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最終更新日:2022年2月3日

ハチアレルギーによる「アナフィラキシー」の危険性…特に注意したい人の特徴

こちらの記事の監修医師
アルバアレルギークリニック
続木 康伸

ハチ

(画像=PIXTA)

ハチに刺されることによって発症するハチアレルギー。もし発症してしまうと、人によっては命にかかわります。そんなハチアレルギーですが、予防する方法があることをご存知でしょうか。今回はハチアレルギーの危険性とハチアレルギーを特に気をつけたい人の特徴について解説します。

目次

  1. ハチ刺し症とは
  2. ハチアレルギーとは
  3. 進行が速く、死の危険も!ハチアレルギーのアナフィラキシー症状
  4. 「2回目に刺されたら危ない人」ってどんな人?
  5. 刺されなければ発症しない!ハチアレルギーの予防方法
  6. 2回ハチに刺されてアナフィラキシーが起きたら…その対処方法

ハチ刺し症とは

ハチ刺し症とはハチに刺された状態のことで、アレルギーではありません。

しかし、スズメバチのように毒が強く量も多いハチでは、ほとんどの方は激痛と腫脹、高い確率で合併する細菌感染やリンパ管炎(手を刺されたのに血管に沿って腫れてくる)で痛みに耐えられず、病院を受診します。

また、スズメバチは針が2つ合わさった構造になっており、これを上下に振動させることで何度も刺すことができます。このため、毒を注入される量がほかのハチよりも多いのです。

たとえば、スズメバチ10匹に刺されるとその強い毒性で、急性腎不全を引き起こし、集中治療室での治療が必要と報告されています。

ハチアレルギーとは

ハチアレルギーはアレルギーの中では珍しいですが、刺されると命に関わる可能性が高いアレルギーの一つです。

勘違いされているかたが多いですがハチに刺されたことがなければ、アレルギーになることはありません。アレルギーは、アレルギーとなる物質(アレルゲン:この場合はハチ毒)が体の中に入ってきて、はじめて私には敵だと認識するから起きるのであって、ハチに刺されたことがないのに、山で仕事をしているから、心配だからという理由で採血をしても意味はありません。

また、問題になるハチはおおむね決まっており、北海道ではスズメバチ(オオスズメかキイロスズメ)ですが、関東以南ではアシナガバチも増えてきている印象です。

進行が速く、死の危険も!ハチアレルギーのアナフィラキシー症状

アレルギーで死亡する場合には、アレルギーの重症型であるアナフィラキシーを起こし、呼吸できなくなるか心臓が止まるかで死亡します。

死亡するまでのスピードは、薬5分、ハチ15分、食べ物30分と言われるくらいで、ハチによるアレルギーは症状の進行が速いです。

ハチアレルギーは、刺された箇所の激痛と呼吸苦、全身のあかみとかゆみがものすごいスピードで全身に進行することがほとんどの印象です。

ハチアレルギーによるアナフィラキシーで救急搬送されてくる場合、全身真っ赤で意識が低下していることが多く、死ぬ可能性が高いショック状態になっています。また、刺された瞬間に即死された方もいます。

私が経験したケースですと、ハチアレルギーで救急搬送されてきた8人のうち5人はアナフィラキシーを起こしており、1人がショック、1人が痙攣をおこしていました。

「2回目に刺されたら危ない人」ってどんな人?

アレルギー的に言えば、「2回目に刺されると危ない」のではなく、「2回目に刺されて危ない人がいる」が正解です。

アレルギーは体内に入ったハチ毒の量にアレルギー症状が関係しますので、多くのハチに刺された場合1度で命を落とされる方もいます。

養蜂業や林業など職業的にハチに出会う職業じゃなければ、何度も刺される可能性は低いですが、基本的にアナフィラキシーは2回目以降に起こします。2回目に刺されてアナフィラキシーに発展するのは、1回目に刺された時にひどかった人です。この場合のひどかったとは、

①刺された場所が10cm腫れた
②全身症状(蕁麻疹、発熱など)が出た
③刺されて1週間以上経ってから刺された場所以外の関節などが腫れてきた

というような場合です。

これらはハチに刺された5~10%の人に起きます。そして、この5~10%の中から、さらに10%の人が、次にハチに刺されたらアナフィラキシーになります。つまりハチに刺された人の約100人に1人がアナフィラキシーになるということです。

