粉瘤の見分け方は？ニキビ・脂肪腫・その他病気との違い

 「最近、しこりができて粉瘤なのかニキビなのか見分け方がわからなくて不安。粉瘤だったらどうしよう」とお悩みではありませんか？実はその症状、粉瘤以外の可能性も考えられます。今回は粉瘤とその他病気の違いと見分け方を解説します。しこりができて粉瘤なのか見分け方がわからず心配な方は、最後までご覧ください。

見分け方が難しい?粉瘤の特徴

粉瘤は、脂肪のかたまりと呼ばれることもありますが、実は良性腫瘍の一種です。

粉瘤ができる明確な原因はありません。しかし、皮膚の下に袋状の構造物ができ、剥がれ落ちるはずの垢や皮脂が袋の中に溜まることで生じます。

粉瘤の初期症状は、痛みや皮膚に赤みが生じるなど、外見で判断できる症状はありません。袋の中で角質や皮脂が溜まり、時間が経つにつれ肥大化します。

肥大化し盛り上がった開口部が黒っぽく変色するのが特徴です。場合によっては、黒い点がない粉瘤も存在します。毛根や汗腺などにできた場合は、開口部ができず黒い点ができません。そのため、黒い点がないからと安心するのは危険です。他にも粉瘤の特徴に当てはまるか、確認する必要があります。

粉瘤ができやすい人はどんな人?

また、粉瘤はできやすい人とできにくい人がいますが、食べ物が原因で発症することはありません。ちなみに、粉瘤の癌化は中高年男性のおしりにできることが多いです。

見た目も、ニキビや脂肪腫など似た症状が多いため、見分けるのは難しいです。

以下で、粉瘤とその他症状の特徴と見分け方を解説します。

粉瘤との見分け方が難しい病気・症状（1）ニキビ

粉瘤と見分け方が難しい症状の一つにニキビがあげられます。

ニキビとは

ニキビとは、主に思春期から青年期にかけて発症します。

• 頬
• おでこ
• 下あご
• 口のまわり

にできやすく、毛穴に皮脂が溜まり出口が炎症を起こす症状です。軽いものだとすぐ治りますが、重症だとニキビ痕になり跡が残ります。

ニキビと粉瘤の見分け方

以下でニキビと粉瘤の見分け方について解説していきます。

できもの表面の黒い点

粉瘤の表面には、開口部に黒い点があるのが特徴です。対してニキビは、粉瘤に見られる黒い点がありません。そのため、できもの表面の黒い点があるかを確認すると、ニキビと粉瘤を見分けることができます。

サイズ

粉瘤の場合、症状が悪化すると次第に大きくなります。サイズとして最大で10センチほどです。対してニキビは、どんなに大きくなっても2〜3センチまでです。

そのため、大きさを測るだけでもニキビと粉瘤の見分けはつきます。

悪臭のある内容物

ニキビと粉瘤は内容物の臭いでも判断できます。ニキビの内容物は臭いがしません。対して粉瘤は、何日も履き続けた靴下の臭いに例えられるほどの悪臭を放ちます。このように、内容物の臭いでもニキビと粉瘤の区別は可能です。

触り心地

ニキビはほどんどの場合、触ってもしこりはありません。粉瘤は触るとしこりの感触があります。このように触り心地でもどちらか判断は可能です。 しかし、触ると傷がついたり細菌が侵入し、症状が悪化する恐れがあるため触れるのはなるべく避けましょう。

粉瘤との見分け方が難しい病気・症状（2）石灰化上皮腫

続いて、石灰化上皮腫についても解説します。

石灰化上皮腫とは

石灰化上皮腫とは、皮膚の一部が石灰のようにやや黒っぽく粉瘤より硬くなる症状です。若い世代、特に小児から20歳以下の女性に多く発症します。

石灰化上皮腫と粉瘤の見分け方

粉瘤との見分け方についても解説していきます。

できもの表面の黒い点

石灰化上皮腫は開口部がないため、黒い点の有無で判断できます。皮腫の色が透けて黄色がかったり、青白く見えるので粉瘤との見分け方はとても簡単です。

サイズ

石灰化上皮腫の大きさは、0.5〜3センチと10センチ以上にもなる粉瘤と比べ非常に小さいです。そのため、できものの大きさでも見分けることができます。

触り心地

石灰化上皮腫は粉瘤よりも硬いとされています。しかし、できものを触ったことがない人は判断が難しいです。判断材料として、骨のような凸凹があれば石灰化上皮腫の可能性が高いです。そのため触った感触でも粉瘤かどうか見分けることはできます。

