最終更新日:2022年8月2日
薄毛治療も抜け毛が止まらない!…実はなにも心配いらないワケ【専門医が解説】
こちらの記事の監修医師
東京メモリアルクリニック
栁澤 正之
起床時の枕元やシャワーを浴びているとき、落ちている抜け毛に驚いた経験がある方も多いでしょう。薄毛治療中の方であれば、「AGA治療をしているのに抜け毛が減らない」となおさら心配してしまいがちです。しかし、「適切な治療をしていれば心配無用」と東京メモリアルクリニック院長の栁澤正之先生はいいます。今回は、そんな「抜け毛」の正しい知識について栁澤先生が解説します。
髪の毛は10~15万本…1日200本抜けても「心配無用」
たしかに、AGAが進行してしまうことによって抜け毛が増加し薄毛になることは事実です。しかしAGAには医学的な治療法があり、進行を止めるだけではなく明確に「改善」することが証明されています。
実は、抜け毛は薄毛に直接影響しないため、抜け毛の心配をしてもあまり意味はありません。適切な治療をしていれば、「抜け毛が減らない」「抜け毛が増えた」と感じたとしても薄毛はしっかり治ります。
髪の毛はどんな人でも1日に100本程度抜けるといわれています。AGAの方はすでに髪の毛の寿命が短縮していたり、季節の抜け毛なども相まって1日150~200本くらい抜けることもありえます。
ちょうどいまごろ、初夏から秋にかけては抜け毛が増える方が多いので、季節的に心配している方も多いかもしれません。それでも心配無用です。
一般的に髪の毛は10~15万本あるといわれています。髪の毛には「毛周期」という生え代わりのサイクルがあり、「寿命が来て抜け、新しく生える」ということを繰り返しています。1日100本抜けたとしても、同じく100本くらい新しい毛が生えて毛髪合計本数を維持しているわけです。
AGAの方でも適切な内服治療をしていれば薄毛が進行しないわけで、それはつまり「1日に100~200本抜けても、同じく100~200本新たに生えてくる」といえます。つまり、抜け毛が100本だろうと200本だろうと治療をしていれば抜け毛を恐れる必要はありません。
さらに適切な治療をしていれば、抜けた後に生えてくる新しい毛は最初からAGAの原因(DHT)から守られているので、抜けた毛よりも、より太く、より強くなって生えてくれるはずです。
髪の毛治療が年単位で改善するというのも、髪の毛が生え変わるタイミングで改善効果がゆっくり現れるということなのです。
太くて長い抜け毛は「治療の証」
多くの方は、シャンプーの際に指や排水溝に絡まった抜け毛を心配されていると思います。1日の抜け毛のうち7~9割の抜け毛が洗髪の際に抜けるといわれていますから、入浴、洗髪の時に抜け毛が気になるのも当然です。また、1日髪を洗わないと、翌日に2日分の毛が抜けるともいわれています。
なので「シャンプーのときに数えたら200本抜け毛があったんです!」という患者さんにも、「大丈夫、そんなもんですよ!」と説明しています。
さすがに数えきれないこともあってか、200本以上を数えてくる患者さんにはまだ会ったことがありません。
シャンプーやブラッシングの際に太くて長い抜け毛が目立つことが多いと思いますが、これは寿命をまっとうした元気な毛です。つまり、太く長くしっかりと成長した「AGAの影響をほとんど受けていない」毛のはずなのです。
目立つ抜け毛が多くても、適切な治療さえしていれば次に生える毛はより太く、また抜けたのと同数かそれ以上生えてくるので心配要りません。枕などに細い抜け毛があったとしても、生え際、こめかみ、えりあしなど元々細い毛も抜けるので、それ自体が薄毛の進行であるとはいえません。
治療をしていない方の「抜け毛」は薄毛進行に直結
さて、問題はAGA内服治療をしていない場合です。AGAが進行してしまうと、髪の毛の寿命が短縮することで抜け毛が増えるばかりか、さらに次に生える毛もどんどん細く短くなっていってしまいます。結果として薄毛が進行しますので、大いに心配していただいたほうがよいでしょう。
抜け毛、薄毛が心配になったら、早めのAGA治療をおすすめいたします。
抜け毛が減らなくても薄毛は治る…思い詰めず“客観的評価”を
AGA治療をしている患者さんから「抜け毛が減らない」と相談を受けることもよくあります。AGA治療は薄毛を改善する効果が証明されていますが、抜け毛が目に見えて減るわけではありません。
もちろん厳密にいえば、AGA改善効果により髪の毛の寿命が回復することで抜け毛の数が減ったり、細い抜け毛が減ったりすることはあると思いますが、はっきりいって人間の肉眼で確認できるような差ではありません。
どちらかといえば、治療前からの思い込みもあって「抜け毛が減らない」と感じてしまう方のほうが多いように思えます。
AGA・薄毛の治療効果は、写真などで客観的評価をしないとわからないことがほとんどです。抜け毛だけを気にしていると、「AGA治療をしても抜け毛が減らない」と効果を自覚できず勘違いしてしまい、せっかくの治療をやめてしまう方も少なくありません。適切なAGA・薄毛治療をしてください。
適切なAGA治療とは、「5α還元酵素阻害薬(フィナステリド、デュタステリド)」治療のことです。それ以外の育毛剤、サプリメント内服、注射を含めた施術をしている場合でも、内服治療をしていないのと同様、AGAが進行します。
ミノキシジル外用については薄毛改善効果が認められていますが、実はミノキシジル治療だけしていても、AGAの原因であるDHTはほったらかしになっているので5~10年後にかけてゆっくりAGAは進行してしまいます。
薄毛と同列に抜け毛を心配する気持ちもよく解りますが、本当は抜け毛自体を恐れているのではなく、抜け毛が増えた結果として薄毛になることを恐れているはずです。「抜け毛」ではなく「薄毛」の心配をするようにしてください。
AGA薄毛には医学的に証明された治療法がありますので、正確な知識を持って、確実な治療と評価を行うようおすすめします。
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こちらの記事の監修医師
東京メモリアルクリニック
栁澤 正之
東京メモリアルクリニック 院長/医学博士/日本形成外科学会 認定専門医/第27回日本臨床毛髪学会 学会長
日本で初めてAGAに対するフィナステリド治療を開始した東京メモリアルクリニックの3代目院長を務め、30年間に渡るAGA・薄毛治療理念を継承。日本臨床毛髪学会の学会長を歴代最年少で任された、次世代AGA・薄毛治療の旗手。
最近ではオンラインAGA診療「Oops-Hair」の診療担当を務め、日本全国の薄毛で悩む患者に対して、スマートフォンで手軽に適切なAGA診療を提供している。
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