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最終更新日:2022年6月4日

銀歯じゃなくて「白い歯」で治したい!実はいろいろある、「白い材料を使った歯科治療」の受け方

こちらの記事の監修医師
吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック
吉田 格

(写真=PIXTA)

白い歯ってイイですよね!

奥歯の治療をしたら銀歯になっちゃってガッカリ…というのは昔の話。今は健康保険でも多くのケースで白い歯を選ぶことができるようになり、見た目の悩みはだいぶ解消されています。

[写真1]白い人工歯に交換するだけでこんなに印象が変わります

これなら自由診療ではなく健康保険でも大丈夫? いやいや、そう簡単には行きません。

白い材料を使った歯科治療にはとても多くの種類があります。そう、実は健康保険で使える材料と、自由診療で使える材料とでは、見分けはつきませんがまったく違うモノなのです。

それに材料以上に重要なのが、患者さんには見えない「治療のやり方」の差。これは最終的に「再治療までの期間」や「再治療になったときの難易度」に大きく影響します。

何にしても技術の大きな進歩にトラブルは付きもの。とてもわかりにくい、歯を治す材料や方法の差異についてお話します。

「白い歯の“材料”」はたくさんある

人工の歯の材料やそれを使った方法とは、ムシ歯の規模・欠損の位置・噛み合わせの強さなどで決定されるのですが、ここではわかりやすく、材料の種類についてご紹介します。

①コンポジットレジン

主に小規模なムシ歯の穴にコンポジットレジン(よくCRと略されます)と呼ばれるペースト状の材料を直接詰め(充填と言います)、口の中で歯の形に整形したのち、光で固めて治す方法です。これについては下で詳しく説明します。

この治療はすべて口の中で直接作業をしますが、ここから下の説明は「型取り」をして、外部で作ったものを後でセメントで装着する工程のものになります。冠(クラウン)を被せるための治療はすべてこの型取りをする方法で行います。

 

②ハイブリッドレジン

型取りをし石膏で歯の模型を作り、その上で上記のコンポジットレジンを盛り付けて人工歯を作ります。

材料はほぼ同じコンポジットレジンなのに呼び名を変えているのは、旧来よりコンポジットレジンは安くてすぐにダメになる治療と考えられていたため(本当はその逆なのですが)、イメージが重ならないように、当時流行りだったハイブリッドという名で呼ぶようにしたからです。

小規模な治療ならともかく、冠を被せる治療となると、以下の材料に比べて減りやツヤの消失が早く、この方法はあまり使われなくなりました。

しかし現在はコンポジットレジンを工場でしっかり固めたブロックを機械で削り出して作る方法が主流となり、健康保険でも取り扱われるようになりました。

最も強度を必要とする一番奥の歯(第二大臼歯)とブリッジ治療には使いにくいのですが、きちんとした工程を踏んだ治療であれば、良好な結果が予想されます。

それでもツヤは比較的早期になくなる傾向にあり、色調は透明度がなくベタな感じなので、前歯にはあまり使いません。

 

③ガラスセラミック

昔はセラミックの歯というと、陶芸で使うような粉剤を水で溶いて焼き上げて作るものを指しました。

これはたいへんに美しく、本当の歯と見分けがつかない自然な歯を作るのに適しているのですが、いかんせん脆いために別に金属などをベースにする必要があり、今では前歯など見た目を重視する治療に限られた方法になっています。

近年セラミックの歯と言えば、上記のハイブリッドレジンと同様にガラスセラミック製のブロックを削り出して作るのが主流です。

設備が整っていれば1~2時間後には人工歯を完成させることができるので、患者さんには大きなメリットとなります。ただしこの方法にも落とし穴がありますので、また下でご説明します。

この材料は強度が自分の歯と同程度であることから、長年使っても減り方が均一であることを評価する先生もいますし、色調も下で紹介するジルコニアよりも良好です。

なおガラスセラミックと言ってもかなり種類があり、それぞれに特徴があるのですが、ここでは割愛いたします。

 

④ジルコニア

[写真2]ジルコニア

ジルコニアはセラミックの一種ではあるのですが、まったく性格が異なりますので、便宜上独立して取り上げます。

この材料は最も強度と耐久性があり、上記のガラスセラミックにはできないブリッジ治療にも安心して使えます。そのため自由診療の中ではガラスセラミックと人気を二分しています。

強度はあるのですが加工がたいへん難しく、十数年前に登場したときはまだ精度が悪く、境目がよく合わなかったり、ユルユルなものしかできなかったりと、けっこうガッカリしたものでした。

