最終更新日:2022年4月20日
背中の痛みは膵臓が悪いと出る症状!病気の種類や受診目安、検査について

こちらの記事の監修医師
めじろ内科クリニック
久野伸夫

不自然な背中の痛みに悩まされていませんか。特に激しい運動したわけではなく、無理な姿勢をした覚えもないのに背中が痛いのは、もしかすると、膵臓が悪いために背中の痛みの症状が出ているのかもしれません。放置すると死の可能性もあるため、早めの受診が必要です。背中の痛みの症状が出る膵臓の病気について解説します。
背中の痛みは膵臓が悪いと出る症状のひとつ

膵臓は、胃の後ろにあり、約20cmの細長い形をしている臓器です。そのため、膵臓(すいぞう)に疾患があると、その症状のひとつとして、背中の痛みがでます。膵臓のはたらきは主に2つあります。
1つ目は、食物の消化に必要な消化酵素を含んだすい液をつくり、十二指腸に送り出すというはたらきです。
2つ目は、血糖値を下げるインスリンや血糖値を上げるグルカゴンというホルモンを生み出し、これらを血液中に送り出して血糖を調節するはたらきです。膵臓の働きによって血糖が調整されずに血糖値が高いままだと糖尿病になり、低血糖になると意識障害が起こるようになります。
このように、膵臓のはたらきは、私達が健康で快適に毎日を過ごすために欠かせないものです。背中が痛いという症状が続く場合には、膵臓の病気が疑われる可能性があります。
背中の痛みがあるときに考えられる膵臓の病気

一口に膵臓の病気といっても、さまざまな種類があります。背中の痛みがある時に考えられる膵臓の病気について解説します。
急性膵炎
急性膵炎とは、膵臓で酵素が過剰に分泌されるなどして、膵臓に急性の炎症が起こった状態です。胆石や大量飲酒が原因で起こることが多く、重症化したり、意識障害やショック症状に至ったりする恐ろしい病気です。
最も多い症状は、腹部痛やみぞおちの痛みですが、背部の痛みが出ることもあります。他に、発熱、嘔吐なども、急性膵炎の代表的な症状です。発熱などの症状や、状態が悪化すると、意識障害やショック状態など重症化することもあります。
急性膵炎は、程度にかかわらず入院が必要で、ひどい場合には手術が必要になることもあります。
慢性膵炎
慢性膵炎とは、慢性的に膵臓に炎症が起こっている状態です。慢性膵炎になると、基本的に治ることはなく、病気が徐々に進行していきます。
長期に渡って膵炎が起こると、食べ物の消化や血糖を調整するホルモンの分泌などが不十分になり、ゆくゆくは、消化がうまくいかなくなったり糖尿病になったりします。
また、膵臓が正常に働かないためにすい液の流れが滞り、膵臓の細胞が破壊されて、膵臓としての機能が損なわれていきます。
原因としては、過度のストレス、アルコールの過剰摂取、胆石などが挙げられ、症状は、背中の痛み、腹痛、倦怠感等があります。仕事や人間関係のプレッシャーから、毎日大量にアルコールを飲んでしまうなど荒れた生活が続いていると、膵炎のリスクが高まります。
膵のう胞
膵のう胞とは、膵臓の内部や周囲に、液体のたまったさまざまな大きさの袋ができる病気です。ほとんどは無症状で経過し健診などの腹部超音波検査や腹部CT検査で偶然発見されることが多いです。まれに膵管内のすい液の流れが悪くなり炎症を起こし、背中やみぞおち辺りに痛みが出ることがあります。
膵のう胞性疾患には、良性のものから悪性のものまであり、良性であれば多くの場合で経過観察となりますが、悪性の場合は手術が必要になることが多いので、早い時期に診断を確定し、治療を始めることが大切です。
膵臓がん
膵臓がんは、膵臓から十二指腸に分泌される消化液が通る膵管にできることの多い、悪性の腫瘍です。がんの中でも初期症状がわかりにくい病気として知られ、転移しやすく進行も早い、悪性度の高いがんです。
早期発見が難しく、膵臓がんが見つかったときには、かなり進行していることも少なくありません。進行すると、腹痛、食欲不振、おなかが張る感じなどの胃腸の不調、背中や腰の痛みなどが現れ、急に糖尿病を発症することもあります。
膵臓がんは、喫煙者や肥満の人にリスクが高いといわれますが、原因ははっきりしていません。
膵臓が悪いと出る背中の痛み以外の症状

