炎については産婦人科または産科を受診してください。
乳腺クリニック、ブレストクリニックという名を掲げている場合もあります。近くに乳腺外科がないときは、外科あるいは産婦人科でも対応可能かもしれませんので一度相談してみてください。
まとめ

月経周期と関係なく胸が張る場合、その原因はホルモンの影響か病気か、のいずれか2つに大別されます。健康的で規則正しい生活をし、ホルモンバランスが整っていても胸の張り症状が続く場合や、上述の症状が認められる場合には、原因を特定し、早期治療を可能にするためにも早めに医療機関を受診することをおすすめします。
安心して毎日を過ごすためにも、日頃から自分の体の変化に敏感になっておきましょう。
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こちらの記事の監修医師
板橋中央総合病院
都築まどか
〇診療科 :産科・婦人科
【専門分野】
産科・婦人科一般
【専門医認定/資格等】
日本産科婦人科学会専門医
日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
日本産科婦人科学会 女性のヘルスケアアドバイザー養成プログラム修了
厚生労働省 臨床研修指導医養成講習会修了
厚生労働省 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
公益財団法人 日本医療機能評価機構 CVC研修会修了
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