最終更新日:2021年8月24日
更年期障害の症状を解説|更年期障害の原因や治療法は?病院を受診する目安や更年期障害の予防法もご紹介
こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
更年期障害は45歳から55歳頃に発症する病気です。
女性ホルモンや男性ホルモンの減少が原因で身体に不調がでるようになります。
特に女性は閉経後のホルモンバランスの変化で、更年期障害を発症する人が多いです。
身体のほてりやイライラ、不安感など、更年期障害の症状に悩んでいる中高年者は少なくありません。
今回は更年期障害の原因やさまざまな症状、治療法、受診の目安など幅広く解説します。
更年期障害の症状
中高年者の中には、自覚症状がなく体調不良だけを訴える人もいますので、具体的な症状について確認していきましょう。
症状は個人によって様々
更年期障害の症状は100種類以上にも及ぶといわれているほど大変種類豊富です。
更年期は誰にでも訪れるものですが、更年期障害の症状は人によって異なります。
ホットフラッシュ・関節痛や頭痛・イライラや抑うつなど精神的症状・集中力の低下など症状も重症度も人それぞれです。
そのためあまり他人とは比べずに、自分の更年期症状と向き合うことが大切です。
代表的な症状
更年期障害の代表的な症状は、大きく分けて3種類あります。
以下の情報を参考に具体的な症状を1つ1つ確認してみましょう。
血管の拡張と放熱に関する症状
・ほてり
・のぼせ
・発汗
・ホットフラッシュ
その他の身体症状
・めまい
・動悸
・頭痛
・冷え
・倦怠感
・肩こり
・関節痛
精神症状
・不眠
・抑うつ
・イライラ
・意欲の低下
ストレスが加わると重症化の恐れも
更年期症状は、ストレスが加わると重症化してしまう恐れもあります。
更年期障害になりやすい40代~50代は子どもの結婚や出産、親の介護など、ライフスタイルの変化が生じやすい時期でストレスを抱える人が多いです。
加えて女性だと、閉経することでホルモンバランスが変化するため、イライラや不安感を感じやすい年頃だともいえます。
生活の変化と身体の変化、双方からのストレスを感じることが、更年期障害を悪化させることにつながるでしょう。
ストレスを抱えやすい人は、日頃からストレス発散を心がけることが大切です。
更年期障害の主な原因
女性の更年期障害は、45歳から55歳あたりの閉経をはさんだ前後10年間に、エストロゲン分泌量のゆらぎが原因で発症します。
年齢とともに卵巣の機能が低下することによって、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく減少し、ホルモンバランスが崩れることが主な原因です。
エストロゲンが減少すると、もっと女性ホルモンを出すように脳から卵巣に指令が出ます。
しかし、卵巣の機能が低下したことでエストロゲンの分泌が上手くできず、ホルモンバランスが崩れてしまうことは避けられません。
するとホルモンバランスの崩れから更年期症状に繋がってしまうのです。
また男性でも更年期障害になる人はいます。男性の場合、主な原因は男性ホルモンであるテストステロンの低下が原因です。
しかしホルモンの減少だけが更年期障害の原因ではありません。
年齢などの身体的因子や心理的因子、人間関係・私生活などの社会的因子も加わることで、更年期障害の症状を発症する人が多くいます。
更年期障害の症状が発生する割合
更年期障害の症状が発生する割合は約7割から8割程度。その中でも、更年期障害と診断されるのは3割程度といわれています。
更年期障害の自覚症状は人によって様々ですが、中には自覚症状なしに更年期を終える人もいるということです。
更年期障害は男性に比べて女性の方が自覚症状を感じやすく、発症を確認しやすいといわれています。
女性は閉経を境に、身体の変化や更年期を自覚しやすいため、更年期障害にも敏感であることが多いです。
ただ敏感すぎて少しの体調不良で更年期障害を訴える方もいます。過度に不安を抱える心配はありません。
更年期障害の治療法
更年期障害の治療法は大きく3つに分けられます。
以下項目では、更年期障害の治療法について詳しく確認していきましょう。
