最終更新日:2022年5月25日
歯茎から大量に血が出るのは病気のサイン?疑われる原因と対処法

こちらの記事の監修医師
昭和大学臨床薬理研究所 昭和大学統括研究推進センター
龍 家圭(りゅう かけい)

歯茎からの出血にはいくつかの理由が考えられますが、大量に血が出るのであれば注意してください。歯周病などの病気が原因として考えられます。また、白血病などの病気によって出血が止まりにくくなっている可能性もあります。歯茎から大量に血が出る原因と病院に行く基準についてまとめました。
歯茎から大量に血が出るケースの多くは歯周病が原因

歯磨きの力が強すぎて歯茎から出血してしまう場合もありますが、大量に血が出たときは歯周病の可能性が高いです。優しく磨いても血が出るとき、頻繁に出血するときは歯周病を疑いましょう。
歯周病は細菌によって歯茎に炎症が起こり、歯の周辺の骨が溶ける病気です。骨や歯茎による支えを失えば、歯はぐらつき、最終的には失われてしまいます。歯周病は歯を失う主な原因のひとつなので注意してください。
歯周病の原因
歯周病にかかる原因は口の中の細菌です。歯磨きが不十分だと細菌の塊である歯垢(プラーク)が口内にできます。そして、それらの細菌は歯と歯茎の隙間にある歯周ポケットへと進んでいきます。歯周病の原因になる細菌は毒素を作り出し、その毒素が歯茎に起こる炎症の原因です。
正しい歯磨きによる歯垢の除去が、歯周病予防になります。
歯周病の治療法
歯周病になってしまった場合、その進行度によって治療法も変わります。
例えば、初期症状のみが見られる段階であれば、セルフケアで改善が期待できるケースもあります。ただし、歯磨きの方法が間違っていると、歯周病の原因である歯垢は取り除けません。
歯科医院で歯周病の状態を確認してもらい、ブラッシングの指導を受けましょう。状態次第では歯茎や歯垢、歯石などのクリーニングも行いますが、炎症がおさまっているなら定期的な検査とメンテナンスを続けていきます。
一方、歯周病の症状がすでに悪化しており、通常のクリーニングだけだと歯垢を除去できないときは手術や抗生物質の処方も必要です。初期段階の治療に比べて時間もかかるため、悪化する前に歯科医院を受診するようにしてください。
歯周病を放置するリスク
歯茎からの出血は歯周病の初期症状のひとつです。たとえ出血の量が少なくても、歯周病を放置するのにはリスクがあります。
歯周病が悪化すれば歯を失う可能性もありますし、糖尿病の悪化や、感染性心内膜炎といった心臓病など、全身の病気リスクも高くなるので注意してください。
セルフケアにより悪化しないようにすることはできても、基本的に歯周病を自分だけで治すことはできません。治療しなければ徐々に悪化していく可能性が高いため、放置せずに歯科医院で診てもらいましょう。
自宅でできる歯茎からの軽い出血の対処法

歯茎からの軽い出血の場合、歯周病の初期段階の可能性もあります。また、歯周病が進行していても、自宅でのケアは重要です。歯茎から出血があったときの自宅でできる対処法について説明していきます。
【自宅でできる歯茎からの軽い出血の対処法】
- 正しい方法でブラッシングする
- デンタルケア用品を見直す
- 生活習慣を整える
正しい方法でブラッシングする
歯周病の状態を悪化させないためには、正しい方法でブラッシングすることが大切です。歯垢が残っていると炎症も続いてしまいます。正しい方法で毎日の歯磨きを行って、歯垢を溜めないようにしましょう。
ただし、子供のころに歯磨きを習っていたとしても、大人になり歯が生え変わると、歯の位置が変わり、顎が大きくなったことにより、ブラッシングの方法は変わります。また、ブラッシングの癖で磨き残しができやすい可能性もあります。大人になってから歯磨きを習っていなかったり、症状が出て不安なときは歯科医院で指導を受けてください。
デンタルケア用品を見直す
歯ブラシでは届きにくい箇所もあり、歯と歯の間、歯と歯茎の隙間などには歯垢ができやすいです。そのため、歯間ブラシ、デンタルフロスなどのケア用品も併用しましょう。
また、市販の歯磨き粉には歯周病の予防、炎症の抑制を期待できる成分が配合されているものもあります。
普段使っている歯ブラシや歯磨き粉などもあわせて見直すことをおすすめします。
生活習慣を整える
生活習慣の乱れによって歯茎が弱っていても、出血しやすくなります。歯茎からの出血が気になるときは、普段の歯磨きだけでなく、生活習慣にも気を配りましょう。
毎日の十分な睡眠、バランスの良い食事、ストレスを溜め込まないことなどが重要です。
加えて、タバコを吸う場合は禁煙することも考えてください。
タバコに含まれる成分は血流を悪くするため、歯周病による歯茎からの出血や腫れが分かりにくくなります。結果として歯周病に気づくのが遅くなり、治療も遅れてしまいます。
喫煙の習慣があると治りも遅くなるので禁煙するようにしてください。
虫歯の進行で歯茎から大量に血が出ることもある?
歯茎から大量に出血したときは歯周病の可能性が高いですが、虫歯によって血が出ることもあります。初期の虫歯であれば歯茎から血が出るケースは少ないです。しかし、虫歯の状態が進行しているなら、虫歯になっている歯の下から出血することがあります。
また、虫歯と歯周病を併発していることも考えられるため、歯茎から大量に血が出るときは早めに診察を受けましょう。
服用薬によって歯茎から血が出やすくなるケース

