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最終更新日:2022年3月12日

このニオイもしかして…ワキガのサインと「自分でできる」対処法【専門医が解説】

こちらの記事の監修医師
銀座マイアミ美容外科
丸山 直樹

暖かい日が増え汗ばむ機会もでてくるこれからの季節……そこで気になるのが体臭です。日本人のワキガの割合はおよそ10人に1人と、世界的にみると少ない一方、自身のニオイに過剰なコンプレックスを抱いている人は少なくありません。今回、銀座マイアミ美容外科の丸山直樹院長が、ワキガの原因や普段から自分でできる対処法を詳しく解説します。

「ワキガ」の捉え方は文化によって異なる

人間は動物なので、そもそも体臭というものが存在します。その体臭が、社会生活をしていくうえで障害となっている状態のひとつにワキガの状態があります。医学用語で言うと腋臭症(えきしゅうしょう)といいます。

保険診療で治療できるので、日本では疾患(体質)として認められているということになります。なにか、奥歯にものが挟まったような言い方になってしまいますが、実はワキガは体質なので民族によってはワキガ体質が多数派であるという地域もあるわけで、その地域ではニオイのある人が大多数なのでワキガが病気と認識されていないばかりか、その香りがセクシーであると感じる文化もあるのです。

西洋では、体臭と混ざり合ってより良い香りになる香水の文化が発展したことはご存じの人も多いと思います。日本では、ワキガ体質の人が少数派でありワキガ臭に関してもどちらかというと不快なニオイに感じられてしまうことが多いため、腋臭症と名付けられて治療の対象になっているという状況です。

「ワキガ」はどんな人が発症しやすい?

日本形成外科学会の腋臭症診療ガイドラインによると、ワキガは家族性があり、その原因を示唆するABCC11遺伝子との関連性が指摘されています。ABCC11遺伝子は、耳垢が湿っているか乾いているかを決定する遺伝子です。

耳垢が湿っている人の80%がワキガであるといわれていて、日本人の16%が耳垢の湿ったタイプ(湿型耳垢)なので、日本人の約10%がワキガであるといわれています。

また、第2次性徴が始まるころからワキガに悩む人が多く、20代に症例数のピークがあります。多感な頃に発症することが多いため、診察に来られた患者さんを診断するときに、自己臭恐怖との鑑別を要することがあります。自己臭恐怖とは、本当は臭わないのに臭っているのではないかと思い込んでしまうことで、このような人にワキガの治療をしても効果がありません。

診察に来られた際は、まずご両親にワキガの人がいるか、また耳垢は湿っているかどうかを訪ねます。次に、多くの医療機関で行われている診断方法としてガーゼテストというものがあります。脇の下にガーゼを挟んで5分経過したのち医療者がニオイを嗅いで判定するものです。簡単で確実な方法ではありますが、客観性に乏しいという欠点があり複数人での確認が望ましいとされています。

その他、薬剤で汗を出させてニオイを誘発させる方法や試験的に皮膚を切開して調べる方法がありますが、簡便で非侵襲的な方法なのでガーゼテストを採用している医療機関が多いです。

1年中悩みが尽きない「ワキガ」…原因は?

さて、腋臭の原因に話が戻りますが、腋臭の原因はアポクリン腺にあります。人間の汗には2種類あります。ひとつはエクリン腺から出る汗、もうひとつはアポクリン腺から出る汗です。

エクリン線は、さらさらした水のような無色透明な汗、アポクリン腺は、エクリン腺よりもタンパク質が多い汗を出します。アポクリン線から出る汗にはリポフスチンという黄色の物質が含まれているので、白い衣服に染み込むと黄ばみやすいです。

アポクリン汗腺からの汗は、分泌された瞬間は無臭です。しかし、タンパク質を多く含んだアポクリン汗腺からの汗は皮膚の常在菌の格好の餌になります。そして、皮膚常在菌がアポクリン汗腺からの汗を分解した結果、ワキガ特有のニオイが生まれます。

ワキガは、さまざまなニオイに分類されます。ネギのニオイ、鉛筆のようなニオイ、古いタンスのニオイ、カレーのようなニオイ、便のようなニオイ、腐敗臭など。同じ腋臭症でも個人差があり、それほど不快ではないニオイから不快なものまで様々です。ネギ系のニオイの場合は食べ物の美味しいニオイに感じる人もいるようです。

しかし、多くの腋臭症の人は根深い悩みを抱えています。また腋臭症の悩みは、季節を問わず生じます。春先汗ばむ季節、夏はもちろんですが、冬も暖房が強くて汗をかいたり厚着をして熱がこもってじっとりと汗が出たりするために、コートを脱いだ時にニオイがすることもあり、冬でも悩みます。したがって、腋臭症の人は1年中、脇汗の対策をしないといけないということになります。

