最終更新日:2022年11月9日
頭痛が治らない?頭痛の原因や種類を解説
こちらの記事の監修医師
医療法人社団 創知会 メモリークリニックお茶の水
荒木 亙
頻繁に頭痛が起こって困っている、なかなか頭痛が治らなくて病気なのではと不安になっている人は多いのではないでしょうか。この記事では、頭痛の原因や種類について解説します。頭痛には大きく分けて一次性の頭痛と二次性の頭痛があります。それぞれどのような頭痛で、何が原因で起こるのか解説していますので、参考にしてください。
頭痛の原因
頭痛が発生する原因はさまざまですが、多くのケースは何年も頭痛が続く慢性的なものであることが少なくありません。また、頭痛が続くことで「自分は頭の中に何か病気があるのではないか?」と不安になる人もいます。
しかし、慢性頭痛の代表である偏頭痛と緊張型頭痛では、痛みの発生源は血管や筋肉にあるといわれます。
また、頭以外の部分、つまり鼻や目、耳などの病気が原因で頭痛が起こることもあります。例えば、蓄膿症や副鼻腔炎といった鼻の病気、眼精疲労や緑内障などの目の病気、中耳炎のような耳の病気などが頭痛を引き起こすこともあります。
主な頭痛の種類
ここでは、偏頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などの一次性頭痛と呼ばれる頭痛について解説します。一次性頭痛は、別の病気が原因で起こるものではなく「こわくない頭痛」と言われることもあります。どのようなものなのか、概要を押さえておきましょう。
偏頭痛(片頭痛)
一次性頭痛の代表例としてあげられるのが偏頭痛です。偏頭痛は頭の血管が拡張することで発生します。具体的には、血管が広がることで周辺の壁が引っ張られ、こめかみ周辺に痛みを感じます。
偏頭痛は、一度発生すると数時間以上痛みが継続します。また、発作的に起こる点が特徴で、数日や数週間の間になんども発生するケースも少なくありません。
偏頭痛の痛みは、ズキンズキンという拍動性のものであり、痛みとともに吐き気を伴い、嘔吐してしまうこともあります。体を動かすことも辛く、周囲の光や音などの刺激でさらに悪化することもあるため、偏頭痛が起こると、日常生活に支障が出る恐れもあるでしょう。
偏頭痛は、その前触れとして、閃輝暗点が起こることがあります。閃輝暗点とは、視界に稲妻のような光の波が見え、それが徐々に広がり、目が見えにくくなることです。閃輝暗点自体は、数分から数十分程度で収まり、その後偏頭痛が起こります。
偏頭痛は、緊張やストレスから解放された時に起こりやすいとされています。そのため、仕事が終わった週末や休日、テスト終了後などに起こる可能性があると考えておくといいでしょう。
また、睡眠不足や寝すぎ、強い日差し、パソコンの画面、飲酒、運動などが誘因となって引き起こされることもあります。偏頭痛になった時は、光や音の少ない場所で安静にし、頭部の血管を冷やすなどすることで症状が軽減される傾向にあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛とは、筋肉収縮性頭痛とも呼ばれる頭痛で、筋肉の凝りやストレスが原因で引き起こされます。デスクワークに従事していてパソコンを長時間使用する人や、トラックやタクシーなどのドライバーにもよく見られる頭痛です。
緊張型頭痛には大きく分けて2つのタイプがあります。1つは、姿勢が関係しているタイプです。うつむき姿勢でパソコンを打っている、前屈みでデスクワークをしているなど、姿勢の悪さが原因となって肩から首の後ろの筋肉に負担がかかり、それが頭の後ろの筋肉まで広がることで頭痛を引き起こします。
もう1つのタイプは、ストレスが続くことで頭の筋肉が凝ってしまい、頭痛が起こるというものです。緊張型頭痛はストレスによっても引き起こされます。仕事や勉強などの心配事を常に抱えており、ストレスが溜まっていると頭痛が起こる可能性があるでしょう。
緊張型頭痛は筋肉の凝りやストレスが引き金となるため、凝りをほぐす、悪い姿勢にならないように気をつける、ストレス解消に努めるといったことが頭痛対策をするうえで重要です。
群発頭痛
群発頭痛は、ある一定の期間に集中的に起こる頭痛です。目から前頭部にかけて、激しい痛みを伴う点が特徴で、特に男性に多いとされています。