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充治療法とは、エストロゲン(女性ホルモン)やテストステロン(男性ホルモン)を補うことで、更年期障害の主な原因にアプローチする治療法です。
飲み薬や貼り薬など治療で使用可能なホルモン剤の種類は豊富にあります。
保険適用の治療なので、少ない自己負担で更年期障害を改善できるためお勧めです。
ホルモン補充療法は、更年期の様々な症状に有効です。
・のぼせ
・ほてり
・発汗(ホットフラッシュ)
・不眠症状
・うつ症状
・分泌物の減少による性交痛
女性の場合、子宮内膜増殖症へのリスク増加を防ぐために黄体ホルモン(プロゲステロン)も一緒に投与することがあります。
副作用として不正出血・乳房のハリや痛み・おりものの増量などが考えられますが、治療開始1~2か月後には体が慣れて治まる人がほとんどです。
過去には乳がんのリスクが高まると噂されたこともありますが、現在は改良され、更年期症状へのメリットが多い治療法とされています。
症状にあった薬の服用
更年期障害の治療には、症状にあった薬の服用も効果的です。
薬の種類は漢方薬と向精神薬の2パターンあります。
心と体のバランスを安定させる働きを持つのが漢方薬の特徴です。
体力低下や冷え・貧血・不眠・のぼせ・動悸などの症状にアプローチします。
女性には当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸が処方されることが多く、「婦人科三大処方」とも呼ばれるほど更年期の女性にはぴったりの処方です。
男性には補中益気湯・八味地黄丸・葛根湯などが処方されることが多く、ゆっくりですが男性ホルモンの生産増加を促します。
向精神薬は、イライラ・抑うつ・不安感・意欲の低下・不眠などの更年期症状の中の精神症状を改善する効果があるのが特徴です。
一般的には抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などが用いられることが多いでしょう。
様々な更年期症状の中でも、精神面への症状が強い場合は向精神薬が適しています。
とはいえ誰にでも処方できるものではありません。薬の種類については医師の指示に従いましょう。
生活習慣の改善やカウンセリング
生活習慣の改善やカウンセリングも、更年期症状の改善に役立ちます。
睡眠や運動の習慣、食事の改善を心がけ、カウンセリングも受けましょう。
睡眠の改善
更年期症状の1つでもある不眠が続くと、不安感や抑うつなどの精神的症状の悪化にも繋がる可能性があります。
早寝早起きの習慣をつけることで、更年期の精神的症状が改善されるでしょう。
不眠で眠れない人や目が覚めやすい人は、睡眠導入剤を処方してもらうことをお勧めします。
運動習慣の改善
運動する習慣を身につけると血液循環が良くなり、自律神経のバランスの改善に繋がります。
ウォーキングやストレッチなど無理なくできる運動を継続しましょう。
ストレス発散やリラックス効果、さらには快適な睡眠にもアプローチし、更年期症状を緩和します。
食事の改善
主食・主菜・副菜のバランスが整った食事を心がけましょう。
さらに更年期には大豆食品を積極的に取るのがお勧めです。
特に大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモンに似た作用を持ち、エストロゲンと同じ働きをします。
豆腐や納豆などの大豆食品を取り入れ、バランスの取れた食事を心がけて、食生活を改善させましょう。
カウンセリング
更年期のためのカウンセリングを行っているクリニックもあるので、話を聞いてもらうのも更年期症状の改善によいでしょう。
カウンセリングでは精神的症状の辛さや不眠の悩みなど、更年期症状の悩みを具体的に相談してください。
専門家から適切なアドバイスをもらえるので非常に効果的です。また話を聞いてもらうだけでも気が楽になる効果もあります。
更年期障害の予防法
更年期障害の症状にまだ悩んでいないという人は、今からしっかり予防しましょう。
以下項目では更年期症状の予防法として挙げられる、生活習慣の見直しとストレスの少ない環境づくりの2つを紹介します。
生活習慣の見直し
更年期障害の予防には、以下3つを心がけた生活習慣の見直しがお勧めです。
・栄養バランスの整った食事をとる
・ウォーキングやストレッチ、軽い筋力トレーニングなどの適度な運動をする