抗てんかん薬、高血圧治療薬を服用している場合、歯肉肥大という歯茎が腫れあがったような形になることがあります。この場合、歯茎に歯垢が溜まりやすく炎症になりやすいため、簡単に出血することがあります。
また、心筋梗塞、脳梗塞などの病気で抗凝固薬を服用している場合、その薬の作用で歯茎から出血するケースも稀にありますが、通常はすぐに止血されます。
抗凝固薬を使っているから歯茎から出血していると思い込んでいて、実は歯周病が進行していたというケースが困りますので、このようなお薬を服用されている方は定期的に歯科医院でチェックしてもらいましょう。また、その際にはどのようなお薬を服用されているか歯科の先生に必ず伝えてください。
白血病や糖尿病でも歯茎から大量に血が出る?

歯周病などの口の中の病気以外では、白血病や糖尿病などの病気で歯茎から大量に血が出ることもあります。歯周病に比べると可能性は低いものの、どちらも命に関わる病気なので注意してください。
まず白血病の場合、血を止める役割を持つ血小板の量が減少するため、出血しやすくなります。
一方、糖尿病で注意したいのが免疫力の低下です。糖尿病によって血糖値が上昇すると白血球の働きが鈍くなり、免疫力が低下した状態になります。
その状態で歯周病になると通常よりも症状が進行しやすく、そのせいで歯茎から大量に出血している可能性も考えられます。もし歯茎からの出血以外の症状もあるなら、医療機関で診てもらってください。
歯周病は歯科医院で検査できます。歯周病でない場合もほかの病気の早期発見に繋がるため、少しでも早い受診が重要です。
子どもの歯茎から大量に血が出たときの注意点
歯周病と聞くと成人がかかる病気というイメージがありますが、子どもでも歯周病になります。歯周病は痛みがないことも多く、自分で気がつきにくい病気です。
子どもの場合、歯を失うほど症状が進行することは少ないものの、知らないうちに悪化してしまう可能性はあります。特に子どもは歯磨きを十分に行えていないケースも多いです。
歯磨きの仕方が悪いと虫歯にもなるので、子供本人も保護者の方も一度、歯科医院でしっかりと正しい歯磨きや仕上げ磨きについて指導してもらうことが重要です。
歯茎から血が出たときに病院に行く基準とは?

歯磨きの際の力が強くて歯茎から出血しただけであれば、病院へ行かずに自宅で様子を見ても大丈夫です。その一方で、次のようなケースでは医療機関の受診も検討してください。
歯磨きの度に血が出る場合
一度だけでなく、歯磨きの度に出血するなら歯周病が疑われます。歯周病だと歯茎から血が出やすい状態が続きます。繰り返しになりますが、歯周病を治すには原因である細菌の除去が重要です。
初期段階の歯茎の炎症は自宅でケアすることもできますが、症状が2週間経過しても改善しないときはクリニックで治療を受けましょう。
また、血が出る場合も歯磨きは必要です。出血を避けるために触らないようにブラッシングすると、歯垢が残りますし、歯茎の炎症を抑えることもできません。
出血の量が多く、止まりにくい場合
歯茎からの出血量が多く、血が止まりにくいときも医療機関で診てもらいましょう。大量に出血する場合、病気や薬の作用によって血が止まりにくくなっていることも考えられます。
白血病や糖尿病などの命に関わる病気もあるので要注意です。
出血以外の症状もある場合
歯茎からの出血のほかにも症状があるときは、歯周病以外の病気の可能性があります。例えば、白血病であれば歯茎以外にも鼻血や皮下出血のような出血傾向が見られます。
歯茎から大量の出血があるならまずは歯科医院を受診して、その際にどのような症状があるかを伝えましょう。
歯茎から大量に血が出るのは「歯周病」の可能性が高い|悪化する前の早めの治療が重要

歯茎から大量に血が出る主な原因は歯周病です。歯周病は放置すると歯を失ったり、別の病気になるリスクが高まったりするので、悪化する前に治療を受けましょう。歯周病を治すためには歯科医院での治療と自宅でのセルフケアの両方が必要です。
また、白血病などの病気で歯茎から大量に血が出るケースもあります。いずれの場合も歯茎からの大量出血を放置するリスクは高いので、早めに医療機関を受診してください。
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こちらの記事の監修医師
昭和大学臨床薬理研究所 昭和大学統括研究推進センター
龍 家圭(りゅう かけい)
〇診療科 :歯科
【経歴】
2021/09 - 現在 カロリンスカ研究所 臨床科学・介入・技術部門 バクスターノバム部門 研究員
2018/09 - 現在 昭和大学 臨床薬理研究所 講師
2014/04 - 2018/08 昭和大学 臨床薬理研究所 助教
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