群発頭痛は、夜就寝してから1時間程度経過した頃くらいに起こるケースが多くみられます。目の奥と額に激しい痛みが起こり、それと同時に顔のあからみや結膜の充血、発汗、鼻汁などの症状も伴います。
痛み自体は1〜2時間程度で収まりますが、1度起こると2〜3週間は連続して起こるため、夜眠るのが怖くなる人も少なくないでしょう。ちなみに、頭痛が起こる前段階で目がかすむ、首が張る、頭がぼーっとするなどの症状が見られることがあります。
群発頭痛は他の頭痛と比べても特に痛みが強く、のたうち回ったり、転げ回ったりする人がいるほどです。ただし、群発頭痛の発生頻度は偏頭痛の1/100ほどといわれ、非常に少ないことから、その存在を知らない人も少なくありません。
なお、群発頭痛はアルコールがきっかけで引きこされるケースが多いとされているため、頭痛が怒っている間は飲酒を控えたほうがいいでしょう。一方で、頭痛が起こっていない期間の飲酒は特に問題ありません。
二次性の頭痛
ここでは二次性の頭痛について解説します。二次性の頭痛は頭や脳の疾患が原因となって引き起こされるもので、場合によっては命の危険を伴うものもあります。
くも膜下出血
くも膜下出血とは、脳動脈瘤と呼ばれる脳血管のコブが破裂して、脳の表面にあるくも膜の下へ出血した状態のことです。過去に経験したことのないような激しい痛みがあり、吐き気を伴うこともあります。また、意識を失うことも珍しくありません。
くも膜下出血を起こした人は、突然激しい頭痛が起こり、救急車で病院に運ばれるケースがほとんどですが、中には症状を自覚しておらず歩いて病院に来てそこでくも膜下出血だったとわかる人もいます。これは、軽度のくも膜下出血の場合、CTでは診断がつかないことがあるくらいわかりにくいものであるためです。そのため、風邪だと思ったらくも膜下出血だったといったことが起こる可能性もあり得ます。
脳動脈解離
脳動脈解離は、脳動脈の血管壁の中に出血が起こり、動脈壁が破けてしまっている状態のことです。
脳動脈解離は、椎骨動脈と呼ばれる脳の後方へと伸びる血管で起こることが多いため、発症すると後頭部に強い痛みを感じます。偏頭痛や後頭神経痛など、他の頭痛と区別することが難しく、MRI検査をしてはじめて脳動脈解離だったと発覚することもあります。
大抵は、数ヶ月程度で回復しますが、脳動脈解離がきっかけでくも膜下出血や脳虚血性発作、脳梗塞などを引き起こすことも少なくありません。脳動脈解離は、外傷や大動脈解離の進展が原因となりますが、中には原因がわからない特発性のケースもあります。また、ウェイトトレーニングなど、運動中の昂りによって発症することもあるため注意が必要です。
脳腫瘍
脳腫瘍は、その名の通り脳に腫瘍ができている状態のことです。腫瘍は時間をかけて大きくなり、それにつれて頭痛も強くなります。腫瘍ができる位置によっては、手足のしびれや視力障害、言葉が出にくいなどの症状が見られることも少なくありません。
原因は遺伝子変異が関係していることがわかってきていますが、家族性のものはまれです。喫煙やストレス、偏った食事などもリスク要因と言われています。
先ほど紹介したくも膜下出血では、激しい痛みが突然現れますが、脳腫瘍では痛みが少しずつ強くなります。また、朝起床したときに痛みが強い点も特徴です。これは、睡眠中に頭蓋内圧が高くなるためです。
脳腫瘍は、頭痛以外にも嘔吐を伴うこともあります。吐くことによって脳圧が一瞬下がるため、頭痛は軽減されます。なお、片頭痛の場合、吐き気があってその後嘔吐することがありますが、脳腫瘍の場合は、吐き気を伴いません。
徐々に進行する病気であるため、発見が遅れると治療が難しくなる可能性があります。そのため、こまめに検査を受けるなど、発見しやすい状況を作っておくことが大切です。なお、脳腫瘍があるからといって全てが悪性とは限りません。中には良性の腫瘍もあり、その場合は経過を見ることもあります。
ウィルス性髄膜炎
ウィルス性髄膜炎とは、ウィルスが原因で脳と脊髄を覆っている髄膜と、髄膜と髄膜の間の空間であるくも膜下腔に炎症が起こることです。ウィルス性髄膜炎になると、頭痛や発熱のほか、倦怠感や筋肉痛などのウィルス感染症の症状が見られます。
