最終更新日:2023年12月12日
水下痢が止まらない・続く原因とは?考えられる病気と対処法について解説
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こちらの記事の監修医師
山科駅前おかだクリニック
岡田 雄介
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水下痢が止まらない場合、食中毒や過敏性腸症候群の可能性があります。通勤中や仕事中などは特に下痢の症状で困りますが、すぐに止める方法はあるのでしょうか?また、水下痢をすべて出し切る方法はあるのでしょうか?水下痢が止まらない場合に考えられる原因と病院へ行くべきケースについてまとめました。
止まらない水下痢の原因・続く症状から考えられる病気
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止まらない水下痢では、主に次のような原因、病気が考えられます。
【止まらない水下痢の原因】
- 食中毒・感染性胃腸炎
- 過敏性腸症候群
- そのほかの病気
食中毒・ 感染症腸炎
食中毒(食あたり)によって下痢が起きている場合、「腹痛」「嘔吐」「吐き気」「発熱」などの症状も一緒に見られることが多いです。
食中毒はキノコやフグに代表される自然毒のほかに、細菌、ウイルス、化学物質を体内に取り込むことでも起きます。
感染性腸炎は、病原体が腸管内に侵入、感染して発症する疾患で、下痢や吐き気、嘔吐、発熱などを引き起こします。ノロウイルスやサルモネラ菌が病原体として考えられるでしょう。
食中毒・感染性腸炎の感染経路としては、汚染された食品や水などから体内に侵入するほか、ペットやヒトからの接触感染もみられます。
また、食中毒と聞くと、原因となる食品を食べてすぐに症状が出るイメージを持っているかもしれませんが、数日の潜伏期間が存在する場合も多いです。
下痢に加えて上記のような症状もあるときは、数日前に口にした食べ物を思い出す必要があります。
過敏性腸症候群
食中毒でない場合、過敏性腸症候群によって下痢が起きていることが多いです。過敏性腸症候群では腸に異常がなくても、下痢に加えて、腹痛や不安感などを伴うことがあります。
また、腸の運動が促進されると下痢になりますが、反対に、抑制されると便秘の症状が出ます。
この過敏性腸症候群はストレスによって症状が増悪するケースが多く、食中毒による下痢と大きく異なる部分です。
そのほかの病気
そのほかにも以下のような病気が原因で水下痢の症状が起こることがあります。
【水下痢の原因となるそのほかの病気】
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 慢性膵炎
- 薬剤性下痢
- 胆汁性下痢
- FODMAPによる下痢
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に潰瘍ができる病気で、下痢だけでなく、血便や腹痛、貧血によるめまいや動悸、体重減少などの症状もあります。
腹痛や下痢の症状が数ヶ月にわたってよくなったり悪くなったりを繰り返す、慢性的な病気です。
クローン病
クローン病は難病指定されており、主に若年者にみられる病気です。
消化器官のさまざまな場所に慢性的に炎症が起こり、活動期と症状が治まる寛解期を繰り返して病気が進行します。原因はいまだにはっきりと解明されていない病気でもあります。
慢性膵炎
膵臓の機能が失われる病気で、機能不全により膵臓から出る消化酵素が減少して下痢を引き起こします。膵消化酵素剤を補充することが下痢に対する主な治療です。
また、みぞおちから脇腹、背中に痛みが起こることもあります。
薬剤性下痢
服用している薬の影響で起こる下痢もあります。
抗生物質、抗がん剤、一部の糖尿病治療薬や胃薬、高血圧治療薬などさまざまな薬によって起きる可能性があります。
最も一般的なのは、抗生物質による薬剤性下痢で、腸内の正常な細菌叢のバランスを崩すことで起こります。薬を服用している際に下痢の症状が現れた場合は、医師に相談しましょう。
胆汁性下痢
胆汁性下痢は、胆汁酸が過剰に腸に流れ込むことで引き起こされる下痢です。
胆汁酸は脂肪の消化に重要な役割を果たしていて、通常は腸で再吸収されます。何らかの原因で胆汁酸の再吸収が妨げられると、過剰な胆汁酸が大腸にまで到達してしまい、水分と電解質の吸収が阻害されます。その結果、下痢が起きます。
胆嚢の摘出後や腸の手術により生じることがあります。
FODMAPによる下痢
近年では、「FODMAP(フォドマップ)」という小腸で吸収されづらく、大腸で発酵性を有する糖質が過敏性腸症候群になる原因ではないかという研究が注目されています。
FODMAPは、「発酵性オリゴ糖、ジス糖、単糖およびポリオール」の略で、これらは小腸で十分に吸収されず、大腸で過剰に発酵される炭水化物です。この過剰な発酵によりガスが生じ、腹痛、膨満感、下痢などの消化器症状を引き起こすことがあります。
高FODMAP食として小麦類が挙げられ、逆に下痢症状が落ち着くとされる低FODMAP食の代表が米や玄米です。
原因不明の下痢が続く場合は、低FODMAP食を意識するなど食生活の改善も効果的です。なお、FODMAPの摂取を減らす食事療法は専門の栄養士や医師の指導の下で実施されることが一般的です。
水下痢を出し切る方法はある?