粉瘤との見分け方が難しい病気・症状（3）脂肪腫

次は、脂肪腫について解説します。

脂肪腫とは

脂肪腫とは、皮膚のすぐ下にできる良性腫瘍のことです。

• 40～60歳
• 血縁関係のある家族に同じ症状がある
• ガードナー症候群など一部特殊な病気

の人にできやすい傾向があります。

押しても痛みはありません。しかし、押したときに隣接する神経を圧迫することで、痺れが生じることはあります。触って硬い・痛いなどの症状がある場合は、別の疾患である可能性が高いです。

脂肪腫と粉瘤の見分け方

脂肪腫と粉瘤の見分け方についても解説していきます。

できもの表面の黒い点

脂肪腫の表面には粉瘤に見られる黒い点がないので、開口部の色で見分けることが可能です。

サイズ

脂肪腫と粉瘤は、できものの大きさで判断することは難しいです。なぜなら、脂肪腫は大きくなる腫瘍で直径10センチ以上になるものもあります。対して、粉瘤も10センチ以上大きくなるのでサイズで判断はできません。そのため、サイズ以外の内容物の悪臭や触り心地を確認するのが望ましいです。

悪臭のある内容物

脂肪腫は脂肪のかたまりなので、触り心地は柔らかいです。触ってしこりのような感触があれば粉瘤の疑いがあります。このように、触り心地でも粉瘤の見分け方は可能です。

粉瘤との見分け方が難しい病気・症状（4）ガングリオン

ガングリオンと粉瘤の見分け方についても解説します。

ガングリオンとは

ガングリオンとは、手や手首の甲側にできやすく、痛みや手に力が入りにくくなるのが特徴です。症状が発生する原因はわかっておらず、20〜50代の女性に多く見られます。

大きさは人によって異なり、米粒からピンポン球ほど大きいものまであります。ガングリオン自体に痛みや違和感はなく、無症状の場合が多いです。しかし、神経に近いところにできると神経を圧迫ししびれをきたすことがあります。

ガングリオンと粉瘤の見分け方

ガングリオンと粉瘤の見分け方についても解説していきます。

できもの表面の黒い点

粉瘤に見られる黒い点は、ガングリオンにはありません。できものに黒い点があるかどうかで粉瘤と見分けることは可能です。

サイズ

ガングリオンのサイズは、小さいものだと米粒くらいで最大だと2〜3センチです。10センチ以上にも大きくなる粉瘤とは、サイズ感でも見分けることができます。

悪臭のある内容物

ガングリオンは臭いがないため、臭いの有無でも判断可能です。悪臭に気づいたら皮膚科で早めの受診をおすすめします。

触り心地

ガングリオンの形状は楕円形や円形で、触ると硬いことが多いです。また、柔らかい場合もあるため粉瘤との違いを判断するのは難しくなります。そのため、先ほど解説しました黒い点や悪臭の有無で判断するのが望ましいです。

粉瘤との見分け方が難しい病気・症状（5）耳前瘻孔

耳前瘻孔と粉瘤の見分け方についても解説していきます。

耳前瘻孔とは

耳前瘻孔とは、生まれつき耳の前に穴が空いているのが特徴です。耳の奇形の一種なので、特に症状などはありません。

しかし、穴の下には袋状の空間があり、汗や垢が溜まると悪臭の原因になります。

他にも穴に細菌が侵入し感染することで、痛みやかゆみにつながるため、清潔に保つことが大事です。

耳前瘻孔と粉瘤の見分け方

耳前瘻孔と粉瘤は、できる場所と大きさが異なるので見分けるのは非常に簡単です。詳しく見ていきましょう。

できもの表面の黒い点

耳前瘻孔は穴が空いているため、粉瘤のように開口部に黒い点はありません。よって、耳前瘻孔と粉瘤との違いは黒い点の有無で判断できます。

サイズ

粉瘤は10センチ以上にまで大きくなるのに対し、耳前瘻孔はピアスの穴程度です。そのため、見た目の大きさでも粉瘤と見分けることができます。

悪臭のある内容物

粉瘤と同様に、耳前瘻孔も悪臭を放つため、臭いで判断することは難しいです。粉瘤は内容物が外に出ることで臭います。しかし、耳前瘻孔は内容物が出ていなくても臭うため、臭いで判断することは不可能ではありません。

触り心地

耳前瘻孔の初期状態だと触り心地で判断できませんが、感染や化膿している場合は触るとはり感があります。感染を何度も繰り返すと、瘢痕を形成するので硬いです。

粉瘤もしこりがあり硬いので、触り心地で判断することは難しいでしょう。

まとめ：粉瘤は悪性化することも•••粉瘤かも?と思ったら受診を

粉瘤は皮膚の下にある袋状の空間に老廃物が溜まるとできる症状です。粉瘤は悪性化することもあるので、粉瘤の疑いが少しでもあるなら早期に皮膚科の受診をおすすめします。