普段から自分でできる「ワキガ対策」

それでは、ワキガにはどのような対策があるのでしょうか。まず、普段からご自身でできる対策からご紹介したいと思います。

市販の制汗剤やデオドラント製品には一時的な消臭効果があり、これは腋臭症治療ガイドラインでは、推奨度がグレードBになっています。グレードBとは“根拠があり、行うよう勧められる”治療ということになります。もっとも取り組みやすい方法だと思いますが、まずは市販のものを試したらよいでしょう。

メリットは、簡単に始めやすいとうことですが、デメリットとしては、ずっと継続しないといけないためコストがかかり続けるということや、人によっては薬剤にアレルギーが出てしまったり肌が荒れてしまったりして使用し続けられないというケースがあることです。そのような場合は、後述する医療機関での治療法が必要になります。

次に、食べ物や生活習慣に関する注意が挙げられます。たとえば、動物性タンパク質の大量な摂取、スパイス、タバコとワキガ臭の増強との因果関係がいわれています。しかし、科学的根拠を示した優れた論文が少ないので推奨度としてはグレードC1(根拠はないが行うよう勧められる治療)となっています。

デオドラント剤の使用よりは推奨度が低いものの動物性タンパク質に偏った食事、スパイスの取りすぎや喫煙は、ワキガの予防には控えたほうがよいでしょう。

また、ストレスとワキガとの因果関係もいわれています。ストレスがかかると自律神経のうち、交感神経が活発になりアポクリン汗腺からの汗の分泌が増すためです。したがって、ストレス発散もニオイの低減に良いとされています。こちらもグレードC1です。

さらに、入浴は直接アポクリン感染からの分泌物や体表の垢や細菌を除去できますのでお風呂でリラックスすることにも予防効果があるといえます。

脇毛の処理も腋臭症改善にとって有効であるといわれています。特に、医療脱毛による永久脱毛には腋臭症改善に効果があったとの論文もあります。注意をしないといけないのは、エステティックサロンでの除毛で、こちらは永久脱毛でないので腋臭症には効果がありません。脱毛を検討する際は、医療機関に受診するようにしてください。

ご自身で、生活習慣や、日々のケアに気をつけていても改善が見込めない場合または自己ケアの継続が難しい場合は医療機関を受診することをお勧めします。受診科としては形成外科に受診すると良いでしょう。

保険適用可能な治療も…医療機関の「ワキガ対策」

ワキガの手術療法として、保険診療でできるものは剪除法(皮弁法)、有毛部皮膚切除法があります。剪除法(せんじょほう)というのは、皮膚を切開してその切開したところからハサミなどで直接アポクリン腺を見ながら、削ぎ取るように切除してゆく方法です。この方法はガイドラインではグレードBとなっています。

皮膚に余裕のあるかたは有毛部皮膚切除法という選択肢もあります。こちらは皮膚ごと毛の生えているエリア、つまりアポクリン腺の多いエリアを切除してしまう方法です。

手術療法は、まずきちんとした診断のあとにしていただく必要があります。手術療法は、効果としては高いですが、傷跡が残ることや、手術後の感染や出血、血腫(血が溜まってしまうこと)などのリスク、手術後1週間から2週間程度不便な生活をしないといけないことなどもありますので、担当する医師にメリット、デメリットをきちんとお話いただいて、納得したうえで行わないといけません。

一部の形成外科、美容外科、美容皮膚科では、特殊な装置による治療をしている施設もあります。ラジオ波やマイクロ波、レーザーを用いた治療などがそれにあたりますが、これらはすべて保険適応外の治療になります。

皮膚を切開する手術療法にくらべると、手術後の生活が楽だったり大きな傷にならなかったりといったメリットはありますが、自費診療のため治療代金が保険診療に比べると高額になったり、傷が残らないという謳い文句であっても実際に傷が残ってしまったり、副作用として火傷や感染症を起こしてしまうケースもありますので、保険診療の治療以上に慎重に選ぶ必要があります。

さらに、未承認機器を使用した治療であり、手術療法よりも科学的根拠に乏しい治療ですので、依頼する医師には必ずメリットデメリットはもちろんのこと、その治療の効果に関してどのくらいの根拠(エビデンス)をもっているのかを尋ねるべきでしょう。

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こちらの記事の監修医師

銀座マイアミ美容外科

丸山 直樹

1978年 愛知県豊橋市生まれ。
2004年 昭和大学医学部卒。医学博士。
聖隷浜松病院での初期研修後、同院で整形外科研修。
2007年より昭和大学形成外科入局。2013年、昭和大学藤が丘病院形成外科講師となる。2017年、銀座マイアミ美容外科を開院。2018年、医療法人社団形星会設立。2019年、銀座マイアミ美容外科SALONE開院。現在、拡大移転した本院と分院にて、形成外科の知識と技術に基づいた美容医療を実践し、後進の教育にも力を入れている。座右の銘は、「毎日が金メダル!」。著書に『32歳の悩める女子が美容外科医に聞いてみた 「痛い?」「こわくない?」「いくらなの?」』や『美乳の教科書』がある。

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