最終更新日:2021年12月28日
忙しい人は要注意…年末年始に「突然」歯が痛くなるワケ

こちらの記事の監修医師
吉田 格

年末年始は、日本人にとって健康度を試されるような過酷な時期です。多忙な師走を駆け抜け、カラダに不調をきたしやすいこのタイミング。「歯の不調」も例外ではありません。今までなんともなかったのになぜ急に痛みがでるのか、そしてその対策について、吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックの吉田格代表が解説します。
目次
休日歯科診療所がもっとも忙しい時期…実は年末年始
1年のうち休日歯科診療所がもっとも忙しいのが年末年始、12月31日から1月3日までの4日間です。
普段の休日はそれほどでもありませんが、この時期は特別忙しくなります。私も元旦の休日診療に携わったことがありますが、普段そうそう診ることがないひどい痛みや腫れを持った人が集中します。
過酷な日本人の年末年始
年末年始は、日本人にとって健康度を試されるような過酷な時期です。
師走と言われるだけあって多くの人は仕事に追われ、そこに忘年会?クリスマス?お正月、と畳みかけるように暴飲暴食の機会が訪れます。
昨年は感染症の影響で忘年会ができず、今年はそのリベンジとばかり飲食の量がさらに増えている人も多いようです。
そうすると胃腸の負担と共に、必然的に睡眠不足とアルコールによる免疫の鈍化がおきます。その影響のひとつが、普段から放置しておいた慢性炎症の悪化。代表的なのが歯の周りの感染で、これが急激な歯の痛みの潜在的な原因です。
実際、腫れて膿がでている状態とはこの動画のような状態です。
慢性と急性
慢性と急性という言葉を、何となく聞いたことがあるでしょう。慢性とは簡単に言えば、細菌感染はあるものの白血球が頑張っていて、細菌が増殖しても処分している状態です。プラスマイナス0で、均衡がとれているわけです。
一方急性とは、慢性が続いていたものの疲労やストレスで免疫(白血球)の動きが落ちてきたり、細菌の方が優勢となった結果、細菌がつくる毒素(炎症を起こす物質)の影響が強く出て、痛みや腫れが出現した状態です。
つまり慢性と急性は表裏一体で、原因は同じということです。
人の体は少々の異常があっても、自覚症状が出ないように作られています。体はあなたに仕事や遊びを楽しんでほしいので、異常があってもわざと黙っていて、あなたの知らない所で頑張って細菌を処分しているのです。なぜなら体はあなたのことが大好きだからです。
しかしそれもいつまでも……というわけにはいきません。その好意に甘え続けていると体もさすがに耐えられず細菌の方が優勢になり、ひどい腫れや痛みが出現する、つまり急性になります。
そこであらかじめ体の声を聴き、翻訳してあなたに伝えるのが私たちの仕事というわけです。
ストレスと免疫の関係性
ストレスが長期間加わると、脳の視床下部と下垂体という所から副腎(腎臓の上にある小さな臓器)に向けて、コルチゾールという「ストレスに抵抗するホルモン」を分泌するよう指令がでます。この経路をHPA軸といいます。
現代人は常にじわじわとしたストレスに曝されていますから、コルチゾールが四六時中放出される傾向にあります。そこにさらに急なストレスが加わると、お馴染みのアドレナリンが分泌されます。
実は両者とも多すぎると、免疫を鈍らせることがわかっています。さらにコルチゾール分泌が長期間続くとHPA軸が機能不全となり、今度はコルチゾールが出なすぎて、元気がまったくなくなります。
これが最近良く聞く副腎疲労という症状で、現代人の不定愁訴の大きな一因と考えられています。アルコールも睡眠不足も同様に免疫を鈍化させますから、これらが重なるとどうなるかは、もうおわかりでしょう。
「治療の先延ばし」が運命の分かれ道
最近では歯科でもCTが普及してきたので、歯の周りの病変は容易に発見できるようになり、しかも患者さんにも見やすく説明できるようになりました。
解りやすいCTの動画を用意しましたので、ご覧ください。根っこの先に黒く写っているのが病変で、歯に付着している細菌から毒素が放出され、骨を破壊しオデキができている状態です。
膿が増えても出口がない場合は内圧が高まり、これが痛みになるという理屈です。慢性の状態で発見されればラッキーです。放っておいても決して良くなることはないので「このままではいずれ困ったことになりますよ」と治療を促します。
ところが「忙しい」とか「様子をみる」とか言い、治療を先延ばしにしようとする人がいます。もうお気付きでしょう、ここが運命の分かれ道です。
抗生物質はあくまでも「一時しのぎ」
痛みが出ても抗生物質を飲めばとりあえず腫れは引き、一時はしのげます。ただしこれは急性が慢性に戻っただけで、原因はそのままです。
そのため「ちゃんと治療に来てくださいね」と言うのですが、痛みが引けば自己判断で勝手に治ったことにして、来なくなる患者さんも多いのです。
その抗生物質ですが、実は血流があるところにしか効きません。だから血流があって腫れている歯肉には抗生物質が届き、腫れは一時的に収まりはします。
しかし原因(感染源)は歯に付着していて血流がありませんので、抗生物質は届きません。さらにそんなときにカゼなどのウィルスが入ってくると、全身に非常警報が鳴っているわけですから、免疫は歯の周りの細菌にかまってられなくなります。
すると歯の周りの細菌はここぞとばかりに増殖しだします。これが急性で、痛みや腫れが急激に出現する理由です。
以上のようなことがまとめて起きやすいのが、年末年始というわけなのです。
病いは一日にしてならず
神様は人を、健康に悪いことを「楽しい」と思うように創ってしまいました。ストレスを飲食で解消する文化が根付いた現代人は、このことを肝に命じなくてはなりません。
また日本には健康保険制度がありますので、どうしても「悪くなっても医者が治してくれる」と勘違いしやすくなっています。自分自身のことなのに、どこか他人事なのです。
健康保険は戦後間もない頃にできた制度ですから、復興のために「病気の心配などせず真っしぐらに働いてください」という思いで作られたのだと思います。
それが日本の経済成長を支えてきたことは間違いないと思いますが、この成功体験が今裏目に出ていないでしょうか。私たちから「自己防衛」という意識を奪ってしまったのではないでしょうか。
お金だけでなく、健康もまた重要な資産であるという根本的なことを認識し、健康にも積極的に投資していただきたいと思うのです。
病いは一日にしてならず、かかりつけの歯科医院を決めて、早めに未来予測をしてもらうことが、年末年始を安心して過ごす鍵といえるでしょう。
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こちらの記事の監修医師
吉田 格
幅広い知識・技術を中立的な立場から提供する、歯科自由診療専門医。
レーザー・顕微鏡・栄養療法を歯科医療に取り入れ、健康保険だけでは解決困難な治療を手がける。
1985年 日本歯科大学新潟歯学部卒
1997年 吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック開設(東京都中央区)
【所属】
日本レーザー歯学会 (認定医 理事)
日本顕微鏡歯科学会 (認定指導医 理事)
日本抗加齢医学会(指導医)
臨床分子栄養医学研究会(認定指導医)
他
【著書】
インプラントのすべてがわかる本(保健同人社)
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