ところが最近の技術進歩は目覚ましく、今ではとてもピッタリしたものが安定して仕上がるようになりました。

こちらもジルコニア製のブロックを削り出して作るのですが、あまりにも硬いので最初は加工できる程度の硬さのものを削り、その後で高熱を加えて強度を出すという工程を踏みます。

また色は基本的にチョークのように真っ白で、後で色付けをしないと不自然で歯として使えません。

これらの工程を踏むために、即日完成はちょっと難しくなります。そのため妥協案としてガラスセラミックを選ぶこともあるようです。

固すぎるので噛み合わさる相手になる歯を損傷させやすいと言われますが、私の経験では問題になったことはありません。

白い歯の材料はこの他にもまだあるのですが、これから治療を受けられる方は以上の4種類を知っていれば良いでしょう。

正確な治療に必要な「歯肉圧排(しにくあっぱい)」とは?

このような治療方法の変革は、コンピュータ上で設計された歯の形を正確に削り出すCAD/CAM(キャドキャム)という装置のおかげです。

さらに最近ではIOSと呼ばれるスキャナー(3Dカメラ)を使い口の中で歯の形を直接計測する方法が普及しはじめ、従来の粘土のような物を口の中で固める工程が不要になりました。

動画1はその画面ですが、バーチャル空間に歯の情報が現れるわけですから、けっこう不思議な感じがします。

[動画1]スキャン画面のビデオ

まだまだ高価な機械ですが、今後健康保険でも使える時代が来ることでしょう。

ただしこのIOSにも欠点はあります。最も問題なのが「歯肉の中」の計測が苦手ということです。自分の歯と人工歯の境目(マージンと言います)が歯肉の中にあるとスキャナーの光が届かず情報が欠落する、つまり長さの足りない人工歯ができてしまうのです。しかもそれがPC画面上では確認しづらいのです。

これは従来からの粘土のような型取り剤でも同じなのですが、IOSではさらに難しくなります。そのため型取りの前には歯肉圧排(しにくあっぱい)と言って、細い糸を歯肉の中に挿入することで歯肉と歯の間にわずかな隙間を作り、マージンがよく見える状態を作り出す工程が不可欠になります。具体的には動画2のようになります。

[動画2]歯肉圧排

IOSでの場合は糸だけでは不十分なことも多く、レーザーで歯肉整形するなど、さらに特殊な技術が必要になります。

歯肉圧排はそこそこ時間がかかる工程で、歯肉に炎症があると出血してさらに型取りが難しくなるので、特に健康保険では省略される傾向が強いのですが、正確な人工歯を作るためには不可欠なので、良い治療の必須条件として患者さんには覚えておいてもらいたいことです。

歯肉圧排は型取り前に歯肉を触りちょっとチクチクしますので、麻酔をしていなければ、ご自身でもすぐにおわかりになると思います。

また歯肉圧排以外にも、ムシ歯の取り残しがない・削り過ぎにならないなど、丁寧な治療を心がけることが良好な予後のポイントになります。

できれば顕微鏡を使って治療をしてもらい、治療中のビデオを見せてもらえれば安心でしょう。

要は「何を使うか」ではなく「どう使うか」です。

白い歯にまつわるトラブル

このような技術革新に伴い、さまざまな誤解やトラブルもあるのでまとめてみます。

■銀歯を悪者にする白い歯商法

白い歯は患者さんにとって魅力的であると同時に、歯科医院では新たな需要増を見込めるものです。そのため金属の撤去を積極的にすすめる歯科医院は多くあります。

しかし金属を使った治療に対し誤った情報を与えているところもあるので、要注意です。

よくあるのが、金属はアレルギーの原因になるので外して白い歯に交換しましょうというもの。確かに健康保険で使われるパラジウムという金属は、安全性を疑問視する報告*があります。

 *参考 https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2021.736936/full

これは確かにあるかもしれませんが、ただちに治療を促すには不十分なので保留です。

私が最も問題と思うのが「銀歯(金属)は中がすぐムシ歯になるからセラミックに交換しましょう」という白い歯商法です。

写真3は金属が脱離してきた直後のもので、中が広くムシ歯になっているのがわかります。これを見るとそう思えてしまいますし、実際このようなケースはたくさんあります。

[写真3]金属が脱離してきた直後の様子
中が広くムシ歯になっていることがわかる

しかしそれは金属製だからというわけではありません。配慮が足りなく精度(ピッタリ度)の悪い金属を昔の弱いセメントで着けていた結果、数年のうちにセメントが崩壊し、その隙間にプラークが圧入された結果にすぎません。正しく作られたものであれば、このようなことはありえません。