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何度もトイレへ立つのが嫌で、一度で水下痢を出し切りたいと考えるかもしれませんが、そのような方法はありません。
下痢の症状が続くときは、できるだけ安静にして、腹部を冷やさないようにしましょう。また、便が緩い場合も、しっかりと水分補給はするようにしてください。
下痢でも体内の水分は失われるため、常温の水やスポーツドリンクを少量ずつ、何度かに分けて摂取すると良いです。
止まらない水下痢と一緒に出ている症状別の原因
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水下痢が止まらないとき、そのほかの症状がないかチェックすることも重要です。一緒に出ている症状を知ることで、原因を突き止められる可能性があります。「腹痛」「吐き気・嘔吐」「血便」のそれぞれで考えられる原因について見ていきましょう。
腹痛もある場合
下痢と腹痛の両方がある場合、次のような原因が考えられます。
下痢と腹痛の両方がある場合、次のような原因が考えられます。
- 過敏性腸症候群
- 感染性腸炎(カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 虚血性腸炎
吐き気・嘔吐もある場合
次は下痢と吐き気や嘔吐の症状がある場合です。
- 感染性腸炎(ノロウイルス、サルモネラ菌など)
- 急性胃腸炎
血便もある場合
最後は下痢の中に、血便が混ざる場合です。
- 虚血性腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- 大腸がん
- クローン病
- 感染性腸炎(カンピロバクター、腸管出血性大腸菌など)
感染性腸炎は腹痛、吐き気・嘔吐、血便のいずれの症状も見られますが、血便がある場合は重症化している危険性が高いので注意してください。
慢性下痢と急性下痢
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下痢は下痢の持続期間により急性と慢性にわけられます。「突然起こる急性下痢」と、「症状が長続きして再発する慢性下痢」です。
急性下痢
突然起こるものが急性下痢です。
原因はさまざまで、細菌やウイルスによる感染症、胃腸炎などが考えられます。他にも辛みなどの刺激物の過剰摂取や、暴飲暴食などの食生活の乱れも急性下痢の原因として挙げられるので、急性下痢の場合は直近の食事を思い出してみてください。
慢性下痢
慢性下痢は、1週間から1ヶ月以上続くこともあります。ストレスによる過敏性腸症候群が圧倒的に多いですが、中には潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患による腸内粘膜の炎症から下痢が起きていることもあります。
他にも、急性の場合と同様に消化不良や食あたり、薬の副作用など、さまざまな原因が考えられます。
水下痢の治し方をケース別に解説
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水下痢の治し方は、急性下痢の場合と慢性下痢の場合で異なります。
慢性下痢の場合、他の病気が潜んでいる場合があるので検査をすることもあります。
急性下痢の場合
急性下痢の場合、ウイルスや細菌の感染が疑われるため、薬物療法としては基本的には整腸剤などの対症療法になります。症状の程度によっては抗生剤を使用することもあります。
また、下痢によって体内の水分が失われるため、脱水症状対策としてこまめな水分補給が必要です。別の病気に感染することもあるので、手洗いの徹底と安静に努めることを推奨します。
慢性下痢の場合
慢性下痢の場合、原因が疾患にある可能性があり、病院で大腸カメラを用いた検査をすることがあります。疾患が見つかった場合は、その病気に適した治療をすることになります。
水下痢が止まらない場合は病院へ行くべき?
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ストレスや体調不良などで起こる一時的な下痢であれば1週間以内に落ち着くことが多いです。
しかし、ただの下痢ではなく、別の病気が隠れていることもあります。
医療機関の受診が推奨されるケース
次のようなケースでは、消化器内科や胃腸科などの受診が推奨されます。
【医療機関の受診が推奨されるケース】
- 数週間〜1ヶ月以上、症状が続く場合
- 下痢以外の症状も見られる場合
- これまでに経験のない腹痛を伴う場合
- 血便もある場合
- 下痢によって食事が困難な場合
病院へ行く際に把握しておくと良いこと
下痢はさまざまな原因、病気で起こるため、どのような症状なのかを医師に詳しく伝えることも重要です。病院へ行く際は次のような内容を把握しておきましょう。
【病院へ行く際に把握しておくと良いこと】
- 下痢はいつから症状が出始めたか
- 下痢以外の症状はあるか
- 1日の排便の回数
- 腹痛の有無(ある場合は痛みの程度も)
- 便の状態
- 思い当たる原因(直近の飲食物など)
- どのようなときに症状が出やすいか
水下痢は通常1週間以内に落ち着く|止まらない場合は医療機関の受診も必要
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水下痢は安静にして、腹部が冷えないように注意すれば1週間以内に落ち着くことがほとんどです。下痢になると水分が失われやすく、栄養の吸収も悪くなるため、水分補給をしっかりして、消化の良い食べ物を摂取しましょう。
ただ、下痢の症状が改善しないときは、別の病気の可能性もあります。特に血便がある場合は病状が進行していたり、重い病気の場合もあり注意が必要です。
下痢が止まらないとき、別の症状もあるときなどは、早めに医療機関を受診してください。
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こちらの記事の監修医師
山科駅前おかだクリニック
岡田 雄介
おかだ ゆうすけ
≪プロフィール≫
京都出身。金沢大学医学部卒業後、京都第二赤十字病院で研修。
消化器内科を専門とした理由は内視鏡による検査や手術などの技術を磨くことに魅力を感じたため。そのまま同病院に勤務し、消化管腫瘍に対する内視鏡治療を中心に、臨床経験を積んだ。2023年5月、検査や治療に通いやすい消化器内科を作ろうと、3路線が乗り入れる山科駅前に開業した。
≪資格≫
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医、近畿支部評議員
日本消化器病学会専門医
日本肝臓学会専門医
≪所属学会≫
日本内科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本肝臓学会
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