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最終更新日:2022年4月23日

新型コロナPCR検査の「過剰なブーム」…2022年から一気に衰退したワケ【医師が解説】

こちらの記事の監修医師
高座渋谷つばさクリニック
武井 智昭

(写真=PIXTA)

新型コロナウイルスの蔓延によって生じたPCR検査ブームによって、医療機関は莫大な報酬を得ていました。しかし、現在PCR検査のニーズはなくなりつつあると、高座渋谷つばさクリニックの武井院長はいいます。新規感染者が高止まりするなか、ニーズがなくなっているのはなぜか、みていきましょう。

過剰なPCR検査ブームと医療機関へのメリット

新型コロナウイルスが国内で確認され、緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、発熱患者の診療を拒否する傾向が強まりました。その対策として、厚生労働省は政策誘導として、新型コロナウイルスPCR検査を実施する医療機関に対しての都道府県レベルを含めた高額な補助金支給や、高額なPCR検査費用を保険算定と認め、患者負担がない公費負担としました。

この結果として、PCR検査は医療機関の収益を上げる「棚から牡丹餅」「打ち出の小槌」という位置づけとなり、真摯に患者に向かい合う「本来あるべき医師像や医師としての魂」を捨ててでも、PCR検査に特化した医療機関が増加しました。

その理由として、PCR検査を検査会社に外注した場合の診療報酬は、検査に対して18,500円と検査判断料としての1,950円の合計約2万円に加え、初診料・再診料やコロナ感染対策の加算が算定され、検査会社に支払う検査委託料を差し引いても相当な収益となります。

2020年5月の時点では、新型コロナウイルスは季節変動・重症化要因が判明していないため、PCR検査が有症状・無症状にかかわらず感染者の早期発見・隔離することに意義が高まり、「希望するすべての国民は誰でも検査」というフレーズも、インターネットやテレビでも見かけました。

この反面、「疑わしい要素が特段にない人まで検査する」という流れもあり、企業などのさまざまな団体や、海外渡航予定者では、全額患者負担の自費で「陰性証明」を発行するブームも加わりました。

この結果、PCR検査が過剰なブームとなりPCR検査実施する医療機関や検査会社には収益の観点からは大きなメリットがありました。

発熱外来のあるべき姿

開院して3年目になる、内科を標ぼうする診療所がありました。受診患者は1日15~20名程度で、ギリギリのところで維持していました。発熱外来の開設は新型コロナウイルス感染当時には考えていませんでしたが、実際の診療報酬体系を聞いて「医は仁術より算術なり」と雷に打たれたように発熱外来を開始しました。

この医療機関の発熱外来は、患者をほぼ診療せず、画一的にPCR検査を実施するものでした。本来の発熱外来のあるべき姿は、新型コロナウイルス感染の診断も重要である反面、それ以外の疾患に関しても患者・家族から懇切丁寧な問診と身体所見(からだの診察)を行い、新型コロナウイルス感染以外の疾患もきちんと鑑別して適切な治療方針を提示することが求められます。

具体的にはコロナウイルスPCR検査以外にもレントゲンや超音波検査などの画像検査、血液や尿検査、小児ではデルタ株が流行した2021年7月に流行したRSウイルスの抗原検査など、網羅的かつ迅速な対応が期待されていました。実際に、発熱外来を受診した患者のなかでは腎盂腎炎(じんうじんえん)、新型コロナウイルス以外の肺炎、細菌性腸炎、肝膿瘍、蜂窩織炎(ほうかしきえん:皮膚の感染症)、急性白血病などの腫瘍性疾患、関節リウマチなどの自己免疫性疾患も経験しました。

また、患者と家族への接遇も重要であります。発熱を理由に受診したケースで、医師や他スタッフが温かい家庭的な雰囲気で診療を行い安心・信頼していただける場合と、画一的に機械的にPCR検査のみ実施した場合、患者からの信頼を得てその他の疾患で受診したいという気持ちになれるのは、お分かりいただけると思います。

発熱外来も、実際には患者と接する重要な機会であり、自分の医療機関をよく知っていただくアピールする場所でもあります。丁寧な発熱外来を行う医療機関は、患者から人気があることが多いように思われます。

前述の内科クリニックは、2020年度の収支としては大幅な黒字となりました。2021年度も「このままの感染が続いてほしい……」と思ったことでしょう。2021年には新型コロナウイルスワクチンも開始となった反面、7月から8月をピークとしたデルタ株による大規模な感染拡大(第4波)もあり、PCRを実施した医療機関の収益は上昇したものと推定されます。

PCR検査ブームの終焉…背景は「診療報酬の大幅改定」

デルタ株感染が一段落した2021年の12月某日、青天の霹靂となる事態が生じました。厚生労働省は、「打ち出の小槌」とされた新型コロナウイルスPCR検査の診療報酬の大幅改定を通告しました。検査を外注する場合、診療報酬はこれまでの18,500円から2022年1月には13,500円、4月からは7,500円に大幅減額という内容であり、多くの医療機関が発熱外来の存続すら考える震撼する事態となりました。

その理由として、自費で行うPCR検査が3万から5万円と過度に高額であること、社会経済活動をするうえで「PCR検査陰性」という不思議な宣伝文句が浸透し過剰な検査が実施されたこと、政府の財政として公費(税金)での支払い継続の有用性が高くないと判断されたことなどが理由とされておりますが、真相は不明です。

「PCR陰性」に対しての過度な信仰は霧散し、雨後の筍の様に2020年から勃発した、日本における「新型コロナPCRビジネス」は淘汰され、本来あるべき発熱診療機関のみが残っていく選別の契機となりました。前述の内科クリニックでは、収益が見込まれないため発熱外来を廃止し、収益のよい自費診療としての美容を開始することになりました。

今回の診療報酬改定により、新型コロナウイルス感染症の診断はPCR検査と比べて感度は劣るものの、インフルエンザと同じ抗原検査でも十分その役割を果たせることも知れ渡りました。入手困難とされていた新型コロナウイルスキットも薬局などで購入が可能となり、企業や学校から配布され、抗原検査が身近なものとなりました。

2022年の感染力が強く大規模な感染を起こしたオミクロン株の流行により、発熱受診者が多くなり検査などの資源は有限であることを再認識されました。無症状の濃厚接触者患者を見つける努力の価値が低くなり、濃厚接触者のPCR検査はほとんど実施されなくなりました。

今後は内服薬の登場などによって、現在の2類感染症相当(結核、SARSなどと同様)を5類相当(季節性のインフルエンザと同様)とするのかという問題の本質は、政府や社会が新型コロナウイルスに対しての認識をどのように変えていくかが焦点となります。

新型コロナウイルス感染の濃厚接触者の期間を、2022年からは14日から7日(医療従事者などのエッセンシャルワーカーは5日)に短縮するなどの対応がされました。諸外国のように日本でもウィズコロナを許容していく風潮が今後は予測され、季節性インフルエンザと同等の5類感染症相当の扱いとなれば、社会のあらゆる場面でのPCR検査スクリーニングのニーズはほぼなくなっていくでしょう。

医療機関においても、新型コロナウイルスへの抗ウイルス薬が登場した場合には、患者は早期の治療を希望され、検査結果に時間を要するPCR検査のニーズもなくなっていくでしょう。

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こちらの記事の監修医師

高座渋谷つばさクリニック

武井 智昭

小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。

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