魚鱗癬【イシャチョク】

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最終更新日:2022年2月18日

ぎょりんせん魚鱗癬

こちらの記事の監修医師
女医によるファミリークリニック
大井美恵子

概要

魚鱗癬(ぎょりんせん)は、全身の皮膚が赤くなり、魚のうろこ状やさめ肌状になる遺伝性(先天性)の病気です。先天性魚鱗癬と呼ばれることもあるように、生まれつき皮膚のバリア機能が障害され、胎児の時から皮膚の表面の角層が非常に厚くなる疾患です。しかし、魚鱗性には先天性のものだけではなく、病気や薬によって発症する後天性のものも存在します。症状としては、皮膚がうろこ状になったりフケが剥がれ落ちたりするなどの状態になり、全身、または、広い範囲で皮膚表面が非常に厚い角質物質に覆われます。先天性魚鱗癬は出生時に発症することもあれば、乳児期や小児期に発症することもあります。

原因

最も多いタイプである遺伝性魚鱗癬は、遺伝子の変異が原因で発症します。遺伝子の変異は通常は親から子へと伝わりますが、自然発生的に生じることもあります。遺伝性魚鱗癬は出生時にみられることもあれば、乳児期や小児期に発生することもあります。また、症状が皮膚のみに出現するものや、他の臓器にまで症状が広がるものまで様々です。後天性魚鱗癬は、病気や薬物治療などが引き金となって発症する魚鱗癬です。甲状腺機能低下症、リンパ腫、エイズなどが原因で生じることがあります。また、一部の薬が後天性魚鱗癬を引き起こすこともあります。

症状

皮膚に鱗屑が大量に生じるのが魚鱗癬の主な症状です。鱗屑とは、死んだ皮膚細胞が蓄積し、薄く剥がれ、乾燥し、ざらざらになった斑状の状態のことです。著しい皮膚の乾燥が起こり、皮膚が剥がれてパラパラを落ちる、皮膚が徐々に分厚くなって、皮膚表面が非常に厚い角質に覆われる、皮膚が赤くなり、魚のうろこ状やさめ肌状になる、などの症状が発現します。また、魚鱗癬症候群と呼ばれる症状を発症すると、皮膚以外のさまざまな臓器にも多発的に異常が出現します。皮膚のバリア機能の障害によって、水分、蛋白質の喪失、体温の調節異常、皮膚の感染症などを合併する場合もあります。

検査・診断

特徴的な鱗屑の発生によって診断が可能です。遺伝性魚鱗癬は、乳児が皮膚に特徴的な鱗屑をもって生まれたり、小児にそのような鱗屑が生じた場合に診断されます。遺伝子検査や専門的な治療が必要になるため、一般的には専門の医療機関での検査が行われます。薬の服用や病気の発生後に特徴的な鱗屑が生じた場合に後天性魚鱗癬の診断が行われます。より詳細な検査を行うために、皮膚生検(患部や病変部の一部を採取して詳しく調べる検査)などが実施されることもあります。

治療

魚鱗癬の根治療法は存在せず、症状をやわらげるための対症療法が治療の主体となります。保湿剤やビタミンA、活性型ビタミンD3入りの軟膏を使用したり、ワセリンや尿素剤など、角質(皮膚が分厚くなった状態)に効果的な塗り薬を使用することもあります。後天性魚鱗癬については、原因となっている基礎疾患を治療する他、魚鱗癬の原因になっている薬の使用を中止します。先天性魚鱗癬の場合、完治するということは難しいため、症状を緩和する方法や状態をコントロールして、日常生活への影響を減らしていくことが治療の目標となります。

こちらの記事の監修医師

女医によるファミリークリニック

大井美恵子

〇経歴:
難病指定医・キレーション認定医
小児慢性特定疾患指定医子どもの心相談医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医

《 所属学会 》
日本小児科学会
日本周産期新生児医学会
日本小児神経学会
日本リウマチ学会
抗加齢医学会
高濃度ビタミンC点滴療法学会日本アレルギー学会
日本小児皮膚科学会
日本小児科医会
広島県小児科医会
赤ちゃん成育ネットワーク
点滴療法研究会

広島大学附属幼小中高、金沢医科大学卒業
土谷総合病院にて初期研修、
広島市民病院小児科勤務を経て、姉妹で女医によるファミリークリニックを開業。小児科内科皮膚科アレルギー科の診察を行う。テレビ朝日、羽鳥慎一のモーニングショーやフジテレビLive NEWS イット!などに出演、ラジオ、テレビ、WEBなど幅広く医療情報を提供している。

治療に適した診療科目

皮膚科 小児皮膚科

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