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最終更新日:2021年8月24日

卵巣のう腫の症状を解説|受診・検査の流れは?卵巣のう腫の治療法や入院する場合の期間と費用もご紹介

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

卵巣は妊娠・出産に大きく関わる臓器であり、女性ホルモンを分泌する大切な器官です。

実は卵巣には腫瘍ができやすく、良性のものから悪性のものまで種類もできる原因も異なります。

今回は卵巣にできる腫瘍の中でも「卵巣のう腫」について、症状や検査の流れ、実際に行われている治療や入院にかかる費用まで幅広く解説します。

卵巣のう腫の症状

卵巣の腫瘍は女性であれば誰にでも起こり得る病気で、その多くは良性腫瘍です。

卵巣のう腫(卵巣嚢腫)もそのうちの一つとして知られています。

卵巣のう腫ではどういった症状が見られるのでしょうか。合併症や続発症についても確認しておきましょう。

主な症状

卵巣のう腫では、腫瘍のサイズが小さいと自覚症状がほぼありません。

他の卵巣疾患で見られる下腹部痛みや月経異常などの症状もなく、もちろん体の外から見ても変化はありません。

卵巣は骨盤に守られていること、そして片側の卵巣がもう片側の卵巣の働きを補うためホルモンに異常が生じないことが理由です。

しかし卵巣のう腫が大きくなるにつれ、少しずつ自覚症状が出始めます。

よくある症状はのう腫に近い直腸や膀胱を圧迫することにより生じる腹部の膨満感や下腹部・腰の痛み、便秘や頻尿です。

また卵巣のう腫が付近のリンパ管や静脈を圧迫する場合は下肢のむくみが生じることもあります。

下腹部が膨れる症状も珍しくありません。触るとしこりのようなものが確認できることがあります。

卵巣のう腫ができると卵管部分がねじれる茎捻転が起きるケースがあり、かなり強い痛みが出るほか吐き気を伴うことも特徴です。

またのう腫が破裂した場合も激痛が出るため、強い痛みに襲われたらすぐに医療機関を受診してください。

合併症・続発症

卵巣のう腫自体は良性でも、周囲にある臓器と癒着を起こしている場合は剥離する手術が必要です。

この手術では健康な臓器を傷つけてしまうリスクを伴います。

また左右の卵巣にのう腫ができた場合、のう腫部分だけ切除しても卵巣の機能低下を起こすケースが稀に見られます。

卵巣は女性ホルモンを分泌する臓器です。もし閉経する前に卵巣のう腫が発生し、摘出手術を受けた場合はホルモンバランスが大きく乱れます。

その結果更年期障害に似た症状が出ることも少なくありません。

なお、一般的には卵巣のう腫そのものが原因で不妊になることは少ないとされていますが、のう腫の種類によっては不妊のリスクがあります。

卵巣のう腫の種類と原因

卵巣のう腫は卵巣の中に液体や何らかの物質が溜まっている状態です。

内容物の特徴や発生原因によって4種類に分けられます。

漿液性のう腫

漿液というさらさらした液体が卵巣腫瘍の中に溜まることで発生するのが「漿液性のう腫」です。

漿液性のう腫は10~30代くらいの若い女性に多く、卵巣のう腫の中でも発生率が高いことが知られています。

無排卵月経によって起こる機能性のう胞と似ていますが、漿液性のう腫は自然に消退しないことが特徴です。

粘液性のう腫

腫瘍の中に粘度の高い液体が溜まってできる「粘液性のう腫」はすでに閉経を迎えている女性に多い腫瘍です。

悪性腫瘍との見分けが難しく、また肥大化しやすい傾向であり、破れると炎症を起こす危険性があるため切除が必要になります。

皮様性のう腫

毛髪・皮膚・脂肪・骨・歯などの組織が腫瘍内部に溜まっているのが「皮様性のう腫」と呼ばれる卵巣腫瘍です。

全ての年代に発生する可能性がある腫瘍ですが、閉経後に発生した場合は悪性腫瘍になる事例もあります。

チョコレートのう腫

子宮内にあるはずの子宮内膜が卵巣内にできてしまうのが「チョコレートのう腫」です。

変色した子宮内膜や古い経血の成分がチョコレートのように見えることからこの病名が付けられています。

30~40代くらいの女性に多く見られるチョコレートのう腫も、悪性になる可能性がある腫瘍です。

受診・検査の流れ

卵巣のう腫の疑いがある場合は医療機関を受診しましょう。

一般的な診察や検査内容についてご紹介します。

問診・診察

まずは症状について問診票に記入します。受診前に気になることをメモしておくとスムーズです。不安なことがあれば遠慮せず医師に質問しましょう。

問診のあとは診察です。内診と腹部及び経膣超音波(エコー)検査、必要に応じて細胞診を行います。

これらの検査によって卵巣のう腫やそれ以外の腫瘍、悪性腫瘍などの異常がないか確認します。

精密検査

問診・エコー検査により卵巣のう腫を含む異常が確認された場合、精密検査を実施します。

検査内容は腫瘍マーカー(血液検査)・尿検査・MRI・CTなど症状によって様々です。

精密検査で腫瘍が良性か悪性か判断し、最適な治療方針が決定されます。

治療法

卵巣のう腫が見つかったからといって必ずしも治療するわけではありません。

医療機関での検査の結果、治療が必要な卵巣のう腫だと診断されれば治療を開始します。

良性腫瘍の場合

良性の卵巣のう腫の場合、小さければ経過観察となることもあります。

しかし自然に消えることはなく消失させる薬もないため、除去が必要であれば手術をする以外に方法はありません。

術式としては開腹手術が一般的でしたが、近年では腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)によって体への負担を最小限に抑える術式が増えています。

