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最終更新日:2023年2月25日

こんぱーとめんとしょうこうぐんコンパートメント症候群

こちらの記事の監修医師
新宿ホームクリニック
名倉 義人

概要

人間の前腕や下腿などの筋肉は、筋膜と呼ばれる線維組織で密に覆われています。この膜は、筋肉組織、血管、神経を含む閉鎖空間(コンパートメント)を形成しています。筋膜は伸縮性が低いため、外傷などにより腫れが生じると、コンパートメント内での圧力が非常に高くなります。このように、前腕や下腿などの特定の筋肉の周囲の空間で圧力が高まった状態を、コンパートメント症候群といいます。骨折や打撲、肉離れなどの怪我の後に、筋肉が非常に腫れることで神経や血管を圧迫して症状を呈し、手足に痺れや痛みが生じます。場合によっては手足の血流が阻害され、筋肉が壊死してしまいます。

原因

コンパートメント症候群は慢性型と急性型に分類されます。慢性型は長時間の運動や激しい筋トレなど、スポーツによって起こることが多いです。一時的に筋肉が腫大し、コンパートメントの内圧が上昇して起こります。急性型は骨折時に多く見られ、急激に内圧が上昇することにより起こります。まれに、ギプスや包帯がきつすぎて血液供給が遮断されることで発生することもあります。他のまれな原因として、ヘビに咬まれた場合や、重労働、ヘロインやコカインなどの薬物の過剰摂取が挙げられます。通常コンパートメント症候群は、特に多くの筋が存在する前腕や下腿、大腿部などで起きやすいです。

症状

コンパートメント症候群の症状として、次第に強くなっていく痛みが現れます。怪我をした部分の筋肉が伸びるように、手の指や足の指を動かすと痛みが生じます。神経が圧迫されていると、ピリピリとした感覚が伴うことがあります。病状が進行すると、怪我をした腕や脚の感覚喪失や麻痺をきたすようになります。患部は非常に腫れ上がり、皮膚が蒼白になり、冷たく硬く感じられるといった症状がみられます。場合によっては手足の血流が阻害され、筋肉が壊死する可能性があります。コンパートメント症候群を治療せずに放置すると、感染症が生じ生命に関わることがあります。

検査・診断

コンパートメント症候群の診断は、医師による評価と、コンパートメント内の圧力の測定により行われます。患部のある腕や脚の脈拍を確認し、コンパートメント内の圧力を測定します。圧力の測定には、圧力計のついた針を用います。針の代わりに柔軟な細い管を挿入し、圧力を継続的にモニタリングできるように留置する場合もあります。

治療

コンパートメント症候群の治療として、副子やギプスなど、患部の腕や脚を拘束しているものがあれば速やかに取り外します。それでも圧力が十分に解放されない場合は、筋膜切開術を行い、腫れた組織を含むコンパートメントを形成している筋膜全体を切開します。この切開によって圧力が解放され、血液が筋肉に供給されます。問題のある腕や脚の脈拍が止まっている場合は、組織が壊死している可能性があります。そのような場合には患部を切断し、壊死した筋肉組織を除去することがあります。慢性型では、原因となっている運動を中止して安静にし、さらに運動メニューの見直しやストレッチなどを行います。慢性型でも症状が改善しない場合は、手術適応となる場合があります。

予防/治療後の注意

慢性型のコンパートメント症候群は、長時間の運動や激しい筋トレなど、スポーツによって起こることが多いため、予防のためにはスポーツをする前後のストレッチが大切です。また運動後は炎症を抑えるためにアイシングを行うようにしましょう。コンパートメント症候群は放置すると筋肉壊死や感染症など重篤な状態を引き起こす可能性があるため、症状があれば放置せずに受診するようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

新宿ホームクリニック

名倉 義人

《診療科》
内科・整形外科

《経歴》
平成21年 名古屋市立大学医学部卒業後、研修先の春日井市民病院で救急医療に従事
平成23年 東京女子医科大学病院 救急救命センターにて4年間専門医として勤務
平成27年 東戸塚記念病院で整形外科として勤務
令和元年 新宿ホームクリニック開院

《資格》
救急救命専門医

《所属学会》
日本救急医学会
日本整形外科学会

治療に適した診療科目

整形外科

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