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最終更新日:2022年5月31日

豊胸術は「乳がんリスク」悪化の危険性も…専門医が教える安全な「3つ」の術法

こちらの記事の監修医師
銀座マイアミ美容外科 院長
丸山 直樹 先生

※画像はイメージです/PIXTA

いくつかある豊胸術のなかで、比較的安全に実施できる豊胸術は「3つ」しかないと、銀座マイアミ美容外科の丸山直樹院長はいいます。では、その3つの豊胸術はそれぞれ具体的にどのような手順でおこなうのか。また、術法にはどのような違いがあるのか、詳しみていきましょう。

豊胸治療で失敗しないために…安全な豊胸術とは

豊胸術というと、何を思い浮かべますか? シリコンバック、ヒアルロン酸注入、脂肪豊胸。一般的にぱっと思いつくのはこの3つくらいかと思います。そして、比較的安全に出来る豊胸術は実はこの3つしかありません。もう少しはっきり言ってしまうと、この3つの方法以外の豊胸術はやってはいけません。なぜらならば、現在の時点で科学的な根拠に乏しく安全性についての検討が不十分だからです。

今回、豊胸術を受けることを考えて人に、シリコンバッグ、ヒアルロン酸豊胸、脂肪豊胸のそれぞれの特徴、メリットデメリット、失敗しないためのポイントを解説します。

1.シリコンバッグ

シリコンバッグは最もポピュラーな豊胸術として、最初に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。シリコンバッグは、シリコンゲルとそれを包むシリコンの膜から成っていて各社それぞれ材料や形状を改良しているため年々進歩しています。

一時、アラガン社のシリコンバッグの一部が悪性リンパ腫の原因になるということが世間を騒がせ、製品が一斉に自主回収をされました。テクスチャードという膜表面の形状に原因の一端があったと言われています。

現在市場に流通しているシリコンバッグには、悪性リンパ腫との因果関係は示されていませんので、悪性腫瘍になるリスクというのはいったん頭の片隅に置いておく形で良いと思います。

シリコンバッグの豊胸をするときに、まず考えなくてはならないのがサイズです。体の大きさに比べて極端に大きなサイズのバッグを選択した場合、皮膚が肉割れしてしまったり、バッグの形が不自然に浮き出てしまったりします。

理論的には皮膚の伸びる限りすごい大きさのシリコンバッグを入れることはできるのですが、3カップ、最大でも4カップアップくらいにとどめておくのが無難だと思います。

一般的には「100ccで1カップアップ」といわれているため、一般的な体型の人で400ccのバッグが無難にできる最大と考えても良いでしょう。

自然な範囲で、ということであれば200から大きくて250ccくらいを考えたら失敗が少ないと思います。最近では、ただ単に体積だけでなく、バッグの直径や高さもさまざまに選べるようになっていますので、手術を担当する先生にしっかりとメジャーで胸のサイズを計測してもらって適切なサイズのバッグを選ぶようにすることが大切です。

サイズが決まったら、どこに入れるかを検討しましょう。シリコンバッグは、乳腺下、大胸筋膜下、大胸筋下の3つの層のいずれかに入れます。このなかで、合併症が少ないのが大胸筋下ですので、第一選択としては大胸筋の下に入れるのが良いと思います。

大胸筋がバッグの表面を覆うのでバッグのシルエットが見えづらく仕上がりが自然になりやすいです。また、乳腺と離れた場所に入るので感染やカプセル拘縮が起こりづらいです。

ただし、垂れてしまっている胸には適応外となります。そもそも下垂している胸にはシリコンバッグは適さないのですが、垂れているひとの大胸筋の下にシリコンバッグを入れると雪だるまみたいに2段の胸ができてしまいます。下垂のある場合は、乳腺下または大胸筋膜下にいれないと形がおかしくなります。

ただ、乳腺の下に入れるとシリコンバッグがいつも乳腺と接することになります。乳腺は乳管を通じて体の外部と交通しているので細菌がバッグに触れやすい環境になります。バッグの表面に、常に細菌がいる状態(コロナイゼーションといいます)になると、そこで慢性的に炎症が起こってカプセル拘縮や石灰化が起こりやすくなります。拘縮や石灰化は乳房の形を変形させてしまいます。