不妊の原因になる他臓器との癒着の可能性が低く、術後の傷が目立ちにくいことがメリットです。

腫瘍の状態や既往症によっては腹腔鏡手術が難しいこともあるため、担当の医師に相談してみましょう。

いずれの手術でも、卵巣や卵管を全て摘出するか部分切除にとどめるかを選択することができます。

今後妊娠を希望する方は医師や家族の意見も聞きながら慎重に決めてください。

境界悪性腫瘍の場合

境界悪性腫瘍は卵巣の組織検査によっても良性・悪性が明確に判断できない状態です。

卵巣の切除を避けたい方は、良性・悪性どちらでもないなら温存治療を望むかもしれません。

しかし医学的には「悪性」として治療を進めていくことになります。

基本的な治療法は切除であり、場合によっては一部温存することも可能です。

術後は悪性腫瘍と同じく化学療法を行うケースもあります。

悪性腫瘍の場合

発見された卵巣のう腫が悪性だった場合、進行具合に関わらず手術を行います。

卵巣や卵管はもちろんリンパ節・腸管・腹膜など転移している臓器も含めた切除術で、基本的には開腹手術です。

また術後は抗がん剤による化学療法が必要となります。再発防止のためにも重要な治療です。

腫瘍発見時の症状の程度によっては、手術前に化学療法を実施することもあります。

たとえ悪性腫瘍でも、将来妊娠・出産を望むならそれを踏まえた治療ができる場合があるため、担当医と相談しながら進めていきましょう。

再発した場合に他臓器への転移が認められると、症状緩和や予後を良くするために放射線治療が検討されます。

入院期間と費用の目安

治療のための入院期間の目安は腹腔鏡・開腹いずれでも約1週間~10日前後です。

費用については卵巣のう腫の状態や治療法によって前後します。

健康保険適用の3割負担の方の自己負担額は、おおよその目安として以下の通りです。

・診察や検査にかかる費用:2~6万円程度

・卵巣のう腫の手術費用:20~40万円程度

・薬の処方代:月額5,000円程度

卵巣のう腫の治療にかかる費用は高額療養費制度の対象になります。これは月毎の自己負担額に限度額が設けられる制度です。

適用資格など詳細については医療機関や専門窓口に事前に確認しましょう。

早期発見のポイント

卵巣のう腫はその他の腫瘍と同じく早期発見が肝心ですが、のう腫が小さいうちは症状がほとんどないため自分で見つけるのは非常に困難です。

異常を自覚したときにはすでに病状が進行していた、ということも少なくありません。

早期発見のためには定期的に検診を受けることが重要です。かかりつけ医を持ち、半年~1年に1回は婦人科検診を受けましょう。

婦人科の診察や検査は心身ともに負担があり、できるだけ避けたい方も多いでしょう。

しかし少しでも違和感がある場合はためらわず医療機関に相談してください。

予防や治療後の注意点

卵巣のう腫などの卵巣腫瘍は、年齢に関係なく女性であれば誰にでも発生する可能性がある病気です。

珍しい病気ではないにもかかわらず発生原因はまだ特定されておらず、確実に予防する方法はありません。

低用量ピルを使用して月経をコントロールすることが予防につながるという見解もあるため、気になる方は医師に相談してみましょう。

卵巣のう腫は病状が悪化するまで自覚症状が無いことも多く、早期発見が難しい病気です。

定期的に検診を受けて自分の体の状態を把握しておくことが結果的に予防につながるといえます。

また生活習慣を見直して健康を保つことも、卵巣のう腫のリスクを下げるという観点から大切です。

喫煙や過度の飲酒を控え、食生活や運動習慣を見直して適正な体重を保ちましょう。

なお治療後も再発の可能性があり、治療していない側の卵巣にのう腫ができることがあります。

やはり定期検診を欠かさず受けることが何よりも重要です。

まとめ

初期の卵巣のう腫は自覚症状がなく、見た目にも分からないため発見が遅れがちです。

しかし進行すると下腹部を中心に症状が出始め、放っておけば茎捻転や破裂が起こる可能性もあります。

卵巣のう腫を疑う症状が見られたら、ぜひ検査を受けてください。万が一手術が必要になった場合でも、早めの治療がその後を左右します。

治療費は決して安くありませんが公的な制度を活用することができますので、まずは体を優先してください。

毎月の月経に変化が出ないため、なかなか気付けないのが卵巣のう腫の特徴です。

生理が順調だから異常がないという思い込みは避け、生活の中で少しでも異常を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。

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こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。

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