一般に行われている健康保険内の採血は、あまり精度が高くありません。このため、刺されて意識がなくなり、痙攣するくらいのアレルギー症状を起こしても採血では何もない場合もあります。なので、採血のタイミングが大切で、私は刺されて受診した直後、1ヶ月後、に採決し、反応がなければ半年後にもう一度採血しています。

刺されなければ発症しない!ハチアレルギーの予防方法

前提条件として、刺されたことが無ければアレルギーにはなりません。虫よけで本当に効果があるのは、1946年に兵士用に米軍が開発したディート(化学名をジエチルトルアミド)です。

生後6か月未満は使用不可で、生後6ヶ月~2歳未満1回/日、2歳以上12歳未満2回/日となっていますが、通常量では神経などに影響はないと厚生省は報告しています。

ディート成分が30%以上含まれていると海外の昆虫にも有効ですが、日本では購入可能な濃度は最高12%です。

ハチには習性と活発になるシーズンがあるため、特に注意すれば職業的に避けられない方以外は2回刺される可能性を下げることができます。

  • 黒い服を避ける
  • ハチに出会っても不用意に動かない

これだけで刺される可能性が低くなります。

また、春先は女王バチしかおらず、女王バチが死ぬとすべてが終わるので、この時期はよほどでない限り攻撃してくることは少ないと言われています。スズメバチの巣は8月~10月に最大の大きさになり、攻撃性が最も高くなると言われています。

また、スズメバチは巣に近づけば近づくほど攻撃性が増しますが、軒先に巣をつくるキイロスズメバチなどは巣に近づくほど数が増え、攻撃する素振りを見せるなど事前に警告してくると言われています。最も危険な状態が空中のホバリングで、状態が攻撃してくる直前の態勢です。一刻も早くその場を離れましょう。

一方で、オオスズメバチは地中や粗大ゴミに巣をつくり、見つけずらいところにあります。経験的にはいきなり刺された方が多く、救急車で搬送されてくる人は、ほとんどがこのパターンでスズメバチに刺されています。

また、刺された場合、ハチ毒除去器具でハチ毒を吸い出すことも有効です。

2回ハチに刺されてアナフィラキシーが起きたら…その対処方法

典型例を記載しておきます。

いつもと同じように山で仕事をしていると古タイヤをひっくり返したとたんにハチに刺された。前回刺された時と同じだと思ったが、10分程度で全身に蕁麻疹とかゆみが出てきた。我慢していたが、すぐに咳が出て息苦しくなった。何とか車に戻ったが、全身真っ赤になり動けなくなって、やっと救急車を呼んだ。

救急病院で近くの病院に行くようにいわれ受診したが、うちでは対応出来ないと大きな病院を紹介された。そこでも、うちで対応する病気ではないと言われ、採血しただけ。採血の説明も良くわからないし、次に刺された死ぬとだけいわれた。日常生活をどうしていいかわからず、救急車で運ばれる不安をいつも持つようになった。

ハチによるアナフィラキシーが確定した場合には、上記対策を行いながらエピペンを所持することをお勧めします。また、山の中に入る場合には、ハチのシーズンは抗アレルギー剤の内服を行うと症状をまだ軽くすることができます。

ハチに刺されてアナフィラキシーになった場合、ほとんどが山の中であるので、緊急に助けを呼ぶことが困難です。

我慢すればするほど症状が進行しますし、ハチの中でスズメバチの場合にはいったん治まったとしても再度アナフィラキシーをぶり返す、二相性反応が起きることが多い印象です。車に戻っても、車内で意識を失っていた例もあるので、出来るだけ早くエピペンを使用し、下山したら救急病院を受診しましょう。

参考資料・文献
1)Stinging Insect Allergy
American academy of Allergy Asthma & immunoogy
https://www.aaaai.org/tools-for-the-public/conditions-library/allergies/stinging-insect-allergy
2) 札幌徳洲会病院アレルギー科を受診した成人アレルギー650例の検討. アレルギーの臨床. 40(3). 2020.
3) 佐藤幸一郎. 昆虫.日小ア誌 2020;34:280-290

こちらの記事の監修医師

アルバアレルギークリニック

続木 康伸

岩手医科大学歯学部卒業後に、岩手医科大学医学部卒業
札幌徳洲会病院アレルギー科医長、北海道教育庁健康保健体育局アレルギー疾患教育担当などを歴任
2017年に札幌徳洲会病院アレルギー科医長に就任
2020年にアルバアレルギークリニックを開院