残念ながら健康保険治療は低予算のため時間をかけて配慮した治療は難しく、このような結果が散見されます。これはやり方(技術)の問題なので、材料だけ変えても解決しません。しかしそれを金属のせいにしているのはおかしな話です。

セラミックスだからムシ歯予防になるということはなく、精度が悪ければ何を使っても予後不良になることを知っておきましょう。

■短期間での脱離

これらの治療法が実用化したのは、接着剤の性能が飛躍的に向上したことも大きな理由です。

歯と人工歯との接着は非常に難しいもので、その理解に乏しかった治療は早期に脱落する傾向にあります。現在、健康保険で起きている白い人工歯のトラブルの多くはこれなのだそうです。

新しい材料を正しく使う情報がまだ伝わっていないことが原因と考えられますが、今後は収束して行くものと思われます。

■短期間での破損

これは当初から懸念されていたことですが、白い人工歯は硬い反面脆く、金属ではありえない破損が度々見られます。

写真4は「1日で治る」というネット広告に惹かれ、旅行ついでに遠方にまで行って治療した結果です。

[写真4]短期間での破損

確かに設備さえあれば白い人工歯は1日で入りはします。しかし決して終わりではありません。

治療の前には必ず診査診断があって、その結果ご相談があり、治療が終わってからも調整し続けなければ、長く使うことはできません。

このようなトラブルは「かける時間(配慮)は健康保険と変わらず、材料だけ白く変えた自由診療」でもよく発生します。

一発完成ですから「仮の歯でお試し期間を過ごして問題点を発見する」という工程はすべて省略され、その分別な配慮が求められます。

さらに詳しいことは以下に書きましたので、ぜひご参照ください。

■「セラミック矯正」は細心の注意を払って決断を

果たしてこれを矯正と呼んでいいものか、それ以前に治療と言っていいのか、たいへん疑問な結果になりやすい治療(?)があります。それが俗に言う「セラミック矯正」です。

ワイヤーやマウスピースを使いある期間に歯全体を動かす矯正ではなく、健康な歯を大きく削り、また多くの場合神経を取り(抜髄と言います)、人工歯を並べることで表面的な歯並びと色調を短時間で解決しようとするものです。

しかも最近はIOSとCAD/CAMのおかげできわめてスピーディーになり、特に若い女性が選ぶ傾向にあります。

セラミック矯正はもちろんちゃんとやれば悪いわけではなく、何がなんでも短期間に整然とした歯並びに変える必要がある人がいるのもわかります。しかしあまりに稚拙で、患者さんの足元しか見ていないような結果が目立つのがセラミック矯正の現状です。

写真5は前歯を含めて8本の健康な歯を大きく削り、歯並びと色をセラミックを被せることで解決しようとした結果です。確かに一見綺麗な人工歯が入っています。しかし唇をめくると、歯肉が真っ赤に腫れ上がり(写真5の上半分)、痛くて歯ブラシがかけられないとのことです。

[写真5]セラミック矯正:一見綺麗な人工歯が入っているが…
上の写真では歯肉が真っ赤に腫れ上がっている

セラミック矯正は治療結果を急ぐあまり十分な診査診断や前準備がなされずに行われていることが多く、聞けばこのケースも非常に短期間で完了したもの、リスクについての説明もありませんでした。また歯の神経はすべて除去(抜髄)されており、レントゲンを撮ると予後に大きな不安を残す状態が写っていました。

歯肉の中を顕微鏡で観察すると、セメントの取り残しや、セラミックのマージンが合っていない状態が確認できました。

歯肉に麻酔をしてセメントをできるだけ除去すると1ヵ月後には炎症が引き(写真5の下半分)、なんとか痛みもなく歯を磨けるようになりましたがこれが限界です。

このような結果に遭遇するのは、若くて経験の乏しい歯科医師を安く雇い、短期間に設備投資の回収を狙っている歯科医院や美容クリニックが少なからず存在していることを示唆しています。

セラミック矯正は一見とても魅力的な治療に思えますが、犠牲になるものが多すぎます。かなり慎重にやってもトラブル発生率は上がりますので、短期的なメリットと長期的なデメリットを十分考え、見た目以上に中身をしっかりやってくれる所を選ぶ必要があります。