・早寝早起きの睡眠習慣を身につける
上記は習慣化することで効果を発揮するため、無理なく始めて、継続するのが大切です。
生活習慣の見直しが心身ともに健康でいられることに繋がり、更年期障害の予防にも役立ちます。
ストレスの少ない環境作り
ストレスの少ない環境づくりも、更年期障害の予防にぴったりです。
一般的に更年期は、子供の結婚や親の介護などライフスタイルの変化によるストレスや職場や家庭でのストレスを抱えています。
ストレスが多いと更年期障害に繋がるため、ストレスを極力少なくする努力が必要です。
できる限りストレスは排除して、ストレスの少ない環境づくりに努めましょう。
しかし、どんな環境でも少なからずストレスを感じるものです。
ストレスを溜め込まないように、自分なりのリフレッシュ方法でストレス発散してください。
閉経前後から注意すべき病気
更年期症状だけでなく、閉経前後に注意すべき病気は他にもあります。
特に女性は以下の病気に注意しましょう。
・動脈硬化
・糖尿病
・脂質異常症
・高血圧
女性ホルモンであるエストロゲンは、体のあらゆる箇所の健康に必要なものですが、特に血管では重要な役割を担っているといえるでしょう。
エストロゲンが正常に分泌されていると、血中の悪玉コレステロールの増加を抑え、善玉コレステロールを増加させます。
そうすることで動脈硬化のリスクを自然と低減させるのです。
さらにエストロゲンの正常な分泌は、内臓脂肪の分解にも繋がっています。
しかしエストロゲンの分泌にゆらぎが生じる閉経前後は、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病へのリスクが高まります。
これらの生活習慣病は、脳梗塞や心筋梗塞などさらに重大な病気への引き金にもなりかねません。
長く健康に過ごすためにも、閉経前後は今まで以上に病気に気をつけましょう。
病院を受診する目安
以下の項目が当てはまる人は、早めに病院で診てもらいましょう。
早めに受診して治療することで、更年期症状の重症化を防ぐことができます。
日常生活に何らかの支障をきたす場合
日常生活に何らかの支障をきたす場合は、速やかに病院を受診することをお勧めします。
・更年期症状が重すぎて仕事や家事に支障がある
・寝込んでしまうほど辛い症状がでている
上記のように、普段通りに生活できなくなるとストレスが蓄積し、更年期の悪化だけでなく様々な疾患につながりかねません。
我慢せずに早めに受診することで、更年期症状の重症化を防ぐことができます。
更年期障害の不安がある場合
更年期障害への不安が大きい場合も病院を受診しましょう。
日常生活に支障は出ていないものの、更年期障害の症状がいつまで続くのか不安な人は多いものです。
症状を少しでも改善したいと感じていても思うように改善しなければ不安は膨らむ一方です。
不安を積み重ねるとそれがストレスになり、更年期症状の悪化にも繋がります。
更年期症状に関する不安な点があれば病院を受診して、相談してみるのがお勧めです。
まとめ
更年期障害は生活習慣を整えることで軽減できる場合もありますが、病院の受診が必要な場合もあり、人によって症状や重症度も様々です。
更年期症状を我慢しすぎたり無理しすぎたりせずに、まずは相談のつもりで病院を受診してみましょう。
まだ更年期症状に悩んでいない方は、いまからしっかり予防に努め、健康的な体作りを心がけましょう。
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こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師 :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業
日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品
【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)
2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。
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