ウィルス性髄膜炎は、特に梅雨から夏にかけて多く見られます。この時期は、ウィルス感染による夏風邪がきっかけで下痢になる人が多く、ウィルスが頭に入ると髄膜炎を起こすことがあります。
基本的には、安静にしていれば自然と直りますが、中には悪化して脳炎になるケースもあります。ヘルペスウィルスが原因でウィルス性髄膜炎を起こすと、死に至る可能性もあるため、早めの治療が必要です。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫とは、外傷の発生から1〜2ヶ月ほど経過したころに脳の硬膜と脳の間に血腫ができる病気です。血腫が脳を圧迫することで、頭痛や物忘れ、認知症様の症状、失禁、歩行障害などを伴う点が特徴です。
慢性硬膜下血腫は、頭をコツンと打つ程度の軽度の外傷でも起こります。また、出血も時間が経過してから起こるため、頭を打ったこと自体を忘れている患者さんも少なくありません。特にお年寄りに起こることが多く、物忘れなどの症状を伴うことから、ボケてきたと勘違いされ放置されてしまい、手遅れになることもあります。
慢性硬膜下血腫は、原因となる血腫を取り除くことで症状が改善されます。
その他の頭痛
ここまで紹介してきた頭痛以外にも、さまざまな頭痛があります。例えば、頭の神経痛が原因で頭痛が起こることもあります。神経痛というと、坐骨や肋間などをイメージする人が多いと思いますが、三叉神経痛や舌咽神経痛、後頭神経痛など頭でも神経痛は起こります。
また、痛み止めを服用しすぎていると、頭痛がひどくなることもあります。たまに起こる頭痛でその都度痛み止めを服用する程度であれば問題ありませんが、頭痛の頻度が多く、痛み止めを服用する機会が多くなっている場合は注意が必要です。一度病院を受診することをおすすめします。
なかなか治らない時は早めに受診を
頭痛がなかなか治らない場合は、一度病院を受診してみましょう。特に、二次性の頭痛が起こっている場合、命の危険を伴う可能性があります。以下のような頭痛が見られる場合は早めに受診してください。
- 突然頭痛が起こった
- これまで経験したことない激しい痛みを感じる
- いつもの頭痛とは様子が違う
- 頭痛の頻度と程度がどんどん増している
- 発熱など頭痛以外の症状を伴う
- 麻痺やしびれなどを伴う
- 頭部を打撲した後に頭痛が起こる
病院を受診する際は、脳神経外科や脳神経内科など頭痛治療を専門に行う診療科に行きましょう。また、受診時は頭痛がいつから起こっているのか、どのくらいの頻度で起こるのか、どこが痛むのか、どのような状況で頭痛が起こるのかなど、頭痛の情報をまとめておくとスムーズです。
頭痛の治療法
偏頭痛や緊張型頭痛など一次性の頭痛である場合、痛みをコントロールする投薬治療がメインで行われます。頭痛の種類、頻度や程度を踏まえたうえで医師が適切な薬を処方してくれます。また、睡眠不足やストレスが原因となっている場合もあるため、生活指導を行うこともあります。
二次性頭痛の場合、原因となる病気に応じた治療を行わなければなりません。
まとめ
今回は、頭痛の原因や頭痛の種類などについて解説しました。頭痛には、頭痛のみの病気である一次性頭痛と、別の病気が原因で起こる二次性頭痛があります。種類によって痛む箇所や痛むタイミング、頻度などが異なります。頭痛がなかなか治らない場合は、一度病院を受診して頭痛の原因を特定し、適切な対応をとるようにしましょう。
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こちらの記事の監修医師
医療法人社団 創知会 メモリークリニックお茶の水
荒木 亙
〇診療科 :精神科
《経歴》
1985年 京都大学医学部卒業、1992年 同大学院修了、1995年 米国留学。1998年より、国立精神・神経医療研究センター神経研究所 室長として、主に認知症研究に従事。2018年より、医療法人社団創知会に勤務し、物忘れ外来を担当している。 専門分野:神経内科学・認知症、資格:日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医
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