そのような合併症を起こしづらくするために、少しでも乳腺から遠ざけてバッグを入れるという考えで、大胸筋膜下に入れるという方法があります。

この方法だと、下垂の胸にも適応できますし、乳腺となるべく接することなくバッグを入れることができます。以上から、シリコンバッグを入れる場合は、医師に大胸筋下か大胸筋膜下(垂れているかた)に挿入してもらうよう依頼すると、失敗が少ないかと思います。

また、シリコンバッグに関しては、数十年後にメンテナンスが必要になるかもしれないことを念頭に置きましょう。つまり、ご自身の胸は加齢と共に垂れるのですが、バッグはそのままに止まるので形が不自然になってしまうことがあるということです。

その際は、バッグを取り出したり、取り出して脂肪におきかえたりといった追加処置が必要になります。そのリスクや対処法に関してもきちんと医師に説明してもらうようにすると良いでしょう。

2.ヒアルロン酸

ヒアルロン酸豊胸も一般的な豊胸術です。注入するだけの手軽さで1番に推しているクリニックもあります。

メリットとしては、ただ注入するだけなので、傷跡が注入口だけとなり目立たず、ダウンタイムが短いという点にあります。このように、注入する物質のことをフィラーと言います。

フィラーには吸収性のものと非吸収性のものがあり、ヒアルロン酸は前者のフィラーに分類されます。このフィラーのうち、非吸収性のものはお勧めできません。

美容医療診療指針というガイドラインが美容外科学会から出版されており、これによると「非吸収性のフィラーによる豊胸は行わないことを強く推奨する。未承認薬であり安全性を保証できない」とあります。

非吸収性のフィラーの代表格は昨今問題となっているポリアクリルアミドハイドロゲル(PAAG)と呼ばれるもので、アクアフィリング、アクアリフト、ロスデライン、アクティブジェルという商品名です。

これらの非吸収性フィラーは、日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS、JSAS)、日本美容医療協会の共同声明でも使用をしないことを強く推奨されています。

ヒアルロン酸は、このようなフィラーと違って、吸収性のフィラーですが。それでも、完全に安全というわけではありません。ヒアルロニダーゼという酵素の注射で溶かせるという意味では、非吸収性フィラーよりは安全なのかもしれませんが、使用法により危険性が増すことがあります。

ヒアルロン酸豊胸で失敗しないためにはまず、1回に注入する量が大切です。注入量が大量であると、ヒアルロン酸だまりができてしまって、その周りに被膜形成してそれが硬くなることで拘縮が起こったり、シコリ(結節)ができてしまったりします。

1回の注入量としては、標準的な体型のかたで片胸50mlくらいまでが安全であると思います。ある程度乳房のサイズがある方でも最大100mlくらいまでではないでしょうか。

つまり、乳房が満たされてしまうような量のヒアルロン酸を1回で注入してしまうと、乳房が硬くなってしまったり、シコリができてしまったりということが起こるのです。そうなると乳がん検診にも悪影響をおよぼします。ヒアルロン酸のシコリや被膜の石灰化が邪魔をして正しく乳がん検診ができない恐れがあるということです。

また、繰り返し注入を行うことで持続的な炎症が乳がん発生のリスクを高める可能性があるとも報告があります。このような理由で、実は米国の厚労省にあたるFDAでは、豊胸術としてのヒアルロン酸注入を非吸収性のフィラーと同様に、許可していません。

このように、吸収性のフィラーであるヒアルロン酸豊胸も盲目的に安心安全と捉えると思わぬ失敗につながることがあります。

3.脂肪豊胸

脂肪豊胸の歴史は古く、1900年代初頭に最初の報告がありました。その後、1980年代から美容外科の豊胸への応用が始まりました。

初期の頃は、シコリや石灰化などの合併症が多く、一時期は衰退していましたが、その後脂肪注入方の改良がなされ、現代では美容外科領域、乳がん術後の再建術などの形成外科領域に再び脚光を浴びるようになりました。

そのきっかけとなったのがコールマンテクニックという脂肪注入の方針の開発です。この方法は、注射器(シリンジ)で優しく脂肪を採取して、細い管で乳腺以外の場所に分散して脂肪を注入するやり方です。現在では、多くの美容外科クリニックがこの方法を採用しています。

脂肪豊胸のメリットは、まず自分の組織で豊胸ができるということです。注入した脂肪は一部が吸収されて、一部が定着します。ということは、ヒアルロン酸のようにいつかは消えてなくなるということではなく、入れたら入れる前よりも大きくなり定着した分に関しては半永久的な効果となる点です。

