最終更新日:2022年5月2日
陰部のできもの・しこりの原因と放置のリスク

こちらの記事の監修医師
三軒茶屋あかりクリニック
馬場 克幸

陰部にできものやしこりができたときは、もしかすると性感染症などの病気かもしれません。また、陰部にできものやしこりがある場合、がんの可能性も否定できません。 そのため、陰部のできものやしこりを放置することは、大きなリスクとなります。陰部のできものやしこりの原因と放置することのリスクについて解説します。
陰部のできもの・しこりで考えられる原因

陰部にできものやしこりができる原因は、性感染症などの病気や生理現象によるものです。考えられる原因について解説します。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスが原因のウイルス性の性感染症です。潜伏期間は3週間から8ヶ月と個人差があり、症状は陰部周辺や肛門周辺にぶつぶつとしたいくつものイボが、まるでカリフラワーのようにできます。
陰部のイボ以外には目立った症状が出ないために放置されやすく、気づいたら進行していることが多いので、注意が必要です。
治療は薬を湿布することが主で、場合によって外科的な切除、焼灼・凍結などが行われることもあります。特に女性の場合、子宮がんになったり出産時に母親から赤ちゃんへ感染したりすることがあるため、早めの受診が必要です。
梅毒
梅毒とは、性的な接触で梅毒トレポネーマという細菌に感染し、全身さまざまな症状が現れる病気です。梅毒は症状の進行によって1期から4期に分けられ、末期に近づくと、細胞や臓器にもダメージを与えるようになる恐ろしい病気です。
梅毒の第1期では、女性では大陰唇・小陰唇周辺や膣の中、男性では亀頭や陰茎にしこりができることが多く、股の付け根の部分のリンパ節が腫れることもあります。
梅毒は、かつては治療法のない不治の病として恐れられていましたが、現代では早いうちに治療を開始すれば治る病気なので、早めに受診しましょう。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスというウイルスが原因で、陰部に水ぶくれができる病気です。水ぶくれは外陰部やお尻などにでき、痛みやかゆみを伴います。ちなみに、ヘルペスウイルスが口に感染した場合は、口唇ヘルペスといわれます。
さて、ヘルペスウイルスは、一度感染すると体内にあり続けます。そのため再発することが多く、水ぶくれやできものなどができているときは他の人にうつしやすい状態です。このときに他人と性的な接触をすると感染を広げてしまう可能性があるため、注意が必要です。
毛包炎・毛嚢炎
毛嚢炎・毛包炎とは、毛根を包む毛包・毛嚢という部分に炎症がある状態のことです。
毛抜きや剃毛で毛包部に傷がつくと、そこから黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌に感染し、赤いブツブツとしたできものに黄色い膿がたまって盛り上がったようになります。
膿疱が硬いしこりのようになったものは「せつ」と呼ばれ、ズキズキとした痛みや熱感を感じるようになります。毛包炎・毛嚢炎がさらに悪化し、複数の毛包に炎症が広がったものは「よう」と呼ばれます。痛みがより強く、発熱や体調不良など、全身症状を伴うこともあります。
初期の場合は、患部を清潔にすれば改善することが多いですが、重症化した場合は病院での治療が必要です。
フォアダイス
フォアダイスとは、毛包に付く形であるはずの皮脂腺が、毛包とは関係なく過剰に増えることで生じる白い丘疹です。
男性は陰茎に、女性は小陰唇にできやすく、白や黄褐色の脂肪のかたまりが集中して現れます。ほとんどの場合で痛みや腫れはなく、自然に治ることが多いものです。
生理現象なので、人から感染したり自分からうつしたりする心配もありません。
フォアダイスが粒状に並んでできるものは、真珠様陰茎小丘疹(PPP)とよばれます。
真珠様小丘疹
真珠様小丘疹(PPP)とは、男性の陰部にできるイボ状の脂肪のかたまりです。大きさの揃ったものが複数集まった状態が真珠のように見えることから、このような名前がついています。この脂肪の塊には、ほんの少し光沢があることが特徴です。
尖圭コンジローマとよく似ていますが、尖圭コンジローマが性感染症であることに対し、真珠様少丘疹は生理現象であるため、感染の心配はありません。ただ、皮脂などを分泌するため特有の臭いを発することがあったりパートナーからあらぬ疑いをかけられたりするため、気になる人は治療によって取り除くことができます。
陰部のできもの・しこりは受診すべき?