膵臓が悪いと出る背中の痛み以外の症状には、胃部の不快感、吐き気や嘔吐、黄疸があります。背中の痛みは、膵臓が悪いと出る症状の代表的なものですが、それだけではありません。
膵臓は、消化酵素を含んだすい液を作り出す臓器であるため、炎症を起こして膵臓の機能が衰えると消化がうまくいかなくなり、胃やみぞおちのあたりが痛み、お腹が張るような感じや気持ち悪さを感じるようにもなります。進行すると、吐き気や嘔吐を繰り返すようになります。
黄疸も、膵臓が悪いと出る特徴的な症状です。皮膚全体が黄色っぽく変色し、目の白目の部分も黄ばんできます。健康な人と比べると明らかに顔色が違うため、わかりやすいでしょう。
膵臓が悪いのかも…と思ったら受診

膵臓が悪いと現れる症状には、背中の痛みのほか、胃部の不快感や黄疸など、いろいろあります。
背中の痛みの他に体の不調があり、膵臓が悪いのかもしれないと心当たりがあるなら、早いうちに病院を受診することをおすすめします。
膵臓の病気を放置するリスク
膵臓の病気は知らない間に進行していることが多く、がんや糖尿病など他の病気を併発したり、死に至ったりする恐ろしい病気です。慢性膵炎を患うと、日本人の平均寿命と比べて10年ほど寿命が縮むともいわれています。
膵臓の病気で背中や腹部の痛みがあっても、初期は軽度で、筋肉痛などとも似ているため、わかりにくいことが多いです。そのため、大したことないと放置されてしまいやすく、発見されたときにはだいぶ進んだ状態になっていることがよくあります。
また、特に膵臓がんは進行が早いため、注意が必要です。この病気も初期症状がほとんどないので発見しにくく、明らかな症状が出たときには手遅れになっていることも少なくありません。進行すると周囲の神経や血管に広がって、背中の痛みが出るようになりますが、夜も眠れないほど激しく背中が痛んだり、背中の痛みで目が覚めるようになることもあります。
膵臓疾患は、早期発見、早期治療が重要です。
こんなときは早期に受診
背中の痛みなど、膵臓疾患によくある症状が現れている場合は、念のため病院を受診しましょう。受診科は、内科、消化器内科です。
膵臓の病気が疑われるときの検査
膵臓の病気が疑われるときは、血液検査や膵機能検査に加え、内視鏡検査、超音波検査、CT検査などの画像検査を行い、総合的に診断します。いずれも保険が適用される検査です。検査結果によって診断を確定し、それぞれの病気にあわせて治療が行われます。
膵臓疾患の治療では、主に薬物治療が行われますが、他に膵臓への負担を減らすことを目的とした生活習慣指導も行われます。重症急性膵炎や膵臓がんの場合には、多くの場合で手術が行われ、膵石(膵臓の結石)が生じている場合は、内視鏡を使用して除去します。
まとめ

背中の痛みがあるのは、もしかすると膵臓が悪いために起こっている症状かもしれません。胃の不快感、腹部やみぞおちの痛み、吐き気、黄疸など、他にも体調不良があるなら、速やかに受診しましょう。
膵臓の病気は、他の臓器の疾患と比べても、早期発見と早期治療が大変重要です。膵臓疾患は、特に40代以上になると発症する人が多くなるので、できるだけ定期検診を受けるようにしましょう。
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こちらの記事の監修医師
めじろ内科クリニック
久野伸夫
〇病院名:めじろ内科クリニック
〇医師 :久野伸夫
〇アクセス :東京都豊島区目白3丁目5−11 NOBビル3F
〇診療科:内科・糖尿病内科・消化器内科
【経歴】
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本糖尿病学会専門医
労働衛生コンサルタント
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