これがよく言われる「患者力」で、特に若い女性の心に響く派手な広告には、十分注意していただきたいものです。

歯科医師の技量が「コンポジットレジンの出来」に直結

以上、最新のCAD/CAM技術を用いたハイテク治療の説明でした。そしていくらハイテクでも、扱う歯科医師の技量や考え方で、予後はまったく異なることをお伝えしました。

しかしここで説明するコンポジットレジンを用いた修復はとりわけハイテクな器具や材料を用いるわけでなく、多少の進化はあるものの基本的には従来からある製品です。

先にも書いたように、コンポジットレジンの評価は良くないものでした。しかし今は予後だけでなく、見た目も抜群に良く、従来の評価と180度異なります。

理由は顕微鏡を使って行うことで、細かい配慮ができるようになったからです。従来すぐに悪くなっていた原因は、単によく見えないところを勘を頼りに進めてきたからだったのです。

≪ご参考:顕微鏡を用いた精密歯科治療・1≫

 

動画3も顕微鏡を使いながら治療をしているところを撮影したもの、つまり歯科医師が見ている状況がそのまま録画されています。

[動画3]コンポジットレジンによる修復

緑色のものはラバーダムというゴムシートで、これにより接着剤がきちんと乗りますし、唇を広げているので歯を見ながらの器具操作ができます。

この治療法はすべての工程を口の中で行いますので、歯科医師の技量が直接結果に現れます。時間は1~2時間ほどかかりますが、努力すればコンポジットレジンの性能を100%引き出すことができます。

最近、自由診療でコンポジットレジンを行う先生が増えているのは、このような理由からくるものです。

コンポジットレジンでの治療は小規模なムシ歯治療に限定されますが、それをCAD/CAMのセラミックで行う先生もおられます。しかしそれではコストが上がるだけでなく、健康な歯を余計に削る結果となりますので、私はあまり意味がないと思っています。

またコンポジットレジンの予後は悪いのでセラミックで作りましょうとおっしゃる先生もおられるのですが、おそらく顕微鏡をお使いではなく、中立的な立場におられる方ではないと考えられます。

もちろんコンポジットレジンが万能であるわけではありませんので、適材適所で偏りなく選択肢を提示してくれる歯科医院をお探しいただきたいものです。

一度悪くなった歯は、決して治らない!?

私が学生だった40年前は、いかに歯を適切に削るかという教育がなされていました。しかし今は、歯をできるだけ削らないという方針で教育されています。

それはもちろん正しいのですが、削らない治療にも限界があり、どこかで削る治療に切り替える必要があります。

綺麗に正しく歯を削ることは精度の高い人工歯を作る基本であり、そうすれば長持ちする良い結果となります。つまり歯を守るために歯を削っているのですが、この一見矛盾しているようなことは今も一般に理解されていません。

歯は大きく削っても、精度の高い人工歯が入り、ハギシリがなく、治療前と違ってちゃんと歯磨きができていれば、そうそうトラブルは起こりません。つまりまた悪くなる原因とは、これらのどれかが改善されてないということで、たいていこれらが複合しています。

「歯が治った」とは、決して元に戻ったという意味ではありません。欠損を人工物で代替しただけ、悪く言えばツギハギです。これは風邪やケガが治ったというのとは根本的に意味が違います。

見た目は重要ですが、それ以上に治療の精度を上げて、長く使えるものを目指さなくてはなりません。しかし白い人工歯の普及に浮き足立ち、患者さんの長い人生を考えた治療がちょっと疎かになっている風を感じます。

白い歯の治療はとても魅力的で、銀歯が白くなるだけで仕事にも私生活にも自信が持てるようになります。

しかしそれは快適に長く使えるようでなければ意味がありません。今風に言えばサスティナブルな治療です。

きちんと歯を治し人生のチャンスを掴む人は、皆これらを理解している人であると言うことも、どうかお忘れなく。

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こちらの記事の監修医師

吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック

吉田 格

幅広い知識・技術を中立的な立場から提供する、歯科自由診療専門医。
レーザー・顕微鏡・栄養療法を歯科医療に取り入れ、健康保険だけでは解決困難な治療を手がける。

1985年 日本歯科大学新潟歯学部卒
1997年 吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック開設(東京都中央区)

【所属】
日本レーザー歯学会 (認定医 理事)
日本顕微鏡歯科学会 (認定指導医 理事)
日本抗加齢医学会(指導医)
臨床分子栄養医学研究会(認定指導医)


【著書】
インプラントのすべてがわかる本(保健同人社)

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