陰部のできものやしこりは、自分で気づいていても恥ずかしさから受診を避けてしまうため、重症化しやすいものです。症状を放置することでつらい症状を呈したり、がんの発見が遅れたりするリスクがあります。
陰部のできもの・しこりを放置するリスク
陰部は粘膜が多くデリケートであるため、重症化すると痛みやかゆみでかなりつらい症状となります。
また、陰部のがんの場合、発見が遅れるリスクもあります。
男性の陰茎がんは、亀頭部や包皮に腫れや浅いびらんが起こるもので、包茎の男性になりやすいといわれています。女性の外陰がんは、大陰唇に発生することが多く、外陰部の腫れ、痛み、かゆみ、熱感などを生じます。
いずれも進行すると、太もものつけ根あたりにある鼠径リンパ節に転移しやすくなるため、早期治療が重要です。
痛みやかゆみがあれば早急に受診
陰部のできものやしこりに痛みやかゆみがあれば、病気の可能性があります。性感染症の場合、パートナーなど他人にうつしてしまうリスクがあるでしょう。
陰部に痛みやかゆみがある場合、人前であからさまに搔くことができないため、我慢することでどんどんつらくなってしまいます。また、陰部の症状を診察してもらうことが恥ずかしいからと、特に女性の場合は受診を躊躇してしまいがち。放置することで重症化することもあるため、早急に受診することが必要です。
受診する科は男性と女性で違う?
陰部のできものやしこりで受診する場合は、皮膚科や泌尿器科が一般的です。女性は、婦人科や産婦人科が適しています。
病院で行われる検査・治療
陰部のできものやしこりに対する治療としては、精密検査や血液検査が行われることもあり、症状に合わせて内服薬や塗り薬が処方されます。フォアダイスや真珠様丘疹のように生理現象として起こる陰部のぶつぶつは、基本的には経過観察です。
まとめ

陰部のできものやしこりは、気づいていても放置してしまいやすく、気づくと重症に進行していることがあります。最悪の場合、がんになったり、出産時に赤ちゃんへ感染させたりしてしまう危険もあるため、痛みの有無に関わらず、受診すると安心です。
性病の場合は、治療しなければ感染させてしまう懸念があります。自分のためにもパートナーのためにも、疑わしい症状があれば専門医に診てもらいましょう。
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こちらの記事の監修医師
三軒茶屋あかりクリニック
馬場 克幸
〇病院名 :三軒茶屋あかりクリニック
〇医師 :馬場克幸
〇アクセス:東京都世田谷区三軒茶屋1-32-14 園田ビル3F
〇診療科 :美容皮膚科,皮膚科,アレルギー科,泌尿器科,形成外科,予防医学
《学歴・職歴》
1981年03月 桐蔭学園高等学校理数科卒業
1988年03月 聖マリアンナ医科大学医学部卒業
1988年06月 第82回医師国家試験合格
1990年04月 聖マリアンア医科大学大学院医学研究科入学
1993年09月 アメリカ合衆国カリフォルニア州カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)にresearch fellowとして留学
1994年03月 聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科博士課程修了
医学博士取得(聖医大申請第323号)
2002年04月 聖マリアンナ医科大学付属病院泌尿器科副部長
同大学病院リスクマネージャー、医局長を兼ねる fellowとして留学
2005年09月 聖マリアンナ医科大学泌尿器科学教室助教授
聖マリアンナ医科大学皮膚科登録医
2005年10月 川崎市立多摩病院部長を兼ねる
2007年04月 聖マリアンナ医科大学非常勤講師
都内大手皮膚科美容外科クリニック学術顧問
2009年04月 同クリニック皮膚科医長
センター北ヒロクリニック皮膚科アレルギー科形成外科
2010年09月 聖マリアンナ医科大学救命救急医学(救命センター)登録医
(現在兼任中)
2011年01月 ゆり皮膚科形成外科クリニック
2011年05月 あかりクリニック開業
《研修先・学会活動・専門医》
東京女子医科大学付属病院 皮膚科
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 皮膚科
センター北ヒロクリニック 皮膚科アレルギー科形成外科
(東京女子医科大学形成外科非常勤講師 岡田浩幸院長)
たんぽぽ皮膚科クリニック
(工藤由美子院長)
日本皮膚科学会会員
日本アレルギー学会会員
日本形成外科学会会員
日本泌尿器科学会会員(認定専門医)
日本抗加齢医学会会員(認定専門医)
日本レーザー医学会会員(レーザー認定医)
日本小児皮膚科学会会員
日本臨床皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本美容外科学会会員
日本抗老化医学会会員
日本臨床漢方医会会員
日本スレッドリフト研究会会員
点滴療法研究会会員(キレーション療法認定医)
オバジ専門認定医
アメリカ泌尿器科学会(AUA)会員(~2008)
ボトックス注射認定医(~2010)
LOH 症候群診療ガイドライン検討ワーキング委員会メンバー
日本不妊学会評議員(〜2010)
日本腹空鏡学会会員(認定医〜2010)
抗老化医学会認定サプリメントアドバイザー
《教育》
聖マリアンナ医科大学 医学部4学年 医学英語
(1994年~1996年)
聖マリアンナ医科大学 看護専門学校看護学科2学年 悪性腫瘍
(1995年~2000年)
聖マリアンナ医科大学 医学部6学年 解剖と生理
(1999年~2000年)
聖マリアンナ医科大学 医学部4学年 外傷
(1999年~現在に至る)
聖マリアンナ医科大学 医学部4学年 高齢者と感染症
(2001年~現在に至る)
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