次に、気になる箇所の脂肪がなくなって、胸に移動できるということで痩身の目的も達成できるということです。

脂肪豊胸で大切なのは、脂肪吸引方法と注入方法です。美容医療診療指針では上述のようにシリンジで低圧で脂肪吸引して遠心分離で脂肪と不純物に分け、直径2ミリ以下で皮下、大胸筋下、乳腺下というように多層に注入することを推奨しています。脂肪豊胸の失敗をできるかぎり回避するためにはこの方法またはこれ準じた方法を採用している美容外科を選択すると良いでしょう。

また、脂肪豊胸でも1回で注入する適切な量というものがあります。片胸200ml程度が妥当であるという報告もあるように筆者は200mlをひとつの目安としていますが、医師によっても方針が異なる点もある為、施術をする医師にどのくらいの注入をするのかまた、その根拠も示してもらうといいでしょう。

また、どこから脂肪吸引をするのか、どこか注入するのかも打ち合わせしておく必要があります。クリニックによって、乳房の下の線、脇の下、乳輪、乳頭の付け根、乳房全体に針で、といったように注入する穴を開ける箇所が違ったりします。目立たない箇所にあけてもらえるのか、どのくらいの期間目立つ傷になるのかなどきちんと説明をしてもらいましょう。

最後に合併症が生じた時の対策が取れるクリニックを選ぶことも大切です。

私は、超音波検査ができる施設が安心だと思います。手術後に感染して胸が腫れたり、シコリができてしまったりした際に最低でもすぐに超音波検査ができる環境があった方がその後の処置が適切にできると思います。

実際に、脂肪注入後に脂肪壊死を起こしているにもかかわらず自身のクリニックに超音波検査装置が無く、さらに検査ができる施設を紹介されもせず、乳房のなかの状態を確認されない状況で数ヵ月放置されてしまったために、皮下に炎症を起こし、大きなシコリと皮膚に茶色い色素沈着が残ってしまった患者さんを診たことがあります。

このように、事前に注入量や部位、傷の場所、ダウンタイム期間、トラブル時の対応などきちんと説明してくれる医師に任せるとより失敗が少なくなるものと思います

豊胸術にかぎらず、全ての美容外科手術で言えることですが、消費者のみなさんがもっとも気をつけないといけないのは、最新の〇〇、機械が凄いから安心、特許取得につき特別、などという言葉です。それらのことは、手術を契約することの判断材料に入れないことです。

基本的に、最新よりも時の選択を経てきた手術、機械よりも手術を行う医師の技術、特許取得の手術よりも多くの医師が普通に行える手術を選択する方が安全な施術を受けられる確率が高くなります。

古くからあって、多くの医師が行っている手術のほうがエビデンスレベル(科学的根拠)の高い論文になっていることが多いです。それらの論文は、科学的な妥当性や効果、安全性の論拠となります。

もし、この記事を読んでいる皆さんが、最新の、凄い機械、特許取得、ここでしかできない、みたいな施術を受けてみたい場合は、手術を担当する医師から従来の方法に比較して何がどう優れているのかということはもちろんですが、副作用や合併症などのネガティブな面に関してもきちんと説明してもらい、合併症が起こった場合にどのようにその医師が対応してくれるのかということまで確認してから契約をするとよいでしょう。

こちらの記事の監修医師

銀座マイアミ美容外科 院長

丸山 直樹 先生

医療法人社団形星会 理事長
銀座マイアミ美容外科 院長

1978年 愛知県豊橋市生まれ。
2004年 昭和大学医学部卒。医学博士。

聖隷浜松病院での初期研修後、同院で整形外科研修。
2007年より昭和大学形成外科入局。2013年、昭和大学藤が丘病院形成外科講師となる。2017年、銀座マイアミ美容外科を開院。2018年、医療法人社団形星会設立。2019年、銀座マイアミ美容外科SALONE開院。現在、拡大移転した本院と分院にて、形成外科の知識と技術に基づいた美容医療を実践し、後進の教育にも力を入れている。座右の銘は、「毎日が金メダル!」。著書に『32歳の悩める女子が美容外科医に聞いてみた 「痛い?」「こわくない?」「いくらなの?」』や『美乳の教科書』がある。