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最終更新日:2022年2月22日

こうじゅうじんたいこつかしょう(おーぴーえるえる)後縦靭帯骨化症(OPLL)

こちらの記事の監修医師
田園調布長田整形外科
長田 夏哉 

概要

後縦靭帯骨化症は、背骨の本体である椎骨を繋ぐ後縦靭帯が骨のように硬くなってしまう疾患です。指定難病に指定されています。後縦靭帯骨化症を発症すると、椎体骨の上下が連結し、背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨になってしまう結果、脊髄の入っている脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が押され、感覚障害や運動障害などのさまざまな神経症状を引き起こします。骨になってしまう脊椎の部位によって、それぞれ頚椎後縦靱帯骨化症、胸椎後縦靱帯骨化症、腰椎後縦靱帯骨化症と呼ばれています。有病率は平均で3%程度であることが知られています。特に、50歳前後の男性に発症することが多く、糖尿病や肥満傾向のある人にも発生頻度が高くなります。後縦靭帯骨化症の発症には遺伝的な要因も関与しています。

原因

後縦靭帯が分厚くなって骨になり、脊髄が圧迫されることによって、さまざまな神経症状が生じます。骨化が生じる部位によって発現する症状は異なりますが、胸椎や腰椎に靭帯の骨化が生じると、背中や腰の痛み、足のしびれなどの原因となります。しかし、後縦靭帯骨化症の根本的な原因は判明していません。老化現象や、日常的な頚椎への負担、肥満、その他代謝異常、遺伝的な要因など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。特に遺伝的な要因や本人の“体質”の影響は非常に強く、もともと骨のできやすい体質の人や家族内の誰かが後縦靭帯骨化症を発症している場合、症状出現のリスクは高くなります。

症状

骨化する部位によって発現する症状は異なります。頚椎に骨化が起こった場合、初期症状として、首筋や肩甲骨周辺、指先の痛みやしびれが出現します。症状が進行すると、次第に痛みやしびれが広範囲に拡大していき、下肢のしびれや感覚障害、足が思うように動かないなどの運動障害、両手の細かい作業が困難となる手指の運動障害などが出現します。重症化すると、歩行が不可能になる、排泄行為ができなくなるなど、一人で日常生活を行うことが難しくなります。また、胸椎に骨化が生じた場合、体幹や下半身に症状が発現します。下肢の脱力やしびれなどの初期症状が発現し、次第に歩行困難や排尿や排便の障害が出現することもあります。症状の進行度は人によってまちまちで、重症化して動けなくなってしまう人もいれば、数年間病状の進行がなく症状も変わらないという人もいます。

検査・診断

後縦靭帯の骨化や神経への圧迫を確かめるため、レントゲン検査、CT検査、MRI検査などの画像所見による検査が行われる。頚椎後縦靭帯骨化症はレントゲン検査でも見つけることができますが、レントゲン検査で腰椎の異常を見つけることは困難です。そのため、必要に応じてCT検査、MRI検査などの画像検査が行われます。また、MRI検査を行うことで、神経の圧迫を確認することも可能です。

治療

症状が軽度の場合、基本的には保存療法を選択します。圧迫されている神経を保護するため、首を固定する装具を装着することもあります。また、首を反らしたりする姿勢を避け、理学療法(リハビリテーション)で日常動作が行えるようにサポートします。痛みや炎症が発現している場合には、消炎鎮痛薬などの薬物療法を行います。また、筋肉のコリが強い場合には、筋弛緩剤などを使用して症状を改善します。しびれに対してはビタミンB剤を使用するなど、日常生活をスムーズに行えるように、出現している症状に応じた対症療法を実施します。保存的治療で効果が得られない場合には外科的な手術が必要になります。疾患の経過や状況によっては、手術を行っても症状の改善が難しい場合もありますが、病状の進行を食い止めることが可能であり、積極的な治療が勧められます。

予防/治療後の注意

後縦靭帯骨化症は遺伝的要因や体質による影響が強いため、治療によって症状が軽快しても、数年後に骨化が進行し、再度症状が出現する可能性があります。骨化そのものを食い止める治療方法は存在しないため、治療後も定期的な検診や問診を継続し、万が一再発しても病変を早期に発見できるような対策を行うことが重要です。

こちらの記事の監修医師

田園調布長田整形外科

長田 夏哉 

《経歴》
日本医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学教室に入局し整形外科専門医の研鑽を積む。
主流医学に没頭する中、自然な流れで全体性の視点を育みボデイ・マインド・スピリット視点のトータルヘルスケアについても研鑽を深める。
平成17年田園調布長田整形外科を開院、独自の直観医療で多くの方が「生き方」のアドバイスに訪れる。
日本整形外科学会専門医。
日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
日本スポーツビジョン協会理事長。
「人生が変わる不思議な診察室」サンマーク出版など著書多数。

治